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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
207
投稿者: 雄一
今や僕の公衆電話ボックスみたいになっている、区立図書館横の芝生広場のいつもの場
所に座り込んで、僕は祖母の番号を出しオンボタンを押した。
 やはりワンコールで祖母は出た。
 「雄ちゃん…」
 この一言をいって、祖母はいつも声を詰まらせる。
 「婆ちゃん、昨日電話くれてたみたいだけど、ごめんね。中間試験で忙しくて」
 こういう嘘が考えてなくても出てくる自分に、少し呆れ返りながら、
 「で、何だった?」
 と問い返すと、
 「えっ、う、うん。あのね、あの吉野さんのお付きの方で、古村さんって人いたでしょ?」
 「ああ、吉野さんの秘書みたいなことしてた」
 「そう、その人から一昨日、電話があってね。吉野さんのお墓ができたんですって」
 「そうなの」
 「それで、私にも、お墓の建立式に出てくれっていわれたの。お墓はあの稲川さんって方が
骨折ってくれて作られたらしいわ」
 「お墓の建立式って、僕はどんなのだか知らないけど、吉野さんなら満更知らない人でもな
いから、僕も一緒に行こうかな?」
 「私もそのほうが、何か心強い気がするんだけど、でも、あなた学校あるしね。あ、それと
もう一つ大事なお話があるの」
 「話って?」
 「吉野さんがね、生前にお世話になってた弁護士の先生がいらっしゃって、その方が私にお
話があるっていうの。何か遺産相続がどうとか難しいこといってた。そうそう、このことであ
なたに連絡したんだった。耄碌してしまってだめね。で、あなたまだ若過ぎるけど、横にいて
くれるだけで私は安心すると思うから…」
 「わかった、絶対に行く」
 吉野氏と祖母の間には、非公式には色々あったということは、僕も薄々は知っているが、そ
れは表に出せることではない。
 それを弁護士から名指しで、話をしたいというのは、吉野氏の遺産相続で、遺言書か何かに
祖母の名前が出ているのではと、十六の僕でもそこまではどうにか想像できることだった。
 建立式は今月の末日で平日だった。
 休むのは容易いことだ。
 「雄ちゃん、それともう一つ、あなたに聞いておきたいことがあるの」
 祖母が改まったような口調に変えて、僕に尋ねてきた。
 普段の勉強では働かない勘が、こういうことになると、不思議なくらい僕の勘は冴え、よく
当たるのだ。
 いつだったか日は忘れたが、国語教師の沢村俶子と、奥多摩の高明寺の尼僧の綾子を訪ね、
祖母に会わないまま帰ったことだと、僕はすぐに察し、答えはその通りだった。
 「あ、あれは、夏休みの宿題レポートで、高明寺に伝わる平家落人の件で、学校の教師同行
で来たものだから、婆ちゃんちには寄れなかったんだよ」
 と半分近くは正直に話し、同行の教師は女教師とは敢えていわなかった。
 「あの日、夕方に雑貨屋さんに買い物行ったら、いきなりあなたが来てたと聞かされたもの
だから、私、驚いてしまって。学校の先生が一緒なら仕方がないわね」
 ほんの少しばかり気になる、祖母の応え方だったが、その難局はどうにか超えることができ
た。
 かくして月末の三十一日になった。
 学校を休むことの両親への説明は、国語教師の沢村俶子依頼して、自宅の母親にわざわざ電
話をしてもらったのだ。
 件の平家落人伝説の再調査で、一泊二日の予定で奥多摩へ、教師の自分も同行して行くので
と、俶子は説明してくれた。
 祖母に前日に電話すると、若い娘のようにはしゃいだ声で喜んでくれた。
 雑貨屋のある駅に九時に着く列車があって、それに乗ってきた僕はすぐに祖母の家に向かった。
