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1:ひとしずくの排卵
投稿者:
いちむら沙織
2011/08/18 13:16:48(p36zYMIP)
投稿者:
いちむら沙織
五話
_このことはすぐに学校関係者のもとへ伝えられ、そこから連絡網で保護者へ知らされた。 _祝日の昼ということもあって、生徒全員の無事を確認するのはなかなか骨が折れる。 「どうして電話に出ないんだ──」 _なかなかつながらない電話をかけ続けているのは、女学校の校長であり、春子の級友の美智代の父である、桜園善次だ。 「深海くんもうちの娘も、こんな時にどこへ行っているんだ」 _春子の家の電話は誰も出ないし、美智代も行方知れず、墓地で保護された少女の身元もまだわからない。 _こんなことは考えたくもないが、その少女が美智代か春子のどちらかであるという可能性だってある、と善次は眉間のしわを深くした。 _そんなことが起きているとは知らず、紳一はつぐみを自分の横に並ばせて、家に向かう道を歩いていた。 「ほんとうに悪くないですか?私、そんなつもりで──」 _つぐみは自分の身なりを気にしながら遠慮がちに言った。 「うちに置いといても肥やしになるだけだし、森南先生にもらわれるなら僕も嬉しいです」 _さっきの古本屋で二人で小説の話をしていたついでに、紳一が読み終えた小説をつぐみに譲るという流れで、紳一の家につぐみを招くことになったのだった。 _すっかり陽は西に傾いていたが、深海家の庭先に春子の自転車は見あたらなかった。 「娘はまだ帰ってないようですが、どうぞ上がってください」 _そう言って紳一は、つぐみのことを照れくさそうな目で見た。 _ということは、この家に私と深海さんは二人きりで──、と胸がくすぐられる思いをしながら、つぐみは脱いだ靴をそろえて、「おじゃまします」と家の中に通してもらった。 _居心地のわるそうな表情で正座したまま部屋の中をぐるりと見回すつぐみに、紳一は冷たいお茶を出してあげた。 「なんだか家庭訪問みたいですね」 「そうですね。私、春子さんの担任でもないのにおじゃましてしまって」 「そんなことは気にしないでください。担任じゃなくても春子の先生であることにかわりない」 「ですね」 _紳一と二人きりだということを意識しすぎて、つぐみは間が持たない。 _目も合わせられない。 「僕、好きなんです」 _紳一が唐突にそう言うもんだから、つぐみは口を半開きにしたまま動けないでいる。 _柑橘の果汁と炭酸水が混ざり合って、しくしくと喉を刺激しているみたいだった。 「いつからですか?」 「ずっと前から」 「ずっと……って、私の……、あの……、どう言ったら──」 「森南先生はいつから好きなんですか?小説」 「え?ああ、小説……ですよね。それはですね、たしか……小学生の頃からだったと思います」 _なんとか話を合わせてみたが、またしても勘違いをしてしまった自分がとても恥ずかしく思えて、つぐみは頬を赤らめた。 _それを見た紳一は、「すいません、暑かったですね、少し換気しましょうか」と、陽のあたらない方の窓を開けた。 _紳一の気遣いに嫌みや下心などはまったく見えず、つぐみの心は強く惹かれていくのだった。 _紳一は一度、奥の部屋に引っ込んで、やがて両手いっぱいに本を抱えて戻ってきた。 「森南先生に気に入ってもらえるかどうかわからないけど」 「こんなに読まれたんですか?」 「奥の部屋にはまだ山ほどありますよ」と紳一は一冊の本を手に取り、「これなんかどうですか?」と、つぐみにすすめた。 _そして、本のページをめくるつぐみの横に座ると肩が触れる距離まで身を寄せ、「この人が書く推理小説がなかなかおもしろいんです」と少年のような目をして微笑んだ。 _女心というものを知ってか知らずか、紳一の無意識な行動や言動すべてがあたたかい。 _一緒にいると息苦しい。 _でもずっと一緒にいたい。 _帰りたくない。 _このまま彼の胸に身をあずけてしまいたいのに、嫌われるのが怖くてできない。 _年甲斐もなくそんな純情をめぐらせているうちに、つぐみはのぼせて軽いめまいに襲われた。 