一方、たくみは驚いていた。
葬儀を終えて帰路についていたが気持ちは昂っている。
さなえさんを抱き抱えて、寝室のベットに寝かせ介抱すると、喪服がかなりキツく着付けられていることに気付いた。
帯もかなりきつい・・・。
けれど下着の感覚が無いのだ、着物に下着を着けないのは昔の話。
しかも、自分とさほど変わらぬさなえがそんな風な事をしているとは考えにくいのだ。
その上、あの状況は貧血では無い・・・。
逆に顔に朱が入って、俗に言う逝ってる状態じゃ無かったのか・・・。
寝室での着替えは使用人の女性が行ったので、はっきりとは判らない。
ただ、自分の触手が訴えているのだった。
最初に出会った時の印象・・・。
どんどん被害者であるさなえに好意を持ってしまう・・・。
いや、好意以上の物だと感じていた・・・自分の欲求に逆らえないのだった。

僕は(草刈たくみ)自宅に戻って調べてみた・・・。
星野　鉄郎(62歳)
元大企業の創業者、現在は経営から身を引きさなえと隠居生活に・・・。
若い時から文武両道で、仕事もパワフルだが女性関係も噂が絶えない。
アスリートから文人まで幅広い交友関係を持つ。
ドンファンとも噂されるほど、最初は強引に関係を持つが、別れる時には
相手の方が求めるほどに・・・。
経営から身を引いたといえ、豊富な財力で片田舎に広大な敷地を購入して
夫人と使用人のだけの絶対君主。
真意は不明だが、かなりの好きもので若くからSMに興味を持ち、そちらの方でも
有名な人物である。

星野さなえ(29歳)
大学を卒業し鉄郎の会社に入社。
それ以外何もヒットしない・・・。
意図的に消されている様だった。
僕はワイドショーのアーカイブを調べる・・・すると・・・。
27歳で鉄郎にみそめられ結婚、周囲からは財産目当ての結婚と噂される。
家族はいない、入社以来鉄郎の花嫁候補として社業そっちのけで教育を受けている。
鉄郎の女性関係からリストに上がったことなどなく、全くのダークホース的な登場。
しかし、鉄郎の見立ては正しく、磨き上られた彼女はマイフェアレディ・・・。
調べていくうちに、男としてその欲望を具現化していく鉄郎の気持ちが判る気がした。
僕だって財力が有ればあやかりたい・・・。
僕はやっと自分が感じたさなえの違和感を理解した。
恐らく、僕が患者に対してやっている事を、この夫婦はやっている・・・。
それはSMの主従関係・・・。
僕の場合は患者でやってくる好みの女性や看護師を精神的に追い込み、自分の下僕とする事に
性的興奮を覚えるのだ。
だから、さなえに初めて会った時の違和感を持ったのだ。
さなえの納棺の時の行動は、主人が居なくなった事に対して身体が反応したのだろう・・・。
当然、下着を着けないのも主人の嗜好・・・。
他人が創り上げた作品を、寝取る快感はこの上ない・・・。
普通の主婦を寝取るのとは全く違う醍醐味を味わえる・・・。
僕はさなえを寝取る事を真剣に考えだしてしまう・・・。

時は少し戻ります。
私は葬儀も終わり、弔問客も居なくなり祭壇も片付けられたホールで夫の肖像画を見ています。
私の肖像画と並んで飾られています。
ほがらかに笑みをたたえた肖像は、やはり遠くへ旅立った夫を思い出してしまいます。
私は夫に大事にされて、しかも全てを管理されていた事に今更ながら動揺していました。
この先どうやって生きていけば良いのか・・・。
けれど、もう夫以外を愛せない・・・、全てを投げ出して私一人を愛してくれた事に、私は報いなければ
ならないと考えていたからです。
女一人が生きて行けるだけの資産はあります、私はこの場所を守る決心をしました。
使用人も最小限にし、夫との思い出の中で生きて行こうと思いました。
そんな事を考えながら誰も居ないホールでソファーに座っていました。
ふと、人の気配を感じます。