 吉野氏の墓の建立式の時に、喪服に着替えるので、その荷物を取りに来て欲しいとの、前日か
らの祖母の要請だった。
 因みに僕のほうも、建立式に出るというので、学校の制服のブレザー姿だった。
 建立式が行われる、隣り村へ行く列車は一時間後だった。
 玄関を入ると、喪服の入ったバッグが上り口に置かれていて、濃紺のシンプルな感じのツーピ
ース姿の祖母が、化粧と身体から発酵する爽やかな花粉のような匂いをさせて、かたちのいい唇
に零れそうな笑みを浮かべて立っていた。
 「こ、こら」
 と祖母が声を出した時には、僕はもう祖母の小柄な身体に抱きついていた。
 祖母からの匂いが、僕のはしたなく愚かな神経に火を点けていった。
 祖母の赤い唇を、僕は慌てた素振りで塞ぎにいった。
 僕の舌先が祖母の歯に触れると、歯はすぐに開き、僕の舌の侵入を許した。
 互いに何かを求め合うように、口の中で舌と舌をまさぐり合い貪り合った。
 僕のほうの理性の箍は半分近く外れていたが、祖母の理性は理性のままで、あるところでやん
わりと僕の身体を離れていた。
 僕が大きな荷物を持って、二人で駅までの坂道を下りると、雑貨屋のお喋り叔父さんと目が合
った。
 「やあ、兄ちゃん、今日はまた、婆ちゃんと一緒で何だい?」
 叔父さんが屈託のない声でいってきて、横にいた祖母がそれを引き取るように、隣村の知り合
いのお葬式があってと、軽くいなすように応えていた。
 隣村の駅に降りると、正面のロータリーの端大きな車が止まっていて、運転席からスーツ姿の
男が降りて、こちらのほうに近づいてきた。
 記憶のある顔で、古村氏だとすぐにわかった。
 挨拶もそこそこで、僕らは古村氏の運転する車で、吉野氏が生前に住んでいた家の前に辿り着
いた。
 黒のスーツ姿の頑強そうな男二人が、出迎えに出てきて、トランクから荷物を取り出している
と、家の玄関から、これもはっきりと記憶のある男が、穏やかな薄笑みを浮かべながら出てきた。
 吉野氏の永遠の友といわれる稲川某氏だ。
 浅黒く日焼けした顔は精悍そのものだったが、祖母に向けた目の温和さと口元の笑みは、この
人が関東一円の、いや、全国的に名を派すやくざ社会の頂点に立つ人とは、とても思えない温か
みのようなものが漂っていた。
 「おう、吉野のお気に入りの少年さんも来てくれたのかい。これはあいつもきっと喜ぶ」
 そういって、稲川氏は僕の両手をしっかりと握り締めてきた。
 祖母への対応も真摯で丁重だった。
 後一時間ほどしたらお坊さんが来るので、建立の式はそこからの始まりということだったので、
祖母は早々に家の中へ、着替えのために入っていった。
 家の中のどこに入ったらいいのかわからなかった僕が、玄関付近で所在なげにうろついていた
ら、確か前にもここで一度会っている黒服の、三十代半ばの引き締まった体型の男が近づいてき
たので、僕は素直に頭を下げて挨拶をした。
 「名前しか知らないんだが、確か雄一さんとか?…会うの二度目だね?黒木です、よろしく」
 学校の制服姿の僕に、真っ白な歯を見せて、はきはきとした声で黒木氏は挨拶を返してくれた。
 「なるほど、会長もいってたが、雄一さん、ほんとにいい目してるな。そういう目をした人間
って、そうそうはいないんだよ」
 そう自分の目ばかり褒められても、当の本人は、自分の目のどこがどういう風にいいのか、ま
るでわからないでいるのだから世話はなかった。
 もしかしたら任侠の世界でなら、威力を発揮する眼光なのかな、と馬鹿げた発想をして、一人
でにやついていたら、玄関の中のほうから、祖母の呼ぶ声が聞こえてきた。
 玄関の上り口で僕を手招きしている、祖母の喪服姿を見て、その艶やかさというのか、妖艶さ
に気圧されたように、口をポカンと開けたまま、僕はその場に立ち竦んでしまっていた。
 「何て顔してるの、あなたは。早く上がってらっしゃい」
