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義母・亜紀子    旅情編
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:近親相姦 官能小説   
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1:義母・亜紀子    旅情編
投稿者: コウジ
(義家族との体験―義母・亜紀子 より続く)

 日光からの帰路、高速道路を降りてしばらく走り、自分の住む街に
入ってから、自宅からほど近いラーメン店で早めの昼食を済ませて、
家の駐車場に着いたのは十一時半過ぎでした。
 誰もいないしんと静まり返った家の中に入り、バッグから洗濯物を
出し、洗濯機に放り込み、同じバッグからあるものが入った紙袋を取
り出して居間のほうに向かいました。
 あるものとは、鬼怒川温泉のホテルで義母の身体を弄んで、その後
でひどく後味の悪い思いに陥った、二つの猥褻器具でした。
 帰路の途中のドライブインの、ゴミ箱にでも捨てようと思ったので
すが、モノがモノだけに、気の弱い僕は結局捨て切れずに、家まで持
って帰ってきてしまったのです。
 居間のソファに座り込む前に、僕はその紙袋の中身をしょりするこ
とにしました。
 そのことを口実にしたわけではありませんが、僕の足は自然に義母
の寝室に向かっていました。
 襖戸を開けると主のいない室は、窓のカーテンも締め切られていて、
仄暗く冷え冷えとした空気が漂っていました。
 その冷たい空気とは関係なく、この室に入ると、何故か僕の気持ち
はいつもあらぬ方向に向き、知らぬ間に心にも身体にも妖しげで邪淫
な活力が、勝手に鎌首をもたげてくるのでした。
 そういえば妻の由美が不在で自分が家にいる時は、義母がいるいな
いに拘わらず、僕は大抵この室に入り浸っているような気がしました。
 エアコンのスイッチを入れ、室の隅のクローゼットと和箪笥の隙間
から、例のアダルトショップの紙袋を取り出し、手に提げていた紙袋
から、途中で捨て切れずに持って帰った二つの猥褻器具を入れ換えま
した。
 妻の由美もいるこの家では、唯一安全な隠し場所でした。
 持っていった紙袋には、実は猥褻器具の他にもう一つの写真雑誌が
入っていました。
 僕がアダルトショップに二度目に行った時にこそっと買い求めた、
あの女美剣士が悪者たちに陵辱され、種々の辱めを受ける過程が淫靡
なフォトストーリーになっている雑誌でした。
 その雑誌を買っておいて、僕はずっと見る機会を失くしていて、こ
の日光の旅で、どこかで暇な時間があれば見ようという助平根性で持
っていったものです。
 その雑誌だけを手に持ちながら、腕時計を見ると十二時半前でした。
 義母の机の前の椅子に座り、僕は手にした雑誌を何気にペラペラと
捲り読みしました。
 その雑誌は実をいうと値段は相当なもので、価格を見た時には僕も
少し躊躇したくらいの値段で、それなりに装丁もしっかりしていて、
大きさは週刊誌大で厚みもそこそこありました。
 この室に入った時にいつも感じる妖しい昂揚感が、また身体と心の
どこかに妙な刺激を与えてきているような、そんな気がしてきている
自分に僕はふと気づきました。
 改めてその雑誌に目を向けると、表紙にはヒロインの美貌のうら若
い女剣士が、袴を穿いた小姓姿も凛々しく刀を抜いて構えていて、
「仇討ち無残」というタイトルが赤色の扇情的な文字で書かれていま
した。
 見かけによらず単細胞な僕の心の中に、さらにまた妙なスイッチが
入ったような気がかすかにしました。
 最初の二、三ページは、数人の武士家族の幸せそうな写真が載せら
れていました。
 ページの四隅あたりに、脚本のト書きのように大まかなあらすじめ
いたものが書いてあり、武士家族の構成は両親と娘二人のようで、し
とやかな顔立ちをした姉のほうは武士の妻として嫁ぎ、妹のほうは負
けん気の強そうなきりりとした眼差しをしていました。
 屋敷の縁側で、温厚そうな両親と姉夫婦と妹の五人が楽しげに談笑
している光景が写されていました。

 その武士家族の長である父親と姉の夫が、藩の家老の悪事を知った
ことで、家老の手配した三人の浪人たちに闇討ちに遭い命を落とす。
 父を闇討ちした浪人たちを追って、母娘三人が仇討ちの旅に出る。
 女だてらに剣の腕の立つ妹は、袴姿も凛々しい小姓姿に身を変え腰
に二本の刀を差す。
 旅の途中で雲助風のたちの悪い駕籠かきやら、やくざものたちに金
品強奪目的で何度か襲撃を受けたりするが、小姓姿に身を変えた妹の
男勝りの鮮やかな剣捌きで撃退し難関を越える。
 ある宿場町でついに仇の浪人たちと遭遇し、果し合いをするも浪人
たちの卑劣な姦計に嵌り、母娘三人とも拉致監禁の身となる。
 大きな座卓があり夜具が二つ敷かれている、広い座敷の間。
 黒い座卓の上に捕らわれの身となった小姓姿の妹が仰向けにされ、
両手両足を縄で座卓の脚に固定されている。
 悔しげな顔で周囲に群がる三人の浪人たちを睨み据える妹だが、す
でに着物の襟は大きくはだけられ、胸の膨らみを隠した白い晒の布も
ほぐれ気味になっていて、乳房の深そうな谷間が妖しげに露呈してい
る。
 袴も大きくたくし上げられ白い二つの太腿が露わになっている。
 その座卓の近くに敷き並べられた夜具には、後ろ手に縄で括り縛ら
れた妙齢の母と姉が寝転がされている。
 母のほうも姉のほうも着物の襟はあられもなくはだけられ、母のほ
うはすでに膨よかな乳房の片方を露呈させられている。
