一ヶ月が過ぎ、ようやく全てにケリが着いた。
沢田も離婚することになったが、目の前で真央との醜い責任のなすり合いを見せつけられ直也と沢田の妻は呆れ返るばかりだった。
息子の和也は真央と暮らすことになった。
父さんのことは好きだけど母さんは一人にしておけないと言って。
俺には出来過ぎた息子だ。
中学になったばかりだというのに、、、
自分だけの感情に流されること無く周りを見つめることが出来る。
俺以上の男になることは間違い無い、、、
なんでも連絡してくれよ、、、
涙をこらえて直也は家を出た。
そして独り暮らしにもどうにか慣れた頃、、、
気を遣ってかけてきてくれた息子の電話を切ると直也はベッドに身を投げ出した。
頭に浮かぶのはひとりの女性、、、
どうしているんだろう?
逢いたい、、、
声だけでも聞きたい、、、
あれから一度も連絡を取ってない。
彼女の生活を乱すようなマネはしてはいけないという思いが直也を躊躇させていた。
もう俺のことなど忘れてしまったかも知れないな、、、
これでいいんだ、、、きっと、、、
そんな思いに駆られたとき突然スマホが鳴った。
彼女の名が表示されていた。
えっ、、、
すぐに応答する。
「はい、、、」
「直也さん?」
「七海さん?」
沈黙が流れる。
「突然でゴメンなさい、、、迷惑じゃありませんか?」
「そんなことありませんよ、、、俺も七海さんのこと考えていましたから、、、」
何言ってるんだ、、、俺、、、
「良かった、、、実は、、あの今日、、、大森さんから直也さんが離婚したというのを初めて聞いて、、、」
「あぁ、、、そうだったんですか?」
気を遣って電話を、、、
「わたしのせいですよね、、、余計なこと言ったから、、、」
「余計なことなんかじゃありせんよ、、、七海さんが話してくれなければ、俺はもっと悲惨なことになってました、、、おかげでスッキリしました、、、」
「あの、、、もっと詳しく聞きたいんです、、、その、、逢えませんか?」
「もちろん構いませんけど、、、その、、大丈夫ですか?」
「全然大丈夫ですよ、、、わたしが誘ったんですから、、、その、、、ずっと直也さんに逢いたかったんで
す、、、」
消え入りそうな七海の声に直也の胸が熱くなった。
翌日の仕事帰り、二人は居酒屋の個室で待ち合わせをした。
契約社員として勤めだしたという七海は水色のセーターにグレーのジャケットを羽織り下は細身のデニムという出で立ちでやってきた。
髪は少し伸びたようだ。
整った純和風の整った美貌は衰えを見せることも無く、ナチュラルなメイクが艶めくような色気を滲ませる。
本当に若く見えるよな、、、
中学生の子供がいるようには見えない、、、
こんなに魅力的なんだから、職場でも色々声をかけられるんじゃないか?
不安な気持ちがもたげてくる、、、
けれど、、、俺なんかが心配する立場ではないし、、、
でもどうして勤め始めたのだろう?
何か事情でも、、、
七海がジャケットを脱ぎ向いに座る。
セーターを盛大に突き上げる胸に視線が吸い寄せられる。
清楚でカジュアルなファッションとは不釣り合いなほどに主張された女性の象徴。
しかしそれは紛れもなく彼女の魅力のひとつだった。
思わず見とれてしまう。
マズい、、、でもやっぱりスゴイ、、、
慌てて目を反らし二人でメニューを見ながらタブレットで注文をした。
「久しぶりですね、、、」
「本当に、、、わたし、逢いたかったんですよ、、、」
「えっ、、、それは俺だって、、、」
「じゃあ、どうして連絡くれなかったんですか?」
「それは、、、その、、、迷惑になるんじゃないかと、、、」
「直也さんらしいですね、、、」
寂しそうに呟く。
料理とアルコールが運ばれ食事をしながら会話を重ねるうちに互いの気持ちがほぐれていった。
七海の優しげな笑顔に心が癒される。
本当に魅力的でキレイな女性だと思う。
真央のような派手さは無いが、そこがいい、、、
それに控えめな美しさとは裏腹に男の目を奪わずにはいられないセーターの下でその存在を主張する豊満な乳房、、、
高さがハンパない、、、
夫とはうまくいっているんだろうか?
レスと言っていたけど改善されたのだろうか?
