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祖母・昭子 その後
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子 その後
投稿者: 雄一
「凄い人ね…」
 「だから近場の神社でいいといったのに」
 「いいじゃない。あなたも私も東京っ子なのに、日本一の明治神宮に一度もお参りして
ないんだから。それに…」
 「え?何だって?」
 「来年の雄ちゃんに栄光がありますように」
 「栄光って?」
 「東大の入学試験に合格しますようにって、日本一の神様にお願いするの」
 「あ、あれはだな…ものの弾みでいっただけで…」
 「だめっ。指切りして約束したんだから」
 明治神宮の入り口から御社殿までの参道は、大晦日のこの夜、当然のように人、人、人
でごった返していた。
 紀子に無理矢理誘われて、僕は彼女が言うように、まだ一度も来たことのない明治神宮
に来ていた。
 一ヶ月ほど前、奥多摩の祖母の家で、初めて紀子を抱いた時、その後の寝物語で、
 「俺、まだ将来の夢なんて何もないんだけど、何かのテッペンに立ってみたいから、東
大でも狙ってみようかな?」
 と何の脈絡も、勿論、見込みもなしに、ぼそっと言ってしまったことを、紀子のほうが
真に受けてしまって、喜色満面の笑顔で僕に抱きついてきたことを、大晦日のこの日まで
引き摺ってきているのだ。
 後で、冗談だよ、と何度も訂正と取り消しの言葉を言ったのだが、紀子はまるで聞く耳
を持とうとしなかった。 
 今夜のここへの参拝をいい出したのも紀子で、まるで大奥のお局にでもなったように、
僕に自宅まで迎えに来させ、人で混雑するに決まってる大晦日の、中央線から山手線の電
車内でも、人混みと痴漢から自分を守れと言ってきたり、言いたい放題、したい放題の有
様だった。
 自惚れていうのではないが、紀子をほんとの女性にしてやったのは僕のほうで、もう少
ししおらしくなるのかと思っていたら、真逆の結果になってしまっていて、人生経験のま
だ浅い僕は、女ってわからん、と思うしかなかった。
 それにしても、この人の多さはまるで東京中の人が全部集まってきているような喧噪さ
で、僕は早く退散したい思いで一杯だったが、紀子のほうは僕の片腕を両手で痛いくらい
に掴み取ってきていて、
 「お前、そんなにくっついてくるなよ」
 とぼやきながら僕がいうと、
 「恋人同士だからいいじゃん」
 と悪戯っぽく白い歯を見せて笑ってくるだけだった。
 少し前にあった紀子の両親の離婚問題も、不倫騒動を起こした父親のほうの全面的謝罪
を母親が、娘のためにと渋々ながら許諾したことで、元の鞘に戻ったようで、その頃は半
泣き状態だった紀子も、生来の小煩い小娘に完全復活していた。
 紀子との東北への一泊旅行も滞りなく済ませていて、仙台のシテイホテルで、僕は彼女
とベッドを共にしていた。
 僕の祖母のように、長い人生を経験を踏まえた官能的な深さは無論なかったが、清流の
川で弾け泳ぐ若鮎のように清々しさに、他の女性の時にはないような感動にまたしても取
り込まれ、早々の撃沈に陥っていた。
 ひたすら陸上競技に打ち込んできている、紀子自身は自分の躍動的な身体の特性にはま
だ気づいてはいないようで、
 「私たちってまだ十六なのに、こんなことばかりしてたら、不純異性交遊か淫行罪で逮
捕されない?」
 などと無邪気な顔をして言ってきたりするのだ。
 押し競饅頭のような身動きできない人混みの中で、紀子は最後まで僕の腕を、両手で強
く掴み取ったまま、どうにか本殿の参拝所の前に辿り着き、僕は型通り五円玉を、紀子は
と見ると、硬貨で一番大きい五百円玉を惜しげもなく投入していた。
 騒然とした人の群れの声と熱気の中で、
 「これ、私からの雄ちゃんへの投資だからね。これから受験勉強頑張ってね」
 と横の何人かが振り返るような、大きな声を張り上げて言ってきた。
 そう言われても、半分は口から出まかせで出た言葉だし、僕には自信の欠片すらなかっ
たので、曖昧な笑顔を見せて曖昧に頷いてやるしかなかった。
 大鳥居を抜けようやく境内の外に出ても、駅のほうから歩いてくる人の波は引きも切ら
なかったが、僕はそこで奥多摩の祖母の顔を、はたと思い出した。
 毎年のことだが、大晦日の新年のカウントダウン前後には、いつも祖母に電話をするの
が僕の慣例になっていた。
 スマホで時刻を見ると、零時に七分前だった。
 「婆ちゃんに電話したい」
 まだ僕の腕から手を放さずにいる、紀子に独り言のように言って周囲を見廻したが、ど
こも蟻の群れのような人だかりで、静寂なスポットなどどこにもあるわけがなかった。
 かまわずに、スマホの画面に祖母の番号を出し、発信ボタンを押すと、やはり一回のコ
ールで祖母が出た。
 「雄ちゃん…」 
 周囲の喧騒の中でも、祖母のもう泣き出しそうな声が、はっきりと聞こえた。
 「婆ちゃん、今、明治神宮に来てる」
 片方の耳を抑えて、僕も精一杯声を張り上げて祖母に言った。
 横にいる紀子と初めて契りを交わした翌日に、雑貨屋の前の無人駅で言葉を交わして以
来、長い間、会ってはいない、祖母の色白で小さな顔が僕の脳裏に、懐かしくそして妙に
物悲しげに浮かんだ。
 あの時は紀子も一緒だった。
 二人はともに笑顔で言葉を交わしてはいたが、十六と六十代の女同士の瞬時の視線の交
錯に、鈍感な僕でも気づくくらいの、小さな火花のようなものが散っていたのを思い出し、
僕は思わず目を瞬かせた。
 若い紀子はともかくも、年齢を重ねている祖母の女の勘は鋭い。
 僕ら二人を駅で見送り、帰宅した祖母はきっと何かを嗅ぎ取るような、そんな気が僕は
していた。
 狭い歩道を歩く人だかりの中で、カウントダウンを叫ぶ声が合唱のように聞こえてきた。
 「婆ちゃん、おめでとう!」
 零時になった時、僕はありったけの声でスマホに口を寄せて叫び、横にいる紀子に目を
向けた。
 紀子の少し大人ぶって化粧した、艶やかな顔がいきなり僕の顔の前に近づいてきて、周
囲の人だかりを気にもせず、大胆にも唇に唇を強く押し当ててきた。
 耳に当てたスマホから、祖母のおめでとうの声がどうにか聞こえたが、紀子の思いがけ
ない行動に、僕の気持ちは完全に奪われていた。
 僕のマフラーの上に手を廻してきて、重なった唇は十秒近く離れなかった。
 唇が離れてすぐに、
 「冬休みの終わりに、また行くね」
 と祖母に声を張り上げて言って、僕はスマホのオフボタンを、慌てた素振りで押して、
改めて紀子の顔を見た。
 「おめでとう。これ私の新年のサービス。…それと」
 「何…?」
 「あなたのお婆ちゃんへの、小さなジェラシー」
 歩道の雑多な流れの一部を止めるように、紀子は少し上気した顔で、僕を本気とも冗
談ともつかぬ顔で見つめてきていた。
 祖母とのことについては、紀子には絶対に話せない、大きな秘密を抱えている僕は背
筋を少しヒヤリとさせながら、それでも普通の顔で彼女の目を見返した。
 「年越し蕎麦食べよ」
 紀子は明るい声でそう言って、まだまだ人通りの絶えない歩道を、原宿のほうに向か
って歩き出した。
 腕はしっかりと紀子の手で掴まれたままだった。
 若者の街といわれる原宿は、普段の平日でも夜の更けるのは、遅いのが当たり前なの
だが、大晦日のこの夜は、まさに老若男女を問わない人混みで、雑多なネオンも煌々と
していて、元旦の日の出まで、この喧噪は続けっ放しになるのではないかと思えるくら
いの賑やかさだった。
 僕にミノムシのように、しっかりとくっついている紀子からの声も聞き取りにくく、
こちらも大声を出さないと、会話が成り立たない。
 芋洗いの芋になって歩きながら、僕は虫と蛙の鳴き声しか聞こえない、、奥多摩の静
寂の夜をふいに思い出していた。
 綿入れを着込んで、蜜柑の置かれた炬燵の前で、一人静かにテレビの紅白歌合戦を見
入っている、祖母の小さな顔が、僕の目の奥のほうに続いて浮かび出てきて、この冬休
みの最後には、絶対に奥多摩へ行こうと、横の紀子には内緒で、そう決心した。
 
