夢うつつの中で、アラーム音が聞こえてくる。
布団の中から片腕を伸ばし、枕元の目覚まし時計の解除ボタンを押す。ひんやり冷たい空気に触れて、慌てて布団の中に潜り込む。
もう身体に染み込み慣れたこの行動も、どれくらい繰り返してきたのだろう。おもむろにベッドから抜け出してヤカンに火をかけてお湯を沸かし、コーヒカップにセットした1杯分のドリップコーヒーを口に運ぶ。
カーテンを開けると公園にある銀杏と紅葉の木が鮮やかに紅葉して、寝起きの目を束の間楽しませてくれる。一息つくと着替えとバスタオルを用意して、浴室に向かう。洗面台の鏡を見ながら髪の毛をアップさせて、先に熱いシャワーを出しておいて浴室を温めておくのはヒートショックの防止をするためだけれど、素足を冷たい床に着けたくないからでもある。
歩美はこの寝起きのシャワーをまるで儀式のように続け、身体を目覚めさせるのが日課だった。
最近は脇腹に少し贅肉が着いてきたような気がして、その理由に少なからず心当たりがある。それは緊急避妊薬を服用するようになっだからで、薬の副作用に太りやすくなったことにある。そろそろあれを始めなければと、しまい込んでいたマッサージ機を頭に思い浮かべながら身体にボディーシャンプーを広げていく。
首元から両腕、脇の下から身体の側面、どうにかCカップある乳房に手の平を這わせ、泡の中で色差沈着の変化で茶色くなった乳首が、倒れては起き上がる。乳房のサイズにしては乳首が大き目なのが、歩美はコンプレックスに感じているのだけど、なぜか男性には受けが良いのが未だに理解ができない。
お腹、両足、背中とお尻を順番に泡を塗りたくると再び乳房に戻り、ほとんど無意識に手に包む。
手の平の下で何となく主張をはじめた乳首から甘い感覚が湧き上がり、歩美は手を止めた。この無意識の行動は、生理が近いことを意味している。
歩美が患者の清拭で性欲の解消をはじめたのもこの期間であり、良くないことと認識をしていながらずるずると続けてしまっている。
手を秘裂に這わせると少しだけカニ股になって、表面の大陰唇、内側の小陰唇、溝の中、刺激を与えなるまでもなく陰核包皮を泡まみれにすると、少しだけ剝いて中に素早く指の腹を這わす。心にさざ波が立つ前に指を離すと、泡と一緒にとろりとした粘度のある何がが一塊となって、白い泡にしては5〜6センチの尾を引いて落ちていく……。
排卵期を迎えた身体が子宮から濃い分泌液を排出をし、この時期特有のオリモノとして出ていく。男性には見られたくないし、見せたくもない。
浴室から出ると顔にたっぷり化粧水を染み込ませつつ、保湿を高めるジェルを重ね塗りをする。身体にはベビーオイルを塗ると顔に控え目のメイクをして、ハムエッグとトーストの軽い朝食をお腹に収めていく。といっても今は夕方前であって、今日は夜勤なのだけれど………。
数日に1度は交代制で夜勤を務めなくてはならないのは管理職になってもそれは変わらず、二人一組の今日の相方の顔を歩美は思い浮かべた。自分が組んだシフトだから誰かは分かっており、最近は体調があまり優れない彼女に、無理はさせられないと考えを巡らせる。
帰宅ラッシュ前の電車に揺られながら、何もなければ後輩の彼女を仮眠させようと考えていた。その分は自分が2時間おきの見回りを頑張ればいいことで、それが可能なのが重病患者のいないこの病院であり、救急指定病院でもない中小規模であるこの地域密着型の地方病院の良さなのだから。
夕食の配膳と回収、引き継ぎが終わり数時間後には消灯時間になる。重病患者がいないとはいってもそこは病院である、発熱、咳や吐き気、患部の痛みで眠れない患部には座薬や点滴、あれやこれとやることは発生する。
消灯時間になって最初の見回りが終わる頃になって、ようやく静かな時間が訪れる。そうはいってもいつ何時、ナースコールが鳴るとも限らないのだけど………。
日勤の同僚たちが記録した処理に目を通し、朝まで細かな業務はなくなることはない。歩美たちがいるナースステーションはエレベーターを降りて左に身体を向けると、通路はT字路となる。その突き当りの左角がそうであり、カウンター前に座るナースたちの背後には書類棚と様々なものが、綺麗に整然と並べられている。