そしてこの胸を、、、
嫉妬が込み上げてしまう。
直也の露骨な男の視線を感じたのか七海が頬を染めている。
それでいて非難する表情は浮かべていない、、、
むしろ更に胸を強調するような仕草を見せる。
どういうつもりなのか?
ただの気のせいなのか?
あの時目にした七海の下着姿の写真が浮かんでくる。
何度思い出したことか、、、
そのたびにあの大きなブラカップに包まれた中身を想像してきた。
だめだそんなこと考えていたら、、、
直也は気を取り直し七海が知りたがっていた真央との離婚の経緯を全て話した。
「わたしが話したからですね、、、」
七海はまだ責任を感じているようだ。
「そんな責任を感じないで下さい、、、電話でも言ったじゃないですか、、、七海さんが教えてくれなければ真央は俺を騙し続けていました、、、もっと酷いことになってたはずです、、、スッキリしました、、、これでよかったんです、、、」
七海は手を伸ばし直也の手を握ってきた。
ジッと見つめてくる瞳は潤んでいた。
「直也さん、、、わたしも離婚したんですよ、、、」
「えっ、、、なぜ、、、」
「あの人、、、浮気してたんです、、、」
七海は淡々と話を始めた。
突然相手の女性から電話があった。
女は夫の部下で20も年下の娘。
一年も関係は続いていた。
二人で逢うことになった。
地味で目立たないおとなしい女というよりは女の子だった。
三島沙耶という女の子は夫の部署へと配属され仕事の相談を重ねるうちに男女の関係になった。
初めての男だった。
いけないと思いながらも上司との密会を続けオンナの悦びを教えられのめり込んでしまった。
すいませんと何度も謝罪を繰り返し頭を下げてきた。
不思議と怒りは湧いてこなかった。
自分も浮気していたし、あの人は自分に見向きもせずにこの娘に夢中になっていた。
わたしたちはずっと前に終わっていたんだ、、、
夫に対する未練は微塵も感じ無かった。
離婚しようと即座に決めた。
けれど、、、女としての寂しさは感じていた。
かつては愛し合っていた夫、、、
家庭を持って子供も生まれて、、
いつしか知らないうちにオンナとして見られることも無くなり、夫は全てを七海に押しつけ、子供のようなオンナに手を出していた。
わたしって、、、なんだったんだろう?
泣きたくなった、、、
無性に直也の声が聞きたかった、、、
逢って話がしたかった、、、
でも出来なかった、、、
「どうして、、、連絡してくれなかったんですか?」
「それは直也さんだって、、、」
「そうですね、、、すいません、、、」
直也は悔しそうに手を握り下を向く。
やっぱりこの人はそういう人だ、、、
自分のことより、、わたしのことを、、、
「直也さん、、、隣に行っていいですか?」
「もちろんです、、、」
七海は隣に座り頭を傾けてきた。
優しく肩を抱く。
「あの子、、、妊娠してるんですって、、、」
「そ、そんな、、、」
「それで不安になって、、わたしに直に、、、それから夫も交えてしっかり話し合いました、、、夫はわたしに責められると思っていたみたいだったけど、、、別れて下さいとわたしからきり出したら、何だか安心したみたいで、、、急に昔みたいに優しくなって、、、済まなかったって、、、出来ることはさせて欲しいと言ってくれました、、、区切りはつけました、、、」
「辛かったですね、、、」
人間の気持ちはそう簡単に割り切れるものじゃない。
七海が辛かったときに俺は何も出来なかった、、、
こうやって優しく背中を撫でるしか、、、
「ゴメン、、、俺、何も出来なくて、、、」
「そんなことありません、、、心の中に直也さんがい
たから耐えられたんです、、、乗り越えて直也さんに逢うんだって、、、だから離婚したと聞いてガマン出来なくて、、、」
「俺だってずっと七海さんのことを、、、」
見つめ合う、、、
直也が優しく髪を撫でる。
「凄くキレイだ、、、今日七海さんに逢ったとき誰にも渡したくないと思いました、、、」
「嬉しい、、、わたしも直也さんを誰にも渡したくありません、、、」
「好きです、、、ずっと前から、、、」
「わたしも好き、、、」
指先で七海の唇をなぞる。
「ああっ、、、チュッ、、、」
指先に口づけをして瞳を閉じる。
唇を重ね優しくその感触を味わう。
七海の舌が忍び込んできて絡め合う。
つづく
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