半月前に手術を終えた患者が食事ができるようになり、そろそろ1ヶ月が経とうとしている。忙しく動き回る後輩たちを見ながら自分も多忙なのだけどと、そう思いながら歩美は清拭セットを準備して大部屋(といっても6人部屋)に向かった。
口でいうだけなら口うるさいだけの上司でしかなく、率先して動く背中を見せなければ誰もついては来ないもの。歩美は経験からそれを知っているのだった。
その大部屋に入ると窓側の患者と一瞬だけ目合があったけれど、それとなく歩美は目を逸らせた。
彼は歩美の清拭を数回ほど受けた経験者、その味を知っているだけにやり辛さを覚える。
再三に渡って一応これは仕事だけど、あなたが受けたことは絶対に秘密を守ってね……。そう伝えてきた。若い彼にとってはベッドの上で、入浴介助の際に歩美の手と口で奉仕を受けた経験はスリルがあり、堪らないものだったに違いない。
彼に背を向けて隣の患者のベッドに歩み寄ると、カーテンを引いて周囲から隔離する。患者に声を掛けながら、温かいタオルで身体を拭いていく。
ベッド数をあまり置けない小規模な病院にありがちな広さのない部屋だけに、隣のベッドとの間隔も常識的な距離ではあるけれど少し狭い。
歩美が屈むとお尻がカーテンに触れ、隣のベッドにいる患者にお尻を突き出しているのが分かるのだ。歩美は反対側に回ろうかとも思ったけれど、身体のこちら側を先に終えなければ結局のところ二度手間になる。今さら気にしても仕方がないと思い直し、目の前の仕事に集中しててをうごかしていた。
そして気持ちのどこかで懸念していたことが、ついに起こってしまったのだ。お尻に手の感触と温もりを覚え、歩美は動揺が手に出てこの患者さんに伝わらないように、平静を装うふりをしなければならなかった。
振り返って後ろの患者を叱ることは簡単だけど、彼が逆恨みして病院側に秘密をバラさないとも限らない。後輩たちに頼りにされる立場上、秘密を明らかにされるのだけは避けなければならない。
若さゆえに欲望を抑えられない彼に辟易しながらも淡々と手を動かし、清拭を受ける患者にも悟られないよう顔には笑顔さえ浮かべる歩美。
次第に悪戯はエスカレートをして、ナース服の下スカート部分の裾を持ち上げてストッキング越しにお尻に触れてきた。下手に身体を横にずらせばおかしな状況が露呈する、なので動けない……。
どこでこんな悪知恵を覚えたのかパンストを破られる嫌な音が下半身から聞こえ、お尻の下に伸びてくる指の感触を、明らかに下着の上から感じて目を見開く。いくなんでもやりすぎだと後手に彼の手を振り払うけど、止めてくれそうにはない。
歩美は同じところばかりを拭わないように手を動かしながら、患者さんの肩から腕、脇の下から体の側面、首元から胸へと、順番に拭いていく。股の下で食い込ませた指を前後に動かされることを意識しながら、憤りを募らせていく。どうせAVか何かで覚えたのだろう。
気持ちの良いところに指が当たるたび、歩美の手に力が入りそうになる。動じないつもりでいても身体は正直に反応し、ここに違いないと確信を持った彼は集中的に攻めてくる。歩美は患者さんの反対側に回ることを諦め、患者に覆いかぶさるように身体の向こう側側面に手を動かす。この患者にしてみればおばさん看護師だとしか認識をしていなかったのに、どちらかといえば美人の部類だと急に意識が変わっていく。
なんとなくだった感覚が色も形も明確になりつつあり、こんなことは何でもないのだと自分に言い聞かせる歩美は注意が散漫になっていく。患者さんに自分の胸を押しつけていることにも気付かないくらいに、快感から気持ちを逸らさなければならなかったのだ。
彼の指は水分を吸って貼り付いた部分をずらし、中へと侵入していく。歩美は直接触れられることに驚愕し、それ以上はやめて……と、強く願う。
