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1:蠍と蜥蜴の家
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火星の使者
◆UJJPla5/I
今夜の晩飯は、イタリア食堂と銘打った、地方のファミレスに決めた。
理由は、看板に描かれた料理が安くて旨そうだったから。 今日は、朝早くから取引先の陳列応援という肉体労働だった。 10時間を超える立ちっぱなしは、35歳を超えると流石にきつい。 今夜は、旨いものを食べてホテルでビールを飲みながら、サッカーを見て、大浴場につかり、AVでも見て、ぐっすり眠りたい。 これ以上ない最高な過ごし方だ。 そんな事を思いながら、ファミレスの駐車場に車を止める。 今日は、感謝デーらしく、店の入り口には、ピザを持ち帰る客が長い列を作っていた。 そうかピザを食べながらのサッカー観戦もいいな。 ビール、ピザ、サッカー、ビールピザ、ゴール!想像しただけでも最高だ。 待ち時間を聞くと、オーブンの一台が故障して、最低でも40分は待って欲しいとのことだった。 そうしている間にも、店には次々と人がやってくる。 仕方がないな、別の店にでも行こうかと店を背にした時だった。 目の前、少し先に中学生くらいの少女が2人並んで立っている。 ピンクとパステルブルーのジャージ、ダボっとした、いで立ちなのに、手足が長く、とにかく目立っていた。 お、この子たち、めちゃくちゃかわいいな、と思った瞬間、一人が突然、俺に手を振る。 えっ、な、なんだ?と戸惑っていたら、後ろにいた少女が、足早に駆けてゆく。 俺のすぐそばをスッと追い抜いて、彼女たちに近づいてゆく。 そりゃそうだよな、俺な訳がない、あたりまえだ。 脇を取りすぎた瞬間、少女だけが放つ甘い耽美なフェロモン香を感じて、思わず深く息を吸い込んだ。 とにかくこの3人、まだ中学生くらいだと思うが、可愛いだけじゃなく、人目を惹く輝きとオーラがあった。 少女達もピザを待っている客なのだろう。 3人が揃うと、パステルブルーのジャンパーを着た背の高い子を中心に、腕を前や横に廻し動かして、ダンスの練習を始めた。 ほかの子も、合わせる動きで、腕を動かしたり口ずさんだりしている。 やばい、凄くかわいいぞ。 40分の待ち時間は、寧ろ好都合だ。 あの少女達を眺めていても、不審に思われることは、少ないのだから。 急いで店内に戻り、注文を終えたが思いのほか手間取った。 戻ると、少女達のいた場所には、他の家族が陣取っていた。 慌てて周囲を見渡す。 いた。3人並んで駐車場を横切り、歩いていた。 歩きながらも、少女達の手の動きは止まらない。 俺も彼女たちから、一定の距離を保ちつつ、後を追いかける。 ストーカーじゃないぞ、かぐわしい可憐な花があれば、誘惑されて集まるのは、健全な生き物なら当たり前だ、蟲みたいなものだ。 勿論、いつも頭の中で妄想をするだけで、実際に声をかけるとか、まして少女達に悪戯をするなどという、大それたことなど出来やしない。 ただいつもと違う、地方に来ていることが、俺を大胆に突き動かしているのは間違いなかった。 店から50メートルくらい離れた駐車場の隅、落ち葉で吹き溜まりが出来たところの手前で、少女たちの足が止まる。 俺は、なるべく気配を殺し、時折スマホの画面や関係のない所を眺めながら、彼女たちとは、反対のフェンス沿いを歩く。 少し先に男が二人立っている、近づくと地面に一斗缶と丸椅子が置いてある。 誰かがつくった喫煙所なのだろう。 少女たちからは、15メートルくらい離れた場所だ。 喫煙所では、中年の男がタバコを吸っていた。 男の視線を気にし始める年頃だろうが、灰皿のあるここからは、良く見える場所に3人はいた。 真ん中の背の高い子が、先ほどと同じように、伸ばした腕を左右に大きく回す動きを始める。 彼女のルーティーンのようだ。 何度か同じ動作をしていたが、本気モードになったのか、軽くジャンプをすると、ジャンパーのファスナーに手を掛け、上着を脱ぎはじめた。 