私は最近、出張先のホテルに泊まると、悪夢を見るようになった。
夢の内容はさまざまでした。
過去のトラウマとして、今でも忘れられない出来事が夢に出てくることもあれば、
現実には一度も経験したことのないような出来事を見てしまうこともある。
家族との出来事。仕事で起きたトラブル。異性との間で起きた出来事。
目を覚ました瞬間には、夢だったと分かっている。
それなのに、その悪夢だけは妙に生々しく、何日経っても頭から離れない。
普段見る夢なら、朝食を食べる頃にはもう忘れている。
ところが、ホテルで見る悪夢は違った。
そして最近になって、ある共通点に気づいた。
悪夢を見るのは決まって、宿泊先のホテルのマットレスが自分の身体に合わなかったときなのです。
身体が沈みすぎたり、逆に硬すぎたりする。
何度寝返りを打っても落ち着かず、夜中に何度も目を覚ます。
その結果、朝は腰が痛い。頭も重い。
二日酔いの朝よりも気分の悪い目覚めになり、私は一日中、身体のだるさと苛立ちを引きずることになる。
それでも、そんな朝を何度か繰り返しているうちに、私は少し気になることに気づいていた。
なぜ、ホテルのベッドが合わないときに限って、忘れていたはずの記憶が夢に出てくるのだろう。
身体の痛みと、過去の記憶。
その二つが、何かの拍子に結びついているのだろうか。
その日も、目を覚ました私は、しばらくぼんやりと天井を見つめていた。
夢の中に出てきた人物の顔が、頭から離れなかった。
もう何十年も、思い出すことなどなかった顔だった。
(何で今頃、あいつの夢なんか見たんだろ)
そう思った瞬間、記憶の奥底に沈んでいた古い出来事が、少しずつ浮かび上がってきた。
――小さい久美子・十二歳頃――
私には二歳年上の兄がいる。
そして、近所には従兄弟の「お兄ちゃん」が住んでいた。
私が小学高学年だった頃、「お兄ちゃん」は大学へ進学するため札幌で一人暮らしをしていた。
近所に住んでいたため、時間があると私たちのところへ遊びに来てくれた。
子どもだった私は、「お兄ちゃん」が来てくれるのが楽しみで仕方なかった。
実の兄よりも、「お兄ちゃん」のほうが好きだったと思う。
よく遊んでもらった。
話もたくさんしてもらった。だからなのだろう。
何十年も経った今でも、その頃の「お兄ちゃん」の顔だけは、はっきりと覚えている。
ある日、私と「お兄ちゃん」、そして実兄の三人で、札幌へ買い物に行く予定を立てた。
ところが当日になって、実兄は部活動の練習を休むことができなくなった。
「久美子、ごめんな。俺、行けないわ」
そう言われても、私はそれほど残念には思わなかった。
「お兄ちゃん」と二人で出かけられる。
むしろ、そちらのほうが嬉しかったくらいだ。
そうして私は、「お兄ちゃん」と二人で札幌へ向かった。
街を歩きながら買い物をして、あちこちを見て回った。
そして、札幌の4プラに入った某衣料品店で、私は一着の可愛いデニムパンツを見つけた。
「これ、かわいい」
手に取って眺めているうちに、実際に履いてみたくなりそのデニムパンツを持って、試着室へ入る。
カーテンを閉めようとした、そのときだった。
後ろから気配を感じた。振り返ると、「お兄ちゃん」が立っていた。
そして、私が何かを考えるより先に、彼も試着室の中へ入ってきた。
(えっ?お兄ちゃんも一緒に入るの?)
一瞬、不思議に思った。
でも、十二歳の私は、それを「おかしい」とは考えなかった。
(何か買うのかな?)