 姉のほうは着物の裾を腰の上あたりまでたくし上げられ、豊潤な白
い尻肉を無残に晒している。
 やがて三人の浪人が離れ、母と姉と妹の三人に辱めを開始する。
 いつの間にか座敷に現れ出ていた悪役顔の家老が、母のほうに近づ
く。
 「奥方殿、お年の割にはいい乳をしておられる。前からそなたを賞
味したいと思っていたのじゃ」
 そういって家老の手が、五十代前くらいの母の、すでに二つとも露
呈した乳房をわし掴む。
 二十代後半くらいの姉のほうも着物の帯を解かれ、白い長襦袢まで
はだけられ浪人がその上に覆い被さり、露出した膨よかに熟れた乳房
に、卑猥げな髭だらけの口を寄せ舌を這わし廻っている。
 母も姉も恥辱の思いに顔を切なげに歪めている。
 座卓に仰向けに括られたまだ二十代前半くらいの妹ものほうも、す
でに乳房を包み隠していた白い晒の大半がほどき解かれ、張りのある
大きな膨らみと桜色をした尖った乳首を浪人の手で弄ばれている。
 袴はすでに脱がし下ろされ座卓の横に落ちていて、白足袋一つだけ
の下半身が露わになっている。
 浪人のもう一方の手が、妹の露呈した下半身の漆黒の茂みの上を這
っているが、きりりとした顔にはまだ憎悪の表情が露わになっている。
 縄を解かれた母が夜具の上に仰向けにされ、素っ裸になった家老に
覆い被さられ、白足袋を上に向けて下腹部へのつらぬきを受けている。
 やはり素っ裸になった浪人が膝を立てて固くいきり立った自らのも
のを、母の顔の前に翳している。
 やがて母の唇が浪人のものを口の中深くに咥え入れる。
 隣りの夜具では全裸にされた姉が四つん這いにされて、背後から浪
人につらぬかれている。
 いつの間にか母と姉の顔には、苦渋とはまるで違う愉悦の表情が滲
み出だしている。
 両足を固定していた縄が解かれ、裸の浪人が座卓の上で妹の下肢を
割り開くように腰を突き出している。
 妹の下腹部の漆黒の茂みの中に浪人のものが深く突き刺さっている。
 目を固く閉じた小姓髷の妹の赤い唇が、襲い来る愉悦に堪えかねた
かのように妖しく半開きになっている。
 その唇に浪人がつらぬいたままで下卑た顔を近づける。
 妹の唇が浪人の唇で塞がれる。
 いつしか縄から解き放たれた妹の両腕が、浪人の浅黒い首に巻きつ
く。
 母のところにいた悪家老が、夜具の上に仰向けになっている浪人の
下腹部に跨り座り下からつらぬかれている姉の顔の前に立つ。
 姉の白い手が悪家老の下腹部のものに添えられ、唇まで添え当てら
れる。
 恨めしげな目をしている姉の片頬が、悪家老のものを咥えて歪な膨
らみを見せる。
 その真横の夜具で胡坐座りをした浪人に、髪を激しく乱した母が正
面向いて股がり座って、同じように下からのつらぬきを受けている。
 深く抱き合いながら、今はもう母のほうが浪人の唇を貪り吸ってい
る。
 下からのつらぬきを受けたままの姉は、浪人の胸の上に倒れ込んで
いて、その背後で悪家老が膝立ちをして剥き出しの尻肉に自らの下腹
部を突き当てている。
 下から浪人の突き刺されたまま、姉は悪家老に尻穴を無体に犯され
ている。
 座卓では浪人が足を投げ出して座り込んでいる間に、小姓髷を乱し
た妹が上体を屈めるようにして、浪人の剥き出しの下腹部に顔を深く
埋め込んでいる。
 夜具の上で母と姉の二人が、豊潤な尻肉を向き合うようにして四つ
ん這いに這わされている。
 母と姉の尻肉の間に木刀のような棒が真横にあり、其々の先端が二
人の下腹部を深々とつらぬいている。
 母と姉の顔の前に二人の浪人が膝立ちをしていて、其々のものを口
の中深くに咥え入れさせている。
 妹のほうに悪家老と浪人がいて、悪家老が畳に仰向けになり、その
腹の上に小姓髷の妹が跨り座っている。
 その側に立っている浪人の下腹部のものを、妹はいとおしげな表情
で口の中に含み入れている。
 鴨居に母、姉、妹の三人が手首を縄で括られて並んで吊るされてい
る。
 「ふふ、母親似か三人とも豊満な乳をしておる」
 と悪家老が嘲り笑うような下卑た眼差しで呟く。
 三人の女の片足の太腿に縄が巻かれていて、同じように鴨居から片
足を浮かせるようにして吊り下げられている。
 母と姉のほうに三人の浪人が群がり、唇を重ねたり、乳房をわし掴
んだりして弄んでいる。
 小姓髷の妹の可憐な唇を、悪家老の分厚い唇が塞いでいる。
 勝気なはずだった妹の顔にはもう愉悦の表情しかなく、悪家老の舌
に桜色の舌を淫らに絡ませている。

 その写真雑誌の巻末にはト書きで、以降、その母娘三人の消息は誰
も知らない、と結ばれていて、座敷牢のようなところで後ろ手に縄を
うたれ男たち数人に陵辱を受けている写真で終わっていました。
 それを見終えた僕は思わず、ふうっと大きな息を吐き、何気に顔を
天井に向けると、ふと昨夜遅くの義母の悶えた顔が思い浮かんでいま
した。
 その後、僕の手は徐に動き、義母の日記が仕舞われている机の引き
出しを開けていました。
 室の暖房が効き出したせいばかりでなく、自分の身体が自然に熱く
なってきているのがわかりました。
 義母の日記の古いほうの何冊かを取り出し、机の上に置いて、僕は
ペラペラとページを捲り読みました。
 青木、という文字を僕は探していました。
 今しがた見た写真雑誌の興奮状態のまま、四年前の青木という男と
の情交の描写のあるページを探しました。
 …一ヶ月以上も間が空いて会った青木の、極端に痩せ細った身体と
顔を見て私はひどく驚いた、という件りがあり、…もしかすると、も
うこの男とは二度と会えないのかも知れないと、私は心の中で思いを
複雑なものにしていた、という文で括られているところを見つけ、僕