中に着ていたのは、動物のイラストが全面にプリントされたピンク色のTシャツ、少女に似合うかわいらしいものだ。 袖と丈は、ハサミでカットされ、屈みながら上着を畳むと、腰のあたりから背中近くまでが露出している。 さらに驚いたのは、脇から下、20センチ近くが半月状にカットされていた。 少女は、立ち上がると、躊躇せずジャージの下も脱ぐ。 下は、デニムのミニスカートだった。 所々が大きく裂け、穴の開いたダメージジーンズだ。 普段、この衣装でダンスを踊っているのだろうか、一部は上まで裂けてスリットのようだ。 歩くと裂けたところが拡がったり、閉じたりする。 その度に下着や華奢な太股が露わになる。 ルーティーンの腕を廻す動きをすると、脇の隙間から、まだ幼い膨らみの横乳が見えている。 少女はノーブラだった。 ダンスは、だんだん動きが激しくなっていく。 両足の踵をつけたまま、足に手を置き、足を開いたり閉じたり、手は、その動きと逆に交差を繰り返す。 細くてシミ一つない太股が、スカートの裂けた切れ目から見える、動きと共に、太股に置いた手が徐々に下がり、徐々に前屈みになってくる。 膝から下の位置に手が来た時には、完全に前屈みとなった。 今、俺の正面で、少女の着るシャツの隙間から、重力で下を向いた、青い果実の円錐形の乳房が見えていた。 乳首はシャツで隠れていたがが、少し色素の濃い乳輪が見えただけで、俺は、息が苦しいほど、激しく興奮していた。 興味を持ってから、何度も想い描いた、幼い膨らみを目の当たりにして、俺は放心状態に近かった。 こんな美少女に出会えたのも奇跡なのに、さらに目の前で生乳を晒している。 射精したい、少女を押さえつけて無理やり犯したいという欲望が俺を支配しようとしていた。抑えられない衝動というのは、こういうことを言うのだろうと思った。 少女に遠慮もせず、俺は胸の隙間への凝視を続けた。 少女達だって俺に見られていることは、わかっているはずだ。 しかし目の前の少女は、止めようとはせず、続けて踊っている。 汗ばんで、顔も少し上気してピンク色に染まっている。 少女は、前屈した姿勢のまま、膝に置いた手を交互に動かす。 交差した時に、腕が狭まると乳房をぐっと寄せるようになるのが、はっきりわかる。 揉みしだくように膨らみが強調される。 気がつけば、もう俺のペニスは、今までに経験したことのないくらい硬く、大きく膨らんで上を向いていた。 カウパー腺液が、亀頭の先から垂れて、股間から足を濡らしている。 少女の踊りも、俺の状態を見透かしたように、クライマックスを迎えていた。 屈んだ状態から大きく伸びあがり、クルリと1回転し、俺の正面で廻し蹴りのように脚を高く上げた。 シャツから覗く臍、白いパンティ、クロッチ、横乳が同時に目に飛び込んでくる。 華奢でまだ子どもなのに、まるで娼婦が誘惑しているようだ。 もう金縛りにあったように俺の身体は硬直して動けなかった。 少女と目があう、ガン見を悟られまいと逸らすが、何度も目が合ってしまう。 お互いが求めあうサインを出しているのは間違いなかった。 少女は、澄ましたような表情で、微笑んでいるような何とも言えない眼差しを俺に向ける。 かわいい、めちゃくちゃかわいい。 俺は、立っていられないくらい、足が震えていた。 年端のいかない純真無垢な少女なんだと思いたい。 しかし、こんなに頭が痺れるほど、興奮をしたのは初めてだった。
2022/03/13 15:26:52(rhnviPUA)
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火星の使者
◆UJJPla5/I
面識のない男3人が灰皿を囲んで少女を見ていた。
