「猫のお爺さん…大丈夫?お足が悪いの?1人で歩ける?」「ありがとうねぇ…人のお嬢ちゃん…昔の傷が痛んだだけだから少し休めば大丈夫さ…ところで一緒にいるのはお友達かい?」「うんっ!レックスとはね…今はお友達だけど…大きくなったらお嫁さんにしてもらうんだ!」「そうか…お嫁さんか…きっと可愛いいお嫁さんになるんだろね…もうすぐ日が暮れるから急いでお家に帰るんだよ…ありがとうね…お嬢ちゃん…」(獣人のお嫁さんか…そんなことが平気で言える時代になったんだな…こんな光景をあのお方がご覧になったら…さぞや…)「………リズベット様…」これは今から80年くらいむかし…心優しいひとりの貴族のご令嬢が、時代の大きな波に飲み込まれ過酷な運命に翻弄させられながらも気高く生きたお話です…当時のこの国には、王族を頂点とした厳格な身分制度が存在していました。獣人である私たちには、人権などいうものは与えられておらず、平民以下の家畜に近い扱いでした。どんな扱いを受けていたかをお話する前に獣人について少しお話したほうがいいかもしれませんね…獣人…文字通り獣のような人です。けれど本物の獣のように全身を毛で被われていることは殆どありません。種族個体により異なりますが、その種族のもつ特徴的な部分…鋭い爪や牙や角など外見的なものを持つ者や驚異的な視力や聴力、臭覚を持つ者など様々ですが、獣人として人と区別されるのは隠しようのない尻尾と耳でした。人と同じ言葉を話し、同じような感情を持っていながら、尻尾と耳が運命を大きく分けるのです。獣人のオスの力は平均でも人間の男の数倍…中には何十倍という者もいて、重労働や軍隊の兵力として重宝され、過酷な現場や戦争の最前線に送り込まれては命を落とすことも多いのです。その一方で獣人のメスは、誕生率が低く絶対数は少ないものの、その殆どが容姿に優れていて、観賞用や愛玩道具として高値で取り引きされ、「獣人の女と一度ヤッたら人間の女など抱く気にもならない…」と公言する者が出るほど…いわゆる名器揃いと言うことなのでしょう…それはさておき、人間からそんな扱いを受けながらも獣人たちが反抗もせずにきたのは、獣人の成長速度が大きく関わっていました。人と比べ獣人の成長速度はやく2倍…つまり見た目は20歳でも実は中身はまだ10歳の子供なのです。洗脳教育を施すにはちょうど良かったのでしょう…そんな中、ある年の夏に大きな事件が起こりました。王都にある王立学園の生徒が多数惨殺されたのです。事の起こりは、王立学園の林間学校に参加した2年生100名のうち16歳の3人の貴族の令息が、魔獣が出るから危険とされた林間学校とは湖を挟んだ対岸へ興味本位で立ち入ったことでした。血気盛んな彼らは、魔獣退治と意気込みましたが、肝心の魔獣の姿は影もありませんでした。その代わり彼らが見つけたものは、黄色と黒の縞模様の尻尾を持つ…絶滅したとも言われる虎族の獣人のメスだったのです。「お、おい…あ、あれ見てみろよ…獣人のメスじゃあないか?」「ああ…しかもあの尻尾の模様…虎族のメス…」彼らは、お互いの目を見つめニヤリと笑うと獣人の女の子に近づきました。「ちょっと道に迷っちゃったんだけど…」見た目は彼らと同年代に見えた獣人のメスでしたが、実際にはまだ8歳の子供…魔獣が出ると人間の近づかない山で父親と2人て暮らしていた彼女には、初めて見る人間てあり、人間の恐ろしさなど知りもしませんでした。知らぬが故にその獣人の女の子は3人に簡単に捕まり近くにあった廃墟となった元炭焼き小屋へと連れ込まれました。その後のことは容易に想像がつくでしょう…3人は泣き叫ぶ女の子の顔や腹を殴り大人しくさせ服を破り襲い掛かったの
...省略されました。