は椅子にもう一度座り直すようにして、そのページの最初に目をむけ
ていました…。


     続く  


(筆者付記)
 これをお読みいただいている皆様には重ね重ねの不手際でご迷惑を
おかけして申し訳なく思っています。
 この前にレス投稿と勘違いして、無題のままスレ投稿をしてしまし
ました。
 改めて表題を入れさせてもらい、投稿させていただきますのでよろ
しくお願いします。

      筆者   浩二 
 
2015/10/05 16:21:12(kVcxvxrv)
27
投稿者: コウジ
レス25、26の方、励ましのお言葉ありがとうございます。
こんな拙文でも、ご夫婦のお役に少しでも貢献していると
思うと、単純な僕は素直に嬉しく思います。
このところは情緒的な描写のほうが多いのを少し反省しな
がら、またもう少し頑張りますのでよろしくお願いします。

         浩二
15/10/15 12:40 (LzYT09t4)
28
投稿者: kkk
いつも有難うございます。
>六十三歳の義母のこの小さく華奢な身体の、一体どこに三十三歳の男の僕を惑わせる魔
性が潜んでいるのかわからないまま・・・
私も文章の中の彼女との会話を読んで、性格的な魅力を感じております。
なかなかこういう女性はいないのではないかと思います。
それと、コウジさんの文章表現の無駄のない上手さにも感心させられています。
次作も楽しみにしております。
15/10/16 05:24 (CsA7IZd7)
29
投稿者: コウジ
建国記念日の前日の午後から有給休暇を出していた僕は、朝の
出勤時に大きな旅行用のバッグを車に積み込みました。
 その朝の出がけの時、由美は早くに出かけていたのですが、玄
関口まで見送りにきた義母に対して、僕は一つの失態というか、
いわなくていいことをつい口走ってしまいました。
 「あら、まぁ、随分と大きなバッグなのね」
 と他意なく声がけしてきた義母に、
 「ああ、友人の病気見舞いの前に、そいつと登った山の御守り
を持っていってやろうと思ってね、ちょっとした登山服も入って
いるんで…」
 と義母に応答したすぐ後に、僕は心の中で、しまった、と舌打
ちしていました。
 義母には結婚式にも出席してくれた大学の登山サークル仲間の
病気見舞いに行く、とだけしか話してはありませんでした。
 しかしその義母は、僕の本来の目的である、野村加奈子が新潟
にいるということを知っていて、そしてつい先日に、そのことで
僕に遠回しながら釘を刺してきていたのでした。
 「あら、そうなの…」
 とだけいって、義母はその後見送りの言葉を僕の背中にかけて
きたのですが、車に乗り込んだ時、僕は自分の迂闊さに思わず目
を瞑りました。
 こういう時の女の勘の鋭さには、僕もこれまで何度か肝を冷や
してきていたのでした。
 浮かない気持ちを少し引きずりながら午前中の勤務を終えた僕
は、車を駅近くにある有料の立体駐車場まで走らせ、狭い車内で
服の着替えを済ませました。
 スーツを脱ぎネクタイを外して、Yシャツの上に丸首のセーター
を着て、その上に義母からのプレゼントのブルゾンとダウンジャケ
ットを着込み、ズボンと靴もそれ用のものと履き替えました。
 この立体駐車場の一泊の駐車料金が二千円程度だということは、
事前に調査済みでした。
 私鉄電車を乗り継ぎ上越新幹線に乗ってまだ一時間も走らないの
に、もう車窓の外は真っ白な雪景色でした。
 平日ということもあってか、新幹線の車内は意外にも閑散として
いて、僕の座席の周辺には老夫婦らしいカップルが一組だけでした。
 車内販売で買ったコーヒーを飲み終えてから、僕はポケットから
携帯を取り出し、野村加奈子のメールアドレスを探しました。
 その時にまた、今朝方の義母との迂闊極まりないやり取りが頭の
中を過ぎりましたが、それを振り切って僕は野村加奈子へのメール
打信に没頭しました。
 一方的に僕のほうから絶縁するように別れてから、加奈子への最
初のメールでした。
 (突然のメールでごめんね。君が新潟にいることがわかったのは最
近のことです。その時すぐにもメールをしようと思ったけど、僕のほ
うに君に対する申し訳なさとか色々あって、つい躊躇ってしまってい
ました。元気にしていますか?今、僕は上越新幹線の車中です。どこを
今走っているのかわからないけど、窓の外は一面の雪景色です。君の
住んでいるところも雪深い町なのだろうな、と車窓の外を見ながら、君
の顔を思い浮かべています。君に会いたくての旅です。新潟から信越線
で新津まで行き、羽越線で水原、そこからはバスなのかな?今日は五頭
温泉郷のどこかの宿に泊まろうかと考えていますが、行き当たりばった
りで旅館の予約もまだしていません。新潟駅に着いたらどこかを探そう
と思っています。君の都合も何も考えず、身勝手な思いつき旅なので、
もし会えなかったら、それはこれまでの僕の君に対する不徳の結果と受
け止めて、諦めて戻るか、新潟のホテルにでも泊まります。僕みたいな
男と知り合ったばかりに、君の人生を大きく変えてしまったことは、今
もずっと申し訳なく思っています。もし、このまま会えないとしたら、
遅きに失しましたが、このメールを最後のお詫びの言葉とさせていただ
きます。  浩二)
 長いメールを打ち終わった時は、列車は長いトンネルの中でした。
 上越新幹線に乗るのは多分これが初めてでしたが、中央アルプスを縦
横断するだけあって、トンネルが随分と多いような気がしました。
 加奈子にメールを打って間もなく、彼女からの返信がありました。