太った白髪男、気難しそうな眼鏡の男、そして俺。 A「いやぁ、今の子はスタイルが皆いいですなぁ…」 「幾つくらいですかね?今の子は、ぱっと見てもわかりませんなぁ」 B「そうですね、大人びている子もいますが、あの服の感じだとまだ小学生じゃないでしょうかね。」 「中学生になったら、ああいう色のジャージやシャツは着ないでしょう、ブラジャーも着けるでしょうね。」 「でも、子どもといっても今の子は、我々の知る子どもじゃないですよ。」 「セックスだってスポーツの延長って感覚ですから」 A「お、おたく詳しいね、そういうのに何かツテでもあります?」 B「ツテというほどのものでは。昔は教師をしていましてね、廃校になった農学校。」 「夏になると誰が孕んだとか、もうしょっちゅうでしたよ」 「20年前でそれだから今はもう…」 この手の話にすんなり加わるのは、よっぽど情報通か経験者かオッサンじゃないと無理だ。 確かに3人の少女は、大人っぽい雰囲気はあるが、まだまだあどけない。 確かに眼鏡の男が言う事は的を射ていた。 少女達は、一旦動きを止めて、休憩に入ったようだ。 男達もまた無言で少女達を目で追い続けていた。 A「それにしてもいい眺めでしたなぁ」 B「そうそう25年くらい前の話ですが、柳屋の後、一時そういうお店があったんですよ」 A「柳屋?いやちょっと知らないなぁ」 B「蛇の目町に柳屋って小料理屋があったけど、元々あの辺一帯が都会で言う青線でしょ」 「表向きは 料理屋だけど、指名すりゃ上の階で店の娘とヤれるんです。」 A「ほう、そりゃ凄いね」 B「元は、昔の旅籠遊郭でね、料理を運ぶ娘と客が恋仲になった、そりゃ若いから仕方ないってことです よ」 「私の親父が若い頃は、留袖新造とか振袖新造とかの12、3歳の遊女見習いがいてね、女の子も初めては、若い男がいいじゃない。」 「料理運びは相手選びでもあったわけ。で気に入った男にサービスすることもあったらしいね」 「女郎の連れ子や娘だから、結局教えなくても、どうしたら男が喜ぶのか、ちゃんと知っているのさ」 「柳屋のオヤジも、金になるとわかると屋号変えてさ、年端のいかない子どもだけの店にしてね。」 「ほんと悪趣味だよな。」 「でも、あの子くらいの子どもと遊べるとなると、あちこちから変態趣味な輩が結構、集まってきてね」 「一時は、かなり賑わっていたね」 A「へえぇ、で、子どもが本番とか相手するのかい?」 B「相手をするって言っても、もう、あれだよ。」 「連中も高い金払っているからね、もう無理やりさ、犯罪だよ。」 「中には泣いて嫌がる子もいてさ、暴れると押さえつけて、思いっきり尻を、真っ赤になるまで叩いてね。」 「そうして入れると締りがよかったらしいね。」 「それを自慢げに言いふらす輩もいたし、広まって結局は、みんな同じようなことをしていたらしいね」 「大元が女郎だから、どういう風にしたら男が、入れ込むかとか仕込んでいるからさ。」 「子どものくせに涙目になって喉奥まで咥えこんでくるから、正にペットだよ」 「大人2人で押さえつけて犯したとかね」 「いやぁアナルなんて無茶しちゃったね、なんて口々に話をしていた人、何人もいたよ」 A「それは、けしからんな。まったく。で店はもう無いのかい?」 B「大元になった女郎に蠍と蜥蜴の入れ墨があってね、それが店の家紋というか屋号になっていたけど ね、結局は続かなかったね」 俺「いや、凄い情報で俺なんか知らないところだから、あれだけど凄いっすね」 完全に浮いているし、全く話にも加われない。 B「いやお兄さん、悪いね。聞いて貰えて嬉しいね。こちらの人じゃないのか。残念だけど今はもうあちこち再開発で、更地ばっかりだね」 「良かったら、見に行ってごらんよ、南郵便局の裏側、川沿いの道に昔の風情っていうか、なごりがまだ少し残っているよ」 「まぼろしにでも、会えたら可愛がってあげなよ」 俺「はは、ありがとうございます。」 そうこうしていたら、ピザの時間を過ぎていた。 俺「毎月、出張で来ていますので又会った時は、お話を聞かせてください」 そういって二人と別れた。 時間は、とっくに過ぎていたが、注文した品がなかなか揃わない。 結局支払いを済ませた時には、先ほどの二人は姿を消し、踊っていた少女達もいなくなっていた。 いや、しかし凄く濃密な1時間だったな。 部屋に戻り、ピザにかぶりつく。 しかし、さっきの出来事から、ずっと悶々として落ち着かない。 上の空でテレビをつける。試合はもう始まっていた。 しかも、数秒でゴールされる。更にもう1点。 