数か月前、最後に元妻に会ってきた。
実に5年ぶり。
元妻のところに息子がいるから、連絡だけは取れる状態にしていた。
報告したいことがあって、元妻にラインを入れようと思ったら、元妻から逆にラインが入った。
「一度会って話がしたい。」
とあった。
金曜の夜、恋人時代によく行ってた居酒屋で待ち合わせた。
「久しぶりだな。」
「そうね。あなたも、この店も…」
元妻の用件は、今度見合いをするという話だった。
もし、再婚することになったら、もう、連絡は取りたくないと言われた。
その代わり、養育費は要らないとも。
それはつまり、新しい父ができれば俺はお払い箱ということだ。
「ああ、わかったよ。この5年間、会ってなかったんだしな。息子、よろしくな。」
居酒屋を出て、駅へ向かう途中、元妻が俺の腕にしがみつき、
「もう、会えなくなるのね…」
と呟いたのは、ラブホの前だった。
黙って、元妻の腰に腕を回し、ラブホに入った。
元妻40歳、俺43歳、5年ぶりのキスを交わした。
嫌いで別れたわけじゃない。
俺と元義実家の折り合いが悪くなって、出張から帰ると元妻と息子が消えてた。
40歳の元妻の身体は夫婦でいたときよりも艶めかしかった。
懐かしい乳房の弾力、懐かしいマンコの滑り、少しビラの形が変わったかな?、別れた後、違うチンポが入ったかな?などと考えながら舐めた。
元妻のフェラ、懐かしいバキュームだった。
もう、赤の他人だから、コンドームに手を伸ばすと、それを遮り、
「生で入れて、最後の精液、かけて…」
キスしながら入れた。
ラブホのベッドが軋み、元妻が身悶えした。
懐かしい喘ぎ声、聞き納めとばかりに記憶に刻んだ。
元妻の乳房が揺れた。
40歳の元妻から溢れる色香が、別れた頃にはなかったなと、その痴態を眺めた。
元妻のおなかに射精すると、胸元まで飛んだ。
指に精液をつけて、匂いを嗅いだ元妻、
「この匂い、もう、嗅げないんだ…」
と哀しそうな笑顔を見せられた。
ラブホを出た。
「じゃあな。今度こそ幸せになれよ。元気でな。さよなら…」
「あなたも元気でね。さよなら…」
駅に向かう元妻を見送った。
途中で振り返り、手を振る元妻に手を振り返し、俺も帰路に就いた。
俺は、元妻が幸せになってくれれば、俺も幸せだと思うことにした。
数か月後、元妻からラインが来た。
見合い相手と再婚するとあった。
「さよなら。これが最後のラインだ。お前を友達から消すよ。」
「さよなら。元気でね。」
ラインから、元妻のアイコンが消えた。
俺は、元妻の前から姿を消すために、元妻が知っている今住むアパートを出る決心をした。
職場を挟んで、ここから反対側の街に住もうと思う。
もう、二度と元妻の人生と関わらないために。
これでサラバだ、元妻…