 この二日前の、二十九日の午後、僕は国語教師の沢村俶子の住むマンションにいた。
 前日の夜、高校教師で三十五歳の俶子から、生徒で十六歳の僕に、相談事があるので、
昼前に自宅に来て欲しいとのメールが入っていたのだ。
 (美味しいビーフシチューご馳走するから、明日のお昼前に来て)
 これまでにこのビーフシチューの誘いで、何回のに肉体労働を見返りに強いられてき
たか憶えてないが、続いてのメール送信で、私の結婚のことで…と書かれていたので、
僕は「りょ」と返信して、今、俶子の家のリビングに座っていた。
 「お話は食べてから」
 そういって、俶子はデミグラスソースのいい匂いのする、ビーフシチューと野菜サラ
ダの盛り合わせを目の前に置いてくれた。
 年明けの月末に、俶子は隣の市で同じ教師をしている五つ年下の男性と、晴れて華燭
の典を挙げるのだ。
 そのことは前から知らされていて、僕はこれまでの二人の関係を抜きにして、心から
の祝いの言葉を言って祝福していた。
 「私が高校の時の教頭先生の紹介で、昔風のお見合いみたいな場からお付き合いした
んだけど、高校では化学を教えている人で、真面目一筋で、誰かさんみたいな戸っぽい
面が一つもなくて…面白味には欠けるけど、私もそうそう贅沢言える顔でも年齢でもな
いし、この辺が年貢の治め時かなって思って、プロポーズ受けちゃったの」
 口ではそういいながら、眼鏡の奥の目を艶っぽく緩めたりして、僕に話していたのは、
ついまだ最近のことだった。
 「よかったじゃないですか。先生が幸せになってくれたら僕も嬉しい」
 いつもと違う丁寧語で、僕は俶子に祝福の言葉を送った。
 二人のこれまでの関係は、これで自然消滅ということになるのだったが、僕のほうに
は何の拘りも未練がましい思いもなかったので、
 「明日からは、沢村先生と一生徒に戻って、学校では仲良くしましょ」
 といってやると、俶子は目から涙をぼろぼろと零して、
 「そんなに明るくいわれると、逆にすごく寂しくなるじゃない」
 といって眼鏡を外して、ハンカチで目を拭ってきた。
 その俶子からの誘いが、目の間前のビーフシチューだったのだが、何故かあの時のよ
うな、恥ずかしながらも嬉しそうだった表情ではないようだったので、
 「何かあった?」
 と目ざとく僕は尋ねた。
 俶子の驚きの告白を聞くまで、多少の時間を要したが、話を聞いた僕も暫くは返答の
しようがなかった。
 結婚相手が今になってどうこうというのではなく、相手の父親の実の弟の顔を見て、
俶子は愕然としたというのだった。
 俶子が大学を出て高校の国語教師として、最初に赴任した高校の先輩教師と、何かの
教育セミナーで県外へ一泊二日で出かけた時、新人の彼女に優しく接してくれ、それが
きっかけで男女の関係に陥ったのが、今度結婚することになった相手の叔父になる人物
だったのだ。
 叔父という男は、俶子と関係を持った時にはすでに結婚していて、聡子もそれを承知
で、何年も肉体関係を続けたということのようだった。
 大学を出たばかりでまだ処女だった俶子に、男は縄で全身を縛り付けたりとか、蝋燭
を熱い蝋を身体に垂らしたりとかの、通常ではない行為で彼女を抱き続け、他にも野外
露出を強要したりとか、排尿や排便するところを見られたりと、恥ずかしいことを散々
に彼女の身体に沁み込ませた元凶のような男だった。
 女を女として扱わない、冷徹な甚振りや辱めに、何度も止めてくれるよう懇願し、つ
いには別れ話まで進展したのだが、それまでの恥ずかしい写真を種に、ずっと引き摺った
 その後に、その男は何の病気かは俶子にも記憶はないのだが、職場を休職し一年ほど
病院での入退院を繰り返し、交流は自然消滅のようになった。
 それから何年か後、俶子はある男性と結婚をしたのだが、どういう因果なのか、その
男も彼女の最初の男と同じ異常な性嗜好で、俶子自身は、男というのはみんな同じ性嗜
好者であるという曲がった思い込みが観念的に、身体にも心にも宿りついてしまってい
たということのようだった。
 十日ほど前に、俶子は婚約者から家族と親戚一同が介した集合写真を見せられ、その
時に、自分の処女を捧げた、相手の男の顔を見つけてしまったのだと、聡子は顔面を少
し蒼白にして、僕に話してきたのだ。
 婚約者にその男の今の素性を聞くと、現在は教職員を辞めて妻の父親が経営している
不動産会社に、専務という肩書で勤務しているとのことだった。
 俶子にとって、自分の女としての人生を捻じ曲げた、淫獣のような男が身内にいると
ころへ嫁いでいくのは、屈辱的な人身御供か、悪魔への生贄でしかないというのだった
が、話を聞いた聞いた僕もその通りだと思った。
 しかし、そのことを結婚式を一ヶ月後に控えた婚約者に、正直に告白する勇気は自分
にはないと俶子はいうのだったが、十六の僕には事情が重すぎて、何とも応える術も手
段も思い浮かばなかった。
 見ると、俶子は自分の前に置いたビーフシチューを、一度も口に入れていないようだ
った。
 「いいの。まだ若いあなたに、どうにかしてもらおうなんて思ってないから…ただ、
誰かに聞いて欲しいと思ったら、あなたの顔しか思い浮かばなかっただけなの。気にし
ないでね」
 無理そうな笑顔を見せて、俶子は逆に重々しく顔を沈ませている僕を、歳の離れた姉
のような口調で、慰めるように言ってきた。
 「で、でも、婚約者に黙ったまま結婚したとしても、きっと幸せな結婚生活にはなら
ないと思うけど…」
 正直な僕の気持ちを、僕は声を詰まらせながら、どうにか正直に言った。
 「そうね、余計な不幸者をまた作ってしまうだけかもね。ありがとう、雄一君。いい
意見を言ってくれて…私のこと真剣に考えてくれてるのが、すごく嬉しい」
 俶子のその声が、急に気丈な響きで聞こえてきたので、顔を上げると、
 「あなたの助言で、私、決めたわ。これからもあなたの下部で生きてく」
