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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
202
投稿者: 雄一
朝の登校時から降り続いていた雨は、午後の下校時まで止まなかった。
 嫌な日に約束してしまったと後悔しながら、僕は俶子の住むマンションに向かっていた。
 「緊急」と書かれたメールに、
 (何事だ?)
 と変心したら、思わぬ長文が再返信されてきた。
 (私の大学の同期生で、野中由美という友人が、ある極悪なグループたちから、金銭的に
も肉体的にも、卑劣な脅迫や蹂躙を受けて困窮している。被害の対象は、私の私の友人夫婦
二人と、友人の実母の合わせて三人。警察や弁護士においそれと訴えたり、相談を持ちかけ
られない事情があり、現在も脅迫や蹂躙は続いている。まだ高校二年生のあなたに持ちかけ
る相談事ではないことを、当然、承知の上でのこのメールです。人を教え導く教師でありな
がら、世間のどこにれもありがちな、通俗的世俗的な問題一つを解決処理できない自分自身
の無力さを、心に重く痛感しながら、私が今一番信じているあなたへの、断られるのを承知
の上での吐露です。できれば…)
 このメールの中味に、即座に対応できる僕では勿論なかったが、コンタクトだけはと思い、
俶子の話を聞く日時を決めたのが、十月半ばを過ぎた、冷たい雨のしのつく今日だった。
 俶子は午後からの受け持ち授業がなかったので、早退をして僕の来訪を待っているとのこ
とだった。
 俶子の概略メールだけでも気の重い話で、十六の高校生の僕などが介在できる余地は、ど
こにもないのは明白だったが、昔、流行ったらしい小説の、木枯らし紋次郎にはなれない僕
は、雨に濡れた手で、彼女のマンションのインターフォンを鳴らした。
 リビングのテーブルに出されたコーヒーの一啜りめは、当然のように苦かった。
 僕を出迎えた俶子の身なりも、いつもと違って地味なグレーのセーターに白のフレアスカ
ートだった。
 いつもなら玄関のドアを開けたら、小娘のように飛びついてくる所作も当然になく、眼鏡
の奥の目の端に、小さな笑みを浮かばせただけで、僕をリビングに案内したのだ。
 テーブルを挟んで僕の正面に座った俶子の横には、黒色のノートパソコンが閉じた状態で
置いてあった。
 俶子から聞いた、相談者の野中由美の経歴は以下の通りだった。
 俶子が友人の野中由美から、直接聞き取った話や、俶子自身の推測めいた見解も、手を加
えることなくそのまま記述してある。
 東京の近郊都市の市役所に勤務する公務員で、四年前に同じ職場に勤務する三歳年下の男
性と、婿養子をとるかたちで結婚して、子供はいなく、六十一歳になる母親との三人家族で
現在に至る。
 発端は市役所の住民課係長として勤務する夫の、業務上の不手際と、その後の事務処理の
拙劣さが、市民のある有力者に露見することとなり、その人物からの脅迫めいた言動に屈し
てしまい、ついには家族全員を巻き込む悲惨な事態に陥ったということである。
 相談者の夫の業務上の不手際というのは、ある地区の自治会の自治会費や運営費の入った
郵便局の通帳から、相談者の夫が当該自治会に無断で金を引き出し、私的に流用したという
のである。
 夫のいい分は、その地区の自治会長が所用で市役所を訪ねていて、その時に足を悪くして
自治会長が、たまたま面談をしていた、住民課係長である夫に、通帳から三十万円を引き出
してほしいと頼まれたので、立場上、普段の付き合いもあり、気軽に引き受け、市役所内の
ATMに行き、下した金を自治会長に渡したというのが、最初の発端だった。
 その二日後、件の自治会長が血相を変えて市役所に乗り込んできて、三十万円の金が自治
会の通帳から、誰かに勝手に引き出されてなくなっているという、思いも寄らない発言を聞
かされて、係長の夫は慌てた素振りで、その自治会長に二日前の正直な顛末を説いた。 
 しかし役所内の狭い相談室にいた自治会長の声は、興奮してきて次第に大きくなってきた
ので、係長は相談室から、その自治会長を連れて、別の室に導き、何度も直な説明を繰り返
したのだが埒が開かず、到頭、根負けした形で係長の夫は、三十万円を弁償すると約束して
しまい明日の午後にお金を渡すこととなった。
 係長の夫に三十万もの大金は即座に用意できるものではなく、同じ職場に勤める妻にも、
婿養子という微妙な立場では安易に打ち明けることもできなかったので、夫は市内にある、
テレビでも名の通ったサラ金会社に飛び込み、仮名を工面した。
 市役所内にある共済に行く手段もあったが、それだと給与明細で、忽ち妻に知られるとい
う弱みがあった。
 そして話はまだ続いたのだ。
 その悪徳自治会長の本当の狙いは、三十万のお金でもなく、また住民課係長の夫でもなく
て、その夫の妻の由美の籠絡にあったのだ。
 俶子が、半年か一年ほど前のものだけどといって、僕の目の前に差し出した数葉の写真を
見て、最初に僕が感じたのは、身体も含めて雰囲気全体が、艶やかで肉感的な美人という印
象だった。
 パーマのよくかかったふんわりとした栗毛色の髪の下の顔は、色白の瓜実顔的な輪郭で、
濃い眉と長い睫毛の下の切れ長の目は、肌の色の白さのせいか、黒い瞳が妖艶なくらいに際
立って見えた。
 鼻筋も細く通っていて、唇が正しく肉感的に少し見え、顎の尖りも何か男子としてそそら
れるような曲線になっている。
 下唇とその顎の間に小さな黒子があり、それも顔全体の艶やかさの一助になっている感じ
だった。
 どこかのキャンプ場での写真なのか、川を背景に冗談っぽく済ました顔で映っている写真
で見ると、決して太っているという体型ではなく、出ていうところは出て、括れているとこ
ろはしっかりと引き締まっているという外見だった。
 目の前にいる俶子ほどではないにしても、少し濃いめの化粧といえばいえたが、いい意味