「大丈夫ですか先生?」 _ふらついたつぐみの上半身は紳一の胸にしっかりと受け止められていた。 「すいません……夕べ、少し寝不足で──」 _紳一に抱かれる格好になってしまったつぐみは白昼夢の中にいた。 _いつからか密かに思いを寄せていた、私の恋しい人。 _嫌われてもいいからずっとこうしていたい。 _たとえ心が通わなくても、あなたと過ごした今日という日を張り合いにして、この先も生きていける。 「深海さん……好きです」 _消え入る声で、つぐみは言った。 _紳一はどう応えたら良いのかわからず、言葉を探すしかなかった。 「いいんです、こたえてもらえなくても。私が勝手に好きになったんですから」 _紳一は自問していた。 _こんなに若くて素敵な女性にここまで言わせておいて、彼女にかけてやる言葉はないのか? _女に恥をかかせる男がどこにいる? _沈黙こそが身を切られるより痛いのだぞ、と。 _そしてようやく紳一の口が開いた。 「森南先生、僕は──」 _とそこへ電話が鳴り出した。 _空気を切るような電話の音で二人は我に返り、紳一は気まずい素振りで受話器をとった。 「深海です」 _電話の相手は桜園善次だった。 _先ほどの、墓地で少女が保護された事件の話を聞かされて、紳一は背中に冷たいものを感じた。 「どうしてそんなことが──」 _このことをすぐにつぐみに告げると、紳一は家を飛び出して春子を探しに、つぐみは緊急の職員会議のために学校へ向かった。
11/08/29 13:16
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投稿者:
いちむら沙織
六話
_血の気のひいた表情で必死に春子を探しつづける紳一。 _せまい町だというのに、春子の姿はどこにもない。 _手芸屋の店主が、「春ちゃんなら見たよ。校長先生のところの美智代ちゃんを探してたみたいだけど」と言ったきり、その後の行方がわからない。 「春子にもしものことがあったら、僕は──」 _悪い方へ悪い方へと考えてしまうのは自分の悪い癖だ、と冷静になろうとした。 _どれだけ町中を走りまわっただろう。 _すでにシャツの生地は汗でふやけて体中にまとわりつき、陽射しが紳一の体力を奪っていく。 _地面に照り返してできた陽炎が、ゆらゆらと揺れていた。 _一度、確かめてみよう。 _そう思い立って家に戻る選択をした紳一は、春子のことだけを思いながら家路を急いだ。 _紳一は家に着くなり春子の通う学校に電話をかけた。 「もしもし……、あ……深海さんですか?……先ほどは失礼しました」 _電話をとったのは森南つぐみだった。 _さっきのつぐみの言葉が一瞬だけ紳一の頭をよぎったが、今はそれどころではない。 「あの、何か連絡ありました?」 「そのことなんですけど──」と、つぐみは今の時点でわかっていることを紳一に話した。 _被害に遭った少女は春子の通う高校の生徒だということ。 _そしてその生徒は春子でもなければ美智代でもないということ。 _紳一の心は少しだけ軽くなったが、春子の行方が心配で、喉が渇いていた。 _変質者がこの辺りをうろついているというのに、何処で何をしているのか。 _そう思っていた時、家の外で自転車を停める音が聞こえた。 _そして、「ただいま」と言って姿を見せたのは、春子だ。 「春子!」 _愛する娘の名を叫び、駆け寄って抱きしめた。 _春子は何が起こったのか理解できずにいた。 「どうしたの?お父さん、急に」 「無事なのか?怪我はないか?」 「うん」 「そうか、良かった」 _そう言って紳一は目尻を下げて、もう一度、春子を抱きしめた。 _春子は理由も聞かず、ただ紳一に抱きしめられていた。 _嬉しかった。 _こんなにも強く抱きしめられたのは初めてかも知れない。 _今まで以上に紳一のことを男として意識して、自分のことも女として意識していた。 _このまま時間が止まっていつまでも続けばいいと思った。 _しかしこの直後、昼間の事件のことを紳一に聞かされた春子は、得体の知れない存在が自分のすぐ近くにいたことを知り、恐怖で涙ぐむのだった。 _日暮れとともに酒場の提灯に灯りがつくと、どこからともなく現れた男たちがそこに吸い寄せられていく。 _どいつもこいつも見た顔ばかりだと言いながら、誰もが陽気に酒を酌み交わしていた。 「この町も平和だとばかり思ってたけど、まさかあんなことが起きるとはな」 _誰かがそう言うと、みんなしてその話に乗っかってきた。 「ああ、あれかい?昼間の痴漢の事件」 「痴漢じゃないよ、ありゃ強姦さ」 「気の狂ったやつの仕業だな。都会にはそんなやつが結構いるらしいじゃないか」 「都会からわざわざこんな田舎の娘を襲いに来たのかい?」 「しかもそいつ、火男(ひょっとこ)の面を被って顔を隠してたんだと」 「そんなことよりさ、なんで蛙の卵なのかね、気味悪い」 「聞いた話だと、若い娘の穴に蛙の卵を詰め込んで、良いことしたらしいぞ。そうしたらそこからオタマジャクシが生まれてきたんだと」 「俺だって若い娘とよろしくやりたいよ」 「こんな時に不謹慎なこと言うんじゃないよ。だが、女房抱くよりはいいかもな」 「夜中にひとりで外も歩けやしない、今日で飲みおさめだな」 「そうだな。酒の肴がこんな話じゃ、酔うに酔えねぇ」 _ひどい目に遭ったあの娘が気の毒だ、と皆が口をそろえたところで話は落ち着いたのだが、腹の中はそれぞれ違っていた。 _ろくに男を知らない生娘の下(しも)を拝ませてもらい、カナリアのさえずりに似た身悶えるその声を聞き、汗と、唾液と、男汁と、女汁とを垂れ流し、好きも嫌いも勘定に入れずに、その肉穴に女の役割を果たさせ、その肉竿で男の役割を果たしたい、ただそう思っていたのだ。 _深海春子が帰宅したのと同じ頃、桜園美智代も無事に自宅へ戻っていたのだが、事情が事情なだけに、嫁入り前の娘が行き先も告げずに何処に行っていたのだ、と父親である善次から説教されていた。 _一方、春子の方も紳一から昼間の行き先のことを訊かれたのだが、美智代と一緒にいたとしか言わず、紳一はほとほと手を焼いていた。 _年頃の娘だ、親に言えないことの一つや二つはあるだろう。 _そんなことを思っていると、少しむくれて春子が言い返してきた。 「お父さんだって今日、森南先生と何してたの?本屋さんで楽しそうにしてじゃない」 _まさか娘に見られていたとは思わなかったが、やましいこともないし隠す必要もない。 「ああ、偶然だよ偶然。小説が好きだとおっしゃってたから、家に来てもらって、僕が読み終わった本を譲ってあげたんだ。それだけだよ」 「え?家に来たの?」 「なにか都合わるかったか?」 「わるく……ないけど」 _私の知らないところで二人きりで会っていたなんて、と春子は胸の縮まる思いがした。 「どうせ私の心配してるふりして、先生のこと考えていたんでしょう?」 _春子は言葉を吐き捨てた。 _次の瞬間、ピシャンという音がすぐそばで聞こえたあと、春子の左頬に痛みが走った。 _それと同じく、紳一の右の手のひらにも痛みが残る。 _頭に血がのぼった。 _そして痛みが消えると、紳一が口をひらくよりも先に春子は背を向けて自室にこもってしまった。 _紳一は思う。 _どうして叩いてしまったんだろう、と。 _春子は思う。 _どうしてあんなことを言ってしまったんだろう、と。 _春子の母、紫乃(しの)が逝ってからもうずいぶんと二人で暮らしてきたはずなのに、今夜はやけにこの家が広く感じる。 _春子は急に怖くなり、布団から抜け出して部屋を忍び出た。 _日付が変わろうとしているのに眠れないのだ。 「お父さん、まだ起きてる?」 _紳一の部屋の前でふすま越しに春子が声をひそめて言うと、「どうした、眠れないのか?」と、いつもの優しい声が返ってきた。 _何事の音もたてずに春子は紳一のそばまで来て正座した。 「さっきは……ごめんなさい」 「いや、僕の方こそ、ぶったりしてわるかった」 _その言葉を聞いて、春子の心はホロホロとほぐれていった。 「一緒に……寝てもいい?」 _自分と同じ学校の生徒があんな目にあったのだから、ひとりで眠れないのも無理はない。 「僕のいびきを我慢してくれるならな」 _そんな冗談を言ってみせた紳一だったが、春子は無言のまま、暗がりの中で紳一の胸に顔を埋めた。 _春子の髪から香ってくる甘い匂いが、呼吸するたびに紳一の鼻をくすぐる。 