そんな心の叫びなど彼には届かず、クリトリスに触れられることに息を飲み、短い吐息を吐き出していく。
気付けば歩美の目に立ち上がったペニスの姿があり、固く目を閉じた。自分の軽率さが招いたことだと自覚をしながら、そこには触れないようにそれぞれの足を拭いていく。やがて下半身へと手を伸ばさなければならないが、なるべく先延ばしにしたくて避けるうちに……。
歩美は口を引き結んで、誤魔化すことになんとか成功する。挿入された指の蠢きに沈みそうになる腰を必死に堪え、濡れタオルを交換して患者さんの陰嚢の裏を拭いていく。動かされる指に比例するようにさわさわと動く歩美の所作に、硬さを増していく患者さんのペニスが跳ねる。
「あぁ…ごめんなさいね、もうすぐ終わらせるからね……」
潤んだ歩美の目と色香を漂わせた表情が、患者さんの欲情をそそらせる。勃起してしまった羞恥心がありながら、自分のペニスに反応をしているのかと勘違いもするというもの。カーテンを締め切られた2人だけの空間に淫らな空気が充満しはじめて、斜向かいの面会者とその患者の会話が耳に届いて現実と非現実との狭間を意識させる。
2本の指が入れられたそれに抜き差しを続けられる快感が、副看護師長の仮面の奥から女の顔を覗かせはじめる。陰嚢の周辺を拭かれるうちに男根の先から粘液が漏れ出し、根元を持って起こした歩美に優しく拭い取られて患者さんが赤面する。
陰茎を丁寧に拭い、亀頭を覆い隠したタオルで優しく拭われていく。手の平を被せで揉むように動かしてカリ首の窪みに、輪を作った指で左右に動かされる。その指を上下に揺すり、ついには完全に手で握られながら上下に動かされていく。
歩美は口の前に人差し指を立てて静かにするように患者さんを促し、そのタオルを剥がし取る。
何が歩美を狂わせたのか、普段なら絶対にしないのに………。
濡れる蜜壺をいたずらされ続けられる快感に突き動かされるように、勃起したペニスを数秒ほど見詰めた歩美は身を屈ませて口に含んでしまった。
忘れてはならないのは歩美に良からぬことをしている彼も、自分のカーテンを閉める悪知恵を働かせていたことである。急いでパジャマのパンツを下着ごと下げるとペニスを自らの手で水平に傾けて、歩美の腰を掴んで先っぽをあてがった……。
腰を掴まれて歩美はまさか……とは思った。
次の瞬間には膣口にめり込む圧迫感を感じ、男根を咥えながら驚きのあまり目を見開いていた。
中に侵入してくるペニスに息を止め、子宮口に届いたところで歩美はやっと息を吐き出した。
動き出す彼の腰が何度もペニスを突き出し、とろけそうな快感が沸き起こる。歩美の口の中で粘液を吐き出す患者さんのペニス、歩美に奉仕されて声を殺しながら吐息を漏らす患者さん。熱く硬いペニスの躍動に鼻息を漏らす歩美。色気を滲ませる熟女ナースの中のとろけそうな絡みつきに、密かに喘ぎながら眉間にシワを刻む若者………。
三者がそれぞれの背徳心に劣情を煽られ、揺れ動きながら快感を享受していく……。
早まっていく腰の躍動、高まる感度の最中に必死に頭を振り続ける歩美の口の中に、患者さんの白い精液が勢いよく飛び出していく……。
シーツを掴む歩美に激しく突き立てる若者が自分のペニスが出入りをする、そんな卑猥な結合部を見ながらスパートをかける。その勢いのある抜き差しが……
にゅぅりゃっ……にゅぅりゃっ……にゅぅりゃっ……
と、追いすがるビラビラとともに卑猥な水音を奏でながら若者を鼓舞していく。
そしてあの一瞬ペニスが膨張するような感じの後に、射精されたのが歩美の意識の隅で理解していた。
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