 祖母の槌咤の声で我に返った僕は、上り口で躓きながら中へ入り、金魚の糞のように祖母の後
をついていった。
 吉野氏の墓は、吉野氏本人の希望で、この敷地内に建つとのことだった。
 そういえば敷地の入り口近くに、白いシーツか幕に包まれた何かが建っていたようなのを、僕
も思い出した
 建立式は厳かに、そしてしめやかに行われた。
 出席者は総勢で八人だった。
 僧侶と祖母と僕と古村氏と稲川氏の五人が、建立式の関係者といえばそうで、後は稲川氏の配
下の人たちで、質素な雰囲気の中で行われた。
 吉野氏のほうの身内関係者が、誰一人いないというのが、やはり式の雰囲気をを寂しくしている
感じだった。
 その中で、祖母の艶やかな喪服姿だけが際立って見えた。
 家の中の広間で、八人での細やかな食事会が開かれ、僕はたまたま玄関で挨拶を受けた、黒木氏
の隣に座ったので、その人との会話で時間を持たせることができた。
 黒木氏は会長の稲川氏が君臨する組織の、ナンバーツーに相当する若者頭という立場の人のよう
だった。
 僕はしかし臆することなく、暴力団の凶暴さや卑劣さを、冷静な気持ちで正直に黒木氏の前で否
定し嫌悪していることを話した。
 黒木氏はそんな僕に怒ってくるでもなく、黙って聞いているだけだったが、暴力団の卑劣な面の
一例として、最近見聞きしたことをいった時、
 「それはどこのどなたのことを仰ってるのか?」
 と目を少し強張らせて問い返してきたので、都内の近郊都市で春日という男が親玉の組織で、そ
の者たちが一般市民の普通の家庭生活を、無慈悲に痛め懲らしめているという、あの国語教室の俶
子の友人の話を、知っている範囲で、僕は話して聞かせた。
 その暴力団組織の組長の名前が春日ということと、被害者の名前だけを繰り返して聞いて、その
話はそれで終わった。
 食事会が終わった頃、一人の来客があった。
 弁護士の玉井という六十年配の、頭の大きく禿げ上がった人で、故吉野氏の遺産相続の件で来た
と来意を告げた。
 別室のソファのある洋間で、稲川氏、古村氏、祖母、僕の四人が、弁護士を囲むようにして座った。
 祖母と僕にはまるでわからない話が最初に四十分ほど続いた後、弁護士の玉井という人が、喪服姿
のままの祖母のほうに顔を向けてきた。
 祖母の艶やかな喪服姿に、少し驚いたような目をしていたが、すぐに表情を戻して、
 「えー、私が故人の吉野氏から生前に託されていました、遺言書の相続・譲渡の項の中に、上野昭
子さんのお名前が一カ所に明記されていましたので、この場にご参集願った次第です」
 と如何にも弁護士然とした慇懃無礼な口調で、言葉を発してきた。
 祖母は色白の顔を薄赤く染めて、小柄で華奢な身体をさらに小さく窄めるようにして、不安げな表
情で聞き入っていた。
 その後の話を要約すると、故吉野氏の所有資産のすべては、法的な血縁相続者がいないということ
で、すべて国庫に納入され、故吉野氏が個人で所有する、精密機械製造に関する特許権について、こ
れを僕の祖母である、上野昭子に譲渡するということのようだった。
 六十を超えている祖母や、まだ十六の僕には、弁護士が滔々と喋り続ける、内容の半分もわからな
いでいたのだが、僕の横に座っていた古村氏が、祖母と僕に向けて平易な言葉でわかりやすく説明し
てくれた。
 要するに祖母が受け取る権利は、精密機械に関する特許使用料が、毎月平均で五十万から六十万に
なり、それが祖母が死亡するまで届けられるとのことだったが、ようやく話が呑み込めてきた祖母は、
大きく震えるように顔を振り、両手を前に差し出し横に振りながら、拒否の仕草を露わにした。
 祖母と故吉野氏の微妙な関係は、ここにいる弁護士以外の人たちは、全員が知っていることなのだ
が、ここで任侠組織の会長の稲川氏が手を上げて、
