扉が開くと同時にアレクはソファーから立ち上がった。応接室の扉から入ってきたのはメイサとこの屋敷の主、リーゼロッテだ。「リズ…彼がアレクよ…」メイサに紹介されアレクは深々と頭を下げた。「アレク·スノウにございます…」「メイサからも…フローレンス公爵様からも正式に話は伺っているわ…私がリーゼロッテ、プリムローズです…」アレクに座るように促しメイサと並んで向かい側のソファーに腰を下ろすリーゼロッテにアレクは驚いた。メイサの女学校時代の同級生だと聞いて身体の弛んだ年増女を想像していたのだが、40を超えているとは思えない容姿…青みがかった銀髪に目鼻立ちのハッキリした顔…エルフの血を引くメイサはある意味特別ではあるが、リーゼロッテもまた美魔女と言えた。色鮮やかなドレスもよく似合うとは思うが、騎士の服を着て男装すれば、そこいらの女など夢中になるに違いない…メイサを堕とすために徹底的にメイサを調べ上げたアレクだったが、今回の養子の件に関しては、リーゼロッテを調べることはなかったのだ。サリーナと結婚するための体裁を整えるための踏み台程度にしかプリムローズを考えていなかったためだ。一方、リーゼロッテはアレクについて徹底的に調べ上げていた。メイサがマオに命じて調べたことなど足元にも及ばないほど…アレクの交友関係は勿論のこと、ケンカや博打でもめた時に何が原因でもめたのか、アレクがそれをどう収めたのかなどまで…女ひとりでプリムローズの事業を発展させるには、かなりヤバい橋も渡らなければならなかったため裏の世界との繋がりがありソレをリーゼロッテは利用したのだった。リーゼロッテにしてみれば当然のこと…公爵家から正式な申し出とはいえ、アレクは一介の庭師の息子…どこの馬の骨とも分からぬ男を伯爵家であるプリムローズの家に無条件に入れることなどできはしない。(ふ〜ん…なかなかの面構えね…それにしてもメイサもこの男の事を調べたでしょうに…なんで娘との結婚を許したのかしら…)リーゼロッテはアレクを値踏みするように見たあと、隣の笑顔のメイサにチラリと目を向けた。そもそも、いくら娘の結婚相手であるにせよ、わざわざ公爵夫人のメイサが同行してきたのも腑に落ちない…しかも当のあれの素性を考えると…単にメイサがリーゼロッテと友人であるからというのも違和感があった。~~~~~~~~~「ね、ねぇ…アレク…プリムローズ家に着くまで半日かかるわ…貴方が帰ってくるまで3ヶ月もあるのよ…だから…」プリムローズに向かう馬車の中、メイサはアレクにしなだれるよう身体を寄せた。「ね、ねぇ…いいでしょ?そんなにも貴方なしじゃ我慢できないの…」「クククッ…なんとはしたない…とても公爵夫人の言葉とは思えませんねぇ…いいですよ…その代わりお友達には私の事をしっかりと推してくださいね?」ウンウンと頷いたメイサは、ズボンの脱がすのももどかしいようにペニスを取り出し舌を這わせ、十分に堪能したあとアレクを跨ぐように上に乗りペニスを自ら咥え込んだ…ドレスの下はショーツもつけておらずアレクに嘲笑されるが、お構いなしに腰を揺すった…~~~~~アレクがプリムローズ家に出向く際に同行を言い出したのはメイサであった。「わざわざキミか行かなくとも…」と言うレイウスを「リズは大事な友達だから、もう1度ちゃんとお願いしたいの…大事なサリーナの婿のことだから…」と説得し、サリーナには「お母様に任せて…」と…実のところはアレクにズッポリ嵌ってしまったメイサの邪な想いからで、馬車が城を出てすぐにメイサはアレクのペニスにしゃぶりついていたのだ。窓をカーテンて遮り、ガタガタと音をたてて走る馬車は、幸いにも声を殺したメイサの喘ぎ声を完全にかき消し、プリムローズ領に入る直前までメイサは貪欲にアレクのペニスを貪ったのだった。メイサが上機嫌だったのは、何度気をやり満足したためだが、それがリーゼロッテを不審に思わせた原因にもなっていた。
