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主と従(仮)
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:主と従(仮)
投稿者: 霧迷
「山本さん」
17時を10分前に声がかかった。
この時間に部長から呼ばれるなんて嫌な予感しかしない。
「SIMANO興産本社の見積もりの件、至急まとめてくれないかな?」
「え?だってそれ前に、変更あるから保留だって…」
「いや、実はさっき先方から電話あって、まだ何も決めてくて、来週は重要な会議があるから、変更なしでそのまま進めて下さいって連絡あってさ、できれば明後日には受け取りたいんだとさ。」
「えー?そんな急に…」
「言いたい事はわかってる。俺も今日は一緒に付き合うから、な?古いお得意さんだ、たのむよ」
ほら…
年下の部長…
私は平社員…
やるしかない…か…
うちの会社は残業した所で残業代がつくわけでもないし、何のメリットもない。
残業していい事なんて何もない、定時に上がって家でビールを飲むのが一番の楽しみなんだよ。
―――――――――――――――――――――――――――
長い残業を終え、電車を降りて駅を出でる頃はもう辺りは真っ暗、田舎の小さい駅は既に開いてる店はどこもなく、目の前のコンビニの明かりだけが煌々としている。コンビニで500mlの缶ビールを買い、ポケットから取り出したスマホの時間を確認すると、もう21:50を表示していた。
さすがに9月も終わりに近づくと少し涼しい。
30年くらい前は9月ともなると肌寒かったのに、まさか温暖化でここまで環境が変わるとは思いもしなかった。
それでも周囲からの鈴虫の鳴き声で秋らしを感じる。
駅前からまっすぐ歩いて4車線の大通りに出ると少し街明かりがある
その信号を渡り、小さな定食屋と公園に挟まれた道を進むと左側の大きな公園を沿うようにアスファルトの細い道が続いていて右側には閑静な住宅街が広がっている。
普段から人通りは少ないが、こんな夜更けともなると、人通りがないどころか、物音すらしない、街灯も少なくライトでもないと道すらよく見えない、ただ真っ暗闇の公園から鈴虫の鳴き声が3Dで迫ってくる。
夏場ならこんな時間でも公園の表通り側ではテントを張り、酒盛りして騒いでる連中が何組もいるんだが、さすがに秋めいてくるといない様だ。
もっとも表通り側と違い、こっち側は駐車場がない為、公園の裏側は散歩する人以外はほとんど人気がない
普段は夜中にこの道を歩く事がないので新鮮な感じで気持ちがいい。
秋の夜の匂いを楽しみながら歩いていると公園の街灯の下のベンチに目がとまり、若い時にこの公園で夜に仲間達と女の子連れてバカ騒ぎしてた頃を思い出す。
懐かしくなり、公園に入りベンチに腰を下ろした
ジトジトとした暑さに喉の渇きを感じて待ち切れずにビールのプルトップを上げた
歩きながらゴクゴクと喉にビールを流しこむ…
ゲフッ…
ワイシャツのポケットに入っているタバコから1本だけ取り出して火を付けた…
目を閉じて夜風を感じながらタバコの煙を吹き出す…
懐かしいな…
辺りを見回すと後ろのトイレの壁にうっすらと残る落書きを見つけた。
「あ、あれ…」 
昔に友達と描いた落書き…飲み干したビール缶でタバコを消してベンチに置き、落書きに近づいてジッと見つめながらニヤけていた…
文字を指先でなぞり、トントンと指で叩いた。
尿意をもよおしてる事に気づいた私は用を足そうとトイレの目隠しの壁を回っていくと、ジャリ…と靴がコンクリートを擦る音がし、次の瞬間、真っ暗な静寂なトイレから誰かが出てきた
 
2025/08/27 22:16:49(LMRv5s7B)
22
投稿者: 霧迷
ハンドバック作りは思うほど、簡単ではなかった…うまく型紙が出来てなかったせいか、イメージ通りに合ってくれなくて、修正ばかりでなかなか進まない。
試行錯誤しながら夢中になっていると、ダーン!
ダダーン!!と地響を感じる様な大きな音がした。
思わずカーテンを開け外を見ると、眩しいくらいの緑とピンクの火花が丸く静かに散った後、遅れてまたダーン!と大きな音が鳴った。
「わぁ。綺麗…」
続けてヒュルル〜と光の筋がもっと高い位置まで上がりパッと弾けるように、緑色の光の粒が散ってさっきの倍くらいの球体を作った
ダーン!
