彼女の友達枠の中から私がひとつ抜けて彼と親しくなったのは、海でのある出来事だった。
みんなで海水浴に行った時に彼も来た。
砂浜の端にテトラポッドがあり、そこは体を焼きたい人などが多くいる。
そこにラテン系のお姉さんのグループがいて、1人Tバックを履いているセクシーな人がいた。
彼は「Tだ…」と言った。おみくじで大吉が出た程度に嬉しそうだ。
「写真撮ってあげようか…」
女が撮る方が何かとリスクは少ないだろう。
「ああ、うん、撮って撮って」
彼は私の反応が面白かったらしい。
ちょっと男子といるような感覚に近いそうだ。
彼的には本当に写真が欲しかった訳ではなく、あくまでも場のノリを重視しただけだ。
それ以降、ちょっと他の女子に聞けないようなことなどがあると、私に耳打ちしてくるようになった。
私も彼とは不思議と肩肘張らずに話せたから、時折彼女の家から帰る時に送ってもらうと、ちょっと休憩がてら話し込んだりした。
連絡先も交換したけど、これは友達には秘密にした。
私達が高校を卒業する時、二人は別れた。
彼女が東京の大学に行くことになったからだ。
遠距離というより中距離くらいだったが、無理に関係を持続させずにそろそろ解消してもいいと思える時期だったのだと思う。
それに二人とも最初の恋人だったから、泥沼になって別れるのだけは避けたかったようだ。
ある意味少し気持ちを残しつつ別れ良い思い出にしたかったのだ。
それをいざしようとするとやっぱり未練が出て友達は撤回しようとしたらしいけど、まあ結局はそういう方向でまとまったようだ。
新しい生活環境になれたら結局遠くの親戚より近くの他人になるよと彼は達観していた。
これが結婚適齢期とかならまだしも、二人はまだ十代なのだ。
そんな取り巻く状況は変わっても、私と彼は付かず離れずつきあっていた。
付いたのは彼と友達のお母さんの方だった。
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