での化粧映えをしているという印象を僕は持った。
 その全体像や妖艶さを漂わす顔立ちから、この人が市役所に勤務する公務員とは、僕もそ
うだが誰も看破はできないだろうと、僕は内心でこっそりと思っていた。
 で、公務員の夫の話に戻るのだが、自治会長からの恫喝はさらに続編があって、係長の夫
が、断腸の思いで金を渡した後もしつこく続いた。
 この自治会費詐取を、役所の上層部と警察に訴追通報されたくなかったら、妻の由美と二
人である場所に来いと、係長の夫は強い恫喝を受け、妻と妻の母親の前で、泣く思いで今回
の不始末の顛末を告白し、土下座して助けを請うた。
 夫からの寝耳に水の、驚愕の告白を聞かされた家族三人だったが、出した結論は愚かにも
まだ夫の公務員としての将来を案じてということで、相手の指定した場所に、夫婦二人での
このこと出かけてしまったのだった。
 そして本当の地獄はそこからだった。
 車を郊外に向けて走らせ指定された住所に行くと、高いコンクリート塀に囲まれた広い邸
宅の前だった。
 頑丈そうな門から玄関に行くまで、数人の見るからに風体の悪い男たち数人に会い、そこが
どういう場所なのかを薄々に知らされながら、二人は大きな邸宅の玄関から長い廊下を伝い、
八畳間の一室に通された。
 室には、三人の屈強そうな男が立ったままでいた。
 恐る恐る夫婦二人が訪問した目的の話は一度も出ないまま、妻だけが別室に呼ばれて、目つ
きの悪い男に連れられて行った。
 ほどなくして女の悲鳴が、悄然とした顔で待っている夫の耳に聞こえてきた。
 妻の叫び声だというのが、夫にはすぐにわかった。
 夫は声の聞こえてきたほうに駆けつけようと立ち上がった時、横にいた男の鉄拳が夫の腹に
めり込んだ。
 夫はそこで意識を失くした。
 どれくらいの時間が経ったのかわからなかったが、咳き込みながらどうにか薄目を開けると、
衣服を激しく乱れさせた妻が、涙を流して悲しげな顔で横に力なく座り込んでいた。
 ツーピースの上着だけ肩に羽織って、中のブラウスはどこにも見えず、ブラジャーも剥ぎ取
られているようだった。
 妻が別の室で何をされたのか、夫はすぐに察したが、男たちに飛びかかっていく勇気は悲し
いかな持ち合わせてはいなかった。
 そして夫婦は何の歯向かいも、何の抗議もできず、這う這うの体で空しく帰宅した。
 娘夫婦の無事の帰宅を待っていた母親は、無残な娘の姿に驚愕し、警察にすぐに通報すると
激怒した。
 娘夫婦はそれを必死に止め、泣きの涙で母親を説得した。
 相手は警察に逮捕されるだけだが、私たち夫婦の将来はその時点で、間違いなく消える。
 表沙汰にして、私たち夫婦にどんな利があるのかと、夫婦二人での涙の説得に、母親は唇を
噛み締めながら折れた。
 夫婦の、あるいは家族三人の勇気と決断のなさが、悲劇をさらに蟻地獄のような大悲劇に変
えていった。
 それから妻の由美は、数日間隔の割合で、自分を犯した男に呼び出しを受けて、郊外のあの
大邸宅に呼び出され、凌辱の憂き目に遭うようになった。
 男の身元は間もなく知れた。
 この街に巣食う暴力団の組長で、名前を春日といった。
 年齢は四十九歳で、その彼の実兄というのが、由美の夫に卑劣な無実の罪を課した、あの自
治会長だったのだ。
 野中由美夫婦が狙われた、下劣極まりない動機というのも、そのうちに由美の耳に入った。
 由美が母親と二人で駅前のデパートで買い物をして、パーラーでコーヒーを飲んでいるとこ
ろを、たまたまそこに居合わせた暴力団組長の春日に目をつけられ、ある時彼が実兄の自治会
長に携帯で盗み撮りした写真を見せたところ、役銘柄、役所事情に詳しかった兄が、弟の不埒
な欲望を叶えるために姦計を企てたというのが、件の自治会費云々の事件の発端だったという
ことを知った時には、由美も含めて三人の家族は、底なしの地獄の沼に堕ちていたのだった。
 悲劇は由美一人だけではなかったのだった。
 暴力団の組員の中に、今でいうと、ジェンダーの男が一人いた。
 男の名は山川といって、奇しくも由美の夫が初めて組長宅を訪ねた時、彼の腹に強烈な一撃
を見舞ったおとこだったのだが、その山川という男がジェンダー的な目で、照準を定めたのが、
由美の夫の茂夫だったのだ。
 由美の夫の茂夫は、そういえば見るからに優男風で、男子にしては肌の色も白く、顔立ちも
それなりに整っている。
 電話で暴力団の組員の山川と名乗った男から、突然の呼び出しを受けた茂夫は、またしても
妻の由美に内緒で、一人で組長宅を訪ねた。
 妻の由美の放免の話かも知れないという、淡い期待を持って訪ねたのだったが、男の自分が
男である山川に、力でねじ伏せられ犯されるという、屈辱を受けての帰宅になったのだ。
 それからは妻の由美と同じで、相手が気が向いた時に呼び出され、汚辱と屈辱の体位を強い
られ犯されるのだった。
 卑劣な暴力団組織の食指は、さらにまだ続いた。
 ここからの話はもう少し詳しく話せと、僕は俶子に注文を付けた。
 僕に話し続ける彼女の、眼鏡の奥の目が、異様に光り出してきているように見えたのだ。
 俶子の妄想も聞きたい、と僕は言葉を補足した。
 暴力団組長の淫欲な食指は、由美の母親の多鶴子に向いた。
 平日のある日、組長の春日は自ら名前を名乗って、娘の由美との関係も正直に話した上で、
春日は母親の多鶴子に、娘の放免解放のついて話がしたいのでこちらへ来て欲しいと持ちかけ
た。
 娘を地獄の淵から、どうにかして救い出したい一心の母親に斟酌の余地はなかった。
 まだ陽も明るい昼間で、娘も婿も仕事中だという思いもあって、母親の多鶴子は、春日が迎
えに用意した車に、深い疑いも抱くことなく乗り込んだ。
 郊外の、高い塀が異様に目立つ門を、哀訴の思いを強くして潜った時、多鶴子は娘の母親と
いう立場を脆くも喪失した。
 多鶴子は四年前に長く連れ添った夫と死別していた。
