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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
137
投稿者: 雄一
…祖母の寝巻の襟の中に、僕の手は不埒にも潜り込んでいた。
 マシュマロのように柔らかで、すべすべとした祖母の乳房を、僕の手の指はし
っかりと捉えていた。
 「あ…あんっ」
 薄暗い灯りの中で、祖母の白い顔が小さく歪むのが見えた。
 部区の手を握っていた片手を、漏れ出る声を塞ぐように自分の口に押し当てて
いた。
 栄子という客の女性は、僕が夏休みに使っていた室で寝ている。
 祖母のこの室から一間隔てたところだ。
 声の聞こえる心配は先ずなかったが、同じ屋根の下は下だ。
 不埒なことに、僕の内心はそのことにも妖しい刺激というか、興奮のようなも
のを密かにかんじていた。
 栄子という女性の、色気もあまりなさげな丸い顔を、僕は祖母の乳房を弄りな
がら、何げに思い起こしていた。
 「昭子…したい」
 祖母の耳元に顔を突き当てるようにして、僕は声を潜めていった。
 「だ、だめよ。お、お客が…」
 潜めた声で慌てたような口調で、祖母は拒絶してきた。
 「昭子が欲しいっ」
 慌て狼狽える祖母の耳元に、僕は故意的に甘えるような声でもう一度いった。
 「し、静かに…ね」
 祖母は苦しく切なげな表情で折れた。
 僕の手が、祖母の身体の下に伸びていた。
 下腹部の辺りに、小さな布地の滑らかな感触があった。
 その上を指で柔らかくなぞってやると、祖母の小柄な全身がぴくんと魚の鮎の
ように跳ねた。
 ショーツを脱がし、僕は祖母の両足を割るようにして覆い被さった。
 祖母の布団に潜り込んだ時から、僕の下半身のものは、すでに固く屹立してい
た。
 布団の中で露わになった祖母のその部分に、僕の指はゆっくりと這い廻った。
 口元を手で強く抑えたままで、祖母は目も固く閉じて何かに堪えていた。
 伸ばした手をさらに下まで這わせると、指先に温かな湿りの感触があった。
 女としての反応の湿りだと僕は確信した。
 「昭子、濡れてるよ」
 意地悪く僕がいうと、手で覆い隠した祖母の口から、言葉にならない呻き声が、
はっきりと僕の耳にまで聞こえてきた。
 以前に、あの吉野氏の手で剃毛されている祖母のその部分は、まだ生えたての
ざらりとした感触だった。
 両手で祖母の剥き出しの両足を押し開き、僕は腰を前にゆっくりと動かせた。
 口を自分の手で強く閉じたままの、祖母の小さな顔が枕の上で大きくのけ反っ
ていた。
 祖母の胎内に僕が侵入したのだ。
 細い身体の上で祖母の乳房が、慄くように揺れ動いていた。
 祖母の優しく包み込むような圧迫が、僕の固く屹立した皮膚全体にひどく懐か
しいような感覚で触れてきていた。
 祖母のほうはもう、襲い来る官能の喜悦に、ただ堪えるだけが努めのように口
を手で押さえ目を強く閉じているだけだった。
 その内、息苦しさもあってか、口に当てていた祖母の手が離れる時があった。
 そこに僕からの強い突き上げがあったことで、
 「ああっ…」
 と堰を切ったような高い悶えの声が、室全体に大きく響いて聞こえ漏れた。
 また慌てて口に手を戻す祖母だったが、薄い灯りの中でも、祖母の白い顔が羞
恥に赤く染まったのが僕にもわかった。
 「気持ちいいのか?昭子」
 腰の律動を続けたまま、祖母の顔に顔を近づけて僕が聞くと、祖母は手を口に
強く当てたまま、幾度も細首を縦に振り続けてきた。
 「わ、私…は、恥ずかしくて…も、もう逝きそうっ」
 祖母はそれだけを口の手を外していって、また口を手で閉じた。
 「お、俺もだよっ」
 そういってすぐだった。
 背骨を伝って、何か稲妻のような光が身体の下に向けて走る感覚があったと思
ったら、唐突に熱い極まりの症状が僕を襲ってきた。
 「昭子っ」
 呻くような声を出して、僕は昭子の名を故意的に強く呼んで終わり果てた。
 祖母は僕のほうが果て終える寸前に、意識を喪失させていて、暫くの間、死ん
だように動かなかった。