 もしかしたらその返信さえもないかも知れないと、多少不安な気持ち
もあった僕は、恐る恐るの手つきでメールを開きました。
 (驚きました!!驚き過ぎて涙がすぐに出てきて、浩二さんからのメール
が読めなくなってしまうほどでした。何からどうお話したらいいのか、
わからないくらいに興奮しています。でも、それ以上に嬉しさと喜びが
私の胸の中に一杯です。水原駅に着くのは何時ですか?きっと②私がお
迎えに行きます!それと五頭温泉のほうも、私が探して予約しておきます。
後になってしまいましたが、あなたの心配をよそに、私は意外と元気で
すよ。連絡待ってます。  加奈子)
 僕のことを多少は恨んでいるかも知れないと、少し不安な気持ちもあっ
たのですが、加奈子からの文面は純真に嬉々とした内容で、その思いを若
い女の子らしく、笑顔と可愛いハートマークなどの絵文字を随所に散らば
せた返信でした。
 丁度その時、検札の車掌が来たので、羽越線の水原駅への到着時刻を尋
ね、それをまた加奈子にメール送信すると、少しの間があってから返信が
届きました。
 (わかりました。駅の表で待ってます。今日は朝からそんな予感してたの
で、あなたに見つかりやすい真っ赤なダウンジャケットを着てます…〔ウ
ソ〕それから温泉宿も、あなたの名前でバッチリ予約できました。こちら
の雪見たらあなたは驚くかも知れませんが、今日はここ数日では雪も一番
少ないくらいです。…あ、それから旅館は、あなたと他一名で予約しまし
た。お気をつけて。  加奈子)
 加奈子からの返信を読み終えて、何もかもがうまく行き過ぎているよう
な気持ちになっていました。
 加奈子からの何の屈託もなく、身勝手な僕からの突然のメールを心底か
ら喜んでくれているのにとても嬉しく思い、胸の中につかえていた何かが
消え去ったようで安堵した思いになりました。
 おまけにまだ決めていなかった宿の予約まで、彼女が迅速に手配してく
れたのは、さすがの僕も想定外のことでした。
 列車の中で加奈子にメールをした時には、正直なところ、彼女からの返
信があるかどうかも、僕には自信が持てていませんでした。
 義母の足の怪我での入院という妙なきっかけで知り合い、図らずもなさ
ぬ関係を持つことになってしまった加奈子でしたが、その彼女の周辺が不
穏なざわつきを見せてきて、余計な火の粉を被りたくなかった僕は身勝手
な自己保身に走り、一方的に彼女に別れを宣告し、今後の連絡も一切しな
いようにと非情な通告をして、それきりなしの礫状態にした僕でした。
 二十五歳というまだうら若い野村加奈子と、妻ある僕との関係が露見し
たら、下手すると義母も含めた家族全員まで巻き込む修羅場になっても仕
方のない状況ともいえたのに、彼女は僕からのそれこそ身勝手極まりない
一方的な通告に、何一つ逆らうことなく忠実に従い、その余波といえなく
もない出来事で、都会を捨てひっそりと北国に自ら身を潜めたのでした。
 そのこと事態も突き詰めれば、やもすると僅かな間でも、自分が愛した
男である僕という人間の安寧を願っての、彼女なりの行動だったのかも知
れないのでした。
 加奈子へのそうした悔恨の思いが、こんな身勝手で自己保身しかなかっ
た僕の心の中に、ずっと引っ掛かっていたのが、家族へは友人の病気見舞
いと心苦しく偽っての、この北国への旅の最たる理由でした。
 加奈子のメールの、文面の最後の意味の解釈についての返信応答は、僕
はしませんでした。
 ぼくのような気ままでだらしない男でも、一人旅のモードに入ると、何
か妙なやるせなさのようなものが勝手に胸の中に湧いてきて、あれこれと
我が身の身辺のことを思い巡らされたりするようです。
 といっても凡人の僕に郷愁的な旅情に思いを馳せるといった高尚な思考
はなく、考えるのは相も変わらず自分の自分の周囲にいる女性のことばか
りでした。
 義母、野村加奈子、由美と、何故かもう一人の女性のことを思い浮かべ
ていました。
 もう一人の女性というのは、最近ふとしたことで知り合ったばかりの女
性ですが、彼女のことは後日にまた記述するとして、僕の今の胸の中の占
有率は、正直にいうと、名前を書いた順の通りのような気がします。
 しかしこの順位で、彼女たち三人への愛情の度合いを分け隔てていると
いうのでありません。
 僕にそんな器用な差配ができるはずはありませんでした。
 身勝手で都合の良過ぎる解釈であるとしても、彼女たち三人への僕の思
いは押しなべて平等とはいい切れませんが、断言していえるのは不変なも
のです。
 車窓の雪景色からトンネルの暗い中に入ると、窓が鏡のようになり、自
分の顔が映ったかと思うと、時折、彼女たち三人の顔がスライド写真のよ
うに浮かんでは消え、消えては浮かびしていました。
 この上越新幹線は終着駅に近づくほどトンネルが多くなっているようで、
窓は鏡の時がほとんどだったような気がしました。
 その分、鏡に浮かび出てくる女性たち三人へのあらぬ妄想が頻繁になっ
たのは当然で、特に今から会うはずの野村加奈子への妄想は、妙な懐かし
さもあり、彼女の愛くるしい顔だけでなく、丸く張りのある乳房や乳首ま
でが生々しく浮かんだり消えたりしていました。
 列車が新潟駅に着き、バッグを抱えてホームに降り立った僕の頬に、北
国の想像していた以上の痛いような冷気が当たってきました。
 首と肩を大きく竦めながら、在来線のホームまで歩くと、そこに停車し
ていた電車が新津まで行くとのことなので、僕はそのまま飛び乗りました。
 二十分ほどで新津駅に着き、そこからまた乗換えで、水原という駅まで
は十分ほどでした。
 新潟からの約三十分ほどの電車の旅は、人里から奥深い山間部に向かっ