 今の娘と同じ市役所に長く勤め、夫の死を期して、定年前に退職し、今はほとんどボランテ
ィアのかたちで、地区の公民館長を拝命し、たまにある地区の行事に参加したりしていた。
 娘の由美を歳を取らせると、こういう顔になるというくらいに、母娘はよく似ていて、体型
も娘をもう少し太らせたようにふっくらとしていた。
 娘の由美の肌の色の白さは、間違いなく母から受け継いでいるというのがわかる。
 邸宅の頑丈そうな門から、多鶴子が入って三時間ほどが経過して、彼女が、入って行った時
とはまるで違う蒼白な顔と、怯え慄いた表情をして、彼女は小走るようにして出て行った。
 広い玄関から、長く続く廊下の突き当たりにある八畳まで、多鶴子は組長の春日にいきなり
襲われた。
 敷かれた布団に押し倒され、ツーピースのスカートを乱暴にたくし上げられ、パンティスト
ッキングのどこかが裂ける音がした。
 むっちりとした多鶴子の太腿が露わになり、その付け根に濃い青色のショーツの小さな生地
が、襲っている春日の欲情をそそった。
 多鶴子のショーツを剥ぎ取るように脱がし、すでに熱く昂まっていた自分のものを、槍のよ
うにいきなり突き刺した。
 数分で多鶴子の、腕だけの抗いの動きは制止していた。
 鼻と口からの強弱のある淫猥な喘ぎ声が、八畳間一杯に響き、六十一歳の多鶴子のあえない
陥落だった。
 自分の娘を犯し、今も自分の意のままに弄んでいる、憎しみしかないはずの春日の、激しい
つらぬきを受けながら、多鶴子は衣服の全てを脱がされ、丸く膨らんだ乳房への、これまでさ
れたことのない荒々しい愛撫で、多鶴子はもう何年も忘れていた女としての喜悦を一気に蘇え
させられていた。
 「これからは俺のいいなりだな?」
 春日にそういわれて、
 「はい…」
 と多鶴子は応えていた。
 「今から三人の男たちに可愛がってもらえ」
 という春日の言葉に従い、彼女は自分の子供よりも年下の、三人の男たちに玩具のように扱
われ、激しいつらぬきを受け、幾度も悶え果てた。
 それからは、娘と娘婿の目を盗むように組長宅を訪れ、若い組員たちの性欲の吐け口になっ
て尽くした。
 最後のほうの記述は、俶子の妄想感に満ちた淫猥で、独創的な表現が多いようだったが、当
たらずともという感じは僕もしていた。
 僕にあらましを、多分い個人的な妄想を交えながらも話し終えた俶子は、口と鼻から大きな
息を、何度もため息のように吐いて、異様に光る眼差しで僕の目を見つめてきていた。
 「何だ、お前。したくなってるのか?」
 自分の気持ちの高揚は押し隠して、意地悪い目で僕が聞いてやると、俶子はこくりと首を
頷かせてきた。
 「服を脱いでこちらへ来い」
 と僕がいってやると、すぐに俶子の手がセーターの裾を掴んでいた。
 知らぬ間にエアコンの温度が上げられているのか、僕自身も俶子の事情告白話につい気持ち
を昂らせてしまったのか、服を脱ぎたい気分になっていた。
 僕よりもかなり気持ちを昂らせているようだった俶子は、椅子に座っている僕の前に、全裸
になって跪いていた。
 僕のズボンとブリーフは足首の辺りで包まっていた。
 二人の昂った気持ちが、どうにか普通に戻ったのは、俶子の寝室のベッドの上だった。
 冷えたミネラルウォーターの旨さを、全身にしみじみと感じながら、僕と俶子はガウンを羽
織って、またリビングの椅子に戻った。
 俶子の話で、彼女に驚愕の相談を持ちかけてきた野中由美が、自分が最初に暴力団の春日に
犯された時の詳しい状況や、その後の関係の詳報を書き記した文章に目を通す作業が、まだ残
っていたのだ…。



                               続く
 
 
  
23/04/08 21:37 (myYK3VYo)
203
投稿者: (無名)
更に熟女2人が雄一のターゲットになるのかな?いやはや、ちょっとこれさあ・・・
23/04/08 23:22 (omILKr3t)
204
投稿者: 雄一
「この子ね、見た目や写真映りは派手に見えるんだけど、性格はどちらかというと地味な
ほうで、講義終わるといつも図書館に行ってたわ。カレシとか恋人なんていなかったんじゃ
なかったかな。とにかく本好きで、死ぬまでに一冊は自分が書いた本を出したいっていって
たのに…こんなこと書く羽目になるなんて…」
 俶子は悲しそうにそういって、テーブルにあったノートパソコンを僕の前に置いてきた。

 郊外の最寄駅から、コンクリートの高い塀と頑丈そうな作りの門のある、大きな邸宅まで、
歩いて二十分ほどで、今日で五回目になるのだが、慣れるという気持ちにはまるでなれない
でいる。
 (七時)
 たったこの二文字だけのショートメールで、私は高い塀と頑丈な門の家の所有者である、
暴力団組長の春日という男に会うために、うち萎れた気持ちで、駅を降りてから緩やかな坂
になっている道を歩いていた。
 母と夫には、今夜の帰宅は遅くなると連絡済みだったが、母には友人との食事会と自自用
をいって、夫のほうへは、遅くなります、の六文字だけの連絡だった。
 私が初めて春日という暴力団組長と、何人かの身なりや目つきの悪い男たちの住む、今は
もう悪魔の館としか私には見えない、邸宅に来たのは、二ヶ月ほど前のことで、その時は夫
の茂夫と一緒だった。
 夫が勤務する市役所で、卑劣な一市民の狡猾な姦計の罠に嵌り、職まで失いかねない事態
に陥り、そのことを何も知らずにいた私は、夫の口から、聞かされ、ただただ途方に暮れる
しかなかった。
 私と母親の前で、細い身体をひたすらにしょげ返らせて、土下座するだけだった夫が、そ
の翌日に、自分を罠に嵌めた人物を戒め窘められる人を、ある人に紹介してもらえたという
話を持ってきて、それで急遽、夫婦二人で訪ねたのが、春日という男の住む、異様な雰囲気
の漂うこの邸宅だった。
 長い廊下を通って、夫婦二人は八畳間に座らされた。
