朝日が昇り、いつものように熱いシャワーで身体を目覚めさせる。手早く作った簡単な朝食を食べて、メイクと身なりを整えて玄関の外へ出る。
いつもと同じ最寄りの駅から乗車した電車に揺られ、職場の更衣室でナース服に身を包んで武装する。申し送りを済ませ、夜勤との引き継ぎが終わるとその日、朝からまずやることを頭を回転させながら手足を動かしていく。
もう長年してきた馴染のある行動が考える前に、そういったナースの習性が身体を勝手に動かしていく。人員の補充も順調で、新人も少しづつ経験を積んで先輩から学んで成長をしていく。同僚たちの中には性管理に携わる者が複数混ざっているけれど、ノーマルなナースにはその実態は知らされぬままが貫かれていた。知らなければ知らないで波風は立たず、病院運営はこのご時世でも落ちることはないのだから。
歩美はこのところずっと、考えていたことがある。看護師長の引退が近づいていて、自分がその地位に就任することが決まっているからだ。
普通の病院と違うのはこの病院で看護師長になるということは決まった場所だけでなく、自分の裁量で気になる場所へ出向き、相談や修正を行うことができるようになる。
それで現場が良くなることもあれば逆に不協和音を生むこともある。慎重に行動を取らなければならないけれど、現場の開拓を望む当人たちの声は確実に上がっており、歩美は動くと決めていた。
その現場は複数の理学療法士たちがが活躍する、リハビリテーションである……。
数週間後、43歳で看護師長に就任した歩美は、早速動いていた。リハビリテーションの隣に物置と化していた部屋を改装し、患者がリラックスのできる空間へとリメイクを済ませたのだ。
リハビリは病気による後遺症で身体の機能を回復させる患者、怪我による回復を目指す患者が奮闘する場所である。医療従事者がチームを組んでやり取りを交わし、患者の体の機能の向上を助けて社会復帰に向けて共に歩むのだ。
しかしながらそれは患者によっては困難を極めることもあり、時間を要することから決して簡単なことではないことも事実なのである。幸か不幸かこの病院は救急指定病院ではないことから重病の患者はおらず、上は年齢も50代前半までと体力のある患者がほとんどだった。
より良い環境を望む患者は総合病院へと移動をしていくけれど、理学療法士と絆ができた患者たちはそれを望まないのも事実。しかしながら壁にぶち当たった者は、諦めるのも早いのだ。渋々リハビリを受けるけれど、やる気を持続させるのには限界を感じる頑固な患者に困り果てることもあるのだった。
その類の患者は比較的若い者が多く、人生経験の浅さがそうさせるのか改善の道のりはあまりに遅い。時間が掛かれば掛かるほど元の状態に改善するのが難しくなり、時間も体力気力を浪費する。
だから歩美は立ち上がったのだ……。
患者に男性も女性もなく、この日のスケジュールに目を通していた歩美は男性看護師を1人伴って、リハビリテーションへと顔を出していた。
その理由はもちろん女性患者だからであり、彼女は35歳の現役でスポーツジムに務める、水泳を担当するスタッフだった。
不幸にも交通事故に遭い骨折、手術を受けて現在に至る。数ヶ月の入院生活ですっかり筋肉も落ちてしまい、体力の低下から自分の身体が以前のように動かなくなり、自信を失ってしまったのだ。
理学療法士も男女を入れ替えたりして対策を取ったのだけれど、失った自信は本人が自覚する体力の低下以上に深刻で、職場の復帰を危ぶんで笑顔も忘れてしまっていた。
あなた達に何が分かるの……顔にそう書いている。
そこで歩美たちの出番となったのだ。
彼女は体力自慢の女性にありがちな愛嬌のある顔のタイプではなく、数少ない美貌の持ち主でもある。引き締まった筋肉質の身体に競泳用ハイレグ水着がよく似合い、男性たちのファンが跡を絶たなかったに違いない。水の中で股間を硬くさせ、彼女が水着から浮き出させる乳首を目の保養にしていたであろうことは、想像に難くはない。
それは手術後に歩美の同僚が見せてもらった患者本人が同僚たちと記念撮影をした、そんな写真に写っていたという。男女ともに笑顔で逞しい身体を見せ、水着からペニスの形、乳首を浮き立たせることに躊躇いのない慣れとプロ意識を感じさせたいらしいのだ。