 「昭子さん、いや、失礼、吉野がいつもそう呼んでいたものでつい。上野さんの仰る、受け取る理
由がないというのは、それは違うと思いますよ。彼が死ぬ一、二ヶ月ほど前に、一番多く口にしてい
たのが、あなたのお名前です。それは私が断言する。」
 そういって稲川氏が、目を古村氏のほうに向けると、古村氏も身体全体を動かせて賛同の意を見せ
ていた。
 「昭子さん、お金がどうこうじゃなくて、無念にも世を去ったあいつの、吉野の気持ちをどうか汲
んでやってください。今際の際の時、あいつの頭の中には、昭子さん、あなたしか思い浮かんでいな
かったんです。せめてものあいつの気持ちを、どうか受け取ってやってください」
 稲川氏の真に迫ったその言葉で、祖母は僕に微かに目を向けながら、了承の意を見せた。
 後の書面的な手続きは、そこにいた弁護士に一切を任すということで、故吉野氏の墓石建立と追悼
のセレモニーはつつがなく済んだ。
 稲川氏が祖母と僕を、自宅まで車で送るというのを固辞して、着替えを終えた祖母と僕が帰りの列
車に乗ったのは、夕方の四時過ぎだった。
 車中で、
 「雄ちゃん、変なお付き合いさせてしまってごめんね」
 と少女のようにしおらしく謝ってくる祖母に、
 「とてもいい社会勉強させてもらったよ」
 明るく笑って、もう今夜の祖母との二人だけの夜のことを考えていた。
 雑貨屋の前の駅に降りたのは、祖母と僕の二人だけだった。
 駅舎の前の道の端に、薄い茶色のワンピースと、濃い茶色のハーフコートを着た女性が、薄暮の中
に立っていた。
 顔を見て、僕は忽ち驚愕の眼差しになっていた…。



                         続く
 
 


、そ
 
 
 



 
 

 
 
  
23/04/13 09:36 (AurE4ulQ)
208
投稿者: (無名)
いつも最高の作品をありがとうございます!
凄い話の展開なってますね。
昭子さんとのからみ、楽しみにしてます。
違うか?最後にまた一波乱ありそうな…。
次回作、楽しみにしております。
23/04/13 14:05 (HkdYccnq)
209
投稿者: 雄一
茶色のコート姿の女は、国語教師の沢村俶子だった。  
 僕は言葉も何も、駅舎を出たところで、氷結人間のように全身が固まってしまい、足の一歩
も動かせず、唖然呆然とした顔で、前から歩いてくる俶子を見つめていた。
 「やあ、ごめんね、驚かせちゃって」
 気軽な所作で片手を上げて近づいてきた俶子は、眼鏡の奥の目と口元を明るく緩ませて、嬉
しそうに笑みの表情を浮かべていた。
 「あ、ああ…」
 顔を変に歪めて、僕はそれだけの言葉を返すのがやっとだった。
 横にいた祖母は当然に僕の異変に気付いて、訝しげな眼差しで僕を見て、茶色のコート姿の
女性に目を向けていた。
 俶子は僕の前に立って、眼鏡の顔は祖母のほうに向いていた。
 「こんにちは。すみません、突然に現れて。私、上野雄一君の通う高校で、国語を教えてい
ます、沢村俶子と申します。あの、上野君のおばあ様で?」
 にこやかな笑みを浮かべたまま、さすがに高校教師然とした澱みのない口調で、俶子は祖母
に頭を軽く下げて挨拶した。
 何かをいわなければと思った僕だったが、まるで予期していなかった急な場面展開に、僕の
若い脳みそが全く付いていけないでいた。
 「あの、先日もこの上野君とこちらの高明寺さんでしたか、そこの尼僧さんをお訪ねしまし
て、そのお寺に纏わる平家の落人伝説の件でお邪魔してるんです。その時にも、上野君とお婆
様の家に寄る予定でいたんですけど、生憎、列車の時刻が迫っていて、失礼をしました。今日
も本当は、その落人伝説の再調査で、彼と一緒に来る予定でいたんですけど、彼が何か所用が
あるとかだったので、私一人でお寺を訪ねての帰りなんです」