 その二人を囲むように、三人の眼光の鋭い男たちが、室内を餌に飢えた野良犬のようにう
ろついていた。
 異様な空気を知った私が、夫に帰りましょといおうとした時、一人の男がいきなり私の腕
を強い力で掴み取ってきて、その室から私だけを引き摺りだした。
 ほとんど抵抗もできないまま、私は別の八畳間に引き入れられた。
 室の中央に布団が敷かれていた。
 私をそこへ連れ込んだ男が室を出ていき、入れ替わりに濃い色のサングラスをした、すら
りと引き締まった体型をした男が、入れ替わるように入ってきた。
 男は薄青い七分袖のシャツにステテコ姿で、布団の上に投げ出されて座っている私の周囲
を、動物の調教師のような仕草で歩き廻っていたかと思うと、いきなり襲いかかってきた。
 男のサングラスの下の薄い唇に見えた、冷徹そうな笑みを目にした時、私は自分の身にと
てつもない危険が迫っていることを、本能的に感じていた。
 男の人に女として襲われるという体験は、勿論、初めてのことで、普通の環境で普通に育
ってきた私には、想像すらもできない事態だった。
 私に襲いかかりながらも、男には血に飢えた狼のような素振りはなく、落ち着いた手捌き
で、私のコートを脱がし、ワンピースの背中のファスナーを引き下げてきていた。
 無論、男の責め立てを、私は黙って甘受してはいなかった。
 身体全身で男を跳ね除けようと、歯を食いしばって抗った。
 男の手で強く掴み取られた片腕が、どう抗っても払い除けられなかった。
 男は口元に気味の悪い薄笑みを浮かべたまま、無言を通していた。
 ファスナーを下ろされたワンピースは、私の両肩から落ちて布団の横で包まっていた。
 手慣れたような動きで、男は私のブラジャーのホックを外し取ってきて、零れ出た乳房の
片方を、いきなり掴み取ってきて、驚いて上げた顔に、自分の顔を近づけてきて、何の前触
れもなく塞ぎ込んできた。
 私の驚愕と恐怖は極点に達し、目を大きく見開き、叫び声か呻き声を喉の奥から出したよ
うな覚えはあるのだったが、唇を塞がれ、慌てふためいていた歯をこじ開けられ、男の舌の
侵入を許し、口の中にアルコールの強い匂いを感じたところ辺りで、私はそのまま不覚にも
意識を失くしたようだった。
 長い時間だったのか短い時間だったのか、すぐにわからなかったのだが、私が意識を戻し
た時は、まだ名前も素性も知らない男のものを、無体におし開かれた両足の付け根の、裂け
た肉襞の中深くまで刺しつらぬかれていた。
 どこでどうなって、こんな屈辱の事態に陥ってしまったのか、男につらぬかれている私
自身もよくわかっていない中で、自分の全身に、まるで予期も予測もしていない官能の疼き
のような、妖しげな感覚が湧き出てきていることを、私は気づかされていた。
 まだ茫漠感の残る私の頭の中に、恥辱的な狼狽と戸惑いの思いが浮かび出ていた。
 それは私の気持ちだけでなく、身体のほうにもすでに伝播してきているようで、まだ見ず
知らずのままの男に犯されてているという、この屈辱の状況下で、起こりうるはずのない快
感が湧き出てきていることに、私は改めて狼狽えと動揺を大きくしていた。
 色の濃いサングラスをしたままの男が、衣服のすべてを剥ぎ取られ、布団に仰向けにされ
ている私の身体の真上にいた。
 「ふふ、俺の目に狂いはなかったようだな」
 男の薄い唇から初めて声が漏れ聞こえてきたが、その時の私にはその言葉の意味がよくわ
からなかった。
 それよりも私の狼狽が止まらなかったのは、気持ちでは嫌悪し憎悪しているはずの、男の
単調に見えるつらぬきに、私自身の意思とはまるで違う反応を露呈し始めていることだった。
 意思とは違う反応を見せる身体を抑制させようとして、内心で気持ちを慌てさせるのだが、
全身のどこかに灯った官能の炎は消えることはなく、男の身体が淫猥に動くたびに、益々、
逆のところの深みに堕ちていくような、女として生まれて初めて感じる喜悦だった。
 初めて会う男に襲われて、凌辱されている現実が、私の身体と心からあえなく消え去ろう
としていたのだ。
 「気持ちいいのか?」
 サングラスをした精悍な顔つきとは、少し不釣り合いな感じのトーンの高い声で、男が聞
いてきた時、私は声は出さず首だけを何度も頷かせていた。
 本当に気持ちがよかった。
 愛する夫との夫婦生活では、一度も感じたことのない、それは喜悦だった。
 女としての自分に、こういう感覚があったのかという、驚きの思いもあった。
 浅黒い肌をした男の鋼のように固い腕を、私の両手がしがみつくように掴み取っていた。
 ふいに別室で目つきの鋭い男たちに囲まれて、妻の私を案じながら恐怖の底にいる夫の蒼
白な顔が目の奥に浮かんだ。
 が、それもわずかな時間で私の頭からかき消えた。
 男の腰の動きが急に早まり出してきたのだ。
 これまで知ることのなかった、止めようのない、熱い情欲のようなものが、私のすでに汗
の噴き出た全身に襲いかかってきていた。
 「ああっ…!」
 喉の奥から絞り出すように出た、私の喘ぎと悶えの声は、なおも続く男の腰の律動に呼応
して、それから絶え間なく出続けた。
 時間にしてどれくらいかわからなかったが、私はほとんど抵抗らしい抵抗もしないまま、
観念と陥落の深い沼に堕ちていた。
 「も、もう…こ、これ以上は…し、死んじゃう!」
 間断なく襲い来る絶頂への誘いに、堪え切れなくなり、その声を恥じらいも何もなく私が
喉奥から絞り出すようにして、咆哮の声を挙げた時、男のほうからも短く呻くような声が聞
こえたような気がした。
 「い、いい声だぜ、お前」
 そういって、男は私の胎内のさらに奥深い部分にまで、衝撃を届かそうとするかのように、
強く激しく突き立ててきて、私の悶絶の声に合わせて、もう一度声を呻かせた。
 意識を失くしてはいなかったが、男が目的を達し、私の身体から離れた後も、私は布団に
仰向けになったまま、暫く身動きできなかった。
