季節は秋から冬へと一気に進む。
彼女の受験まであと少しだ。
会うことどころかあのテレビ通話の時以来、彼女の姿も見てないし声も聞いていない。
あの時だってオナニーでイッたあと、一方的に通話を終了された。
自分のはしたない姿を見せてしまい、いたたまれなくなって終わりにしたようだった。
もうメッセージだけでは我慢の限界だった
彼女に会いたい、また抱きしめたい…
募るこの気持ちを、受験に差し支えるようなことはできない、という理性で抑えている。
ある日、何気なく彼女の通学路付近を歩いてみた。新しい自宅は学校から俺の家と真逆の方角だ。
下校時間なのだろう、たくさんの中学生がそれぞれ仲のいい友達と歩いている。
冬に入ったとはいえ今年はまだ気温が高いからか、ほとんどの生徒はコートも着ず体育着のまま歩いていた。
学校付近を散歩している近所の人間のように歩き回ったが、その日は彼女を見つけることはできなかった。
また次の休みの日、同じように彼女を探して歩いた。だが、前回と同じように姿は見えない。
諦めて自宅への帰路に着いた。学校を通り過ぎ、大通りに沿って自宅へ戻る途中、道路の向こうの歩道を3人の女子中学生が歩いている。その中に彼女を見つけた。
新しい自宅は逆方向なのに、俺と同じ方向へ歩いている。彼女は楽しげに会話してる2人の女子生徒と並んで、2人の話を聞いて微笑んでいる。
俺は反対側から彼女を見ていた。気付いてくれないだろうか…
そんな想いが伝わったのか、彼女は立ち止まり辺りを見回し俺を見つけてくれた。
驚いたようにこちらを見ていた。
大通りを挟んで俺達は見つめ合っていた。
その時、前の2人に声をかけられたのだろう、足早に2人の方へ歩いていった。
2人の後ろを歩きながらこちらを向き、気づかれないように小さく手を振ってくれた。
俺も手を振り返した。おそらく顔は真顔だったかもしれない。
その時の俺はなんというか…もう忘れてしまった胸が締め付けられるような、切ない感覚に襲われていた。
こんな感じは昔、彼女と同じくらいの歳に感じたような気がする。
あれからいろいろ経験し、荒んだ人生を送っていてその記憶すらもハッキリしない。
夜になり、「手を振ってくれてありがとう」
と、メッセージを送った。
しばらくして、「あんなとこで会うなんてびっくりしました。」と、返ってきた。
あれから同級生と別れ、義父の会社まで歩いていくのだそうだ。
そこまではやり取りできたのだが、忙しいようでメッセージはそこで終わった。
翌日も休みだった俺は待ち伏せをしていた。そう言うとまた悪巧みをしていると思われそうだが、同級生と別れて義父の会社に行くまでの間、少しでも側にいたい、彼女の近くにいたい、ただそれだけだった。
その日は前の日と同じ道路沿いの、学校からより遠い場所で彼女を待った。
同じくらいの時間に彼女が1人の同級生と歩いてくるのが見えた。
彼女達に気づかれないように、反対側の歩道を少し後方から歩いていた。
10分程歩いた所の交差点で、同級生に手を振りながら別の方向へ歩いていった。
俺は信号を待った。どれだけ長く感じただろう、足早に彼女の後を追った。
近づいたその気配に気づいたのだろう、彼女は後ろを振り向いた。
「えっ…、おじさん…?」そう驚いた顔をしたと思うとすぐ辺りを見回し、困ったように下を向いた。
わかってる。義父の会社も近いし、学区内だから他の同級生に見られるかも、という心配もあるのだろう。
「話さなくていいから。普通に歩いていって。俺は後ろを歩いてるから。」
俺のわがままで迷惑をかけたくない。
彼女はまた歩き出し、俺はその後を少し離れて歩いていった。
制服姿は何度も見ているが、下校しているリアルの姿は、あの変なサイトにアクセスし、多額の料金を請求されたと思い込んで、公園で途方に暮れていた頃以来だ。
白いシュシュで纏めた髪の毛が歩く度触れている。
細身の身体が隠れるようなリュック型のカバンを持つ彼女の後ろ姿を見つめながら、ただ彼女の後ろを歩いた。
冬用の少し丈のあるシューズから、白いハイソックスがかろうじて見える。
「おじさん…昨日から…どうしたの?」
前を向いて歩きながら、彼女がそんな事を聞いてくる。
「…キモいかもしれないけどさ…乙葉ちゃんの姿、ひと目見たくて…ずっと会ってないから…」
「そう…なんだ…」
それっきり俺達は会話を交わさなかった。
程なくして、
「お義父さんの会社…こっちだから…」
振り向いてそう言った彼女に、
手で了解、と合図をして俺は元来た方向に歩いていった。
彼女に会えた事で俺は満足するものだと思っていた。
だがその考えは浅はかなもので、余計に彼女への想いが強まった。
会えただけでは済まない。もう…もう彼女を抱かないと…もう一度以前のように愛し合いたい、と…
抑えられない…こんな気持ち、青かった学生の頃でも感じたことがなかった。
その夜、俺は1人ラブホテルに行き、デリヘルを呼んだ。
この気持ちをどんな形でも吐き出したかった。部屋に来た女は20代だろう、スタイルはいいが、濃いめのメイクとフレグランスが強烈だった。
結局、俺は何もする気が起きず、予定時間前に女を帰した。
「何もしなくても料金は同じですよ。」
そう言う女に、俺は無言でお金を渡した。
俺はもう彼女無しではダメなのかもしれない。たかが15歳の女の子に…
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