ぼくは小学生のころは勉強がよくできた子どもで、四谷大塚の
日曜模試では全国で上位になったこともありました。両親の期待も
大きく、5年生になると家庭教師もつけて、私立中学受験をめざす
ことになりました。そして、その家庭教師が、自分の担任の先生だ
ったのです。もちろん、友達には言ってはいけないと念を押されま
した。先生は国立大出身の26歳で、学校でもけっこう人気のある先
生でした。教え方もすごく上手で、2年間の指導のおかげで、無事に
御三家といわれる中学に合格することができました。
中学になっても先生の家庭教師は続きました。ぼくは、のんびり
学校生活を過ごしかったのですが、週に2回は早めに家に帰らなけ
ればならなかったのです。
中2の時、突然両親が離婚しました。母親が家を出ていき、僕は父
親に引き取られました。父は官僚で帰ってくるのが遅いときも多く、
自分で夕飯を作らなければなりませんでした。でも、家庭教師は続け
られ、先生も僕の不遇を慰めてくれたり、夕飯も作ってくれました。
たまに、家に泊まっていってくれることもあり、そんなときは、朝ご
はんも、おいしいものを用意してくれていたので嬉しかったです。
中3の冬、僕は見てはいけないものをみてしまいました。その日も
先生は泊まっていってくれ、遅くまで食事の支度をしてくれていたよ
うでした。その日に限って僕は、深夜にトイレにおきました。2階にも
トイレはあったのですが、寝ぼけていた僕は1回のトイレに降りてい
きました。その時、父の寝室から「アン、アン」という女性の声が聞
こえてきて、ぼくはほんの少しだけ、父の部屋の扉を開けてしまいま
した。先生はいつも、以前の母の寝室で寝ていたのですが、この時は
父の部屋で、寝ている父の上にまたがっているのがみえました。もち
ろん、中3の僕でもそれが何をしているのかはわかりました。見ては
いけないものを見てしまったと思い、そっと2階あがっていきました。
でも、興奮して朝まで眠れませんでした。朝、起きていくと先生はす
でに起きていて、いつものように朝食を準備してくれていいました。
料理をしてくれる先生の後姿と夜中の裸の後姿がだぶってみえました。