「見つけた」
本来のルートから外れ、山肌を移動する。
崖を上った先に。そこにはトンネルあった。
決して長くはなく、緩いカーブを描いてるトンネルは正面に立つと向こうが見えた。
少し端によって向こう側の死角に入る。
トンネルからは緩やかに風が流れてくる。
「……」子供や親の話し声。
……砂利を踏む足跡。
今にもトンネルからヒトが歩いてくるんじゃないかと身構えてしまうが、多分その心配はない。
トンネルの向こう側には簡素とは言えロープが遮るように張ってある。
その手前には側溝があり、トンネル同様ロープが仕事をしている。
向こう側からはここは立ち入り禁止区域。
ただ、逆側にはその仕切りはなかった。
子供みたいな言い訳だが、実践してしまうのは悪い大人の特権。
自分が登ってきた方の気配を気にしつつ、上着を脱ぐ。
「……」トンネルからは相変わらず、他人の気配。
さらにシャツを脱ぎ、上半身は裸になる。
山だけあって足元はさすがに綺麗ではなく、ズボンを脱ぐことは難しい。
膝まで下ろし、亀頭に刺激を与える。
準備を整えて、トンネルを背景に写真を撮影。
本当はその続きまでしたかったが、さすがに落ち着かない。
ここではこれまでと、撤収の準備を始める。
登ってきたルートを下り、本来のルートに合流する。
古めかしいトンネルを潜った先には、両手から溢れる程度の人。
潜ったトンネルの横には立ち入り禁止を意味するロープと張り紙。
そう。先ほどのトンネルを抜けた先は小さな観光地だった。
他の観光客と一緒に景色の写真を撮影する。
その中にはロープで遮られたトンネルが一つ。
先ほどの事を思うと、少し下半身が疼く。
中途半端だけど、今回はそこまで。
そう心に決めて、後にした。