佐山がドアの向こうに消えたあと、部屋の空気がわずかに変わった。
美樹はまだ床に膝をつき、私のものを咥えたまま奉仕を続けている。ジュプ、ジュプ、と規則正しい水音だけが響いていた。私は彼女の髪を軽く撫でてから口を開いた。
「やめろ」
美樹はすぐに動きを止め、口を離した。唇の端から糸を引く唾液が、顎を伝って落ちる。上目遣いにこちらを見て、次の指示を待っている。
私はソファに深く座り直し、契約書を手に取って彼女の目の前に差し出した。
「読め。声に出して」
美樹は契約書に視線を落とし、掠れた声で条項を読み始める。第1条、第2条……「ご主人様」と呼ぶこと、身体と精神を譲渡すること、絶対服従すること。一つひとつ、自分の口で確認していく。
読み終えると、私は契約書をテーブルに戻し、美樹の顎を指で持ち上げた。
「佐山は帰った。ここからは俺だけだ。お前は誰の所有物だ」
美樹は一瞬だけ視線を揺らせたが、すぐに答えた。
「そうだ。サインしたのはお前自身だ。不満はないな」
美樹は小さく首を縦に振る。否定の言葉は出てこない。むしろ、先ほどの宣言通り、従う意思を目に宿していた。
私は美樹の髪を掴み、顔を上げさせたまま続けた。
「これから、お前を少しずつ変えていく。身体も、態度も、習慣も。佐山の妻ではなく、俺の雌として使えるようにな。分かったな」
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