秘密の関係 ～あの夜の出来事～ 1


私の名前はヨシオカ セイイチ…
歳は54になりました。

仕事先はそこそこ名の知れた総合商社の
管理職をしております。

結婚…昔…若い頃に1度だけした事があります。
長続きはしませんでした。
私から家を出て行く結果となりました。
要は逃げ出したんですね。現実世界から…

それからは仕事一筋…
それと酒…時々は女…
無茶な事はしない程度に
楽しむ…そんな生活をしていました。

秘密の関係 ～あの夜の出来事～ 2


今夜も仕事帰りに1人で
一杯やってこうと思い
いつものチェーン店居酒屋へ…
この歳になると気取ったとこでは無くて、
気軽に入れるこんな店ばかり…
もちろん何の下心もありません。
そんな気分ならお姉さんが
居る店にでも行きます(笑)

いつもならテーブル席に座って
ゆっくりやるのですが、
今夜に限って居酒屋も混んでました。

私は仕方なくカウンター席で
飲む事に…
最初は隣を気にしながら
飲んでいましたが
酒が進むにつれて
椅子に座ってても
フラフラとするように…
今夜は少し飲みすぎたみたいです。

秘密の関係 ～あの夜の出来事～ 3


隣の女性のグラスに私のグラスが
ぶつかってしまって
女性の飲み物をこぼしてしまった。
「キャッ！」という女性の声で
私は横を向き飲み物を
こぼした事がわかりました。
「あ、すいません！すいません！」
店員さんからダスターを借りて
彼女の濡れたスカートを拭き始めました。

「ああ！そ…そこは結構です！」
慌てすぎて彼女のスカートの
お股の部分を拭いていました。
「あ、重ね重ねすいません！」

私は彼女に平謝りをしていました。

秘密の関係 ～あの夜の出来事～ 4


何度も頭を下げて謝罪をして
どうか次のお店で奢らせて下さい…
このままでは気がすみません…
お願いします…
そんなような言葉を
知らず知らずに並べてた気がします。

彼女は根負けしたようで
私のお願いに無言で頷いてくれました。
頼み込んだ末に私達は次のお店へ…
次のお店は小さな小料理屋さん。

先ほどの店に比べて随分と
お客が少ない。
だけれどもゆっくりと
お話をしてお酒の飲める
お店でした。

「先程はすいませんでした。
挨拶が遅れてしまいました
私の名前はヨシオカと言います。」
「私の名前はエリナと言います。」

改めて私と彼女はグラスを
合わせて乾杯をした。

秘密の関係 ～あの夜の出来事～ 5


彼女の名前はエリナさん…
とても可愛らしい女性だ。
髪も肩くらいまでの長さで
軽くカールがかかっている。
お化粧もナチュラルメイク…
目元はパチッとした感じだが、
化粧だけではなく元々
目がぱっちりしてるようだった。

年齢は….多分25歳くらい…
女性に年齢は聞けないので
あくまでも想像だが…
若いのに会話が弾む、
彼女と一緒に飲んでると
なんだか安心もした。
「エリナさんのお仕事は…？
いや、差し支えがなかったらね」
「私は知り合いのお店を
手伝ったりしています。」

その言葉でこの女性が
水商売の女性だと直感的に
認識した。

(だから会話も弾むし
時事ネタなんかも話ができるんだ～)

私は1人で納得していた。