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1:父の再婚相手。
投稿者:
タケイチ
『そしたら、ちょっと連れてくるから。』、そう言って家を出た父は、しばらくして再婚相手となる女性を家に連れて来ました。
その女性は僕の顔を見ると、『タケ君、ご無沙汰してます。お元気~?』と挨拶をして来ます。そうです、僕はこの女性を知っているのです。 僕は、『先生、お久しぶりです。』と女性に返しまします。この方は普段『先生。』と呼ばれ、それは僕だけではなく、姉も、死んだ母もそう呼んでいました。 彼女の名字は『滝本』。同じ町内に住んでいて、自宅で中学生の英語塾を営んでいるのです。52歳の父よりも一回りくらい上の、63歳になります。 4年前に母を亡くした父は、町内会の会合でこの滝本先生と知り合いました。僕や母ならともかく、父はこの先生のことをほとんど知りません。 なので、躊躇いもなく一人の女性として見てしまったのでしょう。最終的に、11歳も年上の先生を射止めてしまったのです。 『ワシより、お前の方がよく知ってるよなぁ~。』と父が話すと、僕も先生も笑顔を作ります。それでも、やはりぎこちなさは残ります。 これからは、『義母さん』となってくれるはずの女性を素直に喜べないのです。僕にとっては、2年間お世話になった『先生』。母ではなく、先生なのです。 父と滝本先生が二人で話を始め、それを聞いている僕に伝えます。1つは、住む家のことです。もちろん、先生も近くに家を持っています。長年住んだ家です。 それに、塾もまだ続けているので、そう簡単に明け渡すことも出来ません。それでも、『この家で一緒に住もうと思っています。』と言ってくれました。 先生が塾を辞めるまでは、二重の生活になるようです。 もう1つは、先生の息子さんの問題です。僕よりも6つ年上の息子さんがいて、このままいけば義理の兄になります。その方が、まだ先生と暮らしています。 しかし、『決めた娘がいるから、もうすぐ決まると思う。そのうちに出ていくでしょ。』と先生の口から告げられました。 義理の兄とは、一緒に暮らさないようです。それを聞き、少し安心をしました。やはり、いきなり他人が二人も入ってくるのはキツいです。 年齢が年齢だけに、二人の結婚式などありません。なので、先生が僕の義母として初めて家に来たのも、突然のことでした。 僕が家に帰る午後6時。父よりも帰りの早い僕は、いつも合鍵で家に入るのですが、家の中は明々と照明がつけられています。 玄関を開けると、奥から小走りで女性が現れ、『おかえり~。』と声を掛けられました。先生でした。 『ただいま。』と言うと、『今日からお世話になるからねぇ。優しくしてよ~。お願いよ~。』と先に言われてしまいます。 やはり先生も、場違いな感じはしているようです。8年くらい前に旦那さんを亡くされ、長年住んだ家から新しい亭主の家にこの年で来たのですから。 『夕食、先に済ませる?』と聞かれ、『はい。』と答えてしまいました。きっと、母に聞かれたなら、『ああ~。』とぶっきらぼうに答えていたはずです。 テーブルには、見たこともない料理が並びました。同じような料理でも、やはり母のものとは全然違うように感じるのです。 先生はテキパキと動き、料理に後片付けと動き回っていました。動きながらも僕に話し掛けてくれて、先生なりには頑張っているようでした。 しかし、僕の対面に座ることは一度もありませんでした。先生も、義理の息子の僕と真正面で向き合うまでには、まだ少し時間が掛かるようです。 その頃でした。外から物音が聞こえ、扉が開きました。『あっ、ただいまぁ~。』と父の声でした。二人きりで息が詰まりそうな僕は、身体の力が抜けます。 先生は、急いで玄関へと向い、父を迎え入れます。二人で話をしているのが聞こえ、『こんなの、母の時もあったなぁ。』と懐かしんでしまうのでした。 父と僕はお風呂を済ませ、最後に入ったのは先生です。おかしなものです。何年も僕が最後のはずなのに、またその後に入る方がいるのです。 