 口と鼻だけでなく、肩まで喘がせていた私の顔の傍に、男が近づいてきて、
 「あのデパートで、あんたが母親と買い物してるのを初めて見た時、俺は久し振りにとき
めいたよ。身体に電気が走るっていうのかな。そういう女って、そうはめったにいない。俺
は欲しいものは何でも手に入れたい性分でな」
 サングラスをしたままの顔で、遠くを見るような表情でいって、
 「今日はこれで帰してやる。お前は自分では気づいてないだろうが、女としてダイヤモン
ドの原石みたいなものだ。俺が今から、時間をかけて磨いてやる。あ、旦那の不始末の件は、
俺からあの自治会長に話して、ケリつけてやるから…あんた次第でな」
 と自分のいいたいことだけをいって、そのまま室を出て行った。
 うちひしがれた気持ちで身繕いを直して、恐る恐るの気持ちで夫のいる室に戻ると、最初
に夫とこの室に通された時と、奇妙に違う妖しげな空気感が漂っているような雰囲気が室内
にあった。
 元々気質の強いほうではなかった夫の茂夫が、これ以上ないくらいに、萎れきった表情で
畳に正座していて、三十代くらいの精悍な顔つきをした男が、萎れ窄んだ夫の肩に、まるで
友人同士のように腕を廻して座り込んでいた。
 室には二人以外の人間はいなかった。
 泣きそうな顔で私を見上げてきた夫は、口元だけを動かせて声にならない声で、短く私の
名前を呼んできた。
 男たちからひどい暴力でも受けていたのか、と私は案じて、夫の顔を覗き見たが、どこに
も殴られたような痕跡はなく、胸を小さく撫で下したのだが、心のどこかに何か妙な引っ掛
かりは残ったままだった。
 「おつとめご苦労さんです。いや、いい声聞かせてもらいました。どうぞお帰りください」
 夫の横に座っていた男が、手を玄関のほうに向けて差し出しながら、慇懃無礼な声でいっ
てきた。
 夫婦二人の帰りの車の中の雰囲気は、当然にお互いが鉛を背負い込んだように暗くて重か
った。
 「私、男に犯されたわ」
 助手席で、フロントガラスの暗い景色に目を向けながら、私が口火を切るようにいうと、
 「も、申し訳ない…ぼ・僕のために…」
 夫はハンドルを握り締めながら、頭を何度も下げていた。
 しかし、夫婦の間の会話はそれ以上続くことはなく、重い沈黙を抱えたまま、黙々と母親
が案じて待つ自宅への道をひた走った。
 男に犯されたことは、私は夫に明言した。
 しかし、犯されている時の、自分の気持ちのありようについては、私は何も正直には話し
てはいなかった。
 自分が男に襲われ、短い時間の間に、夫にも見せたことのない、女としてはしたなく乱れ
悶えて、憎いはずの男にしがみついていってしまった。
 その事実を夫に告白し、隠さずに吐露できるほどに、私は強くも賢くもなかった。
 そしてこの時の夫のほうにあった、屈辱の心情についても、私に斟酌する度量はなかった
のだった。
 自宅の駐車場に着くまでに、私は衣服の乱れをもう一度見直し、化粧も普段のように直し
終えていた。
 居間で母の心配げな表情を見た時、私は思わず泣きそうになったが、必死に堪え、今夜、
訪ねた人のお陰で、事は何とか表沙汰にならず済みそうだと、苦しく悲しい嘘をついて、床
についた。
 夫のほうは帰宅してからも、母と私に終始頭を下げ項垂れさせるだけで、言葉はほとんど
発さなかった。
 私が先に入っていたベッドに、おずおずとした仕草で横に身を横たえてきた夫は、一言詫
びの言葉をいっただけで、すぐに私に背中を向けていった。
 高い塀のある邸宅の住人である春日という男が、この街に闇に巣食う暴力団の組長である
ということを、あくる日に私は知ったが、時すでに遅しの悔恨が胸に残っただけだった。
 それから三日後の日曜日、私は二度目の呼び出しを受けた。
 昨日の午後、執務中の時のことで、未登録の番号がスマホに出たので、不吉な予感がした
私は席を離れて応対すると、聞き覚えのあるトーンの高い声だった。
 どうして私の番号を?と訝ったが、夫からの情報漏れだとすぐに察した。
 明日来い、という一方的な男の声に、当然、私は拒絶したが、すぐにそれは徒労の声に変
わった。
 トランプカードのジョーカーは、つまり、三日前のあの日以来、私たち夫婦の命運は、春
日という暴力団組長の男の手に、最早委ねられてしまっているのだった。
 承諾の意向を止む無い気持ちで、相手に伝えて自分の席に戻った時、横にいた同僚の女子
職員から、
 「顔色悪いけど、何かあったの?」
 と私は気遣いの言葉をかけられ、また少し狼狽していた。
 三日後、母親にはまた嘘の口実を、そして夫には六文字のメールを送信して、私は自宅と
は違う方向に行く電車に乗った。
 顔はまた蒼白になっていて、気持ちも暗く沈み切っているのには違zいいはなかったが、私の
身体と心の奥底のどこかに、妖しい官能の炎のようなものが点り出しているような気がして、
電車の吊革に手を伸ばしながら、少し濃いめに塗った口紅に、小指の爪の先を添えた…。


 「疲れるな…」
 文字を読むのは嫌いではない僕だったが、俶子の友人という野中由美の、少し独りよがり気味
の独白文を読んでいて、あの長文日記を書いていた尼僧の綾子を、僕は思い出していた。
 文章が長すぎてなのか、独り言ちの傾向が強過ぎてなのか、急に読みたくなくなる時があり、
今も僕はそんな気持ちになりかけていた。
 「またベッドに行く?」
 「バカ」
 僕に何杯目かのコーヒーを注ぎながら、教師らしくないことを平気でいって、俶子は僕に誘い
をかけてきていた。
 「でも、何か由美が大変な目に遭ってるというのはわかるんだけど、しがなくか弱い女教師の
私に相談されても、やくざが相手ではねぇ」
 「大人の教師が匙投げてるのに、十六の俺に何ができるってんだよ」
 「内容がエッチそうだったから、あなたに見せてあげたかっただけ」
 「エッチはお前ひとりで沢山だよ」
 「嘘、綾子さんもいる。他にもいるでしょ?」
 「十六のガキに、そんなにいるもんか」
