小学生の頃、クラスメイトに真弓って女の子がいた。
うちらの小学校は2年ごとにしかクラス替えがない。
真弓とは5、6年と一緒のクラスだった。
女子に嫌われる女子って居ますよね?
とにかくサバサバしており、今にして思えばヤンキーの素質があったからですかね、とにかくあまり女子とは親しいという感じじゃ無かった。
その2年の間は何故か同じ班になることが多く、俺ともう一人のヤス君と三人で時間を潰す事が結構あった。
「かずきと真弓の雰囲気が怪しい」
なんてヤスに言われた事がある。
確かに6年の頃、ちょっと気になる女子って感じだった。
真弓は色白で、髪は地毛が栗色で顔も可愛い女の子だった。
でも怪しい雰囲気になる事は無かったはずだ。
「何言ってんの?怪しいわけないだろ!」
俺も結構本気で否定した。
「え~…?そんな感じがするけどなぁ…」
何が気になるのか納得してない雰囲気だったが俺が怒り出したからかそれ以上は何もなかった。
特に何もなく卒業、俺と真弓は別々の中学になった。
学区の関係で真弓以外も友達の何人かはそちらへ通うことになった。
近所と言えば近所だし、会おうと思えば会えるのかだが離れてしまえばお互いに周りにいる人同士で友達になってしまう。
当然真弓の事も暫くするとスッカリ忘れていた。
中学三年生になり、周りはスッカリ受験モードになった。
ヤスはあまり勉強も得意ではなく、高校受験自体をやりたくない、働きたいなんてよく愚痴を言っていた。
家庭教師が来ているらしいがなかなか成績には反映されてなかった。
女子大生の家庭教師で、その人とヤりてぇ…という話を聞く限り勉強なんか身に入っていないんだろうw
俺は所謂進学塾、希望の高校はまぁ大丈夫って感じだった。
そして卒業、特に何の特徴も無い普通の中学生活だった(笑)
高校はヤスとは別になった。
久々に会うと家庭教師とヤったと嘘か真か解らないが自慢された。
半信半疑ながら羨ましかったww
童貞を捨てる処か彼女すら居ない、ヤらせてくれる家庭教師も居ないし通っていた塾ではそんな浮わついた気持ちにもなる様な所じゃ無かった。
ヤスの言葉は俺に妄想だけを残していた(笑)
高校3年の文化祭、男子校の俺たちには唯一外部から女子が入って来る日だ、当然気合いも入るが喫茶店とかじゃないしあまり期待は持てなかった。
写真部だからね…
時折やって来る女子高生にドキドキしつつも無駄に時間だけが経過して行った。
「かずき…君?」
不意に声を掛けられ、見れば真弓がいた。
「あ、真弓!?」
驚いた…知り合いなんて来ないと思っていたので慌ててしまった。
仲の良い友達三人と文化祭巡りをしていたらしい。
真弓の後ろには二人の女の子が俺達に興味ありげな目を向けていた。
「小学校の同級生!!」
真弓は後ろの二人に説明していた。
「初めまして…」
どう挨拶して良いか解らずにシドロモドロに挨拶した。
「綺麗になったじゃん」
会話に困って出た言葉に照れたのか笑っていた。
実際綺麗になっていた。
相変わらずキツそうな目と栗色の髪は変わらないがサバサバしてる所は変わらず安心できた。
「じゃあ、他を見て回るから!!」
友達二人をいつまでも待たせられないと行ってしまった。
PHSの番号を教えれば良かったな…と後悔したがそれは既に立ち去った後だった。
一日中展示室に張り付いている訳でも無いので適当に他を見に出てみた。
真弓を探してみる…というのが気持ちの半分以上だったけどw
もう帰ったか…と諦め掛けた時に再び真弓を見つけた。
「あっ!まだ居たんだ」
なんて言いつつ内心嬉しかった。
「うん、そろそろ帰る…ナンパがウザくて」
少し困った顔をしながら答えた。
友達二人は気を使ったのか俺達から少し離れた。
「適当に電話してよ!」
俺はPHSの番号を殴り書きしたメモを渡した。
「わかった、後で電話するね!」
そう言うと帰って行った。
この時は渡せた事で満足してしまい、ウキウキしながら展示室へと戻って行った。