それも、長くこの家には居なかった女性です。聞くつもりもないのに、テレビを見ながら、耳だけは風呂場へと向いてしまっていました。 しばらくして、先生が現れます。ちゃんとパジャマを着込んでいて、やはりこの家に住み始めてくれたことを実感します。 父は、『どうやった?』と聞くと、『あぁ~、いいお湯やった~。』と先生が答えています。それを聞き、父もどこか嬉しそうです。 しかし、僕はと言えば別のことを考えていました。初めて見る、先生のパジャマ姿。それは彼女に密着し、先生の身体を写し出しています。 僕が思っている以上に、細い身体をしていました。ある程度の身体つきだと思っていたのに、それは間違い。先生はとても細い方だったのです。 何年ぶりかの、母という女性を交えた団らんでした。たいした会話もないのに、『これが正しい形。』と思えて嬉しくなる僕なのです。 それでも、『寝るわ。』と二人に伝えます。やはり、年配とは言え、新婚さんなのです。僕も、それなりに気を使います。 父に遅れて、先生からも『おやすみ~。』と声が掛かります。なんか、照れくさいものです。 それを察知したのか、父が『お母さんにも、ちゃんとおやすみ~って言わんか。』と僕に言います。父の魂胆など見え見えです。 そして、『母ちゃん、寝る!』と告げ、僕は階段を登って行きます。居間では、それを聞いた父と母の笑い声がありました。 僕は部屋へと入り、ベッドに転がっていました。テレビをつけ、録画しておいた番組が再生をされます。 しばらくして、『開けるぞ!』と父が声を掛けます。扉が開き、ほんと他愛もない話をして、その扉はすぐに閉められるのです。 先生に、父親らしいところでも見せようとしたのでしょうか。しかし、父の行動は余計なものまで僕に見せてしまうことになります。 扉が少し閉まり、最後に『パタンッ!』と締め切ったのは父ではなく、父のあとをついていく滝本先生だったのです。 先生は薄い黄色のパジャマを着ていました。そして、この先にあるのは父の寝室しかありません。当たり前のことに気がつきました。 僕の知っている滝本先生は、妻として、今から父とベッドを共にするのです。
2018/10/31 16:56:25(kGbTXvL3)
投稿者:
タケイチ
先生が我が家に来てから、半年近くが経っていました。『義母さん。』と呼ぶのにもなれ、時間は掛かりましたが、『母と子』の関係になりつつあります。
それでも二人で買い物に出掛ければ、やはり回りの目が気になり、母と言うより『彼女』を連れて歩いている、そんな緊張感も生まれてしまうのです。 父はと言えば、新婚でラブラブな時間は終わり、家庭を守ってもらっている『主婦』として先生を見ているようです。 母が亡くなって以来、この家にもようやく『家族』というものが出来ていました。これが、本来あるべき姿なのです。 ところが、その2ヶ月後。父と先生に変化が見られるようになるのです。父が春に昇進し、仕事や付き合いが増えたこともありますが、なにかがおかしい。 先生が我が家に収まり、家が落ち着いて、父にも安心感があるとは思いますが、何かがおかしいのです。 その不安は、『あのオバハン、アホか~!?』と父の放った一言で、確信に変わるのです。父が先生のことを『オバハン』などと口にしたことなどありません。 それに『オバハン』は、年下の男が口にするセリフです。よくよく考えれば、52歳の父にも、63歳の先生はかなり年上のおばさん。 連れを亡くしたもの同士が出会って、焦ったように結婚したのですが、少し冷静になると、いろいろと問題があるようです。 その日、6時に家に帰った僕は、塾を終えて帰ってくる先生を待っていました。しかし、なにかしているのか、なかなか帰っては来ません。 ようやく玄関の扉が開いたと思えば、それは父でした。『義母さん、まだみたいやねぇ?』と父に言うと、『帰って来んの違うか?』と冷たく言われます。 最近の冷えた感じを分かっていただけに、それ以上のことは父には聞きませんでした。 結局、次の日も夜に現れる様子もなく、僕は父には黙って家を出ます。