見知らぬ街を歩くのは、新鮮だった。
遥か向こうにはお城の天守閣、街並みはどことなく城下町の名残を随所に残しながら、新旧の建物が混在する造りになっている。
前の晩に新幹線で前乗りしたときにはもう夜だったので、朝になって素敵な街の景色に真由美はびっくりしていた。
一晩だけの出張だけれど、家族には前もって多めにビーフシチューと鶏の唐揚げを山盛りに作っておいた。朝からカレーでも平気な男たちだから、朝食は残り物とトーストでも平気だろう。
真由美はいつものルーティンのジョギングに出ていた。いつもとは違う景色を見ながらお掘りの周囲を走るのは新鮮で、スポーツサングラスの奥の目を輝かせて最高の気分だった。
帰り道の途中で立ち止まり、入念なストレッチを開始する。身体を伸ばし、屈伸を繰り返し、左右の脚を伸ばしていく。これをするのとしないのとでは雲泥の差があり、後で困ることになる。
そんな真由美の姿を見詰める男性がいることに、真由美に気付く素振りは見られなかった。
インターハイまで経験のある身としては、身体を動かさないと気持ち悪くてその日一日の調子がでないというものだ。出張先にもジョギングセットを持ち込み、彼は汗ばむ爽快さを楽しんでいた。
ふと見ると前方に運動直後のストレッチをしている女性の姿を捉え、この地で出会った同類の女性に親近感を抱いていた。
肩足を伸ばし、今度は反対側の脚を入念に伸ばしている。立ち上がって上半身を撚って伸ばし、そのプロポーションの良さに目を見張った。
普段は見知らぬ人に声をかけることはしないが、同じ趣味を持つ人には人見知りがなく、思わず声をかけてしまう天邪鬼ぶりを発揮させていた。
おはようございます、今日は終わりですか……?
突然声を掛けられた真由美は立ち上がって、声の主に顔を向けた。スポーツサングラスを手にとって満面の笑顔で、こう答えていた。
地元の方ですか……?私この辺の人じゃないけど、毎朝走ってるから、つい今日もね……。
出張で来ているんです……
真由美も同類とあって相手の男性に、思わず気さくな口調で答えていた。素敵な朝に素敵な男性と出会うなんて、それだけでも気分がいい。
けれども笑顔を浮かべていた男性の様子が、みるみるうちに変わっていくのを見て、何か粗相でもしたのかと不安になっていく。
彼もまたスポーツサングラスをしており、それを手にゆっくりと取ると、あの満員電車で秘密の営みを繰り広げた相手だったことに動揺を隠せなかった。
彼は顔を真っ赤にさせてこちらの顔をまっすぐに見ることもできず、スパッツの前がどう見ても大きくさせているではないか。
真由美も恥ずかしくて何を話していいのやら思いつかず、なんの因果でこの地で再会することになったのか、身体がまた熱くなっていた。
彼は真由美が泊まっているビジネスホテルとは違う、いくらも離れていないビジネスホテルに泊まっているのだと教えてくれた。真由美は今日の夕方には帰るスケジュールだが、彼は2〜3日の滞在らしい。
もう……いけない女ね……
ホテルのシャワーで汗を洗い流しながら、彼とのひと時を思い出していた。必死に射精を我慢しながら腰を動かし続ける彼にしがみつき、あっという間に時は流れ去っていた。
結局彼は射精には至らないまま名残惜しそうな顔を真由美に向け、電車を降りていったのだ。
真由美としても不完全燃焼に終わり、次があるのかどうかもわからないまま悶々としていたのだ。
先方との仕事を終えると、食事でもと熱心な誘いを受けてしまった。昔気質の社長はどうしてもこの地の郷土料理を食べさせたいらしい。丁重に断ることもできたが、会社に報告すると明日は午後からの出社でいいとお許しがでてしまった。つまりは期限を損ねないよう、お相手をしてこいということである。
真由美は溜め息をついて新幹線のチケットを取り直し、嬉しそうに我が街の自慢の料理を振る舞う社長の相手をする羽目になってさしまった。
昔は酒豪だったという社長も老いには勝てず、彼の側近に抱えられながら社用車に詰め込まれで帰っていった。好感が持てたのは側近の男性で、彼は息子だと名乗りながらうちの親父がご迷惑をおかけして……と、申し訳なさそうに父親である社長を連れ帰ってくれたことである。
昔気質の社長だから変なことにはならないだろうとは思ったけれど、ほろ酔いの真由美は涼しい夜風に当たりながら、彼のことを考えていた。
連絡先の交換もせず、ビジネスホテルの名と部屋の番号だけを知らされたのだ。つまりは彼に会いたければ直接尋ねなければならず、その意味するところは明らかだった……。
一度はわざと通り過ぎたビジネスホテルの前を、意を決したように真由美は戻った。彼が泊まっているはずのドアの前に立ち、軽くノックをする。
時間が時間だから寝ているかもしれず、そうであればホッとしながら帰ることができる。
けれど、ドアは真由美の前ですぐに開いていた。
熱い包容で迎えられ、真由美の制止に聞く耳を持たなない彼にベッドへと押し倒されていた。荒々しくシャツブラウスのボタンを外され、脱がされないままブラジャーをずらしただけで乳首に吸い付いてきた。
こんなふうに求められたのは久しぶりのことで少し怖かったけれど、彼のひたむきな愛撫は真由美をその気にさせるには十分だった。
明かりを落としてくれているけどもありがたかったし。シャワーも浴びさせてくれない彼を変態呼ばわりをさせることは新鮮だった。
真由美は久しぶりに、心から興奮していた。
下の名は真由美だと教えてくれていた。電車の中で密着されていたときから豊かな胸をしていると分かっていた。ブラウスの前を開き、黒のレース仕立ての透けたブラジャーに惹かれた。あの日に身に着けていた下着が同じかどうかは分からないが、それをずらして暗がりでも分かる乳首が、色が濃く大き目だということが胸を踊らせた。
舌で弾けば弾くほど存在感を増し、くねくねと首を振る乳首をがむしゃらに吸い続けた。明かりを落とした狭い部屋に艶めかしい掠れ声と、身動ぎをする布ずれの音だけが静寂を薄めていく。
スカートを脱がすのではなく捲くり上げ、あの日と同じガーターストッキングをそのままに、フラとお揃いの一部が透けたショーツを引き下げた。
あの日の手触りで想像はついていたが、実際に見る剛毛には圧倒されそうになる。恥じらいを見せて閉じてしまった脚を再び広げ、迷わずそこに顔を埋めていた。
尿とチーズが混ざった発酵臭の中に、饐えたような濃厚な女臭が同時に鼻腔へなだれ込んできた。
それだけでペニスが痛いほど勃起を果たし、すべてを舐めとる勢いで舌を這わせていく。
じゅるるっ…ちゅるっ…くちゅくちゅくちゅっ……
真由美の腰が跳ねる、捩れて浮き上がらせ、うねうねと動き回る。秘唇の内側の掃除が済むと、分かってはいたが小指の先ほどもあるクリトリスに吸い付いた。
既に半分ほどが包皮から顔を出し、唇で押し上げるだけでカリ首までを包むことができた。女性のクリトリスのカリ首なんて、感動だった。
あっ!…んっ…んんっ………あっ!あっ!……んっ!……
明かりを落とした暗い部屋に、真由美の歓喜する喘ぎ声が静寂を切り裂いていく………
今夜は僕だけのものだ、貴女を抱くのが夢だったんだ………
真由美の膣口からは新たな分筆液が溢れ、艶々とした妖しい光を放っていた……。
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