「待たせたなー、今帰ってやったぜ!」
けんたは相変わらず軽薄そうな笑いを浮かべて共有室に戻ってきた。
しかし全員が怪訝そうな顔で彼を見つめた。
壁のタイマーを見ると、モノの数分しか経っていなかった。
「えらく早い帰りだったが……もう終わったのか?」
こうたが聞くと、けんたの息遣いは荒く、体全体から濃厚な淫らな匂い——女の愛液と精液が混じった甘ったるい臭いが漂っていた。
明らかに何時間も激しくセックスをしていた匂いだ。
(……時間の流れが違うのか?)
こうたが内心で疑問を抱いていると、けんたはニヤニヤしながら答えた。
「それよりも誰としてきたんだ?」
「それを言って俺になんの得があるだ?」
けんたは素っ気なく言い返し、にやりと笑った。
誰かに先に入れ知恵されたな——こうたは先にけんたを行かせたことを内心で後悔した。
その時、再び施設全体にてんしの無邪気な声が響いた。
【てんしちゃんだよー♪】
【けんとくんお疲れ様〜♪
凄いセックスだったね〜笑
てんしちゃん、見てて興奮しちゃったー♡】
「おめー覗き見すんじゃねーよ」
けんたは悪態をつきながらも、どこか嬉しそうな顔をしていた。自分のセックスにかなりの自信があるようだ。
【ではでは発表しますね〜♪
けんとくんが抱いた女の子は……
痴女ではありませんでした〜笑
けんとくんは蝶々3匹没収でーす!】
けんたの足首の辺りから、黒い蝶が3匹、ふわっと浮かび上がった。
蝶はゆっくりと宙を舞いながら光の粒となって消えていった。
「おっ、こんなとこに蝶がいてたのか」
けんた自身も、自分の体に蝶が宿っていることを今初めて知ったらしい。
それでも彼は特に動じず、薄ら笑いを浮かべながら言った。
「まっ、まだ2匹もいてるしな」
そう言い残すと、けんたは部屋の壁まで歩いていき、ドカッと腰を下ろした。
余裕の態度を崩さず、まるで何事もなかったかのように足を投げ出している。
こうたは静かに目を細めた。
(……時間の流れが歪んでいる……これはただのゲームじゃない)
共有室に、再び重く甘ったるい沈黙が落ちた。
次の順番を待つ男たちの間に、微かな緊張と猜疑心が広がり始めていた。
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