私は、車から降りショーツを取り返そうとヒロに近付くと、ヒロは私を抱き寄せて、またキスをしてきました。
駐車場には、何人かの人がいましたが、私はもうそんなことは、どうでも良くなっていて、自分からヒロの首に手を廻して、ヒロに愛されている充実感に浸っていました。
ヒロは私の唇から離した口で、ハルカに一人で家に帰る様に命令しました。
ハルカは、泣きながらその命令を拒否しましたが、ヒロはハルカを無視して私を抱きしめました。
先程まで同じ辱めを受けていたハルカに対し、私には同情する感情が湧いてきませんでした。
寧ろ、ヒロに選ばれた喜びと優越感が湧いてきて、私はヒロの腕に抱きつき、ヒロの指に私の指を絡ませ、頭をヒロの肩の上に乗せ、笑顔でハルカを見下していました。
ハルカは、今まで見たことのない鋭い目つきで私を睨み付けてきました。
私は、そんなハルカに見せつける様に、自分からヒロの足の間に自分の太ももを絡ませ、ヒロの髪の毛を手で軽く掴みながら、自分からヒロの唇に自分の唇を重ねました。
自分がヒロから、ハルカよりも女性としての商品価値が高いと認められた様な気分になって、私はそれまで感じたことのない幸せな気持ちになりました。
その気持は、ハルカの悔しそうな顔を見る度に増大していきました。
ハルカは私に罵詈雑言を言って、駐車場から出て行きました。
そんな罵詈雑言も、今の私には気持ちの良いものでした。
二人きりになった私達は、ファッションビルの2階にあるパウダールームに向かいました。
そこは、ビルの端にあり、ほとんど人が来ない場所でした。
ヒロは、私のメイクポーチとヒロのバッグから出したメイクポーチを鏡の前に置き、私を椅子に座らせました。
鏡に写った私の顔は、泣きすぎたせいで、メイクがボロボロの状態でしたが、完璧にメイクした時よりも女らしい顔つきになっていました。
ヒロが、私のメイクを直してくれると言い、自分のポーチから刷毛のセットやスポンジ等のメイク道具を出してきました。
メイクをほとんどしていないヒロの持ち物とは思えない程、本格的な道具に私が驚いていると、自分自身のメイクは、ほとんどしないけど、昔から人にメイクすることは好きだったと言いながら、私のメイク直しを始めました。
メイク直しは、一からメイクをするより難しいものですが、ヒロは慣れた手つきで私の顔を触りだしました。
普段の私のメイクは、なるべく街で目立たない様にナチュラルメイクを心掛けていて、男っぽい凹凸の多い顔を、いかに女性らしく平面的に見せるかに重点を置いていましたが、ヒロのメイクは普段私が使わない色のパウダー等を使って、立体的になるように仕上げていきました。
最初は、男っぽい彫りの深い感じになってしまうのではないかと心配しましたが、完成したメイクを見て私は驚きました。
まるで欧米人のショーモデルの様な仕上がりで、顔の凹凸を上手く活かした顔になっていて、鏡の中の自分が別人の様に感じました。
パウダールームを出て店内を歩いていると、すれ違う男性の視線が突き刺さり、逆に女性達は私から視線を外して、道を譲ってくれました。
今までは、女装がバレたらどうしようと思いながら、コソコソと歩いていましたが、今は堂々と胸を張って、ランウェイを歩くモデルになった気分で颯爽と歩くことが出来、自分が女として、ワンランク上の存在になれた気分がしました。
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