ドアが開いた、その先に男がいた。
背が高くて、目が鋭くて、声も低くて……思っていたよりずっと怖い人。
「初めまして、八谷幸喜です。今日はよろしくお願いします……友梨奈さん」
名前を呼ばれただけで、体が強張った。
八谷さんの視線が、私の顔から胸元、腰、脚のラインまで、ゆっくりと舐めるように這っていく。
…この視線。
遠慮なく向けられる、あのいやらしい目。
男の人たちが私の胸や体を値踏みするような、あの気持ち悪い視線。
今日も同じだ。
(いつもと同じ、嫌な目……気持ち悪い……)
白いワンピース越しにその視線を感じて、背中がぞわぞわする。
思わず肩をすくめて、胸の前で腕を軽く組んでしまった。
「は、初めまして……山根友梨奈です……よろしくお願いします……」
声が小さくて上ずってしまった。
部屋は薄暗くて、オレンジ色の照明だけがソファをぼんやり照らしていて、余計に現実感があって怖い。
ソファに座らされて、八谷さんと向かい合うと、胸が苦しくなった。
ずっと私を値踏みしてるみたい……いやらしくというか、探るような感じ…
賢太郎さんが隣で興奮してるのが伝わってくるけど、私はただ俯いて、指を強く握りしめることしかできなかった。
八谷さんが前かがみになって、薄く笑いながら言った。
「緊張が見えますね……怖いですか? 私が……」
私は唇を強く噛んで、小さく頷く。
なんだろう、雰囲気がいつも夫が連れてくる人たちとだいぶ違うような。
暗い部屋だけどローテーブルの上に、「調教依頼書」と書かれた書類が目に入りました。
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