(4)
菊池。触るぞ。罪の意識に苛まれながらも、俺は両手でふたつの乳房を鷲掴みにした。
うわぁ! 柔らかい! しばらくは揉むだけだったが、指先で乳首を捏ね繰り回す。何か、気持ちいい。癖になりそうだ。乳首の勃起が、手に取るように分かる。
「あっ!」
乳首を強くつまむと、そこから全身に電気が走ったような感覚に陥り、ビクッと身体が震えた。
ベッドに腰掛けて股を開き、ワレメを指で触る。クリトリスを弄くると、最初は違和感しかなかったが、少しずつ気持ち良くなる。淫穴に指を入れ、掻き回すようにゆっくり動かす。気持ちいいのかどうか分からないが、続けるうちに止められなくなってきた。
「あぁ……」
右手の指で淫穴を慰め、左手の指で乳首を虐める俺。思わず、熱い吐息を声にしてしまった。もちろん、身体は香澄の身体だから、声も香澄の声だ。
ああっ! 気持ちいい! 一瞬、目の前が真っ白になり、何かが全身を突き抜けた。
これが、女のオナニーなのか。一気にテンションが下がる男のオナニーとは違い、その余韻がしばらく残る。
やっちゃったよ。でも……。菊池は、いい……って言ったんだからな。そんな言い訳をしながら、俺は身繕いをする。ブラジャーとパンティを着け、勉強机の椅子に掛けてあったセーターとジーンズを身に纏う。
ん? 今更ながら、ベッドの枕元に何かを見付けた……と言うより、やっと周囲を見回す余裕が出てきた。
白い紙袋に青い文字……。まさか! 思ったとおり、処方箋だ。生理痛の薬と判断した俺は、中身を確認する。
頭痛、腰痛、吐き気、腹痛……って。何だ? これは! 薬が、四種類も。想像するのも、怖くなってきた。
生理痛が辛いことは、充分分かった。問題は、いつ襲ってくるか……だ。歯医者で、先生が見たことも無い器具を目の前で並べる。そのときの心境に似ている。
「香澄! 夕飯の支度、手伝ってちょうだい!」
「はぁい!」
一階から聞こえた母親の呼び掛けに、迂闊にも返事をしてしまった俺。どうするんだ? 夕飯の支度なんて……、手伝ったことないぞ。
しかし……。返事をしたからには、行かない訳にはいかない。恨むぞ! 菊池! 心の中でそう叫び、俺は一階に下りる。
※元投稿はこちら >>