ーーーーー喫茶店ーーーーー
「僕も珈琲で…砂糖はなしで結構です。」
注文を終えると、二人に向かって頭を下げながら、
「今回は弟海斗がとんでもない事しでかして本当に、申し訳ない。
莉奈さんの友達である三宅さんにも多大な心配かけてしまって…
海斗の奴にはきつく言っておくから…」
宙との謝罪が終わると、莉奈からの謝罪とお礼が。
それが終わるや否や、藍から詰問とも思える質問が
「僕も男だから、かわいい子の方が勿論好きだし…
弟から、身代わりデート頼まれたときに、
写真の莉奈さんが可愛かったから受けたって言う部分も、勿論ある。
でも信じて貰えないかもだけど、それ以上に
弟の彼女ってどんな人なんだろ?という部分が大きかった。
弟の彼女とデートするなんて、瓜二つの双子と性格って言う条件が揃わないと、体験できない超レアなケースだからね。」
納得したのかしていないのか、外からは窺い知ることができない表情のまま、藍の質問はどんどん続いていく。
「〇〇っていう、広告代理店で営業の仕事をしてます。」
「休みは基本土日祝、回数は少ないけど、休日出勤とかもあることにはあるかな。」
「友人の数ねぇ…友人って言う定義を、どこに持ってくるかに寄るからなぁ…」
「何でも話せる友人はいるにはいたけど、今海外駐在で日本にはいない。
ここ数年会ってないな…」
「今現在付き合ってる女性はいないよ。」
「別れの原因?いやなこと聞くねぇ(苦笑)まあ絶対数がそんなにあるわけじゃないけど、すれ違いだったり、なんか違うって言われたり、相手に他に好きな男が出来て別れてって言われたこともあったかな(笑)」
藍からの質問一つ一つに誠実の応えていく宙斗
「(友人を怒らせて、わざわざ敵にする必要は皆無だから。っていうより、できれば仲間にしといたほうがいい(笑))」
藍からの質問が一段落したころ、そろそろ時間という莉奈の言葉に従って、喫茶店を出る三人。
宙斗がレジで会計をしていると、藍が莉奈に気が付かれないようにであろうか小さくガッツポーズをして、ごちそうさまですと言って外へ出て行く。
駅前で藍と別れて、永瀬家へ歩いて向かう途中、
「莉奈さん、いい友人持ってるね。三宅さんの事大切にしてね。」
そうこうしているうちに永瀬家の前に。
ーーーーー永瀬家ーーーーー
莉奈がインターホンを鳴らすと、待ち構えていたように内側からドアが開き莉奈母が顔を表す。
莉奈母「お帰り、莉奈ちゃん。岡田宙斗さん、本日はお呼び立てする形になってしまい申し訳ありませんね。どうぞ上がってくださいな。」
玄関の上がり框の玄関マット上には、来客用のスリッパが用意されている。
「本日はお招きいただきまして…これつまらないものですが。」
と言って紙の手提げ袋二つを莉奈母に渡してから、「お邪魔します。」と玄関マットに用意されていたスリッパに足を通す。
すると莉奈が素早く、両膝をついて靴を揃える。
その様子を見ていた莉奈母が
莉奈母「岡田さん、お靴綺麗になさってるのですね。日頃からですの?」
「あっ、これですか。これは…仕事が営業という職種というのも関係してるんでしょうけど、入社当時に先輩から、『靴は心を映す鏡だからな。』的なことを言われまして、手入れを続けているうちにいつしか習慣になってしまって(笑)
手入れしてくれるパートナーもいないですし、自分で…(苦笑)」
莉奈母「そうですか、お偉いわぁ…あ、すいません、お停めしてしまって。
リビングダイニングに主人が居りますので…
莉奈ちゃん、岡田さんをご案内してから、お料理運ぶの手伝ってちょうだい。
(この言葉が本当ならいいけど…男の独り身で、ここまで気が回るのかしら?