 やがて意識を戻した祖母は、少し狼狽えたような表情で、
 「私…声、大丈夫だった?」
 と開口一番に、僕に問いかけてきた。
 「うん、一回だけ凄かった」
 冗談口調でそう返すと、
 「ど、どうしよう…」
 といって表情をさらに狼狽させた。
 「いいじゃないか、知れたって。俺は昭子を抱けて大満足」
 「ありがとう、私もよ。…あ、思い出したっ」
 「ん…?」
 「明日ね、私…吉野さんとこへいかなければいけなかった」
 「どうして?」
 「あの人、二、三日前に倒れて、床に伏してるの」
 「ああ、癌とかいってた…」
 「意識は戻ったんだけど、譫言で私の名前ばかり呼ぶんだって、ほら、あの古
村さんが、今朝知らせてくれて…」
 「あ、じゃ、お、俺も昭子に付いてこかな?…その吉野さんって人の顔、もう
一度見てみたいし」
 「か、かまわないわよ。明日のお昼過ぎくらいに出るけどいい?」
 「了解」
 祖母から預かったUSBメモリーから、吉野氏という人物の、まだほんの一端程度
しか知らないのだが、僕には興味と関心を抱かせる人のように思えたので、明日が
少し楽しみになり、同時に眠くもなってきたので、祖母の香しく優しい匂いの中で、
僕は瞬く間に深い眠りに堕ちた。
 あくる朝、僕が目を覚ました時には、祖母はもう布団にはいなかった。
 目を擦りながら居間に行くと、客の栄子さんが一人で座卓の前に座っていた。
 おはようございます、の挨拶は栄子さんのほうが早かった。
 僕も挨拶を返して座卓の前に座ると、栄子さんはいそいそと台所に向かい、どう
やら僕の朝食の用意をしてくれるらしかった。
 ご飯の盛られた茶碗と、味噌汁をよそった汁椀を盆に載せて、居間に戻ってきた。
 「あの、お婆さん、お寺に用があるとかいって出かけましたの。朝ご飯の用意頼
まれて、私」
 栄子さんは遠慮感丸出しの小さな声でいいながら、茶碗と汁椀を僕の前に出して
くれた。
 顔色は姉の尼僧に較べて、それほどの白さはないが、丸まった顔の頬の艶やクリ
っと目には、昨日の初対面の時には気づかなかった可愛さが垣間見えた。
 そのせいかどうか、今度は僕のほうが妙に恐縮してしまい、祖母と一緒の時は、
いつも二杯は食べるご飯を一杯にした。
 「あの、すみませんね。折角、お婆さんとこへ遊びに来られたのに、私のような
厄介者がいたりして…」
 僕の斜め前で改めて正座し直して、栄子さんが僕に頭を下げて謝ってきたので、
僕も慌てて座り直し、
 「全然、全然かまいませんよ、僕のほうは。ここへはいつでも来れますんで、ど
うか気にしないでゆっくりしていってください」
 と逆に狼狽えた声で返すと、栄子さんも愛嬌のある笑顔を返してくれた。
 ただ、その後で、ふいに何かを思い出したかのように、不思議な笑みを浮かべて
いたのは、僕にも少し気になるところだった。
 室に戻り、持ってきたノートパソコンをバッグから出し、僕は午後から祖母と一
緒に訪ねる予定の、吉野氏のUSBメモリーを開いて画面に視線を向けた。
 祖母から預かってから二、三度ほど、そのメモリーを僕は開いていて、データのあ
ちこちをスクロールして流し読み的に見ていたので、彼の私小説のサブタイトルで興
味のありそうなところを探してみた。
 「親友」という短いサブタイトルがあったので、その部分をゆっくりとスクロール
すると、今の栄子さんのどこかへ逃亡している夫が直面している借金問題とか、やく
ざとか暴力団とかの物騒な文字がたくさん出てくるページがあったので、照準をそこ
に合わして目を凝らした。
 そのサブタイトルの章の最後辺りに、竹野という聞いたような名前が何度も出てき
ているのも、僕は大いに気になったのだ…。



                             続く
  (お詫び) 
 またまたの投稿ボタンの早押しで、読者の皆様にご迷惑を
おかけしました。
 申し訳ありません。   
23/03/11 22:03 (G6hbN/Xb)
138
投稿者: (無名)
凄い話の展開になったきましてね。
やはり祖母とのやり取りが私は一番最高です!!
