年齢は昭和生まれとだけ記させていただきます。
とある旅番組での事。山奥深くにぽつんと佇む一軒家。
煙草農家の夫婦70代の夫と60代の妻。
煙草の葉を栽培して生計を立てていた。その放送を観た私は、
何かに憑かれたかの様に、「此処だ」と嘯いた。
素朴な老夫婦、二人して働き者。歳の割には綺麗で垢抜けていた婦人。
畑で刈った煙草の葉を納の中で手際良く縄に掛けて結び止め干す作業に、
テレビ画面に釘付けとなっていた私であった。
なによりも、荒縄に魅了されていた私であった。
藁で編み込んだ刺刺しい荒縄の虜になっていた。
あの婦人に縛って貰いたい。後ろ手首にきつく縄を巻き付けられて
納の柱に繋がれて、その中で一晩を過ごしたい。
そんな想いに駆られたのであった。
早々に旅支度に取り掛かった私であった。その老夫婦の住む地域と家は、
放映されたテレビの中で確認していた。
私は若い女性には興味がなく、六十歳を超えた熟女が好きなのであった。
けれども予期せぬ異端者の私を受け入れてくれるかどうかは、
わかる筈もなかった。
それでも私の心は、既に老夫婦の下に飛んでいた。
此処では番組名や地域名、老夫婦名は明かせぬがご了承願いたい。私の住んでいる所から、
そう遠くない所にその山は聳え立っていた。
そして、その山奥深くに、老夫婦の家が在った。