そんなふうに、ただ素直に思った。
このときの私は、まだ何も知らなかった。
そして、自分が信頼していた「お兄ちゃん」に対して、疑うということさえ知らなかった。
このあと起きる出来事が、何十年経った今でも悪夢となって蘇ることになるなんて。
そのときの私は、知る由もなかった。
私はさほど疑う事も無く、カーテンを閉めると履いていたパンツを脱ぎました。
この頃はまだ父と一緒にお風呂に入ったり、実兄と同じ部屋で過ごしている事が当たり前でした。
家族だから恥ずかしく無いと思っていたので従兄弟の「お兄ちゃん」に対してもそうでした。
試着室内で私の背後に立ったお兄ちゃんは私のショーツに手を掛けると、それを膝下まで一気に下ろしたのです。
「え?お兄ちゃん、何してるの?」
「大丈夫、大丈夫、久美子ちゃんは、そのままじっとしてて」
お兄ちゃんは後ろから手を伸ばし、私の股間を何度も触ります。
まだ性知識に疎かった私は股間を机の角に当てて、揺らせば気持ちが良い事ぐらいしか
解らなかった。
だから、今お兄ちゃんがしている事が、良い事なのか、悪い事なのか、恥ずかしい事なのか、それさえ正しく理解できなかった。
理解できなかったが、何故かそれは人に言ってはいけない事だと思った私は静かに耐えました。
ただ静かに撫でられ、そして脱がされたショーツを上げられると「これ買って帰ろうか」
と言われ、その日は終わったのです。
私は試着室でお兄ちゃんにされた行為よりもデニムを買って貰った事が嬉しくて、この日の事は誰にも話さなかったのです。
ーーーー寝起きの久美子ーーーー
(あ〜もう最悪だ。なんであいつの事なんか今頃・・痛ってて腰痛い)
固まって痛い腰をさすりながら今、冷静に考えれば「お兄ちゃん」は・・・
ヾ(*`Д´*)ノあいつっ!ただのロリコンだべや!! ・・・です。
ーーーー現在ーーーー
「やっぱ辞めようよぉ、美穂さん。こんな所でヤバいって」
「大丈夫だってぇ、この前は私やったけん、今回は久美ちゃんの番だよ」
福岡で知り合って友達となった美穂さんと、今日は一緒に百貨店内のとある衣料品店にやって来ていた。
性癖が似ていた事もあり、私に(契約)夫を紹介してくれたのも彼女だ。
そんな彼女と私は時間が合えば、ともに出掛け露出を愉しんでいる。
「何とかなるちゃ、心配ないって、愉しんでいこうよ」
「美穂さんの心配ないは、絶対危ないのよ!」
美穂さんと私は試着室の中で小声で話し合っていた。
美穂さんが思いついた愉しむという遊びは、試着室の中で全裸で居るというとても危険で恥ずかしいものでした。
前回は美穂さんの順番だったので、他の百貨店の衣料品店の試着室内で服を全部脱いで私が預かった。
その後、私は美穂さんの服を鞄に入れるとそこを離れ、20分程デパ地下を徘徊していた。
美穂さんの持ち物はいざという時のためのスマホだけ。
その状態でずっと試着室内に立て籠もっていたのです。まさに放置プレー・・・
時間が経ち、私はその試着室まで戻り美穂さんに全ての服を返す。
耳まで真っ赤にっていた彼女に感想を聞くと、何度か外から店員さんに声を掛けられて、
その度にヒヤヒヤしたそうです。
しかし私は彼女の乳首が興奮と羞恥で固く尖っていたのを見逃さなかった。
「てか久美、時間見たけど、あんた1時間も何処行っとったと?」
お店を移動してコーヒーショップに入って開口一番、私は美穂さんに怒られた。
「ごめ~ん、如水庵の限定品、買うか迷ってたら時間経ってた(笑)」
「あんたが来んけん、私、ず~~~っと裸やったとよ」
「御免、御免、痛い痛い、辞めてハハハハハ」
私はコーヒー店のカウンター席で隣に座る美穂さんに脇の下を何度も突かれた。
これが前回、美穂さんがやったプレーの内容。そして今日は私が裸になる番でした。
しかし、下着姿になった私はなかなかそこから脱げずにいる。
別に美穂さんに裸を見られるくらいなら平気です。
前回は美穂さんの裸を私が見たのだし、お互いに何度も見せあった事もあるのだから。
ただ下着を美穂さんに渡すとそこから20分は裸の状態で逃げる事もできず、一人でじっと耐えるしかないのです。