 と明るい声で言ってきた。
 それもどうか、といおうと思ったが、その時は僕は喉の奥にぐっと詰め込んだ。
 「あ、そうだ。あなた、東大目指すんだって?」
 「えっ、だ、誰に?」
 聞いた瞬間に、犯人が誰かすぐにわかった。
 あのバカ、と腹の中で僕は舌打ちしていた。
 「いいことよ、あなたなら一生懸命頑張ったら行けると思う。私も全面的に応援する
からね」
 「どうかな?…僕の学力は片輪みたいなものだから…」
 「数学がまるで弱いもんね」
 「弱いなんてもんじゃない。それにしても、あのクソバカ」
 「いいじゃない。彼女、すっごい嬉しそうな顔していってたよ」
 「女の口軽は最低だ」
 「未来の奥さんになる人を、そんなに言うもんじゃないわ」
 「えっ、そ、そんなことまで、あいつ」
 ほどなくして、僕と俶子はいつもの決まりごとのように、彼女の室のベッドにいた。
 どうしようもないお喋り娘への、僕の憤怒はまだ収まってはいなかったが、聡子のほ
うは、僕との対話で気持ちがすっきり振り切れたのか、
 「どこで誰と浮気してたのか、この僕ちゃんは」
 聖職の人とは思えないような、艶めかしい目をこちらに向けてきていた。
 着ていたセーターとスカートは、すでにカーペットの下に落ちて包まっている。
 紺色のブラジャーと揃いのショーツが、僕自身も久しぶりに見る白い裸身に好対照に映
えて、若い僕の下腹部の一ヶ所に集中し始めていることを知らされていた。
 「俺が欲しいか、叔母さん?」
 僕は徐に俶子が仰向けになっているベッドに駆け上がり、その場で身に付けていた衣服
のすべてを脱ぎ晒して、両足を少し拡げて仁王立ちの姿勢をとった。
 「叔母さん、そんなとこで偉そうに寝そべってんじゃないよ。お前の一番欲しいものに、
きちんと挨拶しろよ」
 急に芝居がかった声で言う僕の意を理解したかのように、俶子も眼鏡の顔を真顔に引き
締めてきて、おずおずとした動作で上半身を、ベッドから起こしてきた。
 どこでどういうスイッチが入ったのか、僕自身もわからないでいたが、俶子の身体への
嗜虐の衝動がどこからともなく湧き上がってきていた。
 十六の自分よりも二十近くも年上のこの女には、何をしても許される、という妙な自惚
れめいたものが、聡子と知り合った頃から漠然とだがあった。
 僕の二面性の性格の裏側にある、嗜虐の嗜好と、俶子のこれまでの、ある意味、不幸な
男性遍歴で知らぬ間に培われていた、被虐の思いが、歯車の歯が噛み合うように合致して
いるのかも知れなかったが、とにかく僕自身が淫猥な気持ちになってくるのは事実だった。
 ベッドに座り込んだ俶子の顔のすぐ前の、僕の下腹部のものはすでに半勃起状態になっ
ていた。
 俶子の両手がそこへ添えられてきて、間髪を置かず彼女の赤い唇が半開きになって、僕
の股間に迫ってきた。
 濡れて生温かい感触が心地よかった。
 俶子の身体を抱くのはいつ以来だろうと思い返しながら、僕は背中を少し屈めて、彼女
のブラジャーのホックを外しにかかっていた。
 室には暖房が入っていて温かかったが、聡子の背中はそれだけではない汗のようなもの
で肌は湿っていた。
 僕の下腹部のものは、俶子の口の中で早くも臨戦態勢を整えていて、学校のグラウンド
にある鉄棒のように固く屹立していた。
 満を持した態勢で、僕は俶子の口から刀を抜くように、唾液でしとどに濡れそぼった屹
立を抜き、彼女の上体をベッドに押し倒し、小さな布地のショーツを一気に剥ぎ取り、熟
れて脂の乗り切った太腿を大きく押し広げて、自分の身体をその間に割り込ませた。
 「ああっ…う、嬉しい!」
 感極まったような声でいいながら、聡子は僕の両腕を両手でがっしと掴み取ってきた。
 俶子の大きく拡げられた、股間の漆黒の下に目をやると、薄黒い肉襞が開いていて、そ
の中の濃い桜色をした柔らかな肉が、滴り濡れているのがはっきりと見えた。
 僕は固く怒張しきった自分のものに手を添え、狙いを定めるようにして、濃し全体を前
に押し進めた。
 「あ、ああっ…す、すごい!…は、入ってきてるわ…ああっ」
 久し振りに聞く俶子の咆哮の声は、室一杯に響くくらいに大きくけたたましかった。
 僕の腕を掴み取っている彼女の手の指も、痙攣を起こした人のように強い力が込められ
てきていた。
 じわりと締め付けるような圧迫の間に、三十五歳の女の身体から発酵したねっとりとし
た脂が潤滑油のようになって、俶子の胎内に僕のものは深く沈み込んだ。
 僕の腰が動くと、その潤滑油は温みのある摩擦を、僕のものに心地のいい刺激となって
与えてきて、俶子は俶子で僕の腰の淫靡な動きに幾度となく呼応し、眼鏡の奥の目を瞬か
せ、喘ぎと悶えの声を間断なく挙げ続けたのだった。
 「は、恥ずかしい…こ、こんな」
 「俶子の顔がしっかり見れるから、俺は好きだよ」
 僕はベッドに胡坐座りをして、俶子と胸と胸を合わせて重なるように抱き合っていた。
 俶子が汗に濡れそぼった裸身を晒して、僕の腰に跨り座っていて、重なった腰の下で、
列車の連結器のように、二人の身体は深く繋がっていた。
 顔と顔が否応もなく触れ合い、相手の息遣いまではっきりと聞こえるほどに密着してい
て、俶子の胸の膨らみの柔らかな感触が、汗に濡れた僕の胸に心地よく伝わってきていた。
 「あ、あなたの汗の匂いって、いい匂い」
 「俶子の女の匂いも、俺は好きだよ」
 「わ、私って、悪い女?」
 「どうして?」
 「の、紀子さんのこと知ってて…こんな」
 「そしたら、俺は大悪党だ」
 「大悪党でも好き!…キスして」
 お互いの歯と歯のぶつかる音が聞こえるくらいに、僕は唇を強く俶子の唇に重ねていっ
た。
 閉じた口の中に広がってくる、俶子の息が、燃え上った身体の熱の上昇を訴えるように、
ひどく熱っぽかった。
 結果を先にいうと、国語教師の俶子とその教え子の僕との、身体の交わりはその日が最
後になった…。