私なら恥ずかしくてニプレスを使いたいし、股間を見ないように目のやり場に難儀すると、ナースになって7年、26歳の同僚の彼女はそう正直な感想を漏らしていた。患者のペニスを口に含むことに何ら躊躇をしない、そんな彼女でもそうなのだ。セックスをする状況になってしまえばひとりの女になれるが、セックスもしないのに性を匂わせるものはやはり恥ずかしいのだ。
理学療法士に後ろから支えられ、一歩づつおっかなびっくり歩く患者の彼女の目は、何も未来を見てはいなかった。そんな彼女に看護師の彼が歩み寄り、理学療法士に目配せしてバトンを渡してもらう。病室でよく顔を合わす彼女は担当をしてくれる彼には心を開き、自分のベッドに帰りたがった。
それはそうだろう、2人はキスを交わすまでに進み、彼女は身体を触ることまでは許しているのだと歩美は報告を受けている。もう彼女はいつでもその時を迎えられる心の準備は、整っているといっていい。
彼は彼女を恭しく支えながら、ある場所へとゆっくり進んでいく。今までそのドアを目にしていながら1度も中を見たこともない、その部屋のドアノブを彼が回して2人の姿が消えていく。
理学療法士にはその部屋の使用目的は知らされておらず、気分転換や気持ちの休憩場所として利用するとだけ、伝えている。看護師長の言うことだから考えがあってのこと、看護師の観点から新たなアプローチがあるのだろうと彼ら彼女らは期待をしていたのだった。
その間に別の患者のリハビリに時間を割けるとあって、理学療法士たちはそちらに頭を切り替えていく。壁1枚を隔てた部屋の中は防音対策が施されており、女性が好みそうな調度品が置かれている。まるで小洒落たシティホテルの一室のように病室であることを忘れさせ、シャワーとバスタブまで完備しているのだから恐れ入る。
彼女は彼に抱き締められて時間を忘れ、身に着けているものを剥がされていく。彼もまた彼女だけに羞恥心を抱かせないように自らも看護服を脱ぎ捨て、ひとりの女となった彼女をベッドへと誘っていく……。
唇を交わして舌を絡めながら、数ヶ月もご無沙汰だった彼女の身体が熱を帯びていく。乳房そのものよりも筋肉の土台で形成された鳩胸を、恥ずかしそうに隠す彼女の手を剥がし取り、彼の舌先が存在感のある大き目な乳首を転がしはじめる。
倒れては根本から起き上がる乳首が彼に吸われ、みるみる勃起をしていく。指を噛んでは声を殺す彼女がベッドから背中を浮かせ、弓なりに反らせながらいじらしく喘ぐ。体育会系の女性にありがちな男性ホルモンが暴走を始め、色情が淫らな女へと変貌を遂げさせるのに時間はさほどはかからない……。
その先に何が待っているのかはそれまでの経験上から、すでに彼女は知っているのだから。
歩美も動く。歩美の視線の先に肘の建の断裂から再建手術を受け、手の握力を取り戻そうと奮闘する男性患者がいた。彼はそれだけではなく職場のストレスから胃潰瘍を悪化させ、食事を摂取できない時期があったことから筋力の低下が顕著になっていた。
従って疲れやすく、集中力も持続しない。相談相手もいなかったのか未来を見通せず、32歳になった男性にしては捻くれているようにも見える。
俺の何を分かるというのか、俺に触るな……とでもいうように、理学療法士に暴力を奮うような真似こそしないけれど、希望を失っているように見えるのだ。人間関係に恵まれない職場にいると、人は荒んでしまう……いい男だというのに……。
歩美は黙って彼のそばに佇み、焦らないようにと声を掛けた。彼は振り返り歩美の顔を見て、あんたは知っている、そんな顔をした。それもそのはずで、ナースステーションや病室に顔を出していれば患者なら誰でも見知って知るのだから。
入院生活もそれなりに長くなり、そうなれば違うストレスも重なってくる。制約のある病院ではその捌け口はそれほど多くはなく、男性なら手っ取り早く自慰行為だろう。それも利き手がままならないとあれば難儀を極め、トイレも苦労しているのだろう。それもリハビリになるのだけれど……。
歩美は彼を立たせて男性看護師と女性患者のいる部屋の隣の部屋のドアを開け、彼を連れて姿を消した。何を始められても興味はない、そんな態度を崩さない彼は歩美にも無関心だった。
彼は不審がる様子もなく歩美に言われるがままにベッドの上に横になり、何のことはない、彼に対して腹筋運動をするように促す。少しずつでもいい、かつての彼を取り戻しせさるために。
不意に歩美は彼の太腿に跨って、腰を下ろす。
何の真似かというような顔をした彼に、笑顔を浮かべて歩美は一言だけ言った。
重しが必要だと思って………。
私じゃ軽すぎて駄目………?