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「…さて、じゃあ早速書類等にサインしてもらおうかしら。フローレンス領からは遠かったでしょう。疲れているだろうし、今日はゆっくりしなさいね。」(何故隣同士で座るのよ…。全く、相変わらずこういうところが嫌いだわ…)アレクを座るように促したが、よもや同じソファの隣に座ってきたメイサにほんの少し苛立ちを覚えた。そのような心情など露ほど知らず、ニコニコと無邪気に笑みを浮かべるメイサ。馬車の中では、リーゼロッテは大親友だとメイサから聞いていたが、当のリズの応対にほんの少し違和感を覚えたアレクだったが、膨大な書類に目を通したり、サインをしたりしているうちに忘れてしまった。(ふむ…、それにしても何故この男はフローレンス公爵様に殺されていないのかしら。有名な愛娘家である公爵様なら、このような男が擦り寄ってる時点で処刑でもしそうなものなのに。)いそいそと書類に苦戦しつつもサインしていくアレクを見つめながら、顎に手を添えて考える。アレクの素性は洗いざらい調べつつあり、その人となりも知っている。(酒場では喧嘩が当たり前、娼館もあちこち出入りし、テクニックに入れ込んだ娼婦も出て出禁になった店もあるとか。…まあ、いわゆる下賎の者ね。本当であればこんな男を家に入れるなどあり得ないけれど…、公爵様から直々に文書が届いてしまったら、ねえ…。…メイサはこの男のことを知ってるのかしら…。)「…?どうしたのかしら、リズ。」(…メイサが直々に来ているというのも不自然。暇な…わけではないでしょうね。アレコレしているのも調べてある。忙しいだろうに、何故わざわざ…?本当に私に会いに来ただけかしら?)不自然で不可解な状況。この男の素性をメイサだけが知っていて、親友のリズに警告しに来た…とも考えたが、上機嫌な様子から違うと断言できる。酒場や娼館での様子は昔のことであり、サリーナの療養先で改心したのだろうか。直に見たことはないが、大袈裟なほどに美しいと有名だが、メイサの娘であればおよそ本当だろう。それでいて性格も良く、信仰も厚いと聞けば、儚い美少女に触れ、心を改めたのかも…。(ま、どうするかは後で考えましょう。最悪、調査結果をフローレンス公に送りつけてやってもいいし。何故黙認されているかは知らないけれど、爵位を持つ私からの直訴なら受け入れざるを得ないでしょう)「よし、書類はこれで全部ね。とりあえず今日は休みなさい。明日から色々と忙しいかもしれないけれど、不便があったら私か付き人の執事に。…じゃあ、しばらくアレク君は借りるわね。」ーーーーーーーーーーーーーー(メイサまた来たのね。これで3度目…。何をしてるのやら…。変なコト…、いやいや、公爵夫人が不貞なんて…、あり得るわけがない…)リズに軽くだけ挨拶し、すぐにアレクのもとへ行くメイサ。10日一度の頻度で顔を出し、アレクにあてがわれた私室でしばらく過ごす。流石訝しむが、公爵夫人の立場でそのような軽率なことはするか…、常識的に考えればあり得ない。しかし…、と堂々巡りになっていた。「アレクまた様子を見に来たわ。キチンと真面目にやっているのでしょうね…っ」アレクの部屋を訪れたメイサ。言葉だけは一丁前ではあるが、表情は艶っぽく潤んでいて、頬は上気している。そして、慌ただしくドレスのスカートを捲り上げた。「…ほ、ほら。言われた通り下着はつけないで、馬車の中で慣らして来たわ…。それより時間もそんなにないから、早くちょうだい…っ❤︎」常識的に考えれば、公爵夫人が不貞などあり得ない。しかし、既にメイサは普通ではなかった。熟れた身体は性欲を増す一方だが、レイウスは抱いてくれない。半年に一度程度、その夜が来るが、メイサが奉仕するだけで、エルフの血によるドM気質なメイサは満足などできない。芯から快楽を与えられるアレクとの交尾はかけがえのないものになっており、もはやサリーナ以上に夢中であった。ーーーーーーーーーーーーー
