そんな事があって、愛莉は何故か以前より以上に明るく仕事をする様になって,
オーナーの日常の忙しさもいよいよ抜き差しならない状況になってきた。俺も本業は
〈一寸暇になったけど〉それなりの日々を過ごしていた。
そんなある日, 『折り入って相談したい事がある』 と急にオーナーから呼び出された。
〈まさか愛莉との事がバレたのでは〉 慎重にコトを運んだつもりでいた俺はマサカ,
マサカの思いで〈一応怒られるのを覚悟で〉オーナーの所に行くと、
「実は愛莉から聞いたのだが・・・」と切り出され,ヤッパリと思っていたが、
「やっぱり飯村さんはこの仕事に興味があるみたいだね。見ての通り俺も昼間忙しく
夜なかなか起きられなく,夜愛莉の時や女店員一人の時なんか飯村さんに頼んで
しまい,迷惑ぱかりかけて悪いと思っている。実は俺も前々から考えてたんだが,夜勤
の時だけでいいから俺の代りに店長代理として働いてもらえないだろうか。」と言われ,
俺にとってまさに晴天の霹靂,驚いた俺は、
「ま,前にも言ったけど客として来てるだけだし,それに俺は愛莉ちゃんの用心棒代り
だから気楽に居られるし,店長代理なら俺よりベテランの人が居るじゃないですか」と,
しどろもどろになりながらも断ろうとする俺に,オーナー、
「いや,○○(その人の名前)には昼間にやってもらってる。だから夜の方を・・・」
「でも俺にも本業の仕事が有るし,時間的に無理ですよ」と渋る俺に、
「あっ,それは考慮するから。他に信頼出来るのが居ないし,愛莉もすっかりなついてる
みたいだし,せめて愛莉の時だけでもいいから。なっ,頼むよ」とダメ押しされ,愛莉にも
“オネガイ”され,出来るだけ協力するという事で承諾すると,喜んでくれるオーナーと
愛莉。そんな愛莉を見て俺は『ヤラレタ~,計られた~』と思った。