人に秘密を語らせるには自らの秘密を先に話すに限る。
私は彼に友達のお母さん好きでしょと尋ねた。
自分も中年のオジサンオッケーだからなんとなくわかっちゃうんだよねって。
そういう事は誰かに相談できないフラストレーションがあるから、彼は私という最高の捌け口を見つけて正直に心中を話してくれるようになった。
だから、友達と別れる時もあのお母さんに会えなくなるのが残念と嘆いていた。
私は友達には内緒でこっそり打ち明けちゃえばと煽った。
少なくとも悪い気はされないはずだと太鼓判を押した。
彼はだんだんとその気になってきて、撃沈した時は私に慰めてもらうからと言った。
「いいよ!了解!…ただ、戦略は誤ったらダメだよ。いきなり抱かせてとか焦らないで…最初はおばさんの手料理が食べられなくなるのは残念とか言うんだよ…大事なのは会える機会を絶やさないことなんだから。そしたらなるようになる…」
友達のお母さんは料理教室の講師なんかもやってた人なので、自宅では出ないような手の込んだ創作料理をよくご馳走になった。
お世辞抜きで美味しかったりするのだ。
住宅地にある自宅を改造したお洒落なレストランとかできちゃいそうだった。
彼は私の話を神妙に頷いて聞いていたが、
「本当に慰めてくれるなら、ちょっと撃沈してもいいかも…(笑)」
と、私の太腿を見ながら呟いた。
私はあのお母さんなら勝算はあると思っていた。
娘の彼氏という肩書きが無くなるのは十分免罪符になる。
まだあのお母さんは十分女だと私は密かに思っていたから。
彼からとりあえずいつでも遊びにいらっしゃいと言われたと聞いて、第一段階は簡単にクリアした。
お母さんの携帯番号まで教えられたらしい。
こっちが思っていた以上に向こうもその気があったのかもしれないと思い直した。
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