 「あなたはね、自分が気づいていないだけで、誰にもない特殊なオーラを持ってるのよ。私も
その犠牲者の一人」
 「この由美さんって人に、一度会ってみたいね」
 「ほら、また出たオーラ」
 「由美さんのお母さんとセットでどうだ?」
 「やくざがいるのよ」
 「それがネックだ」
 男女のこういうことは、実際にするのが一番だというのは、この夏休み以降から最近の僕は身
を以ってわかっているし、わからされている。
 しかしこの経験が、これからの自分の人生で、何lの役に立つのかというのは、僕自身にはさっ
ぱりわかっていないと思っていたら、テーブルに置いていた僕のスマホが震えて鳴った。
 画面に目をやると、ここで出るのは少しまずいといえる、口煩い小娘からだった…。





                              続く
 
 
23/04/11 13:38 (tUmjq2L2)
205
投稿者: 雄一
鳴り響いているスマホに、手を伸ばそうとせずにいる、僕を訝るように見つめていた俶子の目
が小さく煌めいて、口元に茶化すような笑みが零れ出ていた。
 片手を前に差し出してきて、出たら?ともう一度茶化すような視線を投げてきたので、僕は面
倒臭そうな貌をして、スマホを手に取った。
 ボタンを押すと、すぐに邪気のない快活な声が、僕の耳に飛び込んできた。
 「雄ちゃん、何してる?」
 「あ、ああ、今、と、図書館だよ。着いたばかりだ」
 我ながら上手い思い付きだと思った。
 これなら電話も早く切れると自画自賛していたら、
 「電話のできるとこ探して、電話して」
 「バカか、お前。図書館にそんな場所あるわけねえだろ。それに外は雨だし。用件だけいえ」
 「長くなるからいい。またにする」
 「悪いな、じゃ」
 僕のほうをずっと見続けていた俶子が、冷やかすような目と声で、
 「村山さん?」
 で聞いてきた。
 僕が少しの間、返答に窮していると、
 「最初の、雄ちゃんって呼ぶ声、あれ、村山さんじゃない。隠さなくたっていいわよ」
 「…………」
 「へぇ、あなたたち、そんな仲なの?」
 「仲なんてもんじゃないよ」
 「そうやってムキになるのが、余計怪しい。でも、あなたの二面性の性格の表側の彼女として
は最高の女性ね、あの子」
 「何いってんだか」
 「私なんか、裏側の愛人だもの。ううん、嫌味でいってるんじゃないのよ。そういう純粋なと
ころを、ちゃんと残してるあなたを私は好きなんだから」
 「ジキルとハイドみたいにいうなよ」
 「人間、多かれ少なかれ、誰もが二面性は持ってるのよ。その使い分けが自然にできるか、で
きないかだけよ」 
 「俺は褒められてるのか?」
 「べた褒めよ。ね、ベッドへ行きましょ…」
 眼鏡の奥の目を妖しげに潤ませて、椅子から立ちかけた俶子に、
 「そこで、服を全部脱いでいけ。あ、ブラだけ残してな」
 と俶子が性格分析したことを、僕は実践するように命令していた。
 「はい」
 俶子は短く応えて、着ていた服をブラジャー一枚だけ残して脱ぎ払って、自分の寝室へ足を向
けていった。
 僕もその場で着ているものを、全部脱ぎ払った。
 目の前に俶子のノートパソコンが開いたままになっていて、文字がびっしりと埋まっていた。
 野中由美さん、あなたの切迫した名文は、あなたの友人の俶子と僕との起爆剤にしか、今はな
っていないようですが、いつか必ずいい方向に行くことを願っています、といい残して、僕は素
っ裸で、俶子の待つ寝室に、興奮の証を見せて入っていった。
 僕の滾り立った興奮の証を見た俶子は、ブラ一枚の裸身を起こしてきて、ベッドに仁王立ちを
した僕の下腹部に、眼鏡の顔を強く押し付けてきた。
 口の中深くにまで俶子は、僕のすでに固く屹立したものを含み入れて、顔を上に向けてきた。
 その顔を見下ろして、
 「ふん、どうみてもその顔は高校教師の面じゃねえな。ただのスベタだ」
 と僕は罵りの言葉を吐いてやった。
 僕の性格の裏面が一番出やすいのが、何故かこの俶子だった。
 僕の祖母や尼僧の綾子ほど飛び切りの美人顔でもない、俶子になら罵りをいっても、どんなに
口汚く罵倒しても、罪悪感がそれほどには湧かないのだ。
 理由は僕にもわからないのだが、僕の心のどこかに潜んでいる、嗜虐性が一番際立つのが俶子と
の行為の時だった。
 俶子の友人の告白文を読んだせいもあるのか、俶子のひたすらな行為がそうさせたのか、次第に
僕の動きは、自分でもわかるくらいに、急に忙しなくなり、そのまま彼女を四つん這いにして、昂
りきった自分のものを、槍を突き刺すように僕は背後からつらぬいていった。
 「ああっ…あ、あなた!…いいっ」
 眼鏡をしたままの顔を大きくのけ反らせて、俶子は嗚咽のような喘ぎ声を挙げた。
 「も、もっと、激しく突いて!」
 「な、何をだっ?」
 「あ、あなたの、その若くて…か、固い、おチンポを…ああっ」
 「ど、どこにだっ?」
 「わ、私の…お、おマンコに」
 その後も、俶子は僕が乞いもしないのに、下品な隠語を漏らし続け、悶え狂った。
 最後は海老折りのかたちになった俶子の胎内に、僕は長い五寸釘を打ち込むよう
にして、白濁の迸りを飛散させた。
 昔の武士が矢弾に撃たれて死ぬ寸前のような、雄叫びに近い声を挙げて、俶子は
ベッドのシーツに突っ伏していた。
 この後の、俶子が用意したミネラルウォーターの旨さといったらなかった。
 喉の奥に冷え切った、ミネラルウォーターを何度も流し込みながら、僕は俶子の
いい面のもう一つを思い浮かべていた。
 教え子である僕とこんな関係になっても、彼女はあっさりと割り切っていて、変
に思い詰めてきたり、僕が誰と何をしようと、妙な嫉妬感を抱いたりはしてこない
ことだった。
 今風の言葉でいうと、セフレはセフレ、という割り切り方が、僕の勝手気ままな
性格にもよくマッチングしているのだ。
 結局、俶子のマンションを訪問した、当初の目的の友人の困窮云々の話は、中途