                          続く
 
 

 
 
 

 
 
 
 
 
 

 
 
 
2023/06/01 13:19:07(.AwPQuri)
7
投稿者: 雄一
購買で買ったアンパンと野菜ジュースを、教室でボッチで食べてたら、一人の男子生徒が
僕の傍に寄ってきた。
 同級生で三上恒夫という生徒で、背が百六十センチあるかなしの小柄で、「まだ中学生」
というあだ名をもじって、「マダチュウ」呼ばれている、誰とでも気さくに喋れる、明るい
性格をしていて、あだ名も体を表すではないが、鼠のようにいつもあちこち動き廻って、校
内情報には誰よりも詳しい男子だ。
 僕と同じ帰宅部に属しているのだが、部活情報収集のためか、校門を出るのはいつも遅い。
 それだけで僕を友達だと思っているのか、他の生徒は名字で呼ぶのに、僕だけは名前で呼
びつけてくる。
 「雄一って、モテるんだなぁ」
 僕の前の椅子に座り込んできて、羨ましそうな目で僕を見て、いきなりそう言ってきた。
 「は…?」
 何のことだかわからずに、恒夫に目を向けて聞いた。
 「今度卒業する三年生の細野多香子っていう美人生徒いたろ?」
 好奇心満々の目で、恒夫が僕の顔を覗き込むようにして聞いてきた。
 「あ、ああ、校内アイドルナンバーワンだった」
 何度か学校内で顔を見かけたことはあるが、一度も言葉を交わしたことのない、美人で有
名な女子生徒だ。
 奇麗な髪を肩の近くまで垂らし、背も百七十センチ近くあり、スタイルもモデル顔負けに
よく、色白で人形のような整った顔立ちをしていて、校内の男子生徒間の美人ランキングで
は一年の時からずっとベストスリーに入ってるということだった。
 ランキングの二位には紀子がいる。
 細野多香子は学校の成績もよく、六大学のどこかに進学するとかいうのも騒がれていたが、
芸能界のアイドル専門のプロダクションからも、誘いの手が伸びているという噂もあるよう
だった。
 「それがどうしたって?」
 素直に疑問の表情で恒夫に尋ねると、
 「何言ってんだよ、お前、惚けやがって」
 怒ったような目で恒夫が僕を睨んできた。
 「今はもう三年生は、大学や就職で学校へ来てないけど、前に来た時、校内新聞の奴が、
細野多香子に、去り行くアイドル、とかいう名目でインタビューした時にな、憧れの人って
いますかって聞いたら、この学校に、しかも在校生でいるって言って、何と、お前の名前を
出したんだとさ。お前、知らないの?」
 「知るわけないだろ。一回も喋ったことないのに」
 「ま、こりゃあ、新聞部の奴に今朝聞いたばかりの情報だけど、女子生徒の間では、もっ
と前から出廻っていたらしいぜ。こういうことは、女の情報網はすごいからな。来週の新聞
には出るみたいだよ」
 「関係ねえよ、そんなこと」
 「駅前の喫茶店で、人を探す顔で入ってきたお前に、長く見つめられた時、身体に電気が
走ったっていう、おまけのコメント付きだぜ?」
 「覚えてねえよ」
 「ああ、同じ帰宅部なのに、どうしてこんなトッポイ男がモテるんだろうね。嫌だ、嫌だ」
 恒夫はそんな捨て台詞を残して、どこかへ立ち去っていった。
 アンパンの最後の一切れを齧りながら、僕は紀子の不機嫌な顔を思い起こして、合点がいっ
たように目を窓の外に向けた。
 それから三日ほどが過ぎた、週末の金曜日の下校時に、珍しい人からの電話を僕は受けた。
 紀子の叔母の真澄からで、タイミングよく区立図書館の前を歩いている時だった。
 建物の横の芝生公園に僕は入って、ベンチに腰を下ろした。
 「お久しぶり、元気にしてた?」
 少しハスキーがかった、大人の女性のre落ち着いた声だった。
 「は、はあ、久しぶりです」
 そう応えながら、何故か益美の家の室内にある、狭い覗き部屋にいる自分を、僕は思い起
こしていた。
 「色々とお忙しいようで、こちらのほうは随分とお見限りね」
 冷やかすような嫌味を言われ、それに反論しようとした矢先に、
 「あなたと紀子の通ってる高校って、北沢高校?」
 と益美は意外なことを口にしてきた。
 「そうだよ」
 「そこの生徒で、何年生だか知らないんだけど、細野多香子って子、知らない?」
 僕は思わず喉を詰まらせ噎せ返ってしまった。
 「あら、知ってるの?」
 「い、いや。今日、二回も聞く名前なんで、ちょっと」 
 「どういうこと?」
 深呼吸を二度ほどして、今日の昼休みにクラスメートから聞いた話を、あくまでも他人事の
ように僕はかいつまんで話した。
 「何かね、こちらで話を聞いた時、虫の知らせっていうのか、ちらっとあなたの顔が浮かん
だのよ。やっぱりモテ男君は違うわね」
 益美は一人で感心したように、電話の向こうで声を唸らせていた。
 わけがわからず、茫然と黙り込んでいる僕に、改めて気づいたように、益美が細野多香子の
事情を、まだ関心抜けきらずのような声で説明してくれた。
 多香子は裕福な家系の生まれで、祖父というのが、日本の大手商社の副会長とかで、益美の
亡夫の長年の友人だったことで、益美とは今も深い交友関係のある人物で、その孫というのが
多香子だということだった。
 目に入れても痛くない、大のお祖父ちゃん子でもある、その孫娘が、最近、ひどく思い悩ん
でいることがあるといって、祖父に打ち明けたというのが、彼女が僕のことを一人の男性とし
て意識し出してから、気持ちが鬱になっているということのようだった。
 裕福な家庭に生まれ、自身の持って生まれた美貌と教養の高さで、何一つの不自由もなく、
ハイソサエティな環境の中で育ってきて、数多くの頭脳明晰で、優秀な男性が群がってきてい
るはずの、多香子が初めて自分から好きになった男性というのが、図らずも、あの紀子に言わ
せれば、単細胞で鈍感でデリカシーの欠片もない、僕だったということだった。
 「その子、私も小さい頃に何回か、お祖父ちゃんが家にも連れてきて、知ってるんだけど、
いい子になってるでしょ?」
 益美のその問いかけに、
 「あ、ああ、学校のアイドルランキングでずっとトップにいて、成績も優秀らしいよ」
 と正直に答えてやった。
 「あら、あなたはあまり意識していないようね。あっ、そうか。紀ちゃんがいるか」
 「あ、あれはただの同期生ってだけだよ」
 「私に怒ってどうするの?…そうか、紀子は私の姪でもあるからね。この話は私ではお役に
立てないって断るか」
 「いや、益美のほうの面子もあるだろうから、一度くらい顔立てても…俺はいいよ」
 僕の性格の裏側が、ふいに頭の中に擡げてきていた。
 電話の向こうで少しの間を置いて、
 「それでこそ、あなたね」
 僕の邪な意図を察したように、益美が短く返してきて、後の段取りは私に任せて、と言って、
 「横道ばかり走ってないで、たまにはこの熟女もお忘れなく、ね」
 とあっけらかんに言って、益美の電話は切れた。
 展開がどうなるかは読めなかったが、一つだけはっきりと言えるのは、このことが紀子に知れ
たら、僕は間違いなくナイフで彼女に刺し殺されるだろうということだった…。
 



