今から数えて4年前の話です。当時、27歳の僕は大阪の淀屋橋というところで信販会社のコールセンターで働いていました。いわゆる非正規の派遣社員っていうやつです。
月収は保険や年金で引かれて17万っていうところ。そこから家賃で5万なくなり、さらに光熱費、通信費で5万なくなる。あとは食費でぎりぎり3万、あとは交通費や交際費と考えると、まず貯金なんて出来ない境遇だったのです。
それには訳がありました。実は僕は中型自動二輪の免許を持っていましたが、普通一種という運転免許を持っていなかったのです。
せめて雇われでも正社員じゃなければ、という焦りを持っていましたが、運転免許をとるにもなんだかんだと10万以上のお金がかかる、だけれどそんなお金は正社員じゃないから持っていない。
働く上で正社員じゃなければならないっていう事もないとは思いますが、正社員イコール運転免許必須というのは皆さんもご存知の事だと思います。
とにかくそんな脱却しがたい経済的な苦難の中で生きていたのです。ただ食べるために働いているそんな状態でした。
毎朝、同じ時間におきて、同じ服を着て、同じ電車の同じ車両に乗り、同じ道を歩いて会社に通勤する。きっと周囲のビジネスマン達は大阪の中でも屈指のビジネス街である淀屋橋に来ている以上、みな30万、40万という給料をもらっているのだと思います。
たかが17万の手取りのために安物スーツをきて合皮のビジネスシューズを履いて満員電車に揉まれているのはきっと僕のような負け組くらいのものだろう、そんな気持ちですごしていました。
派遣社員として勤めて約2年、いつしか僕は駅で無料で配布されている求人誌を読み漁ることが日課になっていたのです。
(ふー。やっぱ正社員とかそれなりに待遇がいいとこは要普通免許って書いてるなぁ)
そんな風に思っていた中、とある求人に目がいったのです。
「未経験者歓迎 〇〇グループ100%出資の保養所で働きませんか? 寮完備 賄い付き 月収18万円以上」
いわゆるリゾート系の仕事でした。
僕が気になったのは、まず初めに運転免許が必らずしも必要ではないという事。そして正社員であるということ(つまり年二回のボーナスがあるということ)そして家賃や光熱費、食費が浮くというところ。
(もし、、この会社に転職したとすれば、、毎月どれだけ貯金出来るんだろうな・・・・)
そんな新しい環境での希望のようなものに支配されていく僕がいたのです。
結果・・・・僕はその会社に応募し、そしてその会社での採用がきまったんです。(応募、面接、採用、引っ越し手続きについては割愛しますね)
そして話を戻します。4年前の5月、僕は晴れて中途採用でありましたが「正社員」として西日本のどこかにある〇〇高原という場所において、誰もが知る〇〇グループの社員が利用する保養所への転職がきまったのでした。
保養所での毎日はこんな感じでした。
基本、金土日が忙しい。そしてゴールデンウィーク、盆、正月はピーク。ですが、それ以外の月火水木に関しては閑散としている感じの保養所だったのです。
予約がある日の1日は以下の通りでした。
朝5時半に起床。6時に寮から同じ敷地内にある保養所へ出社。それから7時の朝食バイキング
準備。9時からは施設内の清掃。11時30分から15時までの間は中抜けという事で昼食と休憩。
15時からその他雑用、事務仕事、16時から夕食の配膳準備。18時に夕食の提供。21時
後片付け。22時就寝。
これが客が沢山いるパターンの1日でした。
他の客が沢山いない日は似たようなパターンでしたが、まず最初に物量がちがいました。金土日の最大80人の客相手の配膳準備と、ひと家族4名の配膳準備では仕事の量がちがうのです。
そんな理由もあって、木曜の夜には鬱となり、日曜の夜に元気になる、そんなサイクルで生きていたのです。(研修期間がおわれば正社員として配膳係や館内清掃の業務はなくなり事務仕事が多くなるのですが)
正直、仕事は楽ではありませんでした。ですが家賃を払わなくていい、光熱費も払わなくていい、食費も浮く。たしかに、僕は今までやったことのない「お金にたいする余裕」みたいなものも出てきた時でした。
そんな頃、僕は新しい出会いに恵まれたのです。
相手は既婚者、、、、結果として僕たちは不倫という関係になってしまうのですが、相手は毎朝、僕が務める保養所に「〇〇高原の生搾り牛乳」を軽トラックにのって配達しにくる届けにくる34歳の女性(人妻)だったのです。
続