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「これはメイサ様…わざわざお越し頂きありがとうございます…どうぞお入りください…」部屋を訪ねてきたメイサを丁寧に出迎え招き入れるアレク…その所作は、以前の使用人のものではなく、貴族としての立ち振舞ができており、メイサを部屋まで案内したメイドから見ても何の不自然もない。子の事を心配し様子を見に来た母親を出迎える息子…まさにそんな感じだった。だがソレは部屋に入るなりガラリと様子が変わる…いきなりメイサはドレスの裾を捲り上げ媚を売る。「ふふふっ…そんなに慌てなくとも…我慢の足りない困ったヒトですねぇ…」メイサはショーツすら履いておらず、来る道中の馬車の中で慣らしてきたとの言葉通り太ももにまで愛液を垂らしていたのだ。アレクに隷属の指輪の力で散々焦らされ、繰り返し気をやりながらも悪態をついたメイサと同一人物とは思えない変わりようだ。アレクに揶揄されても、その言葉自体がメイサにとっては褒美のようなものでサリーナよりもエルフの血が濃い分、アレクの荒々しい性技にどハマりしたといえた。臣下や領民に見せる慎ましく清楚な姿は、もうどこにもなく、アレクの足元にしゃがみ込みペニスをしゃぶりつき、尻を向け自らの手で肉を左右に広げペニスを乞う…「たっぷりと味わってください…ドスケベの欲しがり公爵夫人様…」…………………………「ほぉ〜これは美味い…甘みがあって滑らかな舌触り…東方の島国の酒ですか…初めて口にしました…」メイサがプリムローズ領を後にした晩、アレクはリーゼロッテに食事に初めて誘われた。養子としてプリムローズ家に入ってひと月…アレクの教育の類はリーゼロッテに指名された執事や外部の人間が担当し、リーゼロッテ本人とは挨拶する程度…自分の事を警戒しているのか、あるいは単に多忙なだけなのか…多角的に事業を展開するリーゼロッテの多忙さは端から見てもわかるが、実のところは分からずにいた。そんなリーゼロッテからの突然の食事の誘い…会話の言葉ひとつひとつまで慎重に選び腹の内を探ろうとしていたアレクに緊張が走った。酒が進み酔もあってか、リーゼロッテはメイサの事を口にしたのだ。「部屋で何をしているの?」それは至極当然の疑問だろう…10日ごとに半日もかけ出掛けてきたにも関わらず、親友であるリーゼロッテとは挨拶もそこそこに娘婿となる男の部屋へ一直線…何時間も籠もったまま…不審に思うのが当たり前だ。「メイサ様は、大事なサリーナ様の伴侶となる私の事を気にかけてくださっているのです…ここで教えて頂いた事をメイサ様は見てくださり…」何時かは聞かれるだろう問に対し用意した答を口にしようとした時、リーゼロッテの口から出た言葉に凍りついた。いつもは用心深く慎重に事を進めるアレクだったが、サリーナとの結婚話も計画通り進み気が緩んでいた…リーゼロッテにしても事業を切り盛りしているとはいえ所詮は女と見下していたのだ。ところがリーゼロッテはアレクの素行どころかサリーナの療養先での事まで調べた口ぶり…流石に湖の公園での行為まで調査が及んではいないようだが、その事を除いても調査結果をレイウスに報告されれば、例えサリーナがどんなに泣きついても結婚話は消え、下手をすれば娘をたぶらかした不埒な男として処分も十分にあり得る。レイウスにサリーナが欲しいと告げた時にも出なかった冷たい汗が背中を流れ落ちた。(…………ん?ど、どういうことだ?)リーゼロッテを甘く見た決定的な落ち度…頭をフル回転させても回避する答が浮かばない状況であったが、アレクの事をレイウスに報告しないと言うだけでなく、リーゼロッテは、そんな男とサリーナが結婚することを面白がる…それだけでなく、メイサへの恨み妬みが口をつく…敢えて親友であるメイサの悪口を言い、自分の反応を見られているのかともアレクは思ったが、そうではないらしい…酒の酔で出た軽いものではなく女学校時代からの根深いもののようだ。確かにメイサは空気を読めないところもあるが、それは意識してのものではなくド天然からくるものでメイサには悪気の欠片もなかったのだろう…男っぽく竹を割ったように見えるが、リーゼロッテの根っこには他人への妬みがあるようだ。
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