その決心が出来ずにいた。
「もう、露出狂の久美子は見られてなんぼでしょ!」
美穂さんはそう言うと、私の下着を無理矢理脱がせ始めた。
美穂さんに脱がされるのは恥ずかしかったけど、私はさほど抵抗もせず下着を脱がされた。
同性の友達とはいえ美穂さんが目の前に居るので当たり前だが、脱がされるとすぐ手で隠した。
ちなみに前回、美穂さんも脱いだ後は手で隠していた。
「じゃあ20分くらいで戻ってくるけん。頑張り~(笑)」
私の服を鞄に詰め込んだ美穂さんは、そう言って笑顔で試着室を出て行く。
(頑張り~って、何をどう頑張ればいいのよ)
私は全裸で閉められたカーテンを見つめる。
手にスマホを握りしめ心臓の鼓動は早くなる。
自分の心音を聞きながら私は時間が経つのをただひたすらに待つしかないのだ。
何も身に纏っていない自分の身体を手で隠しながら、私は試着室の壁に寄りかかり、ただ突っ立っていた。
店内に居る人数はそこまで多くないのだろう。
試着室の外からは声は聞こえなかった。
(美穂さんは店員に声を掛けられたって言ってたけど、私はどうしたら・・・)
そんな事を考えると不意に不安が押し寄せてくる。
少しでも怪しいと店員が感じたら、カーテンを開けて中を確認しようとするかもしれない。
そうなったら確実に私は変質者扱いされるのは間違いないでしょう。
不安を誤魔化すためにスマホを弄るが、時間はまだ五分程しか経過していない。
時間が経たない事にショックを受けながら、こうやって気を紛らわせていれば、後15分などすぐだろう、と自分に嘘をつく。
結局は美穂さんが服を持って戻ってくるまで私には何も出来ないのだから。
10分後
「すみませ~ん。ここ使ってますか?」
スマホ画面を眺めていた私は試着室の外から誰かに声を掛けられてハッとなった。
落ち着いていた心臓が、ドクンッ、と大きく跳ね上がる。
すぐにスマホ操作を辞めて、私はどうするか思案する。
「靴有るけん、誰か居るっちゃないと?」
「マジで誰もおらんって、何も聞こえんし開けるっちゃ」
(ヤバイ、ほんとに誰か来たよ)
外に居るのは、会話のトーンと方言から地元の若い女性二人連れのようです。
試着室の外で行われている女性達のものと思われる会話を聞いていた私は、外の二人がこの試着室を使いたいのだと悟った。
「あ、もうすぐ出ます。ちょっと待って下さい」
私は自分が居る事を声だけでアピールするしか有りません。
カーテンに映る人影に向かって私は自分の存在を伝えました。
「ほれ見てん、やっぱり居るってぇ、開けたらヤバイって(笑)」
「私一回、あっちの服も見て来るけん」
開こうとしてカーテンに掛かっていた手の影がゆっくりと離れていく。
もしもカーテンを開けられていたら、店内の照明が試着室に届き、狭い試着室の中は隅から隅まで照らされていたでしょう。
(ヤバかったぁぁぁ、)
大声で笑う女性二人の声は徐々に試着室から遠ざかっていく。
その後、少し開きかけたカーテンをきっちり閉める。
他の人に見られる事は無かったが私は恐怖で脚が竦み、もう限界だと感じていた。
今の女性は日本人だったが、店内からは海外観光客の会話の声も聞こえる。
もしも言葉の通じない外国人だったら、カーテンを開けてしまうかもしれない・・・
💭「お客さんが増えてきた。外から声掛けられた」
美穂さんにラインを送る。時間的にもう20分経っている。
外もだいぶ騒がしくなってきた事からそろそろ潮時だと私は判断した。
ラインを送って数分後、再び外から別の人から「入ってますか?」と声を掛けられる。
私は「は〜い、もうすぐ出ます」と嘘をつく。
店内は異国の言葉と子供の声が大きく響き渡っていた。
(どうしよう・・・外国人とか子供って間違ってカーテン開けるかも・・・)
(もう、美穂さん、何処行ったのよ。早く来てよ)
私は一刻も早くここから立ち去りたかった。
そして漸く予定の時間が経過した頃、試着室の外に女性の気配を感じた。
人数は一人、美穂さんかと思い、立ち上がった私の耳には別人の声が届いた。
「お客様、何かお困りでしょうか?」
(店員!!!)