歩美が幾らか華奢だといっても当然50キロ近くの体重はあり、問題はないはずである。呆れたような表情を浮かべた彼は渋々と上半身を起こし、ゆっくりと腹筋運動を開始しはじめた。これでいいんだろ……?……とでも言いたげな、ふてぶてしく不貞腐れた顔をして。
中途半端に身体を起こしたんではお腹が辛い。なのでまともに起こさざるを得ず、歩美の顔を間近に見るのが嫌で彼は顔を逸らす。それは何も単に嫌なのではなく、彼の性癖が邪魔をさせるのだ。
なぜなら彼の自宅アパートの部屋にあるアダルトDVDは、どれも人妻や素人美熟女シリーズばかりなのだから……。
セミロングだった歩美の黒髪のストレートヘアが十数センチ伸びた影響で、上半身を起こたびに横に逸らした彼の顔に触れる。彼は歩美が美熟女の類だとの認識はあったものの、あの心を見透かすような優しい眼差しが苦手で仕方がなかった。
あの美熟女ナースに惹かれていく自分が煩わしくて、手に入らない存在を目にするのが辛かったのだ。
あれが欲しいこれも欲しいと人並みの願望はあるけれど、道徳心も人並みにある。だからこそ自制ができるというのに、何なんだこの女は……。
身体の上に乗ってくるなんて、何を考えているのか……。
柔らかいお尻と太腿、体温が伝わってくる。頬に触れる髪の毛からいい香りが漂い、鼻腔をくすぐられるじゃないか……。腰に手を着いて、おいおい親指が際どい所に触れてるぜ……。
自分が身に着けてるナース服がワンピースだって分かってるのか……?俺に触れてるのはその下にある下着とストッキングなんだぜ、自覚がないのかよ……?
んっ……?なんだかこの女の体重で太腿に何か、小さく固い物が食い込む感じがする……。
この不快な感じは何だ……?
ぷるぷると腹筋を震わせながら、彼は考えていたけれど、それがまさかセパレートタイプのストッキングを吊るすガーターベルトの一部だなんて夢にも思っていなかった。正確に言えばそれを身に着ける女性にお目にかかる機会がなくて、想像がつかなかったのだ。
そろそろ辛くなってきたんじゃない……?
身体を起こすのは途中まででも効果はあるの……。
ほら、やってみて……?
そういうと歩美は腰掛ける身体の位置を前にずらし、彼の股間の上にわざわざ移動してみせた。
自分の秘裂の下に太く硬い何かを感じても平静を保ち、気付かないふりを続けて見せる。彼の顔に赤味が差してくるのを見て、いじらしくて堪らなくなる……。
自分のしていることが本当に分かっていないのかよ……?
それともかなり鈍感で、天然なのか……?
いずれにしても勃起していることに気付かれていないのなら幸いで、最後まで気付かないでいて欲しかった。
気付かれていないはずはないというのに……。
初日だからここまでにしましょうか、次は腹筋運動でも下腹を少し動かしましょう……。
言うが早いか立ち上がった歩美が身体を反転させて彼にお尻を向けると、顔の横に膝を着く。彼にはナース服に遮られて股の中を覗き見ることは叶わなかったが、間近に接近したお尻が魅力的で、勃起したものを見られていることなんて、頭の外に外れてしまっていた。
歩美に促されて閉じた両足をお尻が浮くまで振り上げ、歩美がその両足を前に押し下げる。これは地味にきつくて、彼は歯を食いしばりながら再び両足を上げなければならない。
ほら、頑張って……もう1回よ………
何がもう1回だ、やってるこっちの身になれってんだ………。
内心で毒づく彼の鼻先に歩美の着るナース服であるワンピースの裾が、くすぐってくる。それが鼻の頭を越えては戻り、それが繰り返されるていくうちに目元までくるようになってきた。
そして国境を越えるように裾が彼の目を越えて、美熟女ナースの白い服が覆い被さっていた。
彼の目はそれは素晴らしい光景を写し出し、言葉にできそうになかった……。
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