週間ほど後、順子は帰宅するなり、俺に抱き付きさめざめと泣きじゃくった。初めて狩野が本性を現わして以降、あの男はほぼ毎日順子を誘き出しては加虐プレイを愉しんでいるのだ。ヤツに『犯されていない』ことだけが救いだったが、妻の口から聞かされる変態的な調教を思えば、ある意味レイプよりも厳しい仕打ちであることは容易に想像がついた。今日も同様だったのだろう。ショートボブの髪をなでてやると、順子は嗚咽を堪えながら、その日の調教を話し出す。
「あぁ…きょ…今日は…何をされたかわかる…? 陰毛を…剃られたのッ!」
息を飲む俺。
「私よりもうんと若い、高校生みたいな男の子に、よッ…。『おばさん、馬鹿な亭主を持つと苦労するね』、なんてからかわれたわッ、私悔しくって」
自分の妻が悪漢の手に堕ち、素っ裸にひん剥かれたうえ、恥毛を切り落とされる。静止できないスチュエーションだ。
「その後は…また生き恥をかかされたわ」
順子の言う生き恥っていうのは、今日もナニらされ敢え無く絶頂に誘われたことを意味しているのだ。イキ顔は無論、性折檻の様子をビデオ撮影までされてもいるようだ。
「あの人は…狩野は悪魔だわッ」
めったなことで人を非難しない順子が、日頃柔和な瞳に憎しみを湛えて涙ながらに吐き出すように言う。
「きっとあの男は私を、狙っていたんだわッ。もしかすると…貴方に融資したのも私を自由にいたぶることが目的だったのかもしれないわッ」
確かに順子は俺にとって可愛くて魅力的な恋女房だが、狩野の獲物を狙う目が自分だけに注がれていることをことさらアピールする辺りは、順子もなかなか自意識過剰にも思えたが、肉体を狙われた女は皆そう思いたくなるのも無理はなかった。
「ああッ、誠さん、私はダメだわ…。狩野の良い奴隷にされていく…。明日の晩、あの人…私に何をさせると思う?」
順子は瞳を涙に濡らし、どこか艶めかしい表情で蠱惑的な視線を向けてくる。
「裸同然でお座敷に出て、あの人のお客さんに…接待をさせるというのッ」
「せっ、接待ってどういう…」
俺もさすがに狼狽した。
「レ…レイプのような目にだけは遭わせないと約束してくれたけど…」
またも順子はさめざめと泣き出す。異常な性癖を持った男に捕えられ、責め嬲られる恋女房。そしてそれを守ることもできない俺。情けないことこの上ないが、正直に告白すると、奇妙な興奮を覚えている自分がいた…。
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