 俶子は前もって用意していたかのように、一度も詰まることなく、これまでの事情も含めて、
祖母に丁寧に説明していた。
 「それはそれは、何かと孫がお世話になりありがとうございます」 
 概ねの事情を察した祖母は、どうにか緊張から脱したように顔を和らげ、恐縮至極の体で何
度も国語教師に頭を下げていた。
 俶子の、僕への手助け的な言葉もあって、どうにか正常に戻った僕が、彼女に向けて声をか
けようとした時、
 「あの、先生は今からもうお帰りですか?もし、よろしかったら、古くてむさ苦しい田舎家
ですけど、お寄りになって、何もございませんですけど、お食事でも」
 と祖母が、僕にしたらいわずもがなのことを、真顔で持ちかけていた。
 このまま俶子をここで見送ったほうが、完全に無難な策だと思っていた僕の思いを砕くよう
なことを、祖母は祖母なりに、孫が日頃何かと世話になっている教師への、せめてもの気配り
の思いから発したのだと思うと、僕はただ口を噤むしかなかった。
 この駅からの最終列車は八時四十二分だから、それまではどうにか持ち応えようと僕は覚悟
して、俶子に向けて複雑混じりの笑みを送った。
 祖母は僕と神聖な聖職者である、国語教師の俶子との関係を知らない。
 俶子は僕とは血縁の極めて深い、祖母との関係を知らない。
 この狭間で、一人懊悩しているのは僕だけだった。
 そんな関係の中で、三人での夕食の味気なさは、多分、体験者の僕以外には誰もわからない
と思う。
 しかし、祖母と俶子のほうはあに図らんや、初対面の緊張が取れると、お互いのどこが気に
入ったのか、二人同士の会話と笑顔が、風船が膨らむように弾み、僕だけ除け者にして際限な
く続き、挙句の果てに、俶子がここに泊っていくという、僕には極めて面白くない事態に進展
質ったのだった。
 総じて僕が思ったのは、国語教師らしく語彙力の優れた俶子が巧みな筋立てで、何事にも控
えめな祖母の気持ちを和らげたり、楽な気分にさせているという感じだった。
 女同士二人の天下は、しかし長くは続かなかった。
 夜遅くに僕は、男一人で奮起奮闘した。
 三人が三つの室に分かれて寝た。
 布団に潜り込んでいた僕は、午前零時に起き上がり、最初に俶子の室に向かった。
 戸を開けた時、スタンドの灯りが点いたままになっていたことで、僕は俶子が起きていること
を半分以上確信した。
 俶子は祖母から借りた寝巻姿で、忍び入った僕に背中を見せるようにして横たわっていた。
 俶子の背中に自分の胸を突き当てるように、僕は身体を寄せていった。
 女特有の匂いが僕の鼻孔を強く刺激してきていた。
 腕を俶子の胸に廻し、素早く寝巻の襟の中に潜らせると、彼女が短く小さな鼻声を漏らした。
 寝巻の襟の中へ潜り込んだ僕の手が、俶子の乳房の膨らみを掴み取っていた。
 そこで俶子の身体が動き、閉じていた目が開いた。
 「来てくれて嬉しい」
 そういって俶子は、僕の首に腕を巻き付けてきて、自分から唇を僕の唇に重ねてきた。
 「もっといいことさせてやる」
 そういって僕は俶子の寝巻の襟を、肩まで見えるくらいにはだけて、柔らかな膨らみに顔を
埋め込んだ。
 舌で俶子の乳首を舐めてやると、もうそこは固くし凝り出していた。
 僕の来ることを密かに待っていた、俶子の身体はもうどことなく熱っぽかった。
 「いいか、今から、そうだな、二十分か三十分くらいしたら、あき、いや、俺の婆ちゃんの
寝てる室に来い」
 僕のその声に、俶子は思わず口を開け、目を大きく見張らせた。
 「そういうことだ。一緒に抱いてやる」
 唇に唇を軽く重ねてやって、僕は俶子の布団から離れた。
 祖母の室の戸を、僕は静かに開けた。
 灯りは天井からの小さな豆電球だけだ。
 布団に姿勢よく仰向けになって、祖母は僕の侵入もまるで気づいていないようだった。