主人に言って興信所でも雇おうかしら。)」
その頃宙斗は、莉奈父と二度目の対面
莉奈父の言葉に、
「(おぉ、怖っ…流石〇〇社で取締役まで張ってることあるわ。
でもなかなか攻略できないからこそのラスボス、必ず抗攻略して…)」
しかしこの時の宙斗は、別に本当の意味でのラスボス(莉奈母)が控えていることに気が付いていなかった。
莉奈父と二人きりになったリビングダイニング。莉奈父の思いかけない問い。
「(三宅さんが付いてきたって聞いただけでこの洞察力、流石だわ。
でもどうやって答えれば……本当の事、酔った上でのこととはいえ、
莉奈ちゃんからホテル誘ったとか答えたら、莉奈ちゃんを追い詰めちゃうし…)
いや三宅さん、ただ私に文句言いたかっただけみたいです。
そんな依頼受けるんじゃないって思い切り怒られました。(苦笑)
馬鹿な依頼受ける男を見てみたいって気もあったんじゃないですかね。」
と宙斗が答えた時、調度料理を運んでくる莉奈。
その顔が少し強張っていたことを宙斗は知らない。
「貴方、お酒お召し上がりになりますよね。
岡田さんからあなたがいつも呑んでらっしゃるウイスキー、
マッカランでしたっけあれをいただいたの。
貴方がいつも呑んでるのと、表示されてる数字が違うみたいでしたけど。
岡田さんもお召し上がりになるわよね。」
莉奈母がそう言って、また莉奈と莉奈母がキッチンに消え、
リビングダイニングには莉奈父と宙斗の二人に。
その時テーブル上のスマホに着信が。
莉奈父「おい、莉奈でん……」
電話だぞと声をかけようとした莉奈父の声が、スマホのディスプレイを目にした瞬間途中で止まる。
莉奈父「(こいつか、私の可愛い娘、莉奈を二股の上弄んだ奴は。どうしてやろう、電話に出てもう娘に近づくんじゃないと一括してやろうか。)」
「(海斗か…何て間の悪い奴なんだ(笑)もうすぐ莉奈ちゃんは俺がいただく。
指をくわえて恋人が実の兄に寝取られるの想像しながら、ちんぽ勃ててろ(笑))」
莉奈のスマホへの着信が切れた直後、宙とのスーツ内ポケットにあるスマホにも着信があったが、バイブも震えないマナーモードにしてあった宙斗は気づきもしない。
ーーーーー新幹線内、海斗ーーーーー
新幹線デッキで電話中の海斗
「あーくそー、莉奈ちゃん出ないよ。たかだか一回の浮気くらい何だって言うんだ。
それくらい大目に見ろってんだ。」
つくづく自分勝手な海斗は、もう一度文句を言おうと今度は宙斗の番号へコールを。
数度の呼び出し音の後、”この電話は電源が入っていないか、電波が~”との機械音声が連続して流れ始める。
「くそっ……留守番電話にもなりゃしない。留守電になれば、文句の一つも吹き込んでやれるのに…」
「協力工場に着いたら、ラインに入って製造の手伝いか…休憩時間以外電話なんてできそうにないよな。」
ーーーーー井ノ原家ーーーーー
井ノ原「岡田の奴、協力工場で製造の手伝いだと…終業後飛んでいったよ。それが終わったらお客様への謝罪周りに、部品協力工場の再変更。それが終わったら協力会社の営業へ出向かぁ…」
朝香「えっ、そんなことになってんの?」
井ノ原「あぁ、他の業務ある部員も交代で残業対応してるよ。」
朝香「だから貴方もこの頃遅い時があるんだね。」
井ノ原「そういうこと。折角紹介したのにな…それどころじゃなくなっちゃったよ。
朝香今度、莉奈ちゃんだっけに、探り入れてくれない?どうなってるか。」
朝香「うん……」
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