ちなみにお母さんはどんな方なのですか?!
何かからみはないのでしょうか?
忙しくて、少し一気読みとなりました。
息子が口から泡をだしてピクピクしておりました。
いつも最高の作品をありがとうございます!!
続きを楽しみにしております。
23/03/12 08:23 (0Vs9vAhf)
139
投稿者: (無名)
栄子さんは昭子の喘ぎ声を聞いちゃったのかもしれませんね。話は早いかも。
23/03/12 23:16 (KmynQ8O5)
140
投稿者: 雄一
(親友)

 私の六十年を超える人生の中で、親友と呼べる人間がたった一人いる。
 稲川浩二という男で、私とは幼稚園、小学校、中学校とずっと一緒だった
同級生で、ある意味においては、社会的には精密機械技術者として特殊開発
ともいえる特許取得をしている私よりも、ずっと社会的に名前が浸透してい
るかも知れない人物である。
 稲川は所謂、裏社会といわれる任侠組織に属していて、関東地区だけでな
く全国的にも悪名高く名を馳せている、「侠道会」の四代目会長として君臨
している男だ。
 たかだか下町の小さな精密機械工場から、どうにかなり上がった一介の油
臭い機械技師と、今や悪名とはいえ日本の首領(ドン)に最も近いといわれ
る男との間に、どれほどの深い繋がりがあるのかというと、然したるものは
なく、寂れた下町でたまたま家が近所で、幼稚園の頃から磁石のように何と
なく気持ちが通じ合い、毎日のように一緒に川の堤防道や、公園を闇雲にた
だ走り廻っただけの記憶しかないのだが、還暦を早くに過ぎた今も胸の中に
いつもいる友達なだけなのだ。
 一つだけ事件があった。
 二人が小学校五年の時だった。
 いつものように公園で私と稲川は、何をしていたのか忘れたが遊んでいた。
 その頃の稲川は、小学校一年の妹をいつも一緒に連れていて、遊ぶのは三
人だった。
 稲川の両親が共働きで、妹のお守り役で連れていたのだ。
 その日の帰り道、川沿いの道を三人で歩いていた時、稲川が突然道路の反
対側で何か深るものを見つけ、そこに脱兎のように走っていった。
 それを見た妹も後に続いたのだが、そこへダンプカーが疾駆してきたのだ。
 声を出す間もないくらいで、稲川の妹が轢かれるという寸前に、僕は妹の
身体に体当たりするように飛び込んでいった。
 気がついたのは病院のベッドの上だった。
 僕の傍にいた母親の横に、稲川の母親と稲川と妹の三人が心配げな顔で覗
いているのが見えた。
 幸いにも事故は僕の左足首の骨折だけで、妹は奇跡的に掠り傷一つなかった。
 僕もどうにか松葉杖で歩けるようになった頃、稲川が僕にいってきた。
 「自分の妹でもないのに、よくあそこで突っ込めたな。俺は傍にいて動けな
かった…」
 涙声でそういってきたので、
 「友達同士じゃないか」
 と僕は笑顔でいって、腹に軽くボディブローをくれてやった。
 中学校を出て二人の道は分かれた。
 私は工業高校の機械科へ進学し、稲川は市内の土木会社に就職した。
 稲川が中学一年の時、両親が離婚して、彼は妹と一緒に母親に付いたのだが
生活状況は忽ち悪くなり、高校進学も断念した。
 それから私と稲川の交流は音もなく途絶えた。
 長く途絶えても、幼稚園から中学三年までに培った、私と稲川の友情には何
の暗雲も立つことはなかった。
 高校卒業後、私は下町の小さな精密機械会社に就職し、ひたすら仕事に没頭
した。
 そんな頃、稲川の悪い噂が幾つも、私の耳にも聞こえてきた。
 勤めていた土木会社も辞めて、街にはびこる不良グループに入ったとか、暴
行事件を起こし、少年院へぶち込まれたという物騒な話ばかりだったが、彼の
喧嘩の強さや度胸のよさを、誰よりも知っている私には、正直いうとそれほど
の驚きもなかったのだ。
 学校で習うことと現場での修練の違いは圧倒的で、現場での何もかもの実習