 朝から墓の建立式やら、弁護士相手の小難しい話の中に巻き込まれたりして、小柄で華奢な
身体は、相当に疲れているのかも知れないと思いながら、俶子の時と同じように、僕は祖母の
布団の中に身体を滑り込ませた。
 俶子とは少し違ったが、女の身体の匂いが僕の鼻先をつき、下腹部に刺激と興奮の火種を送
ってきた。
 祖母は薄緑一色のパジャマ姿だった。
 つんと尖って上を向いた、祖母の小さな鼻の穴から、安らかな寝息が漏れていた。
 僕は手をいきなり祖母の胸の上に置いた。
 ブラジャーをしていなくて、パジャマの布越しに、柔らかな膨らみの感触が僕の手に伝わっ
てきた。
 祖母の髪に隠された耳の辺りに、ふっと息を吐いてやり、胸に置いた手に少し力を込めてや
ると、切れ長の目の端が震えるように動いたかと思うと、その目がぱちりと唐突に開いた。
 顔を横に向けた祖母の目と僕の目が合った。
 色白で小ぶりの顔に、驚きの表情が出ていた。
 自分の手を、胸に置かれている僕の手に強く重ねてきて、
 「だ、だめよ…き、今日は」
 細い首を激しく振って、祖母は拒絶の仕草を見せた。
 かまわずに僕は顔を起こし、祖母の唇を強引に塞ぎにいった。
 声を出そうとしていた祖母の歯は開いていて、僕の舌は容易く口の中に押し入った。
 甘酸っぱいような匂いと空気が、僕の口の中に広がった。
 長い間、僕は塞いだ唇を離さないでいた。
 狭い口の中で逃げ惑う祖母の小さな舌を、僕は鬼ごっこの鬼のように追い回し弄んだ。
 ふいの来客がいることで、声も出せず、僕にされるがままでいた、祖母の身体から力が抜け
ていく感じがあった。
 それを機に僕はそそくさと、祖母のパジャマの上下を脱がし、ショーツの小さな布地も剥ぎ
取り、自分も急いた動作で素っ裸になった。
 祖母の両足を割り開き、その間に僕は自分の身体を置いた。
 肌理が細かく、どこを触っても滑らかさのある祖母の肌は、すでに僕の下腹部へいきり立つ
ほどの興奮と刺激を送り続けてきていた。
 祖母の身体の攻略の奥の手を、僕は早くも駆使し始めていた。
 もう間もなくここに来る俶子のこともあったので、祖母を全裸にして間もない頃から、僕は
彼女の左の乳房への愛撫を、ひたすら丹念に繰り返していた。
 そこが祖母の身体の、どこよりも敏感で、女として弱い部分だったのだ。
 もっというと、左の乳房の上の、膨らみ部分にある小さな黒子を舌で舐めてやると、祖母は
理性も分別も何もかも失くして、悶え喘いでしまうのだった。
 「ああっ…ど、どうして、そこばかり」
 声を噛み殺して、祖母は恨めしげな視線を僕に投げつけてきていた。
 腰を少し動かすと、僕のいきり立った怒張の先端が、すぐに目標物を捉えた。
 迷うことなく僕は腰を真っ直ぐにおし進めた。
 忽ちにして湿潤とともに、何もかもを溶かしてきそうな心地のいい圧迫が僕のものを、幕を
張るように包み込んできた。
 口元を手で強く抑え込んで、祖母は自分の口から出そうになる、喘ぎと悶えの声を防いでい
た。
 僕が祖母の乳房から顔を上げ、ゆっくりだった腰の動きを早めようとし出した時、寝室の戸
が音もなく開いて、寝巻姿の俶子が静かに入ってきた。
 戸を背にした、俶子の目が大きく見張らいていた。
 祖母は目を閉じたまま、自分の声を抑えるのに必死で、まだ俶子の侵入には気づいていない
ようだった。
 僕は俶子のほうに顔を向け、寝巻を脱いでこっちへ来いと目で誘った。
 俶子はいわれた通りに、その場で寝巻を脱ぎ、恐る恐るの動きで、僕の横で膝を曲げて座り
込んだ。
 僕は片手で俶子の肩を掴み取って、口に当てたままの祖母の顔の上に、俶子の顔を近づけた。
 祖母の目が何かに気づいたように開いた時、僕は祖母を突き刺している腰に、思いきり力を
込めて強く突き立てた。
