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床に落ちたワンピース
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:床に落ちたワンピース
投稿者: ルーベン ◆Iy9izs5Bls
ID:reuben.
同じ職場で働く「カオル」という子がいる。
歳は20代半ば、背は小柄で眼鏡を掛け声などろくに聴いたことがない程大人しい。
人間関係が原因で前の職場を辞め、2年ほど前にこの会社に入社してきた。
私の部署に配属されたが、その時人事部の人間から「くれぐれもパワハラ、セクハラと取られる行動など無いように気を付けてください。」と念を押された。
直接仕事で接する社員達は腫れ物に触るかの様に気を使っていたが、管理職の私は「触らぬ神に祟りなし」と思い、必要以上に接点を持たない様にしていた。

流行り病が世界中に蔓延したころ、私たちもリモートワークに切り替わり、モニター越しに顔を合わせる事が多くなった。
入社時からマスクをしていて、それまで見ることが無かったカオルの顔。
眼鏡を掛けているが、なかなかの美人だったことに驚いた。
リモート会議でもカオルの声を聞く事は無かったが、時折、同僚の冗談で笑う可愛い笑顔が見れた。

ある日、私が出社し仕事をしていると「おはようございます…」と、誰も居ないオフィスにカオルが現れた。
「おはようございます」と私が返すと、カオルは軽く会釈して自分の席に座った。
一時間ほど経ったころだろうか、突然カオルが私の方に歩いてきた。
「どうした?」と聞くと「すみません。パスワードが分からなくてファイルが開けないのですが、教えて頂けますか?」と。
カオルの席へ行き、隣に立ってパスを入力すると「ありがとうございます」とマスク越しに笑顔で私に頭をさげるカオル。
(近くで見るとすごい可愛いな…)と思いながら私は自分の仕事に戻った。

お昼が過ぎた頃、再びカオルがこちらに歩いてきた。
「私これからコンビニ行きますけど、何か買ってくるものありますか?」と。
「特に無いかな。ありがとう。」と言うとカオルは軽く頷いてオフィスを出ていった。

誰も居ない静かなオフィス。
応接用のソファーにもたれ掛かるように目を閉じるとカオルの香水の残り香が仄かに漂っていた…。


しばらくして私は喫煙室へ。
煙草に火を付け煙を燻らせていると、喫煙室のドアが開いた。
「帰っちゃったかと思いました…」と言いながらドアを閉め、コーヒーを差し出すカオル。
「え?いいの?ありがとう」とコーヒーを受け取るとカオルが私の隣に来た。

おもむろにマスクを外しながら「本当はパスワード知ってました…」と小さな声で呟く。

つづく


 
2023/01/08 17:38:25(v.RU6BLN)
17
投稿者: ルーベン ◆Iy9izs5Bls
ID:re.reuben

「床に落ちたワンピース」を読んで頂き、ありがとうございました。

続編「トレゾァの香り」を投稿予定です。

「置き姫物語~三章~」(続編は別タイトル)とリンクしていますので、宜しければそちらもご覧ください。



プロフ上にて物語のVer2.0を掲載中。


23/01/24 10:10 (p6wRrmKr)
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