父も何も言いませんが、僕が何を考えているかなどお見通しでした。 先生の家の前に着きました。家には僅かな照明がついていて、先生が中にいることは分かります。僕は大きな門を開け、玄関に向かいます。 玄関の前まで来ましたが、なかなかチャイムが押せません。しかし、大きな門を開けた音が響いたので、中にいる先生にも届いたはずです。 僕は、一度扉に手を掛けました。カギが掛かっていると分かっていてです。しかし、扉は横へ開きました。カギなど掛かってなかったからです。 玄関に入り、『先生ぇ~?』と声を掛けます。『義母さん?』とは呼べませんでした。中から返事はなく、それでも人の足音だけがこちらに向かってきます。 『タケ君、いらっしゃい。どうしたのぉ~?』、先生の第一声でした。それは、悲しい一声です。 『いらっしゃい。』と他人のように僕を出迎え、『どうしたのぉ?』としらを切られたのです。とても、母と子の会話ではありません。
18/11/02 09:47
(pqKfe0rP)
投稿者:
タケイチ
『どうしたのかなぁ~?と思って…。』、先に口を開いたのは僕でした。『タケ君には関係ないから。』と冷たく言う先生。
僕はもう、『息子』ではないようです。『なにかあった?』と聞きますが、『だから、タケ君には関係ないって。』と交わされます。 しかし、『義母さんいないと、なんか寂しいし。』と言うと、先生の雰囲気が変わります。玄関が暗くて、よく見えないのですが、泣いたように思えました。 先生は、『ちょっと、上がって…。』と言って、先に奥へと戻ります。僕も靴を脱いで、その後を追うのです。 リビングに通され、すぐにお茶が出されました。ここでも、他人行儀を貫くようです。しかし、先生のその目は赤く潤んでいます。 『心配掛けてる~?』と震えた声で聞かれました。『父ちゃんは知らんけど、僕は心配してるわぁ。』と答えます。 少し、寂しそうな顔を見せた先生にきづき、『けど、父ちゃんも心配してると思うよ。』と続けますが、きっと先生の心には響いてはいません。 しばらくして、『タケ君も大人だから、大人として聞いて。』と言われます。普段ニコニコ顔の僕も、それを聞いて、さすがに真面目な顔を作ります。 『私、こんな年でしょ?旦那も子供もいたし、ずっ~とここで生活してたの。それを否定されたら、どうしたらいいの?』、言った先生の目が更に潤みます。 『タケ君のお父さんにも奥さんがいて、三人で生活してたでしょ?けど、それを私は否定したりしないよ~。愛してたと思うから。』と更に熱くなります。 『だったら、私のことも分かってよ~!旦那さん好きだったんよ!今でも好きじゃわぁ~!』、そう言い切った先生は、顔を手で隠します。 顔は大きく揺れ、手で隠して見えない口からは、『シュン…、シュン…、』と悔しさからの声が出されていました。 先生がその顔を隠した手を外すのには、少し時間が必要でした。ゆっくりと手が離れると、目は真っ赤になって潤み、頬まで涙で濡れています。 あてていた手も濡れていて、着ていた服で拭き取りますが、すぐに涙と鼻水を拭きにいっています。 先生は下をうつ向き、流れ出る涙を何度も拭いていました。僕に次の言葉を掛けたいようですが、とても無理そうです。 『ごめん…、ごめんねぇ~…。』、ようやく出た言葉がそれでした。鼻をすすりながらでも、なんとか声を掛けてくれたのです。 先生の顔が上がり、今度は上を見上げます。涙がまだとまらないようで、『あ~、泣いてしまうわ~。』と言って、止まるのを待っているようです。 そして、少し涙が収まった頃。先生の顔は正面を向き、僕を見ました。その顔は何かを伝えようとしていて、僕も身構えます。 『君のお父さんと性交渉したのが始まりなの。』、その言葉に耳を疑います。あの真面目な先生が、『性交交渉』という言葉を僕に言ったのです。 『ほとんどお付き合いらしいことはしてなくて、君のお父さんと性交渉してしまったの。 お父さんとのこと悪く言ったけど、君のお父さんも、先生もだけど寂しかったのよ。その~…、セックスのことだけじゃないんよ?』