使用人男) 奥様・・・大丈夫ですか？、軽い食事を用意しております。
少しでもお口になさって下さい。
奥様が体調をお崩しになっては、私が旦那様に叱られます。
今日はお疲れでしょう、お食事されておやすみになって下さい。
それと・・・少しお話があります、お屋敷も旦那様がお亡くなりになり、奥様もお若い・・・
皆、奥様はお屋敷をお出になるんじゃないかと思っております。
若い者は他でもやって行けるでしょうが、古参の私達は難しいと思います・・・。
お屋敷を維持するには最低でも3人は必要です。
こちらのお屋敷には地下施設がある事も、私は判っています。
私とメイドと施設管理者は、このままお使えしとうございます。

さなえ) ああ、ありがとう・・・、あなたの言う通りです。
私もこの屋敷を守って行きたいと思っています。
あなたとメイドさん、施設管理者の方はそのままお願いしたいと思います。
私に仕えて下さいますね・・・。

使用人男) 奥様・・・ありがとうございます・・・それでは今まで通り私達3人はお仕えできるのですね。
若い者は私が責任を持ってあたります。
それをお聞きして安心しました、メイド長も施設管理の者も安堵する事でしょう。
さあ、奥様お食事を食べて下さい・・・。

私はこの人達を誤解していたと思いました、ずっと私を嘲笑していると思っていたのにこの屋敷を
守ってくれると言ってくれているのです。
ただ・・・地下施設の存在を知っている・・・。
その言葉に少し戸惑いますが、女一人でここは守れない・・・。
私はこの男の申し入れを受け入れるしかないのでした。

【ブレイクタイム】
ここで少し休憩を挟みます。
ここまで書き進めて、さなえの描写が弱く感じています。
私自身を投影しているさなえをもう少し判りやすくした方が良いのではないのかと思います。
当然、フェクションの作品ですけどナルシストな私は執筆にのめり込むとその人になり切ろうと
考えてしまいます。
これからもお目汚しな作品を上げると思いますが、よろしくお願いします。
私自体はもうそこらに居るおばさんの領域に入るんですけど、好奇心旺盛な主婦です。
子供も手が掛からなくなって、少しの昔の経験と夢を書きたいなと思ってあげています。
私のイメージはさなえのイメージであるので、その頃のイメージですね。
もう少し若い頃は、中森明菜・・・風な感じ(自分でそう思うので意見は聞きません　笑)
どうしても、情景描写が多くてくどい様に感じますが、こう言うスタイルですからお許しを・・・。
あっと言う間に夫が亡くなって、展開がおかしいと思う所もありますが、青年医師との部分を
早く描きたかったのでこうなってしまいました。
読んでくださってありがとうございます。
イメプレが好きなので時々お邪魔する事もあるのでその時はお付き合い下さいね。
また、お休みの多い時には書き込みが多くなりますが、通常は金土日が主体です。
下の方に行ってしまっても読んで頂けると幸いです。
それでは続きをお楽しみ下さい。

ここでこれからこの屋敷に、私と残る人達の紹介をします。
使用人男、夫の執事を長い間やって下さっている『高円寺　徳蔵』
年齢は60歳になる黒いスーツの似合うロマンスグレーの紳士。
夫の信頼を得て、これ迄もよく尽くして頂いていました。
地下施設に関してもどこまで知っているか知りませんが、夫が頼るのは理解できます。
ただ、夫も公私はキッパリつける人だったので、あのドアの中と外は違うと思っています。
それでも、私に迫った時の言い方は少し含みがある様にも思えました。
続いて、使用人女、夫のメイド長を務めていた方です。
この屋敷には私よりも先に居たのですが、私が来てからは私の専属になった方です。
『神楽　みさと』30歳で私の一つ上のお姉さん的な存在。
私が来る前は夫の専属だったそうです。
それが意味する事は女なら察しは付きます。
それでも残って下さるのも少し気にはなっています。
最後に屋敷の清掃や設備のメンテナンスをして下さっている方。
『国分　シンジ』高円寺さんと同じ60歳、高円寺さんとは違って枯れた感じがします。
屋敷のメンテナンスは地下施設以外この人が取り仕切っていました。
機械音痴な高円寺さんと違ってそちらの方はプロです。
そして、私の4人での生活が始まる・・・。
初七日が済む頃には、高円寺さんが根回しをした他の使用人は屋敷を出て行きました。
私も役所の手続きや、事故の事などであっという間の一週間でした。
49日や初盆と葬儀の後、業者さんから説明を聞き忙しさの中で、夫が他界した事を
忘れ掛けていたのでした。
それでも、ふと夫の書斎に足を踏み入れると、思い出してしまいます。
隠し扉に入ったらどうなるか判りません・・・もう封印するしかないのでしょう・・・。
そして、初七日当日がやって来ました。
夫の友人など、ごく親しい方をお呼びしてこじんまり行いました。
そこに見覚えの有る男が現れます。
草刈　たくみ・・・、直接原因では無いが、私の夫を死なせて何も罪を受けないでいるのです。
信号無視の男はその場で逮捕されていますのでそれなりの罰は受けるはず・・・。