ていると実感させられるような車窓の雪景色でした。
 二つほどしかない改札口のすぐ前に、白い毛糸の帽子を被り、真っ赤な
ダウンジャケットを着た野村加奈子が、喜色満面の笑顔で僕を迎えてくれ
ました。
 「浩二さんっ、ようこそっ」
 周囲にいた数人の観光客たちが振り向くほどの大きな声を上げて、加奈
子はそのまま僕にぶつかるような勢いで抱きついてきました。
 「ほんと、ほんとに嬉しいっ、夢みたい」
 加奈子の運転する軽乗用車の中でも、彼女の明る過ぎるくらいの笑みは
絶えることはなくて、真っ白な雪道をそれほど苦にすることもなく、遠く
に連なる山の峰に向かっていました。
 駅の改札口で今にも泣き出しそうになるくらいの、満面の笑顔で迎えて
くれた加奈子を見て、そして今、車のハンドルを握り締めながら、屈託の
何一つない、まるで女高生のような笑顔を見ただけで、僕はもうここまで
来た目的の大半を果たしたような気分になっていました。
 車が信号で止まった時、僕が声をかけようとするのと、加奈子が白い歯
を見せて何かいおうとしたのが同時になりました。
 目で合図して加奈子を促すと、
 「私、ほんとに元気にやってますから」
 と快活な声でいって、可愛く明るい笑顔を向けてきました。
 まさか加奈子が、僕が彼女に対しての贖罪的な気持ちもあって、ここまで
来たということには気づいていないはずでしたが、そんな思いを払拭させる
くらいに、加奈子は僕の唐突な来訪を純真に喜んでくれているのがしっかり
とわかる笑顔を向けてきていました。
 「田舎、次郎丸っていったかな?お祖母さんの家って、君のお母さんの?」
 「ええ、私の母の実家なんです。何もないほんとの田舎…」
 「それで…君は今何してるの?」
 「阿賀野市内の小さな内科医院に、ついこの間から働きに出ています」
 「ああ、じゃ、また看護師として働いているんだ?…それはよかった」
 僕のほうに加奈子への贖罪的な思いが深くあったのもあり、そこまで彼女
がしっかりと立ち直っていることに、僕も本心から安堵の思いを強くしまし
た。
 加奈子は嬉々とした表情を絶やすことなく、今夜僕が泊まる五頭温泉郷の
宿に車を向かわせていました。
 そしてメールでもいっていたように、加奈子も僕と同泊するとのことでし
た。
 因縁のある若い男と女が同じ室で枕を共にすれば、結果は火を見るより明
らかでした。
 加奈子とのそういう邪念が、ここへ来るまでの僕の気持ちの中に、卑しく
もあったのは否定できないことです。
 新幹線のトンネルを走る車窓に、加奈子の愛くるしい顔と、固いゴム鞠の
ような弾力に富んだ、若く滑らかな乳房を、愚かにも僕は暗い窓の向こうに
何度も思い描いたのは疑いようのない事実でした。
 ここでこの流れのまま加奈子と一緒に泊まるということは、通俗的な言葉
でいうと、それこそ焼けぼっくいに火を注ぐことになることは、彼女の喜色
満面の笑顔を見れば明々白々でした。
 愚かしく浅薄な僕はことここに来て、加奈子を自惚れ穿った憐憫だけの思
いで訪ねたことを後悔し始めていました。
 「どうかしたんですか?…」
 目敏く僕の表情の変化に気づいた加奈子が、何度目かの信号待ちの時、不
安そうな顔を向けてきました。
 「あ、いや、何でもないよ」
 慌てたような笑顔を見せて僕はその場を繕い、フロントガラスに近づいて
きている五頭山連峰に、力のない視線を向けました。
 自分の正直な思いを加奈子に打ち明けたのは、彼女が予約してくれた旅館
の駐車場に着いた時でした。
 木造瓦葺きの二階建てのこじんまりとした和風旅館のようで、外観はまだ
最近に改装されたばかりのような、新しく明るい木目調の板壁が貼られてい
て、室数もそれほど多くはなさそうな建物でした。
 「君の元気そうな顔が見れただけで、僕はもう充分だ。でも折角だからこ
こで美味しいもの食べて楽しく話そう。…でも、一緒には泊まらないように
しよう」
 と僕から話を切り出すと、加奈子はもう話の途中から、信じられないとい
う驚きの表情になり、愛くるしい顔を見る間に暗く蒼白にしていました。
 「どうして、そんなことをいうのですか?」
 そういって僕に向けてきた加奈子の頬には、もう涙が流れ出ていて、蒼白
な頬を伝い落ちていました。
 「いや、本当に加奈子がどうしているのかと、僕はずっと気にしてた。毎
日慣れないところで苦労していないのか、寂しい思いでいたら本当に申し訳
ないと思って…」
 「そんな…それなら何で…あの頃に一度でも連絡してくれなかったんです
か?」
 僕の言葉を途中で遮るようにして、加奈子は溢れ出る涙を拭おうともせず、
詰問口調でいってきました。
 「私…あの頃、毎日ずっと…あなたからの電話かメールを待っていたのに
…」
 加奈子は僕から顔を逸らしフロントガラスのほうに目を向け、哀しげな横
顔を見せていました。
 新幹線に乗っている時に届いた加奈子からの思わせぶりなメールを受けた
時に、もっと僕はしっかりと対応して、今いったようなことをきちんと彼女
に文面でもいいから伝えるべきだったという後悔も、その時の僕の頭の中に
ありました。
 加奈子のこれから先のことを考えてと僕なりに諭すつもりの言葉でしたが、
 「いつも…浩二さんはそう」
 と彼女はまた僕との過去を振り返るような哀しい目でいってきて、
 「自分の考えばかりを押しつけてきて…」
 と言葉を付け足し、涙顔を深く俯けました。
 それほど長い交際でもなかったはずでしたが、加奈子は僕の身勝手な本質
を見抜いていました。
 加奈子はいつも僕からの、あるかないかの連絡をただ待つだけの日々を過
