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9
投稿者: 18禁ダンゴムシ
ID:dango64
9.窮地

藤さんの車で1時間弱走らせて着いた神社は大きな鳥居と荘厳な社を構えていた。

界隈では有名な神社らしい。

優しそうな初老の神主さんは僕を見るなり、顔つきを変えた。

「何をしたらそんな厄災を背負う事になるのか!?」

そういうと神主さんは、僕の話を聞くともお祓いも拒否した。

藤さんが頑張ってお願いをしてくれたが、神主さんは払う事は無理だと頑なに言い張った。

しかし、代わりに別の神社を紹介してくれた。

「ごめんね。」

神社を後にする時に藤さんは僕に謝った。

「え、違うよ。謝らないで。悪いのは僕だから、、。僕の方こそこんな事に巻き込んでごめん。」

藤さんは少し顔色が悪く感じた。

紹介された神社をナビでセットするとここから2時間かかる山奥である事が分かった。

藤さんは躊躇うことも無く、紹介された神社に向かってくれた。

僕は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「さっきさ、、神主さんが厄災って言ってたでしょ?」

不安そうな顔の藤さんは緊張気味に言った。

「もしかしたら、悪霊とかの類いじゃないのかも、、、。」

「それって、、、」

僕は考えを巡らせようと思ったが背筋が凍った。
何が僕に取り憑いてるのかは分からないけど、想像よりも恐ろしい物がついているのかもしれない。

時刻は20時を周り、外は真っ暗闇だ。
ようやく着いた神社の駐車場には既に神社の人が数人立っていた。

どうやら、先程の神社の神主さんが連絡を事前にしてくれていたようだ。

待ってくれていた人達に案内をされる。

だいぶ歴史のある神社のようだが、先程の神社の様な神々しい感じはしない。

本堂と言う所に通されると、神主とおぼしき人が座って待っていた。

正面に座るように促されて僕は座った。

案内してくれた人達は、何やら色々準備をしている。

ご高齢の雰囲気の神主さんは仏頂面を崩さずに、僕の説明を聞いてくれた。

一通り話し終えたあと、やはり仏頂面を崩さずに神主さんは口を開いた。

「お付の方が賢いですね。お寺では無く、神社に来たのが正解でした。これはそこら辺の霊とは違う。神とか妖怪の類いの様だ。」

藤さんを見ると、藤さんは何も言わずに真顔で神主さんを見つめていた。

「しかし、理解できない。何故こんなにも物騒な物に取り憑かれたのか?
原因が分からない状態でのお祓いは相当厳しいのです。事態を悪化させる可能性もあります。」

「さらに不運なのは、今がもう漆黒も深い夜ということ。お連れの方にも見えているでしょう?彼の背中に恐ろしい姿で憎しみの目で恨めしく笑う女の姿が。」

僕は驚いた。体調は悪くないし自分では何も感じない。だが、神主さんには見えているらしい。
そして藤さんにも。。。

「はい、、その前に行った神社の時から、、。
でも、姿は見てません。見たら私まで何かよからぬ事をしそうな気がして、、。直視できないです。」

だから、藤さんは顔色が優れなかったのか。
長距離の移動でも、夜遅くなっていても、僕をここまで連れてきてくれたのは、そういう事なのだ。

「やはり、賢明な方ですね。目を合わせれば貴女も殺されていたでしょう。」

藤さんは緊張気味に言った。

「多分、私たちがお祓いをしようと考えて行動したことで、取り憑いてる物の怒りを買ってしまったんじゃないかと思います。」

神主さんは顔色ひとつ変えずに仏頂面で頷いた。

「でしょうね。話を聞く限り、だいぶ時間をかけて彼の生力をそいで来た。呪い殺す日を待ちわびていた所に邪魔をされたとなれば。。。」

僕は神主さんの話に不安になってきた。それに伴って背中が重苦しくピリピリと痛む様な気がしてきた。

気のせいなのか、それともあの女の仕業なのか、それは分からなかった。

「ハッキリ言って理由が分からない限り、私にも祓う事は無理に近いです。」

神主さんは無機質に答えた。
僕はその言葉に絶望した。地面がないようなふわふわとした感覚が襲う。

「あの、、もし原因が分かったら祓えますか?」

藤さんが神主さんに聞いた。

神主さん、初めて表情を作り、目元をピクつかせて藤さんの方を向いた。

「なんとも言えませんけど、原因が分かれば祓える可能性は高くなります。それしか言えませんね。」

藤さんは、深くため息をついて「分かりました。」と一言だけ言った。
そして、僕の方を見ずに僕に対して問いかけた。

「佐藤くん、一つだけ原因がわかる方法があるの。それなりにリスクはあるけど、、どうする?」

僕は驚いた。そんな方法あるの?
是非、原因が知りたい。

確かに藤さんは不思議な人だ。電話をしてから今の今まで物凄い頼りになり、支えになってくれている。本当に感謝してるし、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だから、

「リスクって、、それは僕の?藤さんの?」

聞かずには居られなかった。
リスクが僕にあるのなら、どうせ死ぬかもしれない状況だから喜んでYESと答える。

でも、もしリスクが藤さんにあるのなら、、、。

僕の質問の意図に気づいたであろう藤さんは笑顔を作って答えた。

「こんな状況なのに優しいね。
両方にあるけど、どちらかと言うと私にリスクがある。」

「それなら、僕は辞めとくよ」

藤さんは首を横に振った。

「私のことは心配しないで。というか、この際だからハッキリ言うけど、佐藤くんが殺されたら次のターゲットは私だと思う。そんな気がしてるの。」

藤さんは僕の方を振り向いた。
思わず驚いた顔をしてしまった。
(ダメだよ!こっちを見たら良くないんじゃないの!?)
心の中で思った。それを言う前に藤さんが口を開いた。

「ここまで来たら最後まで付き合うから、あとは佐藤くんが決意して」

藤さんのその言葉に、まっすぐ見つめる瞳に僕は内心はまだ決意出来ていなかったのに、自然と頷いていた。

藤さんはニコリと笑い、顔を寄せ、静かに唇を重ねてきた。

驚く間もなく、不思議な感覚が襲った。
忘れていた大学生の頃の鮮明に過去が蘇る。走馬灯のようだ。

藤さんが唇を離す、その瞬間、どっと冷や汗をかいた。

藤さんは唇を離したあと、ゲホゲホと咳をしながら嗚咽していた。

僕が藤さんに大丈夫かと声をかけようとするのを、藤さんは手を出して止めた。

「ゴホッ、、ゴホッ...、、ハァハァ。だ、大丈夫。」

神主さんは目を見開いて一連の流れを見ていた。

藤さんが落ち着いた頃に、漸く話し始めた。

「今、、キスをして、、女の感情とその起因となった佐藤くんの過去が、、、見えました。今からそれを、、話し、、、、ます。」

※元投稿はこちら >>
25/02/10 17:00 (h4Zm7pGt)
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