と聞かされます。 もう、話の内容など頭に入りません。先生が言った『セックス。』という言葉が、何度も僕の頭の中で繰り返されてしまいます。 『だから、もう少し時間が掛かると思うの。』とそれが先生の答えでした。やはり、ちゃんとお互いが分かる前に、二人は結ばれてしまったようです。 『うん。わかった。』と告げると、先生も少し安心したのか、険しい表情が和らぎます。優しい表情ではありませんが、これが先生の顔なのです。 向き合って真面目に話をしていた二人ですが、ようやくその呪縛から開放され、僕はソファーにもたれるように倒れ込みます。 先生がテレビをつけてくれて、ようやく母と息子の2日ぶりの団らんの時間が訪れるのです。 先生が『お風呂は?入った?』と聞いて来ました。『まだやけど、家で入るわ~。』と伝えますが、何も言わずに先生はお風呂場へと向かいました。 戻ってくると、『入ってかえり~。』と言われます。先生はリビングから居なくなると、戻って来た時の手にはバスタオル、そして男性もののパンツが持たれています。 『それ、誰の?』と聞くと、『息子用~。たぶん合うよ。まだ使ってないから。』と言われます。やはり、義母です。二人の息子の下着サイズを知っています。 それをセットにして床に置き、先生の手にはまだ何か持たれていました。ピンクのバスタオルと先生のパジャマ。そして、下着まで…。 その下着に見覚えのある僕は、顔がこわばります。二人が旅行中に部屋に忍び込み、パンティー2枚を拝借したからです。 先生も自分用のセットを作り、床に置きました。しかし、それには意図があるようです。わざわざパンティーが一番上に置かれているのですから。
18/11/02 10:55
(pqKfe0rP)
投稿者:
タケイチ
この日も、夜に先生の家にいました。これで、3日連続となります。そろそろ父が迎えに来てもよさそうなものですが、父も頑固です。現れません。
特に何をする訳でもないのですが、先生が義母になってくれたことで『先生』という感じがなくなり、今は普通のおばさんと仲良くなったような感じなのです。 しかしようやく、『タケ君、私に帰って来て欲しい?』と先生から言って来ました。僕は気を使い、『ゆっくりでいいよ。』と言います。 それでも、『私の帰るところある?』と聞くので、『あるに決まってるやろ~。』と言ってあげるのです。 それを聞くと、先生は少し考えていました。僕はその答えを急がず、彼女が自分から決断するのを待っているあげます。 少しして、『お父さんに、なんて謝ったらいいかなぁ~。』と先生が呟きます。『なんて?』、よくよく考えれば、二人がこうなった原因を僕は知りません。 そこで、『ところで、なんでケンカしてるの?原因なに?』と聞いてみます。しかし、先生の口からは『ごめをねぇ。ちょっと言えんわぁ。』と言われます。 確かに夫婦の問題です。もしかしたら、『性』に関係するの話かも知れません。 しかし、先生は言っていました。『元の家庭を否定された。』と。何を言われたのでしょう。 『お義母さん?全部話して~。僕も大人やし、息子やで。』、言い方は締まりませんが、僕なりの言い方で先生に伝えるました。 すると、先生は僕の目を見ます。その目が変わりました。僕の本気を探っているようです。そして、出した答えは、『セックスの話にもなるのよ?』でした。 彼女からのその言葉に少したじろぎますが、『うん。』と答えます。 先生の話はこうでした。家庭でのことに、父が文句を言ったのが始まりだと言います。『あれはこうしろ~。』と言う父の言葉は、死んだ母を求めています。 そしてそれは、亡くなった旦那さんと息子さんを含む、先生の元の家庭の批判へとエスカレートしたのです。 父の言動はそれでも収まらず、夜の生活にも不満として先生の身体にぷつけられるのです。 そして、『私は拒否したの…。けど…、あんたのお父さんに強姦されてしもたわぁ~!!』と涙ながらに語った先生の言葉が、衝撃的に僕に突き刺さるのでした。 パジャマ姿の先生の細い身体が、とても小さく見えていました。