第35章 お台場の予行練習
朝。
ケージの中で目を覚ました海は、体を少し丸めたまま、ゆっくりとまぶたを上げた。
昨夜の縄と鞭の感触が、まだ身体の奥に残っている。
動くたびに、太腿や臀部の傷がじんわりと疼いた。
そして、気づいた。
秘部から、ゆっくりと何かが垂れてくる感触。
指先で触れてみると、白濁したものが、まだ温かく残っていた。
(……知らないうちに……また……)
海は小さく息を飲んだ。
意識がない間にも、梵様に使われていた。
注がれていた。
その事実が、胸の奥を甘く締め付ける。
恥ずかしさと、深い幸福が、同時に広がっていく。
(……私は、意識がなくても……梵様の物なのだ……)
海は、静かにその余韻を噛み締めていた。
矢島がケージの前に立っていた。
「今夜、イベントに行くよ」
海はゆっくりと上体を起こした。
「……イベント、ですか?」
「昔馴染みの主催だ。ブースを一つ頼まれてね。緊縛でも何でもいいから出せ、と。色々考えた末に、お前を出品することにした」
海の喉が、小さく鳴った。
「……私を、ですか」
「ああ。お前は私の最高傑作だからな。特注のケースがもうじき会場に搬入される。楽しみにしてなさい」
矢島はそう言って、低く笑った。
海はしばらく、その言葉を反芻していた。
出品される。
展示される。
梵様の「最高傑作」として、多くの人の目に晒される。
胸の奥が、熱くなった。
羞恥と、悦びと、恐怖が混ざり合って、言葉にならない。
「……はぃ……」
「会場はお台場だ。動けないだろうから、その前に飯を食おう。出かけよう」
海は言われるままに立ち上がり、用意された服を見た瞬間、息を飲んだ。
エナメルのボンデージミニドレス。
ピカピカに光る黒。
胸元は大きく開き、腰は極端に細く締め付けられ、スカートはあまりにも短い。
短すぎて、隠すという役割をほとんど果たしていない。
下には、黒いTバックのパンティだけが用意されていた。
「……これを、着ろ、と……?」
「そうだ。首輪も付けろ。顔はキャップとサングラスで隠せ」
海は震える指でドレスに袖を通した。
エナメルが肌に張り付く感触。
新しい傷を圧迫され、軽い痛みが身体に伝わってくる。
Tバックを履くと、短いスカートの下からクロッチの部分がわずかに覗いてしまうのがわかった。
昨夜の痛みが、まだ身体に残っているのがわかった。
股間はすでに熱く、愛液がパンティを湿らせ始めているのがわかった。
鏡に映る自分を見て、海は小さく息を詰まらせた。
(こんな格好で……外に出るのですか……? 私は……梵様の所有物だと、全身で示しているみたい……)
でも、隣に立つ矢島の目が、明らかに高揚しているのがわかった。
その事実が、海の動揺を甘い興奮に変えていく。
「梵様……嬉しい、です……」
小さく呟くと、矢島は軽く海の尻を叩いた。
「行くぞ。せっかくのボンデージだ。思い出をいっぱい残そう」
お台場の街に出た瞬間、短いスカートの下からTバックのクロッチが覗いているのが、風に晒されるたびにわかった。
パンティを晒して歩かされているという事実が、海の羞恥を強く刺激する。
矢島はスマホを取り出した。
「海、そこでしゃがんで。足を開け」
海は周囲を一瞬見てから、ゆっくりとしゃがんだ。
脚を開くと、短いスカートの裾がほとんど意味をなさなくなり、Tバックのクロッチがはっきりと露わになる。
(……見られてる……でも、梵様が……撮ってくださっている……)
カシャッ
「いいぞ。次、手すりに掴まって尻をつきだせ」
海は近くの手すりに両手をかけ、言われた通りに腰を後ろへ突き出した。
エナメルの生地が張りつき、傷が圧迫されて小さく痛む。
Tバックの紐が、尻の割れ目に食い込むのがわかった。
「梵様……恥ずかしい……です……」
「わかってる。でも、お前は綺麗だぞ」
カシャッ カシャッ
「片足を手すりにかけなさい」
海は片方の足を上げ、手すりに乗せた。
バランスを取るだけで精一杯なのに、矢島は構わずシャッターを切る。
(……こんな格好……昼間の街中で……)
それでも、矢島の楽しそうな声を聞いていると、海の中が熱くなっていく。
「胸元を開いて見せなさい」
海は震える指で、ドレスの胸元を少し広げた。
乳首ピアスが、光に照らされて小さく輝いた。
「スカートを捲りなさい」
「……はぃ……」
短いスカートを指でつまみ、ゆっくりと捲り上げる。
黒いTバックのクロッチが、はっきりと晒される。
「パンティに手を入れなさい」
海は顔を真っ赤にしながら、指をパンティの中に差し入れた。
すでに熱く、濡れている布地が指に絡みつく。
矢島は子供のように目を輝かせて、次々と指示を出しては写真を撮っていた。
海はその姿を横目に見て、小さく微笑んだ。
(……梵様、本当に楽しそう……子供みたい……)
その間にも、何人かの男が距離を置いて二人を観察しているのがわかった。
視線が絡みつくように感じる。
「梵様……誰か、見てます……」
「ああ、わかってる。いい予行演習だな」
矢島はそう言って、海の尻を軽く撫でた。
やがて、高級ホテルのレストランへ入る。
エントランスを入った瞬間、視線が集中した。
キャップとサングラスで顔は隠していても、露出した鎖骨、鞭跡の浮いた太もも、短すぎるスカートから覗くTバック。
すべてが「まともな人間の格好ではない」ことを物語っていた。
食事の席に着いても、矢島の悪戯は終わらなかった。
「海、パンティを脱いで向こうに投げなさい」
海は箸を持ったまま、固まった。
「……えっ……」
「脱いで、向こうの方に投げろ」
海は顔から火が出そうになりながら、椅子の上で小さく身をよじった。
短いスカートの下で、Tバックを親指に引っかけ、ゆっくりと下ろす。
湿った布地が太腿を伝う感触に、羞恥が込み上げる。
躊躇しながらも、脱いだパンティを小さく丸め、言われた方向へ投げた。
近くにいた男の一人が素早く拾い上げ、走り去った。
矢島はそれを見て、低く笑った。
「凄いファンサだな」
海は両手で顔を覆い、机に突っ伏した。
「……梵様……意地悪……です……」
「ハハ。いい予行演習だっただろ」
海は顔を上げず、小さく頷いた。
羞恥で胸が熱いのに、どこかで、確かに高揚していた。
食事を終え、矢島が腕時計を見た。
「そろそろ行くか。会場だ」
海は深く息を吸い、席を立った。
もうパンティはない。
短いスカートの裾を手で下方へ引っ張り、少しでも中を隠そうとしながら、矢島の後ろをついて行く。
風が吹くたびに、裾がめくれそうになるのがわかって、指に力が入る。
(……もう、何も履いていない……)
矢島の腕に自分の腕を絡めた。
今夜、海は梵様の最高傑作として、特注のケースに入れられ、展示される。
それを想像するだけで、身体の奥が、静かに、しかし確実に疼いていた。
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