もっとも夜間はロールカーテンが下ろされ、棚を目隠しをする。見回りでナースステーションに人が一人になるとカウンター前に座るナースのすぐ背後までカーテンが下ろされ、後ろの空間をなくしてしまう。これは良からぬ考えを持つ患者による事故防止の観点で院長が考えたことで、効果のほどは甚だ疑問であり、これまで事故はまだ発生していないのだけど。
2度目の見回りが済んで日付が変わる前に、後輩を仮眠室で休むように促す。真面目な彼女は自分だけ楽をすることを良しとせず歩美に食い下がったが、若い頃は自分もそうやって先輩に育てられたのだと言うと、何があれば起こすようにと言い残し渋々仮眠室へと入っていった。
しばらくして様子を見ると彼女はやはり疲れているのか泥のように熟睡し、彼女を起こす事態がないことを祈りながら歩美はナースステーションへと戻ることにした。
午前2時を回ったころに、なにか物音が聞こえた気がして歩美はペンを止めて顔を上げた。すると肩と腕を繋いでいた器具を取り去る手術を終えたあの16歳の患者が、眠れないというのだ。彼は本来ならもう外来で通院すればいい状態であり、リハビリに通えばいいのだけれど入院に拘っている。
医院長とすればそれは患者側の希望であり、その我がままは病院にとって何ら被害はない。むしろ高額の個室を使ってくれるので、金持ちのドル箱にできるだけいて欲しいとの本音が透けて見えていた。
歩美は懸念していたことが、頭を過る。女医である雅子に釣られて自分も参加してしまったあの3Pの、めくるめくセックスの味を彼はこの若さで覚えてしまったのだ。
あまりにもショッキングな出来事であり、逃げたくても逃げることのできない地獄と紙一重………。
終わりの見えない、狂気じみたあのセックス……。
忘れられられるはずは無い………。
ここしばらくは静かになっていたけれど、時間が経って気持ちも身体も回復してくると若さが物をいう。そろそろ射精をしたくて、身体が疼きはじめたのかもしれない。女の自分だって生理前後は堪らなくなることがある。男性の生理現象、特に若者のそれは、熟女の性欲と肩を並べる強さだと何かで目にしたことがある。
だとすれば、あまり刺激したくはない………。
どうしたの………? 消灯時間なのは分かるわね?
眠れないんだよ……いけないと分かってるけどさ、今日は歩美さんが夜勤だから顔を見たくてさ……。
彼は人前では副看護師長の歩美を名前で呼ぶ無粋なことはせず、2人だけになるとこうして距離の近さを確認するように名前で呼んでくる。
困ったわね、立場上は病室に帰らせなければならないのは分かるでしょ……?
うん、分かってる……困らせる気はないんだ……。
ただ、何ていうか顔が見たいというか、少し喋りたくてさ………。
歩美はこの少年が下心を抱えているのか判断がつかず、甘えてくる人懐っこさが可愛く思える自分がいた。
少しだけだからね………。
歩美は彼にそう伝え、少しの間だけお喋りをする時間を許してあげることにした。
何を話題にどう会話をしただとか、特段に記憶はない。それほど他愛のない会話だったはずで、まるで教師と生徒のように日常的な接し方だったはずなのだ。
それが、あんなことになるなんて………。
誰かの足音が近づいてくることに気付いた。2人は足音のほうに顔を向け、それが患者の一人だと分かった。自動販売機にでも行くのか、そのためにはナースステーションの前を通過しなければならない。
消灯時間なので当然注意を受けるわけで、大目に見てもらうために、言い訳を考えていることだろう。そこで少年がいると注意をしても説得力がなくなり、やり辛くなる。本当はいけないのだけれど少年をカウンターの中に招き入れ、しゃがませると声を出さないようにと歩彼にいい含めた。
やがてバツの悪そうな顔をして片足を引きずりながら、その中年患者がやって来た。元来の話好きとあって頭を掻きながら、彼は世間話からはじめだした。
いやぁ~今日も綺麗ですね、副看護師長さん……。
その手には乗りませんよ、○○さん……?
どこにお出かけですか……?
いやぁ~ちょっと下の自動販売機にね……。
そんなこと言って、また喫煙所に行くんじゃないでしょうね………?
あっ、やだなぁ〜……副看護師長には嘘がつけないか……あははは……
そんなことだと思ったわ、この前も没収したはずだけど……?