は、私をあっという間に仕事一徹人間にした。
 自分で自分の考えを現場で堂々と提案し、意見も述べられるようになったの
は、私の年齢が三十前後の頃だった。
 その頃に勤務する会社に、重大な問題が持ち上がった。
 会社の社長が会社乗っ取りを目論む悪質なサルベージ会社の罠にかかり、一
気に二千万円もの負債を抱えることになり、倒産の危機に追い込まれたのだ。
 サルベージ会社の者が、私の勤める会社の社長に最後通告をしにきた時、そ
の者の携帯が鳴り、耳に当てて数分で、その者たち数人がバツの悪そうな顔を
してすごすごと会社から出ていった。
 かかってきた電話相手の指示か命令に、男は声一つ荒げることなく、はい、
はいの言葉をくりかえすだけだった。 
 また数分後、会社の社長の携帯が鳴った。
 怪訝な顔で応対に出た社長の顔が見る間に明るくなり、その場にいた私に驚
きの目を向けてきていた。
 社長の話はこうだった。
 稲川とかいう人物の骨折りで、二千万の債務もすべて無くなり、元通りの会
社に立ち返ったというのだった。
 稲川というのは勿論、私の唯一無二の親友だった。
 その日の夜、私は十数年ぶりに電話を入れて、無沙汰の挨拶抜きで礼をいっ
た。
 「だって、俺たち友達じゃないか」
 それが稲川の、その時の短い言葉だった。
 それからも稲川は、どんなに誘っても、私の前に一度も顔を見せなかった。
 そしてまた十年の歳月が過ぎた。
 稲川の任侠組織の名前は頻繁に、新聞紙上を賑わせてきて、彼の名前もマ
スコミに日を置くことなく出るようになり、組織の拡大化が顕著になってき
たが、私と彼の交流はほとんどないままだった。
 この十年の間に私の人生も、大きく変貌していた。
 それまでの仕事一徹人間から、自分でも驚くくらいに変容していたのだ。
 原因は妻の不慮の交通事故死にあった。
 妻の不倫というか、背信背徳の行為を知ってから、私はそのことを何年も
の間、話せないままできていたのだが、ある日の二人だけの夕食の時、仕事
の何かが上手くいって上機嫌だった私は、ついうっかりとそのことを悪気か
らの気持ちではなく、無意識に吐露してしまったのだ。
 それからの妻の私に対する豹変は、明々白々で、夫婦の普段の会話も必要
最小限の言葉しか発せず、私の話を聞く時も決して目を合わそうとはしてこ
なかった。
 妻の不慮の交通事故死は、それから一年ほど経ってからのことだった。
 横断歩道のないところで、歩道から道路に突然飛び出した事故で、警察も
事件性を一時は疑ったようだが、当時の夫婦間の氷のような関係は知るはず
もなく結果的に単なる事故死になった。
 残ったのは私一人だけの疑念だけだった。
 妻の死後、私の生活は心の中と同じように荒れすさんだ。
 定年を迎えた時、会社は私のこれまでの業績を評価してくれて、役員待遇
のままの在籍を進めてくれたのだが、私のほうから固辞して、何することの
ない独り身生活に入った。
 妻が亡くなる二年ほど前から、夜の夫婦生活が途絶えていて、その後還暦
を過ぎて暫くの間まで、私は女性の身体には一度も接してきていなかった。
 実をいうと私はも何年も勃起不全に陥っていたのだ。
 原因は勿論、妻との目に見えない軋轢にあったと思うのだが、性への欲望
すべてが消失してしまったのではなく、自分的には人並みに、女性や性への
欲望や願望は堪えていないと思うのだが、六十を過ぎた体力的な衰えも相ま
ってか、どんな精力剤を飲んでも、私の男子としての機能はずっと不全のま
まだった。
 そんなこんなで荒れすさんだ、夢のない生活に明け暮れていた時、私はあ
る人の紹介で、竹野という名前の人物を知った。
 四十代半ばで坊主頭の、あまり風采の良くない感じの外見で、丸い目がい
つもどこかをキョロキョロと向いていそうな男だったが、こと女性を扱うこ
とには長けているというのが、紹介者 からの口コミだった。