僕は彼女に手を延ばし、沈んだ身体を抱きかかえるように起こします。 そして、滝本先生を抱き締めてしまうのでした。抱きしめて、初めてそのか細さが分かります。 『帰らなくていいよ。』と言うと、その手は強く力が加わり、更に抱き締めるのです。 一瞬、困っていた先生でした。当たり前です。40歳近く年下の男の子に抱き締められ、その子は塾で教えてた中学生の生徒なのです。 先生にとっては、まだ幼い子供なのですから。しかし、先生はその子供の身体を頼りました。ちゃんと、抱き締め返してくれたのです。 きっと先生は、僕を本当の息子だと思って頼ったのだと思います。しかし、僕は違います。愛した女性を抱き締めているのです。
18/11/02 11:55
(pqKfe0rP)
投稿者:
タケイチ
先生は優しい人でした。『父になんて謝ったらいいかなぁ~?』と言っていました。謝らないといけないのは、僕の父の方なのに…。
それでも、家庭を捨てて出てしまった自分を悔いているのです。こんな家でも、先生にはもう『自分の家庭』なのです。 先生の身体の温もりが伝わって来ています。時々、先生の背中が逃げようとしますが、僕が抱き締めて離しません。 背中に回していただけの手は、先生の身体を感じようとその背中全体を触り始めます。それに気がついた先生は『ありがと。もう大丈夫。』と言って来ます。 それでも離そうとしない僕に、異変を感じたと思います。僕の顔が、先生の肩から首に向かって埋まろうとした時、『離してくれる?』と言った先生の腕に押し返されます。 優しい言葉とは裏腹に、かなりの力で押し返されました。きっと恐怖を感じたのです。自分を強姦した男の子供ですから。 離れて尚、僕は『大丈夫?』と聞いてあげますが、それはまた抱きしめたいだけの魂胆なのでした。 再び自分の居場所に戻ります。『うちには戻らなくていいよ。』と先生に告げます。あの話を聞いた以上、父の元へは戻せません。 先生は『ありがとう。』と言ってくれます。ずっと自分一人で背負い込んでいたのでしょう。僕が理解をしてくれて、嬉しかったのです。 そして、僕は初めて先生に思いを告げます。こんな雰囲気にならなければ、絶対に言わなかったはずです。 それだけではなく、タンスの中の下着泥棒したこと、それを使って彼女のベッドで慰めたこと、全てをはなしました。 その間、先生はずっと『うん。』『はい。』の二言だけで会話をし、恥ずかしそうに全てを話す僕を、優しい顔で見てくれているのです。 さすがにベッドでの射精の話には苦い顔を見せましたが、終始笑顔でした。本当の母にでも、僕はここまで話を出来るでしょうか。
18/11/02 12:17
(pqKfe0rP)
投稿者:
タケイチ
その日は土曜日でした。父の仕事の日を、僕たちは選んだのかも知れません。『おばさんに興味ある男の子って、多いの?』、助手席の先生が聞いて来ます。
『熟女?人気あるよ。癒されたい感じ?』、そう他人事のように言った僕だったが、その熟女をデートに誘ってここにいるのが、僕なのだ。 先生はデートという気持ちはないらしい。子供のわがままを断りきれず、仕方なくついて来ている感じだ。 これが、『先生と生徒』という関係なら完全に断られただろうが、残念ながら僕たちは『母と子』。車で出掛けることなど、当たり前のことなのだ。 話は前回に戻ります。『僕、先生のことが好きだから。』と告白をしましたが、『変なこと考えんの~。』と断られます。 しかし、『口説きます。頑張って、何回も口説きます!』と言う言葉に、少しだけ真剣さを感じてくれたのでしょう。 『じゃあ、先生に何をしてくれる?タケ君は、先生をどうしてくれるん?』と返されました。その言葉は、まさに先生でした。 生徒の気持ちも全て分かってくれていて、だから頭から断りもしない。僕のやる気のようなものを湧き出させてくれるのです。 悩んだ僕は、『じゃあ、デートしてください。そこから頑張りますから。』と伝えると、『おばさんよぉ~?大丈夫ぅ~?』と意地悪に答えるのでした。 車内は変な感じでした。『口説きます!』