                                    続く 


 
 
 
23/06/07 15:22 (a03nleHB)
8
投稿者: (無名)
面白い話の展開になってきましたが、凄く胸がグッとします。昭子さんとのからみは最高ですが、弾けるよなフレッシュな果実のような女性とのからみも最高ですね!ムスコが想像たけで暴れております。続きを楽しみにしております!!
23/06/07 16:52 (J9rcTuyW)
9
投稿者: 雄一
益美の動きは早かった。
 電話で話した二日後に、段取りができたから家に来いというので、日曜の午後、僕は田
園調布の豪邸を訪ねた。
 僕の来訪を待ち望んでいたように、広い玄関口で、益美はいきなり僕に抱きついてきた。
 この家を訪ねるのは、僕にも記憶がないくらいに、随分と前のような気がしていたが、
白のブラウスに、紺地のロングスカートで迎えに出てきた益美は、自分から僕の唇を塞ぎ
にくると、長い時間、そこから動かなかった。
 高そうな香水のいい匂いが、僕の鼻孔を忽ち封鎖してきて、瞬時に血流が僕の下半身の
一ヶ所に集中したような感じになった。
 「お話は後で。…お二階」
 唇が離れた時、濃い眉の下のやや奥目がちの目が、潤みきっているのがわかり、息遣いも
少し荒くなっているようだった。
 「牝ブタだな」
 思いもしていなかった言葉を、僕は口に出していた。
 唇を重ねられ、舌を舌で絡められた時、僕の昂った血流が、一気に脳神経までもおかしく
してしまったようだった。
 「ここで脱げよ」
 階段の手摺りに手をかけた、益美の背中に向けて、僕はまた予期せぬ言葉を発していた。
 家の中全部が暖房に温められているようで、空気の温みは、一月半ばの木枯らしの吹く外
とは雲泥の差だった。
 高価そうな板張りの階段の上り端で、益美は立ち止まり、僕に背中を向けて、ブラウスの
ボタンを外しているようだった。
 「こっちを向いて脱げ」
 僕が僕でなくなっていそうな気がしていた。
 「はい…」
 益美は小さな声で応えて、僕に正面を向けた。
 色白の顔に赤い口紅が、僕の欲情をそそるように映えて見えた。
 ブラウスが、益美の少し骨ばったような肩から滑り落ちて、雪のように白い肌と紺色のブ
ラジャーが好対照に露わに見えた。
 丸い乳房の艶めかしい膨らみに、僕は喉の奥で唾を小さく呑んだ。
 ロングスカートはホックが外れて、緞帳が崩れるように、益美の足元に落ちた。
 室内の暖気もあってか、益美はパンティストッキングは身に付けてなくて、ブラジャーと
同色の小さな布面積のショーツが、細長くて白い足の付け根を覆っていた。
 躊躇う素振りを微かに見せながら、益美はショーツに手をかけ、ゆっくりと足首から外し
ていった。
 上品な身体つきには少し不似合いな感じで、益美の股間の茂みは黒かった。
 「歳は繰ってても、身体は相変わらず奇麗だな」
 脱いだ衣服をそのままにして、僕も益美の裸身を見ながら、彼女の寝室に入った。
 この室にも暖房は行き届いていて、階段下にいた時と同じ温みだった。
 「脱がせてくれよ。俺が欲しいんだろ?」
 頭の片隅のほうで、本当に自分は十六歳なのか、と思いながら、横柄な口調で、五十代半
ばの真澄に命じていた。
 ダウンジャケットから順に、益美は豊潤な匂いを僕の鼻孔に与えながら、僕を裸にしてい
った。
 僕の身体の前で腰を屈めながら、トランクスを益美が下に引き下げると、階段を上がる前
から、もう完全な勃起状態に達しているものが、鮎が急流の中を飛び跳ねるように震え踊っ
ていた。
 僕のものは男子として、特段に大きさも、長さも太さもあるとは思ってはいなくて、自分
的には平均そのものだと思っている。
 それでも益美は、自分の顔の前に飛び出た僕の屹立したものを、うっとりとした表情と潤
んだ目で愛おし気に見てきていて、長く待ち望んでいたように、手と顔を僕の股間に近づけ
てきた。
 益美の口の中の息の心地のいい温みが、僕の屹立を包み込んできた時、僕は少しばかり歯
を食いしばって、その艶めかしさと気持ちの良さにに堪えた。
 僕が止めろというまでというような気持で、益美は僕のものを、まるで自分の宝物のよう
に丹念に、そして愛おし気に奉仕を尽くしていた。
 「益美、俺に忘れられるのが嫌か?」
 意地悪く、僕でない僕が尋ねると、益美は口の中のものを咥えたまま、二度、三度と首を
縦に振って応えてきた。
 頃合いを見て、僕は益美を抱き上げてベッドに横たわらせた時、彼女の顔はすでに汗だく
状態だったので、シーツの端を掴み取って、撫でるように拭いてやると、
 「あなたの、そういう動作が自然に出てくるのが好きっ」
 と訳のわからないことを言って、益美は僕の首にしがみついてきた。
 益美の身体は加齢による仕方のない衰えはなくもなかったが、無駄な肉というものがほと
んどない締まった、艶やかな肌肉をしていて、乳房の膨らみも柔らかいだけの感触ではなか
った。
 「ああ、ま、待ってたのよ。…あ、あなたが来てくれるのを。ほんと、く、悔しいくらい
に待ってたわ」
 女性の身体への愛撫は、まだまだ体験の少ない僕は稚拙だったのかも知れなかったが、た
かだか十六の僕を慕い焦がれてくれる綾子の気持ちが、僕にも痛いほど伝わってきていて、
僕の手が彼女の肌のどこに触れても、喘ぎと悶えの声を間断なく漏らし続けてきた。
 桜色をした乳首に舌を這わせてやると、外にまで声が漏れ出そうになるくらいの反応を示
し、かたちのいい唇を白くなるくらいに噛み締めてきて、嗚咽に近い声を挙げるのだった。
 「ね、ねえ…も、もう…あ、あなたが欲しいの」
 切なげに、濃くて長い睫毛を歪ませて、僕に催促してくる益美の顔に嘘は欠片もなかった。
 「ああ、く、来るわ…あ、あなたが」
 僕の屹立の先端が、益美の下腹部の漆黒の下の肉襞を、裂くように割って入ると、背中に
廻してきていた彼女の手の爪が、僕の肉肌に強く喰い込んできた。