 「あっ…ああっ…な、何っ!」
 祖母の目は正しく、驚愕そのものの目になっていたが、身体の下から襲い来る刺激の強さが
勝ったのか、口から言葉が出なくなっていた。
 ここぞとばかりに、僕は若さに任せて、祖母の小柄な身体を激しく突きまくった。
 祖母の喉の辺りで、声のようなものが出ているようだったが、それが口からの声にはなって
いない感じだった。
 あるところで僕は、故意的に腰の動きを止めた。
 「キスしてやれ」
 信じられないものを見て、驚きに身を竦めるようにしていた俶子に、僕は命令口調でいった。
 三十代半ばの俶子という女は、まさか自分でそう決めているのでもないのだろうが、僕の命
令には、いつでもどこでも絶対服従の姿勢をとっているようだった。
 僕が暴力か何かで強制的にそう仕向けたというのではなく、自然な従順を貫いているという
感じだった。
 今もそうだ。
 自分から祖母の顔に顔を近づけていき、そのまま止まることなく、ぜいぜいと喘いでいる祖
母の唇に、自分から唇を重ねにいった。
 僕の激しいつらぬきを受けた祖母に、俶子の唇から逃げる余力はほとんどなく、俶子にされ
るがままの状態で、互いの舌が妖艶に絡み合っているのが見えたりした。
 俶子の手が祖母の乳房を這い、いつの間にか祖母の手も俶子の乳房を優しげに揉みしだいて
いた。
 これはと思い、僕は一旦、祖母の身体から離れ、布団の横に退いた。
 入れ替わるように、俶子の身体が祖母の身体に覆い被さった。
 しかもお互いの頭の向きが違っていて、俶子の顔が祖母の股間に向き、祖母の顔の上に俶子
の股間が迫るという態勢で、二人はやがて、僕がいることも忘れたかのように、お互いの秘所
への愛撫に没頭していった。
 祖母も俶子も、レズビアンの体験があることは、僕も知っていた。
 僕は途中で立ち上がり、室の照明を明るくしたのだが、二人は最早、羞恥の心も忘れたよう
に、抱き合い求め合いして、身体だけでなく気持ちまでも深く通じ合わせていったようだった。
 この妖しげな光景を、最後までじっくりと鑑賞していられるほどの我慢は、若い僕にはなか
った。
 二人が激しく絡み合っている途中で、僕は祖母の身体を、俶子から引き離すように奪い取っ
て、いきり立ったままになっている僕のものを、我武者羅な動きで突き刺した。
 突き刺されている祖母は四つん這いだった。
 横にいた俶子が身体を起こすようにして、僕に抱きついてきて唇を思いきり強く重ねてきた。
 下のほうで祖母が、僕の腰の動きに呼応して、喘ぎ声を間欠的に挙げ続けていた。
 俶子の右か左かわからない乳房を、僕の手が揉みしだいていた。
 祖母と俶子の身体が、同じ態勢で入れ替わった。
 今度は俶子の激しい悶え声が、僕の腰の律動に呼応してきていた。
 三人では狭い六畳間で、くんずほぐれつの絡み合いが果てしなく続き、最後に僕はどこで果
て終えたのかもよくわからないくらいになっていた。
 煌々とした灯りの下で、一つの布団に三人が川の字になって、誰もが言葉を忘れたように黙
りこくっていたが、僕の心には不思議に、不浄感とか背徳感といった感情は何一つ湧いてはい
なかった。
 多分、二人の女性たちも同じだろうと思っていた。
 普通の人から見れば、この三人の神経は異常以外にないといわれるのだろうが、そんなこと
は、この三人の誰もが気にしていないことで、明日には明日の顔になって、普通に生きていく
のだろうと考えていたら、急に眠たくなってきて、僕は二人の女性たちにかまうことなく、そ
のまま深い眠りに落ちていった。
 寝る寸前くらいに、顔をフグのように膨らませ、誰かに怒っている紀子の顔がちょこっとだ
け浮かんだ。
 誰かというのは、おそらく僕だ…。




                                      続く