「どうでもいいや」 途中でTVを消した。 しかし、あの少女達、天使というか半端なく可愛かった。 思い返すだけで、ムラムラとしてくる。 しかしあんな衣装で踊ったら、まして人気のない場所なら、下手したら秒で犯されるぞ。 それにどう考えても、不自然だが、俺と何度も目があった。 俺がガン見しているのを分かっていて、足を上げる動作や胸を強調する仕草とかしていた、なぜだ。 想い返せば、あまりに突拍子もない出来事で、俺は白日夢を見ていたのかとも思った。 いつの間にか、ビールを空けていた。散歩がてらに買いに出るか。 いないだろうがもう一度、駐車場を見てみよう。 部屋を出て、先ほどの駐車場を歩く、もう数台しか車は残ってはおらず、当然、あの少女達の姿を見ることも無かった。 実は、南郵便局というのも気になっていた。 スマホで見ると、ここからそれほど離れていない。 散歩がてらに歩き出すが、停まっていたタクシー初乗り470円という表示に思わず目が点になる。 マジか、乗ってくか。 タクシーで行って正解だった。往復すれば4kmの道のりになる。 丁度、初乗り料金で止めて貰い、残り数百メートルは歩くことにした。 知らないところを歩くのも悪くない。 程なくして、南郵便局の前に立っていた。 道を隔てた反対側にコンビニがある。 帰りはそこに寄ってビールを買う事にしよう。 「この郵便局の裏手、川に沿って道があると、たしか言っていたな」 郵便局の横に路地がある。 路地は、行く手を隠すように不自然に弧を描いて曲がっている。 通り抜けると小川が流れている。 川沿いの道を進む。 昔はこの道沿いに、遊郭や女郎宿が幾つかあったのだろう。 そう思わせるような、小川沿いの道、立派な柳が何本か残っている。 枝葉が風に揺られ、まるで手招きしたり、ばいばいと手を振ったり、あっちへ行けと払い除けるような所作をしたりと色々な表情の柳に見えてしまう。 夜に見る旧花街の柳というのは、今も妖しげで寂しいものなのだろう。 100mくらい歩くと、普通の住宅が広がっている。 25年前ぐらい前なら、まだ遊郭の面影が残っていたのだろうが、それらしい雰囲気の建物は残ってはいなかった。 さ、そこのコンビニでビール買って、部屋に帰るか。 そういって来た道を戻る、ここを曲がれば、郵便局の横に出る。 しかし、ほんの少し先に灯りのついた看板があるのが見えた。 「少しだし、見てみるか」 ちかづくと「すこーぴおん ざうるすダンススクール」という、かわいくデフォルメされた、イラストの看板がある。 あ、ダンススクールだ…。 そして、よく見るとイラストは、スコーピオン、蠍だ。 そしてザウルスは恐竜。 恐竜は大蜥蜴からついた名前だと昔、何かで読んだ記憶がある。 あの眼鏡の男が話していた、「蠍と蜥蜴」だ。 偶然だろうか、それともダンススクールになって、今も続いているのだろうか。 看板には、灯りがついている。 奥には、まだ人の気配がする。 先ほどの眼鏡の男の話が頭の中を支配する。 蠍と蜥蜴なんて出来すぎだ、しかしこの界隈に実在していたのは間違いない。 きっと何らかの繋がりが今でもあるのかも知れない。 それに、ダンスを踊っていた少女たち。 ここのスクールの子ども達だったということは、ないのだろうか。 もしそうだとしたら、なぜ、あの男の話の時、タイミングよく踊っていたのか? 今日の出来事は、本当に偶然だったのだろうか。 シンと静まり返り、さわさわと柳の葉が擦れる音の中、バクバクと心臓が耳元で大きな音を立てた。
22/03/13 18:48
(rhnviPUA)
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火星の使者
◆UJJPla5/I
近づいて入り口を覗いてみる。