 背中に感じたその痛みも、僕には心地のいい刺激になって、律動態勢に入っていた僕の腰
のギアを上げることになった。
 「ああっ…い、いいの。いいの、あなたが」
 益美のハスキーな声が、さらにハスキーさを増しているようだった。
 「こ、このまま…お前の顔を見て…俺は逝きたい」
 益美の濡れ潤んだ目を見て、僕は訴えるように言った。
 「き、来てっ…わ、私も…あ、あなたの目を…ああっ…いいっ!」
 ほぼ二人同時の絶頂だった。
 ベッドの上に贅肉もないが、筋肉もそれほどはない裸身を晒して、僕は仰向けになっていた。
 十六の男子にしては心もとない太さの、僕の片腕を枕にして、やはり白い裸身を晒したまま、
益美がペット犬のように寄り添ってきていた。
 益美の薄い栗毛色の髪の匂いが、擽るように僕の鼻先をついてきている。
 年齢をまるで感じさせない魅惑的な益美の胎内に、白濁の若い迸りを飛散させた時、僕の頭
の中のスイッチが、邪から正常に戻ったような気が何となくした。
 ここを訪ねてきた本来の目的を忘れかねないような、まだ少年の僕には似つかわない、揺蕩
うとしたひと時だった。
 「俺って、まだ十六だけど、益美のような優雅でお金持ちの美人と、こんなことをやってて
いいのかな?」
 クロス張りか何か知らない、真っ白な天井に目を向けて、僕は独り言のように、今の本心を
呟いた。
 「そうね、私もまさか、こんな若いあなたとこんな風になるなんて、さすがに想像もしてな
かったけど…でも昔の戦国の武将って、十五で元服して、親に決められた相手と夫婦なってい
る、ということは、もう、その頃からすることはちゃんとして、世継ぎを作ったりしてるのよ」
 祖母を第一に、奥多摩の寺で尼僧として住む綾子、国語教師の俶子、今、自分の横にいる有
閑マダム的な益美と、もう一人、忘れたら殺される、目下、わけのわからない理由で、何とな
く冷戦中の紀子、とこの半年余りの、僕のあまり脈絡のない、場当たり的な女性遍歴を、大人
の益美は、戦国の武将を例えに出して、親が子をあやすように、優しいハスキー声で慰めてく
れた。
 「な、もう一回しよか?」
 天井に向けていた目を、真横にくっついている益美の目と顔にぶつけるようにいうと、長い
御託を並べて言った益美の顔が、一気に喜色満面になっていた。
 若い僕のほうの、身体も心も都合よくできていて、早々に回復状態になり、益美にもっと恥
ずかしいことをさせたい、という邪悪の発想が湧き出てきていた。
 ベッドに仰向けにさせた、益美の真っ白な両足を折り曲げて、左右に大きくおし開き、股間
の漆黒の茂みを露呈させた。
 足を開かせた時、益美の股間の、黒い蝶の羽のような二つの肉襞が同時に開き、まだ濡れそ
ぼっている濃い桜色の粘膜が、妖しげに覗き見えた。
 と、そこの奥のほうから、白い白濁液が小さな滝のように流れ出てきているのが見えた。
 僕の一度目の飛散の残留だった。
 「白いのがまだ出てきてるぜ」
 「ああっ…は、恥ずかしいわ…こんな」
 「ひくひくと中の肉が動いてる。ここ、何て言うんだっけ?」
 益美の両足をおし開いたまま、顔を上げて、彼女の顔を窺い見ると、手の指の一本を口に当て、
目を閉じて恥ずかしさに堪え忍んでいるようだった。
 「何て言うんだ?ここ」
 僕が声を少し荒げて問い直すと、益美は口から指を離して、
 「お、おマンコ…です」
 と当然に小さな声で言った。
 「聞こえなかったな。もう一回言って」
 「お、おマンコです」
 「ふふん、顔はお上品でも、ここは何人もの男を咥え込んでいるせいか、生々しく下品だな」
 僕の放出した白濁の残留を一筋の線にして、桜色の粘膜を、まるで別の生き物のように、ひく
ひくと蠢かせている益美の股間を、昔の言葉で言うと色摩のように、刺すような目で僕は見つめ
ていた。
 時々、口を窄め息を吹きかけてやると、益美の贅肉のまるでない白い腹が、驚いたように波打
ったりしてきた。
 「なぁ、益美が初めて男を体験したのは、いつだった?」
 自分でも念頭にはなかった問いかけだった。
 淫靡な目で三十以上も年下の僕に、長い時間、一番恥ずかしい箇所を見られながらの、思わぬ
問いかけに、益美の長い睫毛が小さく震えたのが見えた。
 「益美は、小さい頃から奇麗だったんだと思ってるし、男には不自由してなかったろ?」
 けしかけるように僕が言うと、少しの間を置いて、思いがけない告白をしてきた。
 小学校の五年の時に初めて男を知ったと言うのだ。
 しかもその相手というのが、血の繋がった自分の祖父だと、さらりとした口調で話し出した。
 僕はすぐに祖母のことを思い出し、心の中をひどくときめかせていた。
 益美の両足から手を離し、身体を前に這わして、彼女の横に添い寝の姿勢をとった。
 「詳しく聞かせろ」 
 その時の、僕の顔の表情がどんなだったか知らないが、益美のほうは少し驚いたように僕を見
つめてきて、それでも一息入れて、目を天井に向けて訥々と話し出した。
 裕福な家庭に生まれた益美は、大きな家で親である父母と、祖父と祖母の二世帯同居だったと
のことだ。
 「…私は一人っ子だったこともあって、両親と祖父母にも大事に育てられてたの。同族会社み
たいな商社の社長を祖父がしていて、父はそこの専務で、英語の喋れた母も、祖父や父の通訳と
して働いていて、とにかく両親は一年の内、半分近くは海外を飛び廻っていていたのね。だから
私は祖父母に育てられたようなものだったわ…」
 益美の目は、もう何十年も前の、思い出したくない世界に向いているかのように悄然としてい
た。
 「私、子供の頃から生育が早くて、四年生の冬に生理が始まって、胸も他の女の子よりも早く
大きくなってたのね。…そんな時、両親が海外で、祖母も同窓会の旅行とかで家にいなくて、私
と祖父の二人だけの夜を過ごすことになって。私の祖父は身体は小柄で細身だったんだけど、仕
