「ちっ…。」
容姿、スタイル共に申し分ない獲物にありつけた。
しかし、乗客には当然目的の駅が存在する、むしろ例外はこの男。
あと一駅。
恐らく、この制服を着ている学生は皆次の駅で降りる。
チャンスはそれまで。
と思いきや、思った以上に一つ手前の駅でかなりの乗客が下車していく。
雪崩るように人の塊が動き、混雑が一気に緩和されていく。
数分とはいえ、さすがに緩和された車内で張り付くほど愚かではない。
思わず舌打ちをしてしまいながらも、そんな男の妬ましい欲求からくる音は人混みの騒音にかき消される。
「…。」
すっとスマホを握っていた手を引き、何事もなかったかのようにポケットの中へしまう。
うまく撮れているのかどうか、そしてこの少女が身に着けている下着の種類は、種類は…。
気持ちはさしずめ、遠足の前日ような気分だろうか。
あらゆる都合の良い妄想を抱き、期待し、昂る。
ある意味目の当たりするその瞬間よりも興奮できるのかもしれない。
少女から少し距離を置き、背後を気に掛ける。
(仕方ない…今日はここまでだ…。
人も少なくなってきた…、少し確認してみるか…、まだ顔も姿も目の前にあるんだ…。
その状態で確認する方が、楽しめる…。)
基本的には下車のタイミングまで追いかけていた男。
乗り合わせたまま撮影した内容を確認することはなかった。
再びスマホを取り出し、慣れた手つきで操作していく。
同時に車両も動き出しており、少女の目的地であろう次の駅に向かい始めていた。
大凡数分で次の駅に着くだろう、そんな中で男はちらっとひとめ少女の背を、その姿を確認してから動画ファイルを開いた。
暗い状態から再生される動画。
早めに起動しておくのはいつもの通り、そして少し明るくなったかと思うと少女がスカートが映り込む。
さらに一度車両の天井を映し出したかと思うと、ゆっくり少女がいる側へとスライドして行く。
そして…。
(…ん…?)
期待に胸を膨らませ、やや膨らんだ股間が窮屈に感じ始めながらも先に起こった感情は悦びでも興奮でもなく、疑問…だった。
(映って…、いや…ん…?)
「え…?」
数秒見つめても、一向に映り込まない布切れ。
背後下から尻の割れ目を捉えながらも、下着…が見えない。
思わず声が出るほど驚いてしまう男、くっと視線を男に向ける乗客が数人。
慌てて口を塞ぎ、取り繕うように振る舞いながら俯く。
(穿いて…ないのか…?まさか…。)
少女にとって幸か不幸か。
下着が目的だった男の手が深く入り込まなかったことで、結果尻の割れ目が撮られた、だけに留まる。
もし、もっと大胆に、差し込んでいたなら…あるいは…。
「へぇ…。」
気づけば男は口元が緩み、少女の背中を見つめながら微笑みを浮かべている。
鉄の籠が大きく揺れ、減速を始めていた。
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