さなえ) あなた、どういうおつもりなんですか？帰って下さい、来られても困ります。
私は葬儀では声を出せなかったが、思いの丈をぶつけてしまいます。

たくみ) 奥さん・・・すみません、お線香だけでもあげさせて下さい。
僕も責任を感じているんです、あなたの大切な方を死なせてしまったのですから・・・
私は医者です、人を救ける為になった仕事なんです・・・
それなのに・・・僕は・・・。

さなえ) ・・・判り・・・ました、大きな声を出してすみません、それに・・・あなたは私が倒れた時に
介抱して下さったと聞いております・・・お礼も言わずに、追い払おうとした事、お許しください。

私は他の方の迷惑も考えずに、たくみに怒鳴ってしまっていた。
たくみの気持ちも判らずにただ、拒絶していたのだった。
これが、たくみの表向きの理由で、その奥にあるたくみの欲望など知る由もなかった。
そして、初七日の法要が終わった。
高円寺さんが私に話しかけてくる。

徳蔵) 奥様、またあの方が遠方から来られていますが、使用人が減って部屋は空いております。
また、お部屋を用意致しますか？それとも、得体の知れない事故相手ですので今夜はお引取り
願いましょうか？他人の目もありますし・・・。
高円寺さんからすれば、他の客がいた時は目立たなかったが、流石に今は・・・と思ったようだ。
それに、前に来た時にここいらにホテルなど無い事は判っている。

たくみ) 私にはお構いなく、車で来ているので麓に戻って宿を探します。

さなえ) いえ、私を介抱して下さった方を私はお礼も言わずに返してしまいました。
ここでよろしければ、一晩お泊まりになって下さい。
私は無意識に受け入れてしまった。
未亡人になってしまった事をまだ、受け入れていなかったのかもしれない・・・。
高円寺さんはたくみを、一旦駅に送るふりをして戻ってきた。
初七日になってマスコミも一旦退いたのだろう・・・。
それに、使用人がいる事でカモフラージュにもなったのかも知れない。
その日、たくみは宿泊する事になった。

徳蔵) 神楽くん、お客様をお部屋に案内して下さい、部屋は君に任せます。

みさと) 高円寺さん、判りました・・・私達のエリアで良いですね。
草刈様、ご案内します・・・どうぞ。

たくみ) 本当に申し訳ない・・・、それでは一晩ご厄介になります。

ホールから歩き出す二人・・・。
たくみ) 神楽さんで良かったかな？・・・ここで長いの？

みさと) お話しし易そうで良かったあ・・・、私も長いと言えば長いけど、メイド長もしていたんだ・・・。
この屋敷は旦那様と奥様のお二人でしょう、歳上って事で私が指名された訳・・・。
旦那様とも奥様が来られる迄は・・・ね・・・判るでしょう・・・。
それも、今じゃ高円寺さんと国分さん、それに奥さんだけでしょう・・・。
さ、着きましたよ・・・ここがあなたの今夜のお部屋、私達のお部屋も並びにあるから何か用があったら
部屋にPHSがあるからそれで呼んでね、携帯は圏外だから・・・私のPHS短縮に入っているからね・・・。
では、お客様・・・失礼させていただきます・・・なんてね・・じゃあね。