 都内の住宅街の一軒家で、未生流かの生け花を教えている、五十一歳の未
亡人が多額の借金を抱え、金持ちヤンキーの若者に、ン十万円かで身体を捧
げる白黒ショーが見れるとの話を持ちかけてきてるので、よかったらどうか
と、その紹介者がいった言葉に、興味津々とまでの気持ちはなかったのだが、
私は了解の言葉を返していた。
 もう随分と前にある人に無理矢理誘われて、結果的にそれで妻の不倫と背
徳めいた裏面を覗き見したことで、後に大きな禍根を残すことになった私だ
が、性に関しての何かしらの強烈な刺激が欲しかった私は、敢えて見学料三
万円というその誘いに乗ったのだった。
 ある日の夜の八時頃、竹野という男の運転で、未亡人という女性の自宅を、
私はあまり期待のない気持ちで訪ねた…。



                        続く


 
 

 

23/03/12 23:19 (Wnemmcme)
141
投稿者: 雄一
吉野氏の私小説をここまで読み終えて何気に時計を見ると、十一時を少し過ぎ
ていた。
 生け花師匠の白黒ショーの件りを、読んでみたい気持ちもあったが、寺に出か
けているという祖母が、もう帰ってくるかも知れないと思ったのと、台所のほう
で突然、食器の割れる音がしたので、パソコンを畳み、立ち上がって室を出た。
 台所に行くと栄子さんが流し台の前に座り込み、割れた食器を手で摘まむよう
にして拾い上げていた。
 「大丈夫ですか?」
 そういって僕が傍に近づくと、
 「ご、ごめんなさい。手が滑っちゃってお皿を…」
 と栄子さんは申し訳なさそうな顔で僕を見てきた。
 朝食の時に見た顔と少し違って見えたので、目を凝らすと、丸さの目立つ顔に
化粧をしていたのだった。
 口紅を赤く引いた、少し肉厚な感じの唇が、奇妙に僕の心の中を騒がせた。
 「あっ…」
 栄子さんがそういって、自分の人差し指を口に咥えた。
 咄嗟に僕の手が彼女の丸っとした手首を掴み取っていて、そのことに気づいた
僕は慌ててその手を放した。
 「だ、大丈夫ですか?」
 同じ言葉をもう一度いって、照れ隠しのような顔をして、僕は屈めていた身体
を立ち上がらせた。
 「優しいのね、雄一さんって」
 朝方に見せた奇妙な笑みを、赤く口紅を引いた唇の端に浮かべて、
 「キスしてくれる?」
 と突拍子もないことを突然いい出した。
 昨夜の僕と祖母の密かな睦みごとの声を、彼女が完全に聞いていると僕は頭の
中で素早く確信した。
 夏休みからのこの一ヶ月の、性の嵐のような体験が僕を知らぬ間に大胆にして
いた。
 キスしてもいいか?ではなしに、
 「キスして欲しいのか?」
 と僕は栄子さんの、もう潤みかけている丸い目を凝視していった。
 流し台の横で、僕は少し乱暴な動きで栄子さんの丸っぽい身体を抱き寄せて、
唇を唇で塞ぎにいった。
 栄子さんの熱く燃え上ったような吐息が、僕の口の中に充満した。
 数分後、栄子さんが両手で流し台の縁をしっかりと掴み、剥き出しになった白
くて丸い臀部を、彼女の背後にいる僕に突き出していた。
 背丈の違いもあって、僕は足の膝を曲げた窮屈な態勢だったが、屹立しきった
僕の者は、確実に彼女の胎内深くに埋没していた。
 その証が、まだ会って一日目でしかない栄子さんが、淫靡な声で漏らし続ける
喘ぎと悶えの声の激しさに出ていた。
 「あ、ああっ…き、気持ちいい」
 「す、すごいわっ」
 「も、もっと激しく突いてっ。わ、私を滅茶苦茶にして」
 矢もすると外まで漏れ聞こえそうになるくらいの声を、彼女は続けざまに吐く
のだった。
 ここへ祖母が帰ってきたらどうなるだろうと、僕は英子さんの丸くて柔らかな
臀部に時折、平手打ちを見舞いながら、ふと思ったが、この何日間かで目と耳と
身体に刻まれた目まぐるしい体験は、その時はその時だというクソ度胸のような
ものを、知らぬ間に培養してくれていた。