半端な結果になってしまったが、勝手気儘な僕的には、身体を軽くしたような気分
になり、まだ降り続いている雨の道も、それほど苦にはならなかった。
 紀子への電話は明日にしようと、僕は決めていた…。



                           続く
 
 
  


 
23/04/11 18:14 (tUmjq2L2)
206
投稿者: 雄一
紀子には夕方にでも電話しようと思っていたら、学校の昼休みに彼女のほうから、僕
のところにやってきて、今日の四時にスタバでコーヒー奢ってと、一方的にいわれた僕
は彼女の勢いに気圧されたように、うんと首を頷かせてしまっていた。
 先に着いていた僕のテーブルの前に、紀子は四時きっかりにやってきた。
 紺のジャージの上下に、少し厚手のジャンパー姿で、長い髪は後ろに束ねている。
 学校から走ってきたのか、息が少し荒れていた。
 「お腹空いてるから、サンドイッチ頼んでいい?…半分こしよ」
 旨そうにコップの水を飲み終えると、
 「この前の総体、応援に来てくれてありがとね」
 と嬉しそうな笑みを浮かべて、紀子がいきなりいってきた。
 「えっ、俺行ってないぜ」
 慌てた素振りで、僕が顔の前で手を振ると、
 「雄ちゃん、スタジアムの一番目立たないところで、子供みたいな野球帽被って、双眼
鏡で観てくれてたじゃん。私、すんごく嬉しかったわ。涙出た」
 「そうだったかなぁ。…で、昨日の電話って何だった?」
 陸上総体の百メートルで、紀子は都内で三位の成績だったが、学校記録はコンマ何秒か
縮めたらしい。
 僕はそこから話を逸らそうと、何度も紀子に昨日の電話のことを尋ねるのだが、彼女は
おかまいなしに、
 「…ずっとね、私も走る前から、雄ちゃんのこと、目で探してたんだよ。遠いところで
あのスタジャン見て、ほんと嬉しかった。でも、あの野球帽はサマになってなかったね」
 心底から嬉しそうな顔をして話してくる紀子の、輪郭のはっきりとした唇と、白い歯が
妙に眩しかったが、どうにか話を戻させると、来月初めに東北への旅行の誘いの話だった。
 紀子の祖父が福島県の浪江町出身で、あの東北大震災の被災者で、今も仮設住宅で一人
暮らしをしているらしく、そこへ紀子が両親と、祖父の様子見と見舞いを兼ねて出かける
とのことのようだ。
 七十一歳になるという祖父は、紀子の母方の父親といった。
 両親は共に会社の有給休暇を利用して早めに行くのだが、学校のある紀子は祝日と休日
を利用して、後から追いかけるということで、それに同行してくれないか、というのが彼
女からの誘いかけだった。
 紀子からの思いがけない誘いの言葉に、僕はすぐには応えられなかった。
 最初に、日帰りか?と僕が聞くと、
 「東京から浪江町まで三時間ほどだから、それでもいいけど、一泊していい機会だから
宮城や岩手辺りまで足を延ばして、震災の社会見学ってどう?」
 紀子は身体を前に突き出すようにして話してきた。
 微かに石鹸のような匂いが、僕の鼻先に流れた。
 「い、一泊って、お前は祖父ちゃんちに泊まれるんだろうけど、俺は一人でカプセルに
でも泊まれってのか?」
 僕が紀子とは逆に、身体を後ろに反らせていうと、彼女は暫く黙っていたが、
 「私も雄ちゃんと一緒に泊まるっていったら?」
 「そんな度胸もないくせに」
 冷やかし気味に僕がいうと、
 「ゆ、雄ちゃんが何もしないって約束してくれるんなら」
 紀子は口を窄めて、僕の目を睨みつけてきた。
 「今、返事しなきゃだめか?」
 「ううん、明後日までなら…切符とかの手配もあるし…」
 「ホテルとかもな」
 「そのいい方って嫌い」
 「ま、学校のアイドル様の折角のお誘いだから、前向きに検討察せてもらうよ」
 「そのいい方も嫌い」
 あくる日、学校の廊下で紀子とたまたま出くわした時、制服の胸に手を当て、人差し指と
親指で、少し大きめの丸を作ってサインを送ってやると、彼女の目と口元が一緒に緩んで、
明るい笑顔になった。
 その日の四時頃、思いがけない人からの、短いショートメールが入ってきた。
 (会いたい)
 紀子の叔母の益美からだった。
 文化祭の手伝いで、いつもより下校の遅く鳴った僕は、区立図書館が見え出したところを
歩いていた。
 図書館横の公園の芝生に座り、僕はスマホに益美の名前を出し、彼女とは十日前後も会っ
ていないかと思いながら、オンボタンを押した。
 周囲に人の往来はなかった。
 奥多摩の祖母と同じで、益美もワンコールで出た。
 「やぁ、久しぶりだな」
 遠い昔に一世を風靡したとかいう、女性歌手に似た派手な顔立ちと、五十代半ばとは思え
ないくらいに、細く括れた腰つきを思い出しながら、僕は少々大人っぽい声でいってやると、
 「も、もうあなたに嫌われたのかと思って…」
 スマホのボタンを押した時、僕の身体と心の二つに違うスイッチが入ってきた。
 「一人なのか?」
 「え、ええ、一人よ」
 「どこの室にいる?」
 「え…?い、今、寝室よ。ゴルフから帰って、ちょっと疲れたので休んでたとこ」
 「いいご身分だな。それで暇つぶしに十六のガキを思い出したってわけか?」
 「そ、そんなことない。あなたのことは…あれから毎日思ってたわ」
 「ふふん、どうだかな。大人は槌つきだから」
 「ほ、本当よ。今でも久し振りに声聞けただけで嬉しい」
 「こんなガキのどこがいいんだ?あんたのお仲間たちのように、優れたテクもないし、
経験も圧倒的に少ない、俺なんかのどこが?」
 「…こ、言葉では上手く言い表せられない、な、何かを、あなたは持っているの」
 「俺、学校では全然モテないんだけどね。あんたたちみたいな熟女にしか、モテない
ってのもなぁ…欠陥人間なのかな?」
 「肌が合うとか合わないっていうでしょ。どんなにハンサムな男性でも肌を合わせた
ら寒気がするとか、ちょっとした素振りやお話の仕方で、嫌いになるとかって。じゃ、