錆びの浮いた灰色のシャッターが閉まっているが、新聞受けの空いた穴から灯りが漏れている。 もし会えるのであれば、あの少女達に会いたい。 いや、きっと、ここのスクールの生徒に違いない。 踊っていたあの少女たちを想い返す、会いたい気持ちが、より強くなり足を一歩、一歩動かす。 大きく深呼吸をして、ゆっくりとインターホンのボタンを押す。 シンと静まり返った中、チャイムのメロディ音が3回、辺り一帯に響く。 誰も出ないか、いや出て欲しい、でも出たら、何を話せばいいんだ、心の中で葛藤する。 ここの人に会ってからの、この先の覚悟が出来ていないからだ。 少しして「はい」という女性の返事。 思わず、「すみません、ダンススクールに興味があって、パンフレットだけでも頂けませんでしょうか?」 咄嗟にしては、うまく話を切り出せた。「あ、はい。少しお待ちください」 女の声は、少しハスキーな低い落ち着いた声だった。 暫くすると、新聞受けから、「少しシャッターを開けますから、しゃがんで入ってきて貰っていいですか?」と女性がいう。 「え、あ、はい」 屈んで入ると、程なくしてシャッターが降ろされる。 年齢にして40歳くらい、細く、背の高い女性が立っている。 周りの壁には、彼女を中心に10名くらいの生徒と思わしき少女たちと一緒に写った写真が、いくつも飾られている。 女「ごめんなさいね、調子が悪くて上まであがらないの」 「こんばんは、スコーピオンザウルス、ダンススクールの速水と申します」 飾られている周りの写真をみる俺、 女「えっと」 俺「あ、すみません三好といいます」 女「三好さん、習われるのはどなた?今日はいっしょじゃない?」 俺「あ、いえ習いたいのは自分で、ダイエットを始めようかな、みたいな」 女「うふふ、うちはおチビちゃんから中高校生くらいまでを対象にした女の子だけのダンススクールでしてね、ダイエット目的じゃ、うちに入校は無理かしら、ね」 俺「え、あ、そうか、すみません。大変失礼を致しました!」 不思議だったが、この時は自分の行動が、とても失礼なことだと一瞬で理解した。 頭を低く下げ、非礼を詫びた。 女「いいですよ、三好さんみたいに興味がある方は、普通に嬉しいですよ。」 「でも失礼をごめんなさい。冷やかしでお越しの方も、とても多くなりましてね。」 「中には、盗聴や盗撮、若い女の子を狙った過激な人達も見受けられますから。」 「失礼ですが、三好さんは、うちをどこでお知りになられました?」 俺「いや、あの出張でこちらに来ていまして、偶々ファミレスの駐車場でダンス踊っている女の子を見知らぬ3人で見ていたら、昔、この南郵便局の裏の、蠍と蜥蜴の印の店の話になって」 「たしか農学校の先生だったとか、風情が残っているとかで」 「それで、まぁここに来たというか」 俺は今、凄いことを話してしまったのかも知れない。 一瞬で女性の顔つきが変わった。 凛とした、体中の神経を研ぎ澄ましたような、緊張した雰囲気を感じた。 女「そうでしたか、それでこちらに来られたのね」 そういうと「ちょっとごめんなさい」といって席を外した。 程なくして女は戻って来た。 女「三好さん、さっきも言ったけど、冷やかしなど色々な人が来るの、貴方を信用していないわけじゃないけど、免許証とお名刺を見せていただける?」 別に悪用するわけでもないだろう、財布に入れてある免許証、名刺を速水さんに見せる。 女「結構、遠くからお見えになったのね」「こちらの会社は?」 俺「もうこの街には、何回も来ていますね。あ、普通のサラリーマンです、社会人になって13年になります」 この人に嘘は通用しない、何より凛とした圧迫感がある。そもそも自分からやって来たのだ。 答えないという選択肢はなかった。 女「じゃコピーをいいかしら、それならこちらも、具体的なお話が出来るわ」 免許証をコピーしたら出来る話っていうことだよな。 また心臓がドキドキしてきた。 この旧花街に来た時から、すべてがそうだ。胸騒ぎのする圧迫感があった。 俺「あ、はい、大丈夫です。」 女「じゃここは、玄関なので、こちらの部屋にお移りになって」 そういって応接室に通された。 女「はい、お返し致します。ありがとうございます。」 「実は、貴方が駐車場で会った眼鏡の人は、野口って言ってね、うちのオーナーなの」 「さっき伝えたら、もう来たのかって喜んでおられたわ。」 女「私の母もここのオーナーをしています、私は、ダンスの講師や生徒たちのお世話をさせて貰っています。」 