 「どうだ、感じてるのか?このスベタ」
 こんな言葉も苦も無く出た。
 「あっ…ああ、いいっ…こ、こんなの」
 「こんなのがどうした?」
 「こ、、こんなに気持ちいいの…は、初めてっ」
 「よっぽど飢えてたみたいだな、あんた」
 「は、はい…う、飢えてました…ああっ、ほんとすごく感じるっ」
 「どこがだ?スベタ女」
 「わ、私の…お、おマンコが…」
 「そうだな、ぐしょ濡れみたいだな?」
 「ご、ごめんなさい。…わ、私…ゆ、昨夜の」
 「やっぱり、声を聞いてたのか?」
 「そ、そんなつもりでは…ああっ」
 同じ体位を保ったまま、僕はほんとにまだ会って一日も経ってない英子さんを、
若い力に任せてひたすらつらぬき続け、やがて昂まりの極致に達し、彼女の胎内
に激しい飛沫を浴びせた。
 流し台の前に身体を丸めるように蹲った彼女を、僕は立ったまま強引に引き起
こした。
 絶頂を済ませた僕だったが、この時にはどこかにまだ余力が残っているような気
がしていた。
 茫洋とした栄子さんの顔の前に、僕は飛沫の飛散を終えて萎えている自分のもの
を突き出した。
 彼女の両手が静かに動き、僕の萎えて垂れ下がったものに、ゆっくりと触れてき
た。
 自然な流れのように彼女の口が、まだ萎えたままの僕のものを口の中に含み入れ
た。
 汗の滴り出た彼女の顔が、僕のものを含み入れたまま、前後にゆっくり動き出し
ていた。
 上から強引に、彼女のポロシャツを剥ぎ取るように脱がした。
 ブラジャーをしていない彼女の乳房が、丸い餅のように零れ出た。
 身体を屈めて上から、零れ出た乳房を乱暴に掴み取ると、膨らみも柔らかさも充
分な刺激を、僕の手に伝えてきていた。
 英子さんに咥えさせて、立ったままでいる僕の身体のどこかに小さな電流のよう
なものが走った気がした。
 彼女の口の中にいるもう一人の僕にも、その電流が走ったようで、見る間に硬度
が増してきているのがわかった。
 下腹部のものが完全に息を吹き返した時、僕は彼女に、
 「ここへ尻を載せろ」
 と流し台の横の調理台を指さしていった。
 彼女の片足だけを抱えて、僕は復活した自分のものを、剥き出しになった彼女の
その部分に下から狙いを定めて突き刺した。
 「ああっ…」
 栄子さんの一際高い咆哮の声が、周囲の静寂を破るような大きさで聞こえてきた。
 彼女のぽっちゃりとした両腕が、僕の首にがっしりとしがみついてきていた。
 「こ、こんなとこで…ほ、ほんと初めてよ」
 「そうか、俺もだよ」
 「ああ、いいっ…す、好きにしてっ」
 やがて僕は態勢を買えた。
 台所のカーペットの上に、会ってまだ一日目の栄子さんを四つん這いにして、背
後から激しく長く責め立てた。
 台所の流し台の下に、僕と栄子さんは肩を並べるようにして座り込んでいた。
 栄子さんはジャージとポロシャツを、僕はジーンズを穿き直していて、二人とも
声も出せず惚けた顔をしていたが、
 「ご、ごめんなさいね、ほんとに。私、自分がこんな大変な時に…」
 「こちらこそすみません」
 「私、どうかしてるんです」
 「子供さんもいるそうですのに怖いですよね。追ってきているのは、やっぱり暴
力団関係の人たちなんですか?」
 「そ、そうだと思うんですけど詳しくは知らなくて。桐生市内の村井組とか…」
 と丸い顔を深く俯けて、栄子さんが萎れきった声でいってきた。
 「僕もまだ詳しくは聞いてないんですけど、ご主人はどこにいるのかわからな
いんですか?」
 「もう、あんなの夫でも何でもないわ」
 「…そうですよねえ。家族を放っていくなんて、あなたには申し訳ないけど、
随分と勝手な人みたいですね」
 「あの人…わ、私の姉とも」
 「えっ?お姉さんって、あの尼僧さん?」
 「そう…こんなこと初対面の、しかも歳の若いあなたに聞かせる話じゃないん
ですけどね。だから私、姉も大嫌い」