その逆もあるってことで…それが今の私にとって、あなただと」
 「こんなガキだぜ」
 「年齢は関係ないの」
 電話の向こうで、ぴしゃりと決めつけるようにいう益美の、赤々とした唇と白い歯を
僕は思い起こしていた。
 「な、テレホンセックスしよか?」
 思い起こした益美の赤い唇から、連鎖的に浮かび上がった言葉を、僕は口にしていた。
 「ど、どうするの?」
 「ベッドにいるんだったら丁度いいや。俺のいう通りにしたらいいんだよ」
 「はい…」
 何秒かの沈黙の後の、益美の声だった。
 「着てる服、全部脱いで」
 「…は、はい」
 衣擦れのような音が微かに聞こえた。
 僕の下腹部、が眠りから目覚めたように、びくんと震え動いたのがわかった。
 「ブラもショーツも全部脱いだか?」
 「は、はい」
 「そのことを自分の口で、俺に報告して」
 また何秒かの沈黙があった。
 「ま、益美はブ、ブラジャーとショーツを…全部、脱ぎました」
 「片手は乳房、もう一方は益美の身体の下へ」
 そう命令をした時、僕の頭が閃いた。
 「益美、若い頃にオナニーの経験あるだろ?」
 「オナニー?…え、ええ。ず、随分、昔のことだけど…」
 「それを今からやって、俺に詳しく報告してくれ」
 「私が…?」
 「ほんとなら、俺がそこにすっ飛んでって、益美の身体無茶苦茶にしてやりたいん
だけど」
 「そう、そういうことが悪びれることなく、さらりといえるのが好きなところ。嘘
が嘘と思えなくなるの」
 「何だそれ。褒められてんのか、俺?」
 「誰にでもできることじゃないの」
 得心したような、しないような気持で、僕は暫し沈黙した。
 益美のスマホをハンズフリーにさせて、暫くすると、
 「い、今ね…私のおっぱいをね。手で揉んでるの」
 「そうか…」
 「あ、あなたの顔を思い浮かべて…な、何だか、身体が熱くなってきてる」
 「……………」
 「ち、乳首が…私の乳首が、か、固くなりだしてる」
 「き、気持ちいいのか?」
 「ええ、段々…へ、変な気持ちに」
 「……………」
 「も、もう一つの手、手がね。ち、違うとこに行ってる」
 「どこだ?」
 「あ、あなたも知ってるところ」
 「は、はっきりいうんだ」
 「は、はい…わ、私の…お、おマンコを」
 益美の声が上擦り出してきているのがわかった。 
 雰囲気が核心に迫ってきていそうだったので、僕はもう一度芝生の周辺を見渡した。
 「あ…わ、私の…恥ずかしい…お、おマンコが」
 「どうした?」
 「ぬ、濡れてるの…ああ、歯、恥ずかしい」
 「ふふん、歳繰ってる割に反応いいんだな」
 「ど、どうしよう、私…」
 「もっと擦ったら、もっといい気持になるぜ」
 「あ、あなた…ど、どうして、ここにいてくれないの」
 「行ってやろうか?」
 「ほ、ほんと?…嬉しい」
 「もっといい声聞かせてくれよ、益美」
 「ああっ…わ、私の、ゆ、指が中に入ってる」
 「もっと奥まで入れてみろ」
 「こ、怖いわ…ああ」
 「何を小娘みたいなことをいってんだ」
 「ああっ…ほ、ほんとに、あなたが欲しい。だ、抱いて欲しい」
 「あのハンサムな舞台俳優を呼んだらいいじゃないか?」
 「いやっ、あ、あんなのだめ!」
 「俺もそのうち、あんたにそういわれるのかな?」
 「ち、違う!…あ、あなたは別」
 「若過ぎて経験も少ないし、あんたみたいな熟練を悦ばせるテクもないぜ」
 「そ、そんなの何も関係ない。…ね、そ、それより…私!」
 「どうした?」
 益美の声の上擦りが、一層高くなってきているのが、僕にもわかった。
 「ね、ねえ…い、逝っていい?」
 「何だ、もうか?…早いな」
 「だ、だって…あ、あなたの声聞いてだもの」
 「ふふ、お世辞でも嬉しいぜ」
 それから一分も経たない頃、益美は僕の鼓膜を破りそうなくらいの、高い咆哮の声を挙げて
果て終えたようだった。
 僕が座っている芝生から、二十メートルくらい離れたところにある木製のベンチに、揃いの
黒のツーピース姿の、女性二人が座り込んで談笑していた。
 益美の最後の時の声が、まさかあのベンチまでは聞こえてはいないだろうと思っていたら、
 「ゆ、雄一さん?」
 とスマホから彼女の掠れたような声が聞こえてきた。
 「すげえ声だったよ」
 「だ、だって…」
 「気持ちよかったってか?」
 「あなたの声聞きながらだったから」
 「俺は中途半端なままだ」
 「今から来ればいいのに」
 「次のお楽しみにしておくよ」
 「い、いつ?」
 「あんたを抱きたくなったら」
 「憎らしい人。…ああ、そういえば、私が帰宅してすぐだったけど、姪の紀子から電話あ
ったわ。あの子学校でどう?」
 「ど、どうって…」
 僕は思わず口籠ってしまっていた。
 ここで紀子の話が出るとは思ってもいなかった。
 一時間ほど前に、僕は紀子と一緒にいたのだ。
 「今度ね、福島の祖父の、ああ、私の父親だけど…家族で出かけるんだって」
 「あっそう」
 そのことは知ってるとは、当然いえなかった。
 「あなたたち、正式にお付き合いしてるの?…あの子は私なんかと違って、ほんと初心だ
から、何となく心配で。あ、でもあなたのこと、私に話す時、とても嬉しそうに話すのよ。
もうキスぐらいしてるの?」
 あっという間の攻守交代だった。
 「お、俺たち…そ、そんなんじゃないよ」
 「あなたがあの子の恋人になってくれるんなら、女としては少し悔しいけど、叔母として
は応援するわよ」
 これ以上の攻防は不利と読んで、僕は早々にスマホを切断した。
 次の日の午後も、今度は祖母からの電話に、僕はまた小さくあたふたとさせられた…。





                               続く
 

 
 
  

 
23/04/12 13:34 (Dt5JB815)
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