「母はもっぱら、ここから少し離れたところのNPOとして、孤児や虐待児童のお世話をしています」 「このスクールも、自立支援のプログラムで始めたけど、今はイベント自体が出来なくなってしまったでしょう」 「それに、ここじゃ踊るのも5名が限界、ダンススクールは今、とても難しいわ」 「だから、信用のおける方、裕福な方々に、ご援助をしていただいて、何とか続いていますわ」 話していると、家の奥の方から誰かが入ってくる音がした。 女「来たみたいね、じゃ少しお待ちください、オーナーから説明を聞いて」 「よかったら、お力になって下さいね。」 そう言って速水さんは部屋を出た。
22/03/14 22:00
(8sx75W1G)
投稿者:
火星の使者
◆UJJPla5/I
暫くして、「コンコン」とノックの音
入って来たのは、やはり眼鏡の男、野口だった。 さっきは、ヨレヨレのうだつが上がらない男に見えたが、今は、幾重にも、飾り折り目がついたドレスシャツに、光沢のある上等なジャケットを羽織っている。 まるで別人だ。 男「いやあ、来てくれると信じてました。」 「しかし、こんなに早く来て貰えるとは、うれしいですね。」 しかも、言葉使いまで違う。 俺も聞くことは色々あるが、まずはこの野口の話を聞くことにした。 男「これが、ここでの仕事着でしてね、さまざまな要職、要人の方ともお会いする事もある、仕事なのでね」 「しかし本当によく来てくださいました。」 「長く生きてくるとね、割とこの人とは、趣味があうとか、気が許せるとか、何となく感じで伝わるのですよ。」 「若いのに謙虚な方ですね。私は、そういう人が好きでしてね。」 「あと、女の子の趣味が、僕と一緒の人だなと、思いましたね。」 男「踊っていた3人は、かわいかったでしょう。皆うちの秘蔵っ子です。」 「僕がとても大切に育ててきた子ども達です、美人で、素直で、健気で、何でも一生懸命で、かわいいですよ。」 「そんなうちの子をあなたは、僕と同じように、とても愛おしそうに見つめられていました。」 「でも、三好さんを選んだのは、僕じゃありません。」 「あの子達です。」 「あの子達には、僕の後釜、後継者を探すように前から話をしています。」 「だから、最初に貴方に気づいて貰うように手を振って、貴方に気を持たせたのですよ。」 「駐車場の隅に行ったのも、あの衣装で踊ったのも、三好さんを候補として選んだサインでした。」 男は、話しながら水屋からロックグラスを二つ取り、プロメテ28というウイスキーと共にテーブルの上に置いた。 男「ここは会員制です。お客様には、厳正な審査の上、保証金として入会金を頂いています。」 俺「ダンスクラブのことですか?」 男は、笑みを浮かべ首をゆっくり横に振る。 俺「あの、入会金って、おいくらなのでしょうか?」 男「100万からとお客様には、説明をしています」 「勿論、それ以上お支払い頂ければ、より上のステータスの会員になることも出来ます」 俺「え、それは、100万って、あの、それは・・・」 ストレートに質問する事を躊躇う。 男「いや、三好さんは、後継者候補、いわば幹部候補ですから、いただく事は、ございません。」 「ご安心ください。」 俺「あ、あのっ、蠍と蜥蜴の家は、今も続いていたのです、か?」 男はソファに戻り、テーブルのウイスキーの封印をナイフで切る。 蝋印の打たれたシュリンクを丁寧に取り、栓をキュキュッと捻るとキュポンと、かわいい音が響く。 片手で瓶を持ち、グラスに注ぎ始める。子気味よいトクトクと注がれる音。 五分の一くらい注ぐと、僕の方に一つ置き、手前の自分のグラスにも注ぎ始める。 男「香りがいいでしょう、これ、マダガスカルバニラやスパイスの入ったものでね、今日は気分がとてもいい、とてもいい気分です」 男「では、三好さんお会いできましたこと、貴方様の人生とあの子達に乾杯を致しましょう」 「乾杯」 幹部候補とか、いわれたが、小心者の俺は、正直ここに足を踏み入れたことを後悔していた。 やばい所に足を踏み入れてしまった、しかも免許証や名刺まで全て見せてしまった。 