真っ暗の公園が一瞬明るく照らされた。
「わぁ…すごーい」
毎年恒例のお祭りで公園の表通り側はたくさんの出見世が立ち並び、池の近くに設置された小さなステージでカラオケ大会が行われる。
花火の打ち上げは、このお祭り一番の見せ場で池の周りから1000発を10分程度で打ち上げ、打ち終わりと同時にお祭りが終わる。
夏の恒例だったが、猛暑の影響を受け、近年は秋に行われていた。
チラシは目についていたけど、今日とは知らず、思いがけないサプライズだった。
私は久しぶりにベランダのガラスを開け、時間も忘れて花火に目を奪われていた。
打ち上がる度に「わぁ」「すごーい」と声を上げ、笑顔になる。
そして3本の光の筋をポカンと口を開いたまま目で追った。
ヒュルル〜と一番高い位置まで上がり、スッと消える。
その直後、静かに光の粒が弾け、今日一番の大きなオレンジ色の花火が3つ重なり開いた。
公園は昼間の様に照らされ、パチパチパチパチと音を立てながら花が散るように光が落ちて花火は終わった。
――――――――――――――――――――――――――――
最後の花火が公園を照らした瞬間…途切れた生垣の上に靴らしい物が見えた。
ここから、生垣まで、せいぜい7,8メートルくらいしか離れてない為、2階からなら靴のサイズくらいの物はよく見える。
あの日、片方だけ無くした靴はパパが大学合格祝いにくれたお気に入りのベージュのバレエシューズ。
後日、ベランダから生垣を見た時は、あそこには何もなかった…
本当に無くした靴かな?
誰かが見つけて置いた?
公園管理の人?
片方だけになったバレエシューズはあの日の出来事の戒めとして捨てずに片方だけ置いたままになっている。
嬉しい気持ち半分、奇妙で怖い気持ち半分。
本当に無くした靴かどうか確認してみたい…
数秒考えた後、お気に入りの靴だし、見つかったのなら嬉しい事だからと部屋を出て裏口へ歩いていった。
裏口を出て生垣へ向かう…
普段は暗く人通りのないこの道も、お祭り終わりでこの辺りの住宅街の住人がちらほらライトを揺らしながら、私と逆方向にすれ違っていく…
足早に人の流れに逆行してた私は足は急にかけられた言葉に硬直した。――――――――――――――――――――――――――――
私に気づいて声をかけてきた人…
「おー美月ちゃんじゃない、最近は見かけないねーどうしたの」
笑みを浮かべて声をかけてきた人はマキちゃんのお父様…
生唾をゴクリと飲み込み、唇が震え言葉が出ない…
「また戻るの?忘れもの?」
マキちゃんのお父様は忘れ物をして公園に戻ると思っているらしい…
靴の事?あの時無くした事知ってる?
一瞬どう言う意味かわからず混乱する。
言葉の詰まる私に立て続けに話してくる。
「あんな遠い所から歩いてきたのかー」
「え…あ…はい…」
マキちゃんのお父様は私が一人暮らしと言う事を知らないから実家から来たと思ってるんだと理解できた。
それにしても、あの事に触れずにどう言う事だろう…忘れてる?
そんなはずない!
謝って秘密にして欲しいと伝えなきゃ…
そう思い、私は思い切って口を開いた
「あ、あの時は…す…すみませんでした。」
聞こえないくらいの声量になっていた。
「ん?あの時?あの時ってどの時?」
とマキちゃんのお父様は笑みを浮かべながら返してくる
「え?あ…その…」
忘れてるの?あんな大変な出来事…
どう言わけかはわからないけど、マキちゃんのお父様はあの日の事を忘れてる…
「はっ…ごめんなさい…なんか私…人違いで勘違いしました」
「ははは、なんだ美月ちゃん、おじさんビックリするじゃないか」
と、どう見ても、あの事を知ってる反応には見えない。
続けてマキちゃんのお父様は言う
「この辺は人通りがないから、そろそろ真っ暗になるから、早く帰った方がいいよ」
「あ…はい…お気遣いありがとうございます。」
間違いない…私、実は見間違え?
私、パニックで勝手に思い込みで勘違いしてたのかも…
「それじゃ気を付けてね」
とマキちゃんのお父様が手を軽く上げて背中を向けて歩いていった。
「お…おやすみなさい…」
と私はマキちゃんのお父様の背中を暫く見つめた後、ハッと靴の事を思い出して生垣の隙間まで向かった。
「あっ!」
あった…やっぱり…私のバレエシューズ…
なんでこんな所に?
私は靴を拾い上げ、靴を見回した。
不可解な感じに素直に喜べないまま、マンションに戻った。
25/08/27 23:30 (LMRv5s7B)
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