事でも行動力がすごくて、女性関係も外で二号さんっていうのかな、子供の私でも薄々わかるく
らいに、何人かいたらしいの。祖母も呆れ返るくらいに精力的な人だったの。…で、祖父と二人
だけの夜ね、私が一人でお風呂に入っている時、祖父が私がいることも知らずに、いきなり入っ
てきたの。小学校の六年っていうと、父親とお風呂に入るのが嫌になるとかいう、微妙な年代で
しょ?…祖父も私もびっくりしたけど、何故だか、私も怒れなくなっていて…ほんと、今でもよ
くわからないんだけど、わ、私は多分、祖父のものを目の前近くで見てしまったのが衝撃だった
と思ってる」
 益美が目を閉じたり開けたりしながら、平静を装ったような声で喋っている時、僕は彼女の乳
房揉みしだいたり、乳首を摘まんだりと、耳で話を聞きながら、良からぬ行為に耽っていた。
 「お風呂で十分くらい一緒だったかな、最初に祖父が入ってきた時は、だらりとしてた祖父の
ものがね、私が出る時に、鉄棒のように固くなってたの。祖父もさすがに少し恥ずかしそうな顔
して、男というものはこういうものなんだよ、とか言ってたわ。そこで、私も笑って済ませれば
よかったんだけど、そういうことにも多少の興味を持つ年頃だったのもあって、その夜、居間に
いた私に祖父が、室に来なさいって一方的に言って、自分の室に入っていったの…」
 益美の息が荒くなり出してきていた。
 「祖父のその言葉が、私にはまるで催眠術師の声のように思えて、私は祖父の寝室に行ってい
たの。ベッドに私を寝かせ、祖父は何も言葉を出さず、私のパジャマとショーツを脱がし裸にし
て、手と口と舌で私の身体を丹念に愛撫してきたわ。…そして、私は小さな痛みを知った。その
夜は朝まで祖父と一緒だった。祖父に何度もキスされた時の、葉巻とウイスキーの入り混じった
匂いは、何故か今もはっきりと覚えているの。私が中学二年の時、祖父が急性の脳溢血でぽっく
りと死んでしまうまで、祖父との関係は秘密裡に続いて、祖母も両親もこのことは知らないまま
なの…ああ、た、他人に…は、話したのって、あ、あなたが初めてよ」
 益美の手が身体の下のほうに伸びて、僕の固く怒張したものを強い力で握り締めてきていた。
 吐く息がさらに荒く大きくなっていた。
 「昔を思い出して興奮してるのか?」
 僕の下卑た問いかけに、益美は汗の滲み出している顔を何度も頷かせていた。
 「欲しくなってるか?」
 何度も頷きながら、目でも訴えてきているようだった。
 「何が欲しい?」
 焦らすような僕の問いかけに、
 「お、おチンポ!」
 と益美は即座に口走っていた。
 それからは、四つん這いも含めて、自分の知っている限りの体位を駆使して、僕は燃え盛るば
かりの益美の身体を、粉骨砕身の精神で激しく責め立てた。
 「ああっ…いいっ。し、死にそう!」
 「あ、あなたが一番好きっ」
 「わ、忘れないでね…捨てないで!」
 「も、もっと、突いてっ」
 「わ、私を滅茶苦茶にしてっ」
 合間合間に、益美がハスキーな声で喚きたてた言葉の羅列である。
 最後は、自分的に気に入っている、座位で胸と胸を密着させて抱き合う態勢で、唇を長く重ね
合った後、益美の身体を仰向けにして、渾身の力を振り絞ってつらぬき続け、息も絶え絶えの思
いで僕は果て終えた。
 その何秒か前に、益美は僕の真下で意識を失くしていた。
 さすがに若い僕も、心地のいいぐったり感に、暫くはベッドから起き上がることができず、気
を失ったまま、すやすやと寝息を立てている益美の横で、大の字になって身を横たえていた。
 二人がバスルームでシャワーを浴びて、衣服を身に付けて、応接間のソファーに座り込んだ時
には、窓の外は赤い西日になっていた。
 「俺、何の相談で来たんだっけ?」
 ふっくらと暖かそうなガウン姿の益美が出してくれた、ミネラルウォーターを飲みながら、冗
談ではなく、僕は本当にそう思って言った。
 細野多香子という名前がぼんやりと浮かんだが、その女性をどうするのかが、まだ茫然さの残
る頭ではよくわかっていなかった。
 僕と同じ高校の、僕より一学年上で、もう卒業してしまう女子生徒が、どこかで見た僕に恋ら
しき思いを抱き、毎日を鬱々と生きているので、一度会ってやって欲しいということだと、何か
の縁で間に入ったかたちの、益美が僕に依頼をしたということを、益美の改めての説明で、僕は
ようやく知った。
 学校のアイドルナンバーワンという、女子生徒だというのを、僕は朧げに思い出した。
 そこで、すぐに僕の頭に浮かんできたのは、その細野多香子ではなく、紀子の怒った顔だった。
 僕が思わず顔をしかめたのに気づいたのか、益美が含み笑いをしたような顔をして、
 「少し前だけど、紀ちゃんから珍しく電話あってね。あなたのこと嬉しそうに話してた。東大
受けるんですって?」
 僕の心配をさらに煽り立てるようなことを、平然と言ってきたので、忽ち僕は不機嫌になった。
 あの、バカ、何人の人間に余計なことを喋っているんだ。
 そのくせ、僕の知らないところでの噂を真に受けて、勝手に怒ってやがる。
 「何を一人でぶつぶつ言ってんの、あなた?」
 益美の訝りの声で我に返ったように、
 「…で、一回だけ会ってお茶でも飲みゃいいんだね?」
 と僕は不貞腐れた声で返した。
 近日中に日をセットして、益美から僕に知らせが入る、ということで、今日の目的の話は、ほ
んの数分で済んだ。
 目的外のほうが、何倍もの時間と労力を要したが、こちら側もいい思いをしたのだからと、僕
は自分の気持ちを納得させた。
 益美からの夕食の誘いを、寒くなってくるからといって、僕が益美の家を出た時には、もう陽
も陰って薄闇になっていた。
 木枯らしの吹く駅までの道と、電車の中でも、ずっと紀子の顔の色々な表情が、浮かんでは消
え、消えては浮かんだりしていた。
 これまで、まだはっきりとは見たことのない、涙顔の紀子の顔が浮かんだ時、僕は電車の吊革
を握った手に思いきり力を込めていた…。