ごしたのでした。
 それもこれも僕の立場を考えてくれての、若い加奈子の健気さに、彼女よ
りも年上の僕のほうがただ甘えていただけなのです。
 胸の詰まる思いでしたが、今夜、この旅館で枕を共にしたら、おそらく加
奈子もそうだと思いますが、僕は男として間違いなく彼女の身体を抱いてし
まいます。
 それほどには賢くはない男だということは、誰よりも自分自身が一番よく
知っていました。 
 現に新幹線トンネルの暗い窓に、僕は加奈子の若々しい姿態を幾度も好奇
的に思い浮かべていました。
 もし僕が加奈子を抱いたとしたら、下卑たいいかたをすれば、やり得にな
り、後に禍根を残すということはあったとしても、男であればいつかはきっ
と忘れます。
 しかし加奈子の場合は違うのがわかっていました。
 都会の汚れた渦に巻き込まれ傷を負って、一番言葉の欲しかった僕にも連
絡できないまま、遠い北国へひっそりと逃避して、加奈子はまだ何ヶ月も経
っていないのです。
 自惚れでいうのではなく、そうは容易く僕とのことを忘れ去ることは、加
奈子という見かけとはまるで違うひたむきさのある女性には、おそらくでき
ないと思います。
 この時、僕の頭の中にある閃光のようなものが走りました。
 もしかしたら、あの水原駅での泣き出さんばかりの無上の笑顔で、人目も
憚らず僕に抱きついてきたのも、ここへ来るまでの途中の車中での、屈託の
ない明るく快活な声も、僕との唐突な再会に、本心から喜び浸るというので
はなく、今の境遇も彼女の明るい言葉や嬉しそうな表情とは真逆で、やはり
人にはいえない相当な苦労をしているのではないか、というおよそ凡人の僕
らしからぬそんな深謀遠慮が突如として湧き上がってきていました。
 加奈子はこんな僕に、まだ余計な心配をかけたくないという健気さで、明
るく快活に振舞っているのかも知れないと、僕はほぼ確信的にそう思いまし
た。
 「加奈子、一緒に泊まろう」
 と僕はそれまでの表情を極端なくらいに一変させて、加奈子の真っ赤なダ
ウンジャケットの肩に手を置いて、明るい声でいいました。
 僕のその言葉を聞いて、すでに涙でくしゃくしゃになった顔をきょとんと
させて、加奈子が僕を見つめてきました。
 「いや、加奈子にずっと申し訳ない気持ちでいたんで、君を抱く資格は僕
にはないと思ってたんだけど…泣かせてごめん。…やっぱり、加奈子のこと
が好きだ」
 僕は自分の深謀遠慮の思いは胸の中に呑み込んで、自ら折れるように加奈
子に笑顔を見せて言葉をかけました。
 加奈子の涙顔に、あの水原駅で僕に抱きついてきた時と同じ笑顔と、少女
のような愛くるしい表情が忽ちにして戻ってきていました。
 これでいいのかな?という思いを悄然と抱きながら、僕も笑顔を絶やすこと
なく、加奈子と寄り添うようにして、その旅館の趣のある入口のドアをゆっ
くりと潜りました…。

      続く
 
15/10/17 00:30 (zt7NM8Gq)
30
投稿者: りょう ◆zEGpD4VZDY
こんにちは。
愉しく読ませてもらっています。
是非続きをお願いします!
15/10/20 06:47 (a9awfdqH)
31
投稿者: コウジ
旅館の受付で記名する時、僕は苗字だけを偽名で書き、名前は実名に
しました。
 何となくの思いつきで、沢木浩二と沢木加奈子と書くと、僕の片腕に
しがみつくようにして寄り添っていた加奈子に目を向け、ニヤリと笑っ
て小さく片目を瞑りました。
 僕の腕を掴んでいた加奈子の手に力が入るのがわかり、つい今しがた
の駐車場での涙顔が嘘だったかのような、明るく悪戯っぽい笑顔を返し
てきていました。
 旅館の宿泊室数は十室ほどと、小じんまりした規模のようで、今日の
泊り客は僕たちを含めて四組とのことでした。
 五十代半ばくらいの顔も身体つきも丸い仲居に案内された室は、二階
の端の八畳間の小奇麗な和室でした。
 「さっきフロントでね、今の仲居さんに、奥様、お荷物お持ちしまし
ょうか?っていわれたわ…」
 仲居が去った後、加奈子は座卓の前でお茶の用意をしながら、はにか
んだような声でいってきたので、
 「一応は夫婦として見られてるのかね…?」
 と言葉を返してやると、
 「何か…嬉しい」
 と彼女は独り言のような呟きをこぼしました。
 窓側の板間にある籐製の椅子に座って、暮れなずんだ外の景色目をや
りながら、加奈子離れた距離にいてもかすかに漂ってきてる彼女の女性
の匂いを感じ、浅薄な僕はもう気持ちも身体も、恥ずかしながらあらぬ
方向に浮わつかせていました。
 実をいうと加奈子の車に乗り込んだ時から、彼女の全身から漂う若い
清やかな色香が、僕の鼻腔をずっと長く密かに刺激し続けていたのでし
た。
 旅館の駐車場で加奈子の車から降り際に、柄にもない良心を翳し、彼
女との距離を遠ざけようと諭しに入った時の、僕の理性が室で二人きり
になってまだ間もないのに、脆く儚く消え去ろうとしていました。
 それは加奈子のほうも同じだったようで、煎れたお茶を僕の前の丸い
テーブルに置くと、そのまま板間に座り込んできて手で手を握り締めて
きていました。
 「もう、こんな日はこないと思っていたわ…」
 籐椅子に座った僕の膝の上に顔を落として、自分の頬を添え当ててき
てきました。
 「加奈子…」
 腰を屈めて加奈子の顔に顔を近づけ、僕が声をかけると、
 「はい…」
 そう応えて彼女は物憂げな表情に、少し無理そうな笑顔を浮かべて静
かに顔を上げてきました。
 俯けた僕の顔と見上げた加奈子の顔の距離がなくなり、彼女の吐く仄
温かい息が僕の頬に当たり、心地のいい化粧の匂いがまた僕の鼻腔を擽