と言った男の車の助手席に乗っているのに、先生は平然とした顔で座っています。 その顔には余裕があり、いつ僕が喋りかけたり、迫るような言葉を吐いてもちゃんと対応が出来る、答えはいくつも用意してある、そんな余裕を感じるのです。 おかげで、『口説きます!』と大きなことを言ったクセに、たいしたことも起こせずにデートは進むのでした。 『お父さん、なにか言ってた?』、先生から聞かれました。『特に何も…。』と僕は答えます。実際、本当にそうなのです。 ただ、『俺から行かんとダメかぁ。』と父は言っていました。出ていった妻を、ちゃんと取り戻す気持ちはあるのです。もちろん、それは先生には伝えません。 残念ながら、これはデートではありませんでした。『母と子のお出掛け。』、その程度で、時間だけが過ぎて行きます。 隣に座る先生の気持ちも気になります。本当に迫られても困るでしょうが、少しはそのつもりで彼女も今日は出てきたのですから。 ちょうどその頃、『滝、見に行こうか?』と先生から言われます。『滝なので、きっと山道。面倒くさいなぁ~。』と思いながら、車を走らせます。 しかし、その滝は山奥ではなく、ほとんど県道沿いにありました。車を停め、歩いて1~2分のところにそれはありました。 とても小さな滝で、観光する方の姿もなく、地元の方もいないため、ほとんど貸しきりに近いです。近くによれば、とても涼しく、寒さまでを感じます。 僕は、滝つぼ近くにまで入ります。先生は外から見ているようです。僕が両手に水をすくうと、『こっちに掛けたらダメよ~。』と先生から声が掛かります。 『わかってるわぁ~。』と言いますが、その手は大きく上げられ、すくった水は先生の身体へと向かいました。 『だから、掛けたらいかんって~。』、笑った声が返ってきました。『手がすべっただけ~。』と言ってごまかしますが、通用などしません。 先生に駆け寄り、服を見ましたがたいして濡れてもいません。 小さな岩場があったので、そこに二人で腰を降ろします。先生は背中を曲げ、さっきの僕と同じように両手で水をすくって、冷たさを感じているようです。 『お父さん、本当に何も言ってなかった~?』、再度この質問がされました。僕は本当のことを言えず、少し困ります。 振り絞って出たのは、『ワシの嫁、ちゃんと口説いて来いよ!って言ってたよ。』と父のモノマネをして言ってみたのです。 『そんな感じよねぇ~。』と父のモノマネを笑ってくれ、『お父さん、口説いて来いって言ってたの~。』と更に笑ってくれます。 『なら、一回くらいは聞いてあげるから…。』と言われ、先生は僕にチャンスをくれたのです。 『僕ね、先生が好きです。父ちゃんとも別れたらいいと思ってます。』、先生は素足で滝の水を掻きながら、それをうつ向いて聞いてくれていました。 その顔が見え、僕の言葉が響いてないのが分かります。しかし、『先生さぁ、亡くなった旦那さんまだ好きって言ってたでしょ?』とあの話を持ち出します。 それを聞いた先生は、『うん。』とうなづきます。そして、『その旦那さんに勝ちたいとか思ってる僕、バカだと思う?』と逆に質問をしてしまうのです。 『バカやろ~?バカだから、本気でそんなこと考えたりしてるんよ~。』と言ってしまうのでした。 先生は下を向いたまま、足で水を掻き回していました。バカなことを聞かされ、面白くないのかも知れません。 僕も、変なこと言ってしまった感があり、どこか逃げ出したくもなっていました。『帰る~?』と先生に声を掛けます。 もう5時近く、県道と言っても山間なので日が落ちるのも早いはずです。しかし、先生は腰を上げようとはしません。 僕がもう一度『帰る~?』と聞くと、あの細い手が腰を上げようとした僕の腕をガッと掴みます。そして、『恥ずかしいから、まだおって。』と言うのです。 気がつきませんでした。ずっとうつ向いているのは、きっと泣いているのです。
18/11/02 15:36
(pqKfe0rP)
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