                              続く
 

 
 
 
 

 



 

  
 
 
 
 
 
23/06/08 16:06 (Md3mhlrJ)
10
投稿者: 雄一
「えっ、あんなとこで?」
 益美からの電話に僕は仰天した声を挙げた。
 例の細野多香子と会う場所についての話だった。
 「あそこは…ちょっと」
 「何かまずいことでもあるの?…あの子からその場所言ってきたのよ。初めてあなたを意識し
たところだって」
 「そ、それは向こうの勝手で、俺的にはちょっと…あそこは学校の帰り道の途中で、他の生徒
もよく来るとこなんだよ」
 「いいじゃない。学校中のアイドルさんとデートできるんだから、あなたにとっては名誉なこ
とじゃない」
 「それが学校で広まったらヤバイんだって」
 「あなた、紀ちゃんのこと気にしてるのね。そんな弱腰でどうすんの」
 「弱腰なんかじゃないよ」
 と僕は力んだ声で反論したが、完全な弱腰なのは、自分でもわかっていた。
 「あなたにも弱いところがあるのね。いいこと知ったわ。紀ちゃんと揉めたら、私がちゃんと
話してあげるわよ。明後日の四時ね、頑張って」
 そういって益美の電話は簡単に切れた。
 いつもの区立図書館の、芝生公園に僕はいた。
 あの時の、あの場の雰囲気に載せられたとはいえ、迂闊にも東大受験などという、とんでもな
いアドバルーンを挙げてしまったことを、僕はひどく後悔しながら、それでも東大合格者たちの
意気込みや対策方法を書いた本でもないかと、こっそり図書館に来た矢先の、益美からの電話だ
ったのだ。
 基本的に、僕はどちらかというと文科系の人間で、一番弱いのは数学と化学だ。
 数学は中学の因数分解で、何もかもわからなくなってしまっていて、これの修復や回復は、自
分でも、ほぼ不可能だというくらいに自覚している。
 方程式、不等式、微積分、サイン、コサイン、タンジェント、二次関数…数え上げたらきりが
ないが、それらの言葉の意味は、相当の確率で僕の脳みそから消えかかってしまっている。
 学校の通知表が、僕の歪な脳内を如実に証明していて、国語、英語、社会、歴史関係は、一応、
五段階評価の五か四で、数学や化学は毎学期、二と三の往復だけである。
 現時点では、担任教師の前で、東大云々の話を出したら、多分、泡を吹いて倒れてしまうのは
間違いなかった。
 幸いにも、国語教師の俶子が全面協力の姿勢を見せてくれていて、来月早々に数学専門の特別
コーチを紹介してくれることになっているのだが、何せ相手は天下の東大だから、よほどの覚悟
と気概がいるのは、僕の場合は明らかなのだ。
 重く萎れた気分で図書館に戻ろうとした僕の前に、制服姿の紀子が、忽然とどこかから現れ出
たように立っていた。
 一瞬、心臓が止まったような気持で、僕は目をもう一度瞬かせたのだが、長い髪を後ろに束ね、
鼻先のつんと尖った顔と、澄み切った黒い瞳、薄い小麦色の肌は、紀子そのものだった。
 慌てた素振りのまま、何かの言葉をかけようとしたが、喉から声が出なかった。
 「中覗いたらいなかったので、庭に出てきたら、誰かと電話で一生懸命だった、あなたがいた
ってこと」
 やや奥に引っ込んだ、澄んだ目は確実に笑ってはいなかった。
 「や、やぁ…」
 僕のほうから笑みを見せても、紀子の表情に変化はなかった。
 これまでも大抵はそうだったが、立ち合い負けは明白だった。
 「その気になって、数学の勉強本でも見てるのかなって思って、ここに来たの」
 「あ、そう」
 「誰と話してるのか、電話に一生懸命」
 「いや、そ、それは…」
 まさか紀子の叔母の益美と話してたとは言えるわけがなかった。
 「あまり、心配させないでね」
 「な、何をだよ?」
 「私のことなんか、ほっといても傍にいる、とでも思っているんでしょ」
 「そ、そんなことないよ」
 お前、怒った顔は似合わないよ、って言いてやりたかったが、そんなこと言ったら、間違いな
く平手打ちが飛んでくるくらいの雰囲気だった。
 「この前の奥多摩行きだって、私に何も言ってくれなかったじゃない。何でも勝手に決めて、
好き放題してるんだもん。私だって怒る」
 紀子が、この数日怒った顔をしていたのは、細野多香子に纏わることではなかったことに、僕
はそこで気づいて、
 「悪かった、紀子。お前に一言事前に言っておくべきだった。ごめん、謝る」
 そういって素直に僕は、紀子の前で大袈裟に頭を下げた。
 途端に、紀子の表情が変わり、
 「そ、そこまでオーバーにしてくれなくても」
 と僕の目の前に両手を出してきたので、僕も自然な動作で手を握ってやった。
 「あーあ、長く待ってたんで、お腹空いちゃった。何か奢って」
 僕に似て単純なところもあるのか、もういつもの紀子に完全復活していた。
 駅のほうまで戻って、ミスドでドーナツ二個とホットココアを奢らされたが、自分の心配が氷
解したことで、僕も少し安堵な気持ちになった。
 細身の身体で、ドーナツ二個を美味しそうにパクつきながら、紀子はこの数日分の沈黙の時間
を取り戻すかのように、他愛もないことをぺちゃくちゃといつまでも喋り続けていた。
 別れてからの帰り道、僕は明後日の、細野多香子との待ち合わせを考えていた。
 一学年上の多香子は、僕から見ても確かに高校生離れをしたような、美人でスタイルもモデル
並みの長身で、噂で芸能プロダクションのどこかが、触手を伸ばしているというのもわかるよう
な気がした。
 学業も六大学のどこかへ行くくらいだから、優秀と言えるだろうし、もう少し言うと、もしか
したら女性の色気的な面では、邪気のない感じの紀子を上回っているかも知れなかった。
 そんな多香子が、自分みたいな帰宅部一筋で、何の面白味もない男に興味を持ってくることに、
僕は正直に言って、怪訝な顔をする以外になかった。
 勿論、僕のほうから丁重に交際を断るつもりでいるが、会う場所が場所なだけに、同じ学校の
誰かに見つかったら、相手が相手なだけに間違いなく噂は広まり、まかり間違って紀子に知られ
ることのほうが、僕には不安が大きかった。
 今さっき、仲直りをしたばかりの、紀子にこのことがばれたら、殺されるよりも彼女の悲しい
涙を見ることのほうが、僕には」辛いことだった…。




                                 続く 
 
23/06/08 21:01 (Md3mhlrJ)
11
投稿者: (無名)
面白い展開になってきました。
こういう青春の1ページみたいな内容に遥か遠い過去を思い出し、胸がキュンてします。青春っていいですね!
続きを楽しみにしております!!
23/06/09 13:12 (5Y8kZ.aS)
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