 「まあでも、姉妹なんだから…ゆっくり時間かけて話し合えば」
 と、その時、玄関の外のほうで足音が聞こえてきたので、僕は慌てて立ち上が
り、栄子さんに軽く会釈だけして、祖母の室に戻った。
 「雄ちゃん、ごめんね。お寺で住職さんとの話、長くなって。朝ごはんちゃん
と食べた?」
 ハンカチで額の汗をぬぐいながら、室に入ってきた。
 祖母のその汗の匂いなのか、柔らかで気持ちを変にそそらせるような匂いが、
僕の鼻孔をついてきた。
 「今、台所で栄子さん、見たんだけど、変に萎れた顔してたんだけど、何か
あったのかしら?」
 「ああ、お皿を一枚割ってしまって、指を切ったとかで」
 これはいわなくていい言葉だと、僕は胸の中でひどく反省した。
 「そう、大したことじゃなかったのかしら?」
 客の栄子さんを気遣う声を漏らしながら、僕のほうに目を向けてきた祖母の
小さな白い顔に、何かを訝るような表情が見えたのは、少し後ろめたい気持ち
のある僕の思い過ごしだろうと思って、祖母から何げに視線を逸らした。
 女の勘の鋭さは、たかだか十六の僕のそれとは、とても比較にならないのだ
ろうなと、僕は背筋を少し寒くした。
 三人での、微妙な空気感の中での昼食を済ませて、僕と祖母は駅に向かい、
あの吉野氏の住む隣村へ向かう列車に乗り込んだ。
 昼前に途中まで読んだ、吉野氏の私小説の中味をぼんやりと思い起こしなが
ら、僕は窓の外に流れゆく景色に目を向けていた。
 「どうしたの?浮かない顔して。嫌だったら駅で待ってていいのよ」
 向かい合わせの席で、僕の前に座った祖母が声をかけてきた。
 「そんなんじゃないよ。吉野さんの書いた文章、昼前に読んでて、ひどく可
哀想に思っただけだよ」
 「あなたに同情されたら、吉野さん、喜ぶかも」
 「えっ?婆ちゃん、吉野さんに僕のこと話してるの?」
 「あら、いけなかった?」
 「別に、いけなくはないけど…私の一番大好きな孫っていってるわ」
 「ま、まさか二人のことも?」
 「バカ、いうわけないじゃない」
 「…だ、だよなあ。ところで、婆ちゃんにはっきり聞いてなかったけど、二
人は再婚するの?」
 「何をいい出すの、この子は」
 「婆ちゃんの気持ち、はっきり聞いてなかったから…」
 「そんなことは大人の社会の話だからいいの」
 「もう、立派な大人だよ」
 「またお祖父ちゃんとそっくりな顔する。不貞腐れると同じ顔になる」
 結局話をはぐらかされて隣村の駅に着くと、ロータリー付近で待っていてく
れた、見覚えのある古村氏がすぐに手を上げて近づいてきた。
 古村氏の運転する車に乗せられて、山のほうに向かって走った。
 車の中で、古村氏が、
 「昭子さんが今から来るって聞いたら、吉野さん、すごく喜びましてね。昨
夜は八度近くあった熱が、今朝計ったら六度九分ですよ。愛の力って凄いです
ね。おっと、お孫さん見えてましたか、失敬」
 と冗談交じりで話しかけてきたが、僕のほうは車の後部座席から彼のスーツ
姿の両肩に目を向けながら、あの夏休みの寺での盗み見の時の、祖母と古村氏
が深く熱く身体を重ね合わせた光景を、不埒ながら思い起こしていた。
 あれは祖母が、古村氏の丹念な愛撫や抱擁に、本心から女を曝け出している
構図だったと僕は今でも確信している。
 古村氏の身体の全てに、心酔しきったかのような祖母の顔の表情だった。
 そんな古村氏が、どうして祖母と吉野氏の愛のサポート役として、こうして
忠実に尽くしているのかも、僕にはわからないことだったが、古村氏の吉野氏
への献身を、誰よりもよく知っている、祖母の気持ちもどうなのだろうかと、
拙い思いを巡らせていたら、少し小高い山の麓に建つ、木造二階建ての一軒家
に車は着いた。
 玄関前も広く、奥のほうに目を向けると、家の廊下に沿って瀟洒な庭園があ
るのが見えた。
 古村氏の案内で玄関口に入ると、家政婦らしい七十代くらいの背の高い女性