ってきていました。
 僕がさらに顔を沈めると、待っていたかのように加奈子の目がそっと
閉じられ、可愛い唇を小さく窄めてきました。
 唇と唇が重なった時、加奈子の片腕が唐突に動いて、僕の首に強く巻
きついてきました。
 重なった口の中で僕の舌が加奈子の舌をすぐに捉えました。
 「う…うん」
 僕の舌に従順に応えながら、加奈子が小さな鼻声を幾度か洩らし、首
に巻きつけてきた腕に一層力を込めてきていました。
 椅子に座り身体を前に折り曲げた僕に、板間に座り込んだ加奈子は下
から顔を上げて抱きついてきていて、お互いがお互いの舌を確かめ合い
貪り合うようにして、そのまま上体を深く重ね合っていました。
 熱い抱擁の流れは続き、それから数分後、僕と加奈子の身体は細長い
座卓の横の畳の上にありました。
 二人ともすでにダウンジャケットを脱ぎ、加奈子は明るいピンク色に
薄青の太い横縞の入った、僕にも見覚えのあるざっくりとしたセーター
姿で、僕もブルゾンを脱いで畳の上で折り重なるようにして抱き合って
いました。
 加奈子の可愛く柔らかい唇を、僕は飽くことなく貪り吸っていました。
 加奈子の両腕が僕の首に、力を込めて巻きついてきていました。
 同時に僕の片腕は加奈子のセーター越しに、彼女の胸の膨らみをまさ
ぐっていました。
 細い身体とは少し不釣合いなくらいの、加奈子の豊かで弾力のある膨
らみが、妙な懐かしさのような感触を僕の手に伝えてきている感じがし
て、僕の身体の昂まりを強くしてきていました。
 僕の顔の下で、加奈子の吐く息が荒くなり出してきていました。
 「加奈子、ごめんね…」
 「え…?」
 「君の都合や気持ちも考えず、突然来ちゃって…」
 「そんなこといわないで…私、とても嬉しいんです」
 「加奈子のいう通り、僕は身勝手な男だ…」
 「いいの…私も…ずっと、ずっと毎日あなたのことを思っていたの
…ほんとよ」
 これ以上加奈子を抱いていると、僕の身体と気持ちに昂まり湧き上
がってきている欲情を制御しきれないまま、この場で一気に暴走して
しまいそうになるのを、僕はどうにか必死で堪え、自分のほうから彼
女から身体を離し、
 「食事はこの室で頼んでおいたから、ゆっくりと美味しいもの食べ
てからにしよう。温泉も入りたいし…」
 と笑顔で諭すようにいいました。
 夕刻の五時を過ぎていて、窓の外はすっかり薄暮になり、雪景色が
灰色にくすみかけていました。
 旅館の浴衣と羽織りに着替え、フロントに食事時間を尋ねると六時
過ぎというので、僕は機転を利かせて、フロントで見たパンフレット
にあった家族風呂に今から入れるか?と確認しました。
 「今なら空いてるらしいよ、家族風呂。行こうか?」
 電話を切って真正面に座っていた加奈子に目を向けそういうと、彼
女の愛らしい頬がポッと朱に染まり、嬉しそうに白い歯がこぼれ出て
いました。
 一階の端の隣りが家族風呂になっていて、小じんまりとした脱衣場
で加奈子と二人で浴衣を脱ぎました。
 加奈子は僕に背中を向け、やはり多少の恥じらいを見せながら、浴
衣を肩から落とし、赤紫色のブラジャーと揃いのショーツを、僕とは
それほど離れた位置ではないところで外し脱ぎ下ろしました。
 染み一つない白い背中が露わになり、細くくびれた腰の下に丸くゴ
ム鞠のように張り詰めた尻肉が、薄青い蛍光灯の照明に眩しいくらい
に映えていました。
 すらりとかたちよく伸びた足の先から、艶やかな光沢を放つ栗毛色
の髪のかかる肩のあたりまでの肌の白さに、僕のほうが気圧され浴衣
の腰紐を握ったまま、その場に立ち尽くしてしまっていたほどでした。
 そういえばこんな風にして加奈子の眩しく若々しい裸身を見るのは、
僕は初めてのことで、あまりの清しさに思わず狼狽し、はっと我に返
り慌てた素振りでトランクスを脱ぎ下ろすと、下腹部の僕のものはも
う恥ずかしい反応を示してしまっていました。
 幾つかの平たい石で丸く形どられた湯槽は、二人が身体を寄せ合っ
て入り、まだ少しばかりの余裕があるくらいの大きさでした。
 少し暗めの照明で、先に湯に浸かっていたのは加奈子のほうで、今
更ながらでしたが、タオルで硬直した下腹部を隠すようにして湯槽に
浸かると、ほんわりと漂う湯気を割るようにして、すぐに彼女の肩が
僕の肩に接してきました。
 「幸せ…」
 湯の中で僕の腕を掴み取ってきて、甘えるような素振りで頭を僕の
肩にもたげながら、若い子らしくないしみじみとした声でいってきま
した。
 「あ…あん」
 僕の手が湯の中で加奈子の乳房に触れると、彼女は小さな喘ぎ声を
洩らし、
 「抱いて…」
 とそう続け、また僕の首に腕を巻きつけてきて、自分のほうから唇
を重ねてきました。
 ラジウム温泉の湯の滑りだけではない、加奈子の乳房の滑らかな肌
触りと、心地のいい弾力を手にしっかりと感じながら、僕は彼女の舌
を長く堪能しました。
 やがて僕の手は温かな湯の中で、加奈子の乳房から下に這い下り、
彼女の下腹部の茂みの感触を捉えていました。
 「ああっ…こ、浩二さん」
 湯の中の繊毛をなぞられただけで、加奈子は僕から唇を離し、頤を
のけ反らせるようにして、熱く極まった高い声を洩らしていました。
 「はぅっ…ああ…だ、だめっ…そこ」
 茂みの奥の襞を割り、加奈子のぬるりとした柔肉に僕の指先が到達
すると、彼女は手で僕の両肩を押すようにしてきて、口を半開きにし
て艶かしい声を上げてきました。
 そうしてまた加奈子は僕の唇を激しく求めてきて、首に巻き戻した
腕に尚一層の力を込めて抱きついてきていました。
 加奈子の下腹部の柔肉の中に、僕の中指の第一関節あたりまでが埋
