家の中に入ると「こっちへどうぞ」と言う林田さんに招かれリビングを抜け家の奥の部屋へ通された。
その部屋は10畳間くらいだろうか、部屋の置くに机があり手前にソファーとテーブルがある林田さんの書斎の様だった。
「須藤くん。どうぞ」ソファーへ座るよう促され僕は腰を下ろした。
(高いソファーなんだろうか。座り心地がいい感じだ)少し緊張もしてたのかそんな事を考えていると林田さんが話を切り出してきた。
「実は須藤くんに頼みがあるのです」「どうしたんですか林田さん」突然敬語で目上の林田さんから話かけられ少し驚いた
「いや、ちょっと込み入った話です」「うーん。林田さんいつもの調子で話しましょう。私も大屋さんに畏まって話されると緊張します」
「・・・うん分かったよ須藤くん」「どうしました?」「実はね。家の馬鹿息子の嫁のみなさんのことなんだけどね」「はい」
「実は頻繁に私からお金を借りていてね」「・・そうなんですね」心の中で面倒なことになりそうな予感がして思わず顔に出ていたと思う
「理由は実家が困っているとか、弟が事故にあったとか言うのだけれど、借りる頻度も多いし、さすがに変に思っていてね。こんな事は頼みづらいのだけど、
須藤くん。少し調べてくれないか」「調べる?」「そう。非番の日とか、須藤くんが動ける時に私が連絡したら後をつけてもらうとか」
「うーん。そんな事言われましてもね」「もちろんただでとは言わんよ。アルバイト代として20万でどうかな」単身赴任でカツカツな生活を送る僕に
こんなに魅力的な人参は無いが面倒臭い「林田さん。それなら私じゃなくてプロの探偵さんを雇われたらいかがですか?」
「須藤くん。私は結果がどうあれ大事にする気は今のところないんだ。ただ君に軽く調べてもらいたいだけだ」「はぁ・・」
「もちろん。調べた結果まずいことになりそうならその時は本格的に動こうとは思っているけどね」(本格的に動くってなんだろう?金持ち怖っ!)
「たいしたことはできませんし、休みや非番日にしか動けませんよ」「うん。それでいいよ。」そういって林田さんは茶封筒に入ったお金を差し出してきた。
お金を貰ってしまった以上はやるしかないな・・・僕は少しこまかな段取りを話した後林田家を後にした。
続く
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