が、客三人の上履きを用意してくれていた。
 高校生の僕から見ても立派な内装で、壁や建具も高級感に満ちている。
 家はコの字型になっていて、庭園の見える広い和室が二間続きであり、奥が
吉野氏の寝室になっていた。
 硝子障子戸を開けると、八畳間の中央に大きな布団が敷かれていて、その上
にパジャマに半纏姿の吉野氏が、柔和な顔を見せて座り込んでいた。
 つい一月ほど前に、あの寺で盗み見した時よりも、僕でもわかるくらいに吉
野氏は痩せて見えた。
 「ああ、これはこれは。色々心配かけてすみませんな。おお、この方があな
たのお孫さんですか?…お婆さんに似てなかなかハンサムだ。どうぞ、中へ」
 吉野氏は少ししわがれた声で歓待の言葉をいって、嬉しそうな顔を祖母に向
けていた。
 祖母は今にも泣きそうな顔をして、吉野氏の前に近づき、白く小さな手を前
に差し出していた。
 その手を吉野氏の痩せた手が包み込むように掴んでいた。
 暫くの歓談の後、古村氏が祖母に向けて、
 「昭子さん、お願いしてた買い物のお付き合い、今からでよろしいですか?」
 と徐にそういうと、
 「あ、ああ、はい。雄ちゃん、あなたお留守番で吉野さんのお話し相手にな
ってあげて」
 と僕に向かって思いも寄らない匙を投げてきた。
 「吉野さんの下着とか、パジャマとか、秋用の着るものを買いに行くの」
 とってつけたように祖母は、僕にそう付け足すようにいって、そそくさと立
ち上がっていった。
 嫌も応もなく僕は取り残され、吉野氏と向き合うことになった。
 「高校の二年生か。いいなあ、若いってのは」
 吉野氏のほうから、しみじみとした声で話しかけられた僕は、元来が内向的
で人見知りもするほうだったが、不思議とそれほど固くなる感じはなかった。
 「昭子さん、いや、君のお婆さんはとてもいい人だ」
 「ありがとうございます。僕もそう思ってます」
 「私のこと、どう聞いているのか知らないが、ほんとによくしてくれてね」
 「あの、僕婆ちゃんから吉野さんのUSBメモリーを預かっていて、失礼なんで
すが、中味もまだ一部ですが、よ、読まさせてもらってます。すごく丁寧な文章
で、内容にも読むたびに驚かさせることばかりで…」
 「そうか、お婆さんは君に託したのか。恥ずかしいことばかりで、若い君には
刺激が強過ぎるかも知れないな」
 「いえ、社会勉強には持ってこいの教材だと思って、真面目に読まさせてもら
ってます。それに…」 
 「それに何だね?」
 「いや、読まさせてもらった中で、吉野さんの会社が乗っ取り詐欺みたいなこ
とありましたけど…実は婆ちゃんの知り合いの人も、今、借金の取り立てみたい
な暴力団に追い込まれていて、その人を婆ちゃん一人で匿まっているんですけど、
年寄り一人ではちょっと心配で…」
 「それは心配なことだね。お婆さんから何も聞いてないんで…で、相手は誰か
わかってるのかい?」
 「いや、僕もまだ聞いたばかりの話なんですけど、桐生市の村井組とかいって
ましたけど…」
 「ああ、名前は新聞で何度か見たことのある暴力団だ」
 「まあ、祖母には直接の関係はないんで、大丈夫だと思うんですけど、巻き添
えってこともありますから…」
 「君は優しい少年だね。お婆さんがいつものろけるはずだ」
 「そんなに僕のこと話してるんですか?」
 「ああ、いつも楽しそうにね。まだ子供のくせに、この頃ひどくませてきて困
ってるてね。はは」
 吉野氏は嬉しそうに、初めて声を出して笑った。
 祖母と古村氏がたくさんの荷物を抱えて帰ってきたのは、出かけてから三時間
後のことだった…。
 

 
                        続く
 
 
 

23/03/13 15:48 (Wrtm21/h)
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