2015/09/03 20:02:52
(Nc3eEOPg)
私はマリコちゃんの居室の鍵ではなく、
入居者がいない空き部屋の鍵を上着の
ポケットに入れ、アパートに向かいました。
アパートにつき、私はマリコちゃんに
言いました。
「鍵だけど、スペアキーもお母さんに
渡してたのを忘れてたよ、、、」
嘘でした。
「だから、アパートの中で空きになって
いる部屋の鍵を持ってきたから、とりあ
えず今夜はそこにいるといい。外は寒い
からね」
マリコちゃんは、しきりに、私に謝り、
そして、礼を言い、空き部屋に入って
いきました。
私はいったん自宅に戻り、
一時間ほどしてからマリコちゃんの
いる部屋へいきました。
私はマリコちゃんに言いました。
「ところで、今夜はここを使ってくれ
ていいんだけど、、、アパートの部屋
っていうのは、貸し出し前に誰か入った
ら、必ず業者にクリーニングしてもら
って、役所に届けないといけないんだよ」
「クリーニング代は大した金額じゃ
ないけど、後てお母さんに請求するね」
また嘘をつきました。
するとマリコちゃんの表情は
みるみるうちに蒼白になりました。
「、、、どうしよう。お母さん、絶対に
怒る、どうしよう。。。」
読みがあたりました。
マリコちゃんの母親は先月の家賃を滞納
中でしたから、この状況になる気がして
いました。
私の心臓が強く鼓動していました。
声が震えないように、気を付けながら、
私は善人を演じました。
「少しならまけられるけど、、、」
「仕方ないんだよ、法律で決まっている
ことだから、、、じゃないとオジサンが
役所に怒られちゃうし、、、困った」
「お母さん、怒らないんじゃないかな」
マリコちゃんはしきりに、
「どうしよう。。どうしよう。。。」
と、落ち着かない様子でした。
私は頭の中が真っ白になりながら、
マリコちゃんに言いました。
「わかった、、なら、オジサンが払うよ、
それならマリコちゃんも困らんだろ?」
マリコちゃんの表情は少しだけ明るく
なりましたが、困惑したように、
「でも、、、それじゃ、」
と言いました。
私は喉がカラカラでしたが、
マリコちゃんに言いました。
「大丈夫、払っておくよ、お母さんにも
内緒にするし。。。その代わり、、、
マリコちゃんには少しお願いが、あるん
だけど、、どうかな、?」
人の道を踏み外した
一歩目でした。