「風邪ひくよ」
と言いながら軽くデコピンをすると…
「…ん、痛ぁい…」
ベッドのライトに照らされ、寝ぼけ顔の上目使いで僕をにらむが、乱れた前髪、潤んだ瞳、何とも言えずかわいい。みぞおちと首筋にざわつきを感じてしまう。
「おなか大丈夫?」
「…まだ、きっつい」
「水もってこようか」
「飲みたい…」
ポットの水をコップに注いで持ってきてくれた。少しずつ飲み干す僕。
「あたしも喉渇いちゃった。コップ貸して」
「間接キスじゃん」
「いまさら気にしないよ」美味しそうに飲み干すU子の喉元を見て一瞬ドキッとしてしまった。何気ない仕草にも反応してしまう自分に戸惑ってしまう。
「お腹、どう?」
「うん、何とか…」
「そう、じゃお大事に」
ベッドから立ち上がり帰ろうとした。怖い位に孤独感というか、この状況が失われる事に焦りを感じてしまったのだ。
「…やっぱ、痛い。まじきっつい…!」
わざとらしく仰向けに腹を抱え、呼吸を荒くした。
振り向いたU子は不安げに枕元に座り、
「…大丈夫?お水冷たすぎたんじゃない?」
「…かも…」
するとU子はシャツの上からお腹を摩ってくれた。
「痛いの痛いの飛んでけ!」
「ガキじゃねえんだし」
「馬鹿にしてるな、Uのおまじない効くんだよ」
繰り返し続けてくれる内、10回目から本当に痛みが和らいできた…
「…すげえ、まじ効いてきた!」
自慢げな表情のU子、
「…Tさぁ、最近なんか変だよね」
「え…、なんで?」
「…あん時の後から、なんかうまく言えないけど…、変に気つかってない?」
「…。」
「…あん時はびっくりしたのもあるし、本当に一瞬怖いとか思ったんだけど、Tの事信じてたし…」
突然の話の展開に心拍数があがりはじめる…。
「…なんか、どっか違うの…。あたしの事ムカついてるの?」
(違う!違う!違うって…)
頭の中では考えてても何故か声に出せず黙ってしまう。
「…なんか、やだ。あたしもTに気つかっちゃってるのって疲れるよ…」
(あ~っ!もう何か言えよ俺!)
「…なんか言ってよぉ」
「…」
「……。」
U子の強い視線を感じるがうつ向くままの俺…
「………」
「…。」
静かに立ち上がりU子は帰ろうとしたので僕は顔をあげ、
「……!、U子…、あの…、ごめん。…何つっていいか…」
U子の目は赤く涙目になっていた。
「俺、U子に悪いことしたから…、あんなことしちゃって…、でもやっぱ…、U子好きだし…、もう何て言っていいかわかんねえ…」
「とにかく!こないだは本当にごめん!俺、お前好きだから!」
「…馬鹿…」
U子はベッドに座り僕に寄りかかってきた。
「…U…。」
優しくそして強く抱き締めると、応えるようにU子はの両腕を背中に回してくる。
初めて湧きあがる感情、心地好い感触、きれいな髪の毛の甘い匂い…