なぜ圭介がそんな強気になったのか分からない。酒が入っていたせいなのだろうか
圭介は、藍莉のか細い腕を掴み、ホテルの入り口へと向かった。
今までとは違う態度の変化に、藍莉は戸惑っていた。
「ちょっ、ちょっと待って、おじさん!」
「なんだ!?怖くなったのか?」
「でなくて…ってか…いいの…?」
「何…言ってんだよ、君から言ってきたんだろう!?」
確かに言ったけど…、そう思った藍莉だったが、口に出せなかった。
「なんでだろう…、今までこのおじさんよりも上の、気持ち悪い男達を相手してきたのに…もっと乱暴な感じでしちゃった事もあるのに…」
藍莉は今までの様にできない自分に戸惑っていた。
お金と快楽を目的でやっていた相手ではなく、今までで初めて好きだ、と言う感情を持った相手からの行動が受け入れられないことに、まだ気付いていなかった。
「やったらやめる、って、嘘ついてたんだな…。」圭介の言葉に、少しカチンとときたのか、藍莉は、
「…行こ…。」と、逆に圭介の手を引いて奥に入っていった。
部屋に入ると改めて藍莉は緊張してきた。
「な、なんか、部屋狭いね、思ってたより…」そう言ってゆっくり後ろを振り向くと、無表情の圭介が立っている。
そして、藍莉は圭介に突き飛ばされ、ベッドの上に横たわった。
「…っ!えっ、ちょっ!…」そう口にするやいなや、圭介が覆いかぶさってきた。
馬乗りになり、両手を押さえつけて見下ろす圭介の表情に、藍莉は恐怖に近いものを感じ、声が出なくなっていた。
「舐めやがって…大人を舐めやがって…。」
「お、おじさん…どうしたの?…」
「やったらやめる、って?…なんだよ、それ…あ゙っ!」荒げた声に怯える藍莉。
圭介は、藍莉の顎を掴み、「自信あんだろ?ここ!あ゙っ?気持よくさせんだろ?ここ!」と、藍莉のスカートの上から股間を掴んだ。
その瞬間、「いや〜っ!!」藍莉は激しく抵抗した。押さえつけられている以外の身体を、目一杯の力で。
「やだっ!こんなのやだっ!…おじさん、やめて!やだよぉ…、おじさんとこんなの…やだよぉぉぉ…」と藍莉は泣き出してしまった。
泣きじゃくる藍莉を見て、圭介は我に返ったようにおとなしくなった。
そして、押さえつけていた手を離し、
「ごめん…」と一言だけ呟いて、背中を向けた。
部屋の中は、藍莉の泣きじゃくる声だけが響く。その声に耐えられない様に、
「…帰って…帰ってくれ…」と言った。
そう言って立ち上がり、藍莉の事は見向きもせずシャワーを浴びに行った。
圭介は椅子に座ったまま、頭からを浴び、微動だにしないていた。
「なんてこと…してしまったんだ…」
いくら酔っていたとはいえ、いくら彼女にウリをやめさせるためとはいえ、あそこまで怖がらせる必要はなかった、圭介はそう後悔していた。
「でも…、これで嫌われればもう相手にしなくていいかも…」そんな風に考えていた
シャワーから出ると、彼女の姿はない。
代わりに薄暗い部屋のテーブルに白いものがあった。
それは、1000円札が5枚。先日貸した5000円なのだろう。
「ああ…帰ったんだ…」そう思って、冷蔵庫からビールを出して、一口飲んだ。
ベッドに倒れ込んだ圭介は、
「もう何時だろう…宿泊料金の時間になっただろうな…」
そう思って、スマホを探すために起き上がろうと横を見た。
そこには、藍莉の顔があった。
圭介は思わず、
「わわわっ!わああぁ〜!」と驚き、後ろに後ずさり、そのままベッドから落ちてしまった。
恐る恐るベッドの下から顔を出すと、そこにはなにもない。
すると、同じ様に藍莉がベッドの下から、ひょっこり顔を出した。
「びっくりした?笑」そう言って藍莉は立ち上がり、ベッドに寝転んだ。
「…何、してんだよ…帰ったんじゃねえのかよ…。」
藍莉はフフッ、っと笑って起き上がり、
「待ってたんだよ、シャワー。」とシャワールームに向かった。
そして背中越しに、
「約束だからね…」そう言ってシャワーを浴びに行った。
しばらくして、シャワーを終えた藍莉がバスタオルを纏って戻ってきた。その姿に戸惑った。圭介は話のきっかけを探そうと部屋を見渡すと、藍莉の持っていた大きめのバックが目に入った。
「これ、たいそうな荷物だね。」
「ああ、これ?オプション。」
藍莉はそう答えた。
オプション?何のことか分からない圭介の頭は、???となっていた。
その表情を見て、藍莉は続けた。
「オプションだよ、アノ時の。」
そう言って、藍莉はバックを開けて、中の物を取り出した。
それは、電マやローター、バイブレーター等だった。
「これが1000円、これは2000円」
おもむろにベッドの上に投げ出された玩具を見て、圭介は言葉を失った。
「オモチャ以外もさ、あるんだよ、ごっくん5000円とか生ハメとか…」
「なんで…」圭介は言葉に詰まった。
「なんで…、こんなのにお金出させて…なんでそこまで…」藍莉は答えた。
「いろいろ事情あんの…」
そう言って、藍莉は真剣な顔をして、圭介を見つめた。
「おじさん…ホントに、…ホントにやめるから…抱いて…」
藍莉は圭介に抱きつき、そのままキスをしてきた。
圭介も答えるように強く抱きしめ、そのままずっとキスをしていた。
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