まり込むと、
 「だ、だめっ…も、もう…浩二さんっ」
 と彼女の喘ぎ声はさらに大きくなり、湯の中で身を激しく捩じらせ
ていました。
 石作りの湯槽の際に、人一人が座れるくらいの平たいスペースがあ
りました。
 湯に浸かったままの僕の愛撫に堪え切れなくなり、極まり近い表情
にまで陥った加奈子を僕は一旦離してやり、湯の温もりにものぼせ上
がりそうになっていた彼女を抱き抱えるようにして、その平たいスペ
ースに座らせました。
 加奈子の顔も白い裸身も、僕の愛撫と湯の温もりで濃い朱色に染ま
り柔らかな湯気を立てていました。
 「少し涼まないとね、加奈子」
 僕は加奈子の前に立ち、朱に染まった肩に手を置き、軽い笑みを見
せ、冗談めいた口調で声をかけました。
 湯水が弾け飛ぶような加奈子の艶やかな肌は、一旦は萎みかけた僕
の下腹部のものに、また新たな活力を注いできていました。
 加奈子が座っていたスペースに僕が座り、彼女がまた湯槽に身を沈
めたのはそれからすぐでした。
 両足を拡げて座った僕の足の間に加奈子が前向きに座り、彼女の顔
のすぐ前に僕の股間がありました。
 何を僕が望んでいるのかは、股間の茂みから突き立っている僕自身
の屹立が、加奈子に気持ちに伝えていました。
 加奈子の顔が僕のその屹立に、小さな湯音を立てて近づいてきてい
て、湯の中にあった彼女の手が僕のそのものに、また湯音を小さく立
てて添え当てられました。
 加奈子はほとんど躊躇うことなく、そのまま僕のものを口の中深く
に含み入れました。
 湯と汗に濡れた加奈子の朱に染まった顔が、屹立した僕のものを機
軸にしてゆっくりと上下に動き出していました。
 それほどの体験はないと思われる加奈子でしたが、僕のものをいと
おしげに口の中に含み入れ、唇だけを強く塞ぎ、歯を立てないように
丹念に思いを込めての愛撫だというのが、されている僕にもしっかり
と伝わってくる感じがありました。
 時折、僕のものを口から離し、その下の睾丸のあたりから先端まで
を舌を這わせるようにしての愛撫には、かすかな驚きも感じましたが、
それ以上の心地のよさに僕は屈し、昂まりはさらに増幅するばかりで
した。
 僕はついに我慢に堪えかねてその場に立ち上がり、加奈子を湯槽か
ら掴み上げるようにして立たせて、彼女の身体を前屈みにさせ、僕が
座っていた平たい石に両手をつかせ、尻肉を僕の股間の前に差し出さ
せました。
 加奈子は僕にされるがままで、躊躇いや抗いの素振りは何一つ見せ
ることはありませんでした。
 湯玉を湛えた加奈子の白くて丸い尻肉が、浴室の薄赤い照明に妖し
げに映えわたっていました。
 加奈子の背後から僕は固くいきり立ったものを、一気に突き立てま
した。
 「ああっ…いいっ…すごいっ」
 石に両手をついたままの加奈子の濡れた髪の毛が、激しく左右にう
ち震えるのが見えました。
 加奈子のその部分は、あの義母との時の狭窄感に似た感じの、心地
のいい締め付けが僕の屹立全体を強く包み込んできていました。
 「ああっ…浩二さんっ…すごいっ…すごいわっ」
 加奈子の部分に突き立てて、ゆっくりと腰を動かせ始めると、彼女
の声はさらに大きく高くなり、それほど広くはない浴室に強く響きわ
たりました。
 「ああっ…き、気持ちいいっ…浩二さん…ほ、ほんとよ」
 と喘ぎながら加奈子は、濡れた髪の毛を激しく振り乱し、僕の腰の
律動に呼応するかのように、幾度となく熱い声を上げ続けました。
 「お、お願いっ…浩二さん。…な、中に出してっ」
 加奈子が昂まりを露わにした顔を精一杯後ろに向けてきて、唐突に
そういったのは、長いつらぬきが続き、極まりが近づきだした頃でし
た。
 「加奈子…」
 加奈子の言葉に少なからず動揺した僕は、名前を呼ぶだけがやっと
でしたが、
 「いいの…今日はいいの、安全日だから。あなたのものを中に欲し
いのっ」
 加奈子の思い詰めたような声に、またしばらく声を失った僕ですが、
下腹部への熱くなった血流の集合は、僕にも確実にきていて、彼女の
言葉を鵜呑みにする気持ちになりかけていました。
 「ああっ…こ、浩二さんっ、きてっ…わ、私…もう」
 加奈子のその声が引き金のようになり、我慢の限界にきていた僕は、
彼女の尻肉を強く掴み締め、
 「か、加奈子っ…逝くぞっ」
 と低い咆哮の声を上げて、同時に僕は最後の一撃を強く突き立て、
そのまま初めて加奈子の体内深くに、滾る迸りを放出したのでした。
 「ああっ…浩二さんっ…好きぃっ」
 身体を支えていた加奈子の腕が折れ、平たい石の上に頬を突き当て
るようにして、彼女も一際高い喘ぎの声を上げていたのを、僕はどう
にかという思いで耳にしました。
 加奈子の背中に覆い被さるようにして、湯の温もりのせいもあって
か、僕はしばらくの間、動けないくらいになっていました。
 そして二人共に、ほとんど身体を洗うこともないまま、顔を真っ赤
にして家族風呂を出たのでした。
 室に戻るとすでに座卓の上には、豪勢な料理が並び置かれていました。
 加奈子が仲居と何かを楽しげに話している時、まだ家族風呂の熱気が
覚めやらない僕は板間の籐椅子に腰をどっかりと沈め落として、暗くな
った外に目を見るともなしに向けていました。
 茫洋とした意識の中で、窓のガラスに唐突に浮かび出たのは、何故か
夕刻の時の駐車場の車の中で見た、加奈子の哀しげな涙顔でした…。


      続く
 
15/10/21 00:53 (fwDDOjXq)
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