23/04/13 18:20 (AurE4ulQ)
210
投稿者: (無名)
昭子さんを含む女性2人との3Pは確か初めてですよね。素晴らしい。本当、昭子さんは六十路のど淫乱美熟女ですね。
23/04/13 21:35 (Cvb..nP9)
211
投稿者: 雄一
「ふふ、でもおかしいわよね」
 奥多摩からの帰りの列車の中だった。
 俶子が何かを思い出したように、薄笑いをしていった。
 「何がだよ」
 窓外の景色に目を向けながら、僕が問い返すと、
 「高校教師とその教え子…と教え子の祖母って、ちょっと想像つかないわよね」
 俶子は昨夜のことをいっているようだった。
 「不思議なんだけど、あれだけのことして、私、ちっとも罪悪感なんて感じてない」
 昨夜、僕が思ったことと同じ感想を、俶子もいみじくもいったが、敢えて同調のの意見
はいわず、
 「もういいよ、その話は」
と逆に話を途絶えさせた。
 「好きなあなたと一緒だったからかな?…でも、あなたのお婆様って、ほんと素敵なか
たね。私、一ぺんで大好きになっちゃった」
 「婆ちゃんも俺に同じこといってた」
 「今度はあなた抜きで行ってみよっと。あ、そうそう、あなたにいわなきゃって思って
て、つい忘れてたわ。一昨日だったかな、教頭のところへ、大手芸能プロダクションの取
締役が来てね。あなたの彼女の、村山紀子さん、テレビのCMタレントとして使いたいので、
インタビューとか撮影のお願いに来たみたいよ」
 「へええ、あいつをね。物好きなプロダクションもあるもんだな」
 俶子が名前を出したそのプロダクションは、芸能オンチの僕でも名前を知っている大手
プロダクションで、男女を含めて何人ものアイドルグループをかかえているところだった。
 この前の高校総体で、陸上の記録より、マスクとスタイルの良さで、俄然注目されるよ
うになったとのことだ。
 「彼氏として何かご感想は?」
 俶子が茶化すような口調で聞いてきたので、
 「俺には沢村俶子っていう、ちょこっと歳繰ってるけど、可愛い彼女いるから、何も」
 と返してやったら、
 「年上の女相手に、そういうことを臆面もなしにいえるあなたが、憎らしいけど好き」
 馴染みの駅に着いて、俶子と別れる寸前に僕のスマホが鳴った。
 画面を見て僕がすぐにスマホをポケットに仕舞うと、
 「噂の人?」
 とホームを並んで歩いていた俶子が、また冷やかすようにいってきたので、
 「もっといい人だよ。じゃあな」
 といって、僕は俶子に手を振って別れた。
 専用の公衆電話ボックスまで来て、僕はスマホのボタンを押して、
 「何だよ?」
 と開口一番にいった。
 「愛想のない声ね。もう切ろかな」
 「お前が電話してきたんだろ?」
 「恋人にはもう少し優しくしないと、逃げられるよ」
 「誰が恋人なん?」
 「紀子」
 「いつから?」
 「もういい。福島行きの予定組めたから教えてあげようって思ってたのに」
 「あ、そう。教えて」
 「私たちが泊まるの、宮城の仙台にした」
 「福島じゃないの?」
 「福島は私だけ行くの。あなたは半日、一人になるのよ」
 「なんじゃそりゃ」
 「両親と祖父に紹介して、その後、二人で一泊旅行っておかしいでしょ」
 「恋人同士ならいいじゃん」
 「バカ。私は真剣なのに、もう嫌い」
 そこで紀子を本当に怒らせてしまい、電話を切られた。
 折り返してかけ直そうと思ったが、またくどくどといわれそうなので止めた。
 その日の晩飯は、作った母親のせいではなく、不味くて味気なかった…。



                             続く
 
 
 

   
23/04/13 23:30 (AurE4ulQ)
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