ウイスキーを口に含む。 まろやかなとろりとした甘さとスパイシーな香りが混ざりあう。 喉を通る瞬間、強烈な刺激となって口から鼻腔へ抜けていく。 暴力的な刺激と熟成されたまろやかなモルトが合わさり、甘い香り、スパイスの刺激が幾重に重なり、押し寄せて来る。 男「どうです、おいしいでしょう」 「三好さん次第ですが、ぜひうちが、どんな所なのか、少しご体験をなさりませんか。」 「勿論、秘密は守ります。」 そのような話をしていると、ドアの向こうでトトトッと控えめなノック音。 少しドアが開き「オーナー準備が整いました。」と速水さんが話す。 男「いつも通り?」 速水「いえ、今日は、この前出来た、新しいものを着せました」 男は、とても幸せそうな笑みを浮かべる。 男「おいで、みんなお入り」 ひとりずつ、少女が部屋に入ってくる。 先ほど踊っていた3人の少女に違いなかった。 少女は、黒いマントのようなものを羽織っている。 男「おぉ、やっぱりこれ、速水君、やっぱりマントコートにしてよかったよ。裾がスカートみたいに拡がって、かわいいね」 男「じゃ、三好さん、紹介しましょう」 「真ん中の子が、そよか、右側の髪が長い子が、れいな」 「ショートヘアの7:3分けの子が、まな」 「そよかは、三好さんがとても好きみたいですよ。今日は三好さんをずっと見ていましたね」 「美人で透けるような色白でしょ。スタイルもいいし、物腰も柔らかで、学校でも、とても人気があるそうです。」 「担任の先生からも、ご父兄の中にも、熱烈なファンの方がおられるそうですよ」 「皆、同じ小学6年生、今年12歳になったばかりの子たちです。」 そよかは、切れ長の瞳、おでこは少し広め、漉いた前髪が薄くかかっている。 きれいな顔立ちだ 3人の中で一番背が高く、160㎝を超えていた。 れいなは、顔の作りが整っている、いや寧ろ整いすぎて、色々な人と重なる。 美人という、括りでいえば、ダントツでれいなだ。 少女というのもあるが、どこか中性的で、さり気ない仕草でもハッと息を飲むほど美しい。 大人でも正直、横に来れば、緊張するほどの美人だった。 まなは、そよか、れいなと比べると、地味な印象になる。 少し両目の間が開いているが、奥二重の瞳、目尻りの睫毛が、きゅっと可愛く上に伸びている。 目尻の下は、子どもらしい、緩やかな窪みがあった。 そしてなにより唇が印象的だ、大きくはないが、厚くぷっくらと膨らんでいる。 3人の中では、一番人見知りするタイプのようだ。 まなを見ていると、悪戯したいSの気持ちが昂る。 どこか翳りのある愁いを秘めた顔をしていた。 男「じゃ、みんな、後はよろしくね。」 三好さん、私は、これで失礼致しますので、後は、速水に何でも、お申し付けください。 そう言うと、グラスに残ったウイスキーを飲み干し、幸せそうな笑みを浮かべて、野口は部屋を出ていった。
22/03/14 22:49
(8sx75W1G)
投稿者:
(無名)
すごい。
とても素人の書いている作品とは思えない。 細かな描写… シナリオの巧妙さ… ロリコンがどうのを忘れて、エロよりも 文才に魅了されてしまいます。 この流れで… 濡れ場が訪れたらきっとすごい事に…。 かつてこんなに続きを期待する作品は ありませんでした。 よろしくお願いします。
22/03/20 04:15
(8.xKt7zQ)
投稿者:
(無名)
このような、ご賛辞をご頂戴して頂けるとは思ってもおらず、恐縮致しますとともに、大変励みになります。
ありがとうございます。 実は、先日の地震で、パソコン等が被災してしまい、現在修復中でございます。 私には、才能は無いと、書けば書くほどわかりましたので、なるべく丁寧な作品になるよう努めさせて頂きます。 今少し、お時間を頂戴致したく、お待ちして下さる皆様方には、深くお詫び申し上げます。 ご愛読ならびに、コメントを賜りまして、誠にありがとうございます。 火星の使者
22/03/20 10:04
(OSDbGO8E)
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