美穂さんだと思い油断した私は咄嗟に言い訳を考えます。
「あ、大丈夫です。何着か選んでる途中なんで大丈夫です」
「左様でございますか。ちょっと時間が長いので一旦確認させてもらいたいのですが」
(確認って、えっ?マジで言ってる?)
よくよく考えてみれば店員は至極真っ当な事を言っているのです。
長時間、試着室に立てこもる不審な客が居れば、疑うのは当然の事ですから。
「お客様、少しカーテンを開けてもよろしいでしょうか?」
不審者に対する接客マニュアル通りの応対をする女性店員にどう応えれば良いのだろう。
開けるのを断れば断るだけ怪しいし、かと言って素直に見せればそれで終わりです。
私は答えに詰まり口をパクパクさせるだけで、声を出せずにいた。
「あの、お客様?開けますが、宜しいですか?」
私が何も答えない事に痺れを切らしたのか、店員の手がカーテンを掴んで揺れる。
「く~み~こ、探してき~たよ」
完全に終わったと思った瞬間、外の店員に声を掛ける聞き覚えの有る声。
「お連れ様でいらっしゃいますか?失礼致しました」
店員がカーテンを開けるより先に美穂さんがそれを制止してくれたようです。
店員に掴まれたカーテンが開く事は有りませんでした。
「決まったらすぐ出ますんで。すみません」
「いえいえ、ごゆっくりどうぞ」
ヒールの足音が遠ざかっていくと同時に、美穂さんが試着室に滑り込んできた。
「ヤバかったね(笑)もうちょっとで開けられたね」
「ほんと!ヤバかったんだから!」
半ベソを掻く私を見て、美穂さんは笑いながら言ってくる。
裸であるのを忘れ私は美穂さんに抱き着いた。
店員がカーテンを開けようとした時、私は身体が固まって何も出来なかった。
もし美穂さんがもう少し遅れていたらと、考えると怖くて仕方が無かった。
「でもスリルあったでしょう?だってこんなになってるよ」
「何で触ってんの?」
私の背中をさすりながら、彼女の片方の手は私の割れ目の中心を撫でている。
その指先には割れ目から染み出した、粘液でしっかりと濡れていた。
そして美穂さんは鞄から私の服を出して返してくれた。
服が有ると言う安心感。
たった数枚の布切れを纏っただけで、先程まで感じていた不安が全て消え去った。
その後、衣料品店を出てコーヒー店に移動した私はいつもの調子を取り戻した。
「いや~久美ちゃんからライン貰った時は焦ったばい」
「ほんとに、前は見られなかったけど今日はヤバかったんだから」
「見つかったら、面白かったのに(笑)」
「もしかして・・・ほんとは隠れて見てたりしてないよね?」
「バレたか(笑)」
私は彼女の肝臓辺りをグーで殴った。
2026/10/18 09:29:48
(Qmm5EgLN)