そんな堅いこといわないでさぁ、ねっ、少しだけだからさ……
まったくもぅ、懲りないんだから………
歩美もできることなら没収をするようなことはしたくない。お喋りをすることで気が済むのならその方がいいと、しばらく付き合うことにした。
あれこれと会話を5分ほどしていただろうか、しびれを切らしたらしい少年の手が、足に触れるのに気付く。顔は中年患者に向けて会話を続け、さり気なくカウンターの下では少年の手を振り払った。
けれど彼は頑なに止めようとはせず、どこでこんなことを覚えたのか膝にキスをしてきた。力ずくでは膝を開かせることはできないと知り、攻め方を変えてきたのだ。歩美の神経は中年患者ど少年に分散し、患者を喫煙させないように引き留めたくて表面的な会話を継続させる。
なんということか、少年は膝から脛に唇と舌を這わせ、身体にぞわぞわと鳥肌が粟立つ。歩美はこのソフトな愛撫に弱く、膝の力が抜けていくのを良いことに左右に開かれていく………。
元々椅子に浅く腰掛ける癖のある歩美は難なく彼の顔を受け入れてしまい、口と鼻が押し付けられるのが分かった。2人の熟女に弄ばれたあの日に知ったセックスに、女医の雅子に否応なくクンニをさせられた経験は、彼に歪んだ性癖を生ませてしまったのかもしれない。
彼の舌に下着の上から舐めれる感覚に、何かが呼び起こされていく。歩美が話に付き合ってくれるのが嬉しい中年患者は、会話を終える気配が見えず、だからといって邪険に扱うこともできない。
彼の唾液で湿った生地が秘裂に張り付き、唾液とは別の女の興奮した臭いが漂いだす。愛液の分泌でしっとりしたクロッチが、彼の手で横にずらされる。彼は女医よりも毛深くて卑猥な性器を目にして、秘裂を指で開くと粘液の溜まったそこに唇を押し付けた。
中年患者が顔を背けたタイミングで歩美が身震いを見せ、両手で少年の頭を押しやるけれど、彼の舌は動き続ける。愛液を啜りながらクリトリスを攻め、弄びながら舌先で転がしてくる。両手で太腿を固定されては逃げられず、彼の顔のすぐ横で歩美は自ら肌に爪を食い込ませていく………。
お尻と太腿の筋肉が硬直と弛緩を繰り返し、肛門がひくひくと収縮する。少年は音を出さないようにクンニを続け、さすがの歩美も我慢ができなくなりそうだった。
目を潤ませて話を聞いてくれる副看護師長の態度に気を良くした中年患者は、なかなか病室へ戻ろうとしてくれない。包皮を剥き舌先で突かれるたびに歩美はカウンターの上で指を震わせ、唾液を飲み下す。堪らずに椅子から立ち上がり、歩美はカウンターに肘をつく姿勢に逃げた。
身を乗り出すように話を聞いてくれるのがよほど嬉しいのか、中年患者の話が止まらなくなる。
普段は忙しく立ち回る人がこんなに懐の深さを見せるのだ、暇を持て余す患者にとって嬉しくないはずはない。
これで諦めてくれるに違いない、歩美はそう安堵したのは時期尚早で考えが甘かった。少年といえばカーテンの裏側に回り、歩美の下半身を自分の側に引き入れていた。ゆっくりとナース服の裾を持ち上げてお尻を露出させ、それを阻む歩美の手を何度も払い落とす。
きりがないのでショーツを横にずらしてペニスをあてがうけれど、腰を揺らして標準をずらす歩美との攻防が始まった。歩美は左右の膝を交互に曲げて位置をずらし、少年は必要に腰を捕まえて攻めに転じ続けていく。
歩美にできることには限りがあり、その同じ動きにパターン化していく。本来から運動神経も動体視力も良い少年にとって、それは深刻な障害にはなり得なかった。歩美がハッ……っとしたときには膣の入口にカリ首までが沈み込み、苦痛とともに甘〜い感覚が押し寄せてくるのが分かった……。
息が詰まるのを呼吸を止めてやり過ごし、奥に到達してからゆっくり息を吐き出して誤魔化す……。
歩美の目の前の中年患者が気付いた様子は見られず、挙動不審にならないよう努めて平静を装わなければならない……。
歩美の背中に冷や汗が流れ落ち、引き抜かれていくペニスが奥へと進んでくる感覚に神経が引き寄せられる。すぅ~っと引かれ、にゅ〜う〜っと迫りくる。少年もこの状況を気付かれたくないのは同じであり、ことを冷静に進めながら膣壁の感触を楽しむ余裕を見せている。
にゅ〜っちゃっ…にゅ〜ちゃっ…にゅ〜ちゃっ……
温もりを伴った泥濘みがペニスに絡みつき、声が出そうになる。
歩美も視線が一点に集まるようになり、温和でいながら切なげな眼差しをだすようになっていく。
カウンターの下では片方ずつ膝を曲げ、気持ちを分散させようと努めるけれど焼け石に水………。
若い彼のペニスは硬く逞しく、入口から奥まで余すことなく刺激を加えていく。深く浅く、速度を早めかと思えばゆっくりになり、掴みどころがなく翻弄されていく。
ぬっちゃっ…ぬっちゃっ…ぬっちゃっ…ぬっちゃっ
まろやかで緩やかに高まる感度が歩美の口数を減らし、内股になった膝が震えてわなわなと揺れ動く……。
にゅりっ…にゅりっ…にゅりっ…にゅりっ…にゅりっ…
開きそうな口、唇を舐めることでやり過ごす。
脇の下と内腿に、じっとりと汗が滲み出る。
吐息が震え、どうしても眉根が下がってしまう。
官能的な甘さの中を漂い、患者の話が耳を素通りしていく。
不意に少年の腰の躍動が止まり、射精特有の仕草に変わったことで、その事実を歩美は知った。
それなのに、歩美は長い吐息を吐き出さなければならなかった。
再び少年の腰が、前後に動き始めたのだから。
副看護師長の憂鬱はまだ、終わりそうにはなかった。
※元投稿はこちら >>