「私、お父さんのこと、好きだからね」 _春子の愛しい息が、紳一の胸元にかかる。 「お母さんが好きになった人だもの、私だってお父さんが好き」 _春子の気持ちは真っ直ぐだった。 _春子の前では「男」であってはいけない。 _どんな時でも父親であることを忘れてはいけない。 _そんな思いが今、揺らいでいる。 _紳一が知らないうちに春子はすっかり「女」に成長していた。 _乳房のふくらみがわかる。 _腰のくびれがわかる。 _体から滲み出る色気がわかる。 「私……」 _まぶたを下ろし、薄目をひらいたまま春子は紳一の目を見つめた。 「お父さんのこと考えると……、あの辺がくすぐったくなってくるの……。こんな私……不潔だよね」 _そう言って目を逸らそうとする春子に紫乃の面影を見たような気がして、理由のつかない震えが紳一の全身を波打たせた。
11/09/01 21:55
(rMWYOlTo)
投稿者:
いちむら沙織
七話
_おそらく月灯りはこの部屋を青白く照らしていたのだろう。 _そこにはもう、役目をなくして脱ぎ捨てられた春子の下着が月に照らされて、青白く染まっていたのだった。 「月経は……終わっているから……」 _恥じらいながら春子が告げた言葉の意味を汲み取って、裸の体をすり減らすように重ね合わせていった。 _春子のすべてが愛しい。 _紳一の唇が春子の耳たぶ、首すじ、うなじまでを優しくはむと、春子の体がそれに応えてビクンと縮む。 _両手の行き場が定まらず、紳一の太い腕にしがみついたり、布団を掴んだりしている。 _紳一の愛撫は春子の肌を下りはじめて、やがて乳房の輪郭を舐めまわしていた。 _それでも春子は嫌がる素振りも見せず、首すじをたてて、固く唇を閉ざしているだけだった。 _むっちりと皮の張った、触りの良い乳房。 _その先端まで舌を這わせていったら、凝り固まった乳首を口にふくんで吸い上げた。 「うん……」 _春子の息が鼻から抜けていった。 _あの春子がこんな反応を見せるなんて、ずっと父と娘として暮らしていたとしたら、気づかないままでいるところだった。 _寿命の短い花のような儚さをはらんでいるのは、紫乃の血をひいているからなのか、春子の肌は向こうまで透き通って見えた。 _紳一が触れた瞬間にはもう肌の深くまで指が沈んで、突き抜けてしまいそうだ。 _乳房は味わいつくした。 _春子はときどき唾を飲み込みながら息を荒げて、鼻の穴をふくらませている。 _紳一は春子の股の間に体をもぐり込ませて、上唇と下唇とで白い腹を噛みながらゆっくり下半身に向かって下りていく。 _そこから漂う匂いといったら、甘さと酸っぱさで蒸された未熟な匂いだった。 _紳一は思った、春子はまだ処女なのだろうか、と。 _暗がりの中で目も慣れてきた頃、それはよく見えた。 _うっすらと生えた黒毛の下で小さな新芽を出し、縦に長く開いた二枚の皮のさらに内側の二枚までもが、濡れてふやけている。 _紳一はそこに唇をつけた。 「ううん……」 _春子の声が大きくなった。 _ぬめぬめした液がそこに膜をつくっていて、それは紳一の唇にも絡みついて糸を垂らした。 _そこで初めて春子は脚を閉じようとして、少し嫌がる素振りを見せた。 _ごめんなさい、嫌なわけじゃないの。 _お父さんが好きだから、好きな人の前で自分の不潔な部分をさぐられるのが恥ずかしい。 _不純な娘だと思われるのが少し怖いの。 _春子はそう言いたかったのだ。 _しかし、それを言葉で告げるのも下品に思うからこそ言えない。 _紳一の方も、言いたいことは奥歯に挟まったままだ。 _気持ち良いのだろうか、痛いのだろうか。 _具合がわからない。 _ここでやめてしまおうかとも思った。 _春子の体が満たされなくても、ただ添い寝するだけで心が満たされるならそれでいいと。 _父と娘は一線を越えてはいけないものなのだから。 「お父さん──」 _春子の甘ったるい声が聞こえた。 「私がどんなふうになっても……嫌わないで……」 _それはもう、まだ乙女でいたいとしがみつくようで、はやく大人の体にして欲しいとすがるような、つかみどころのない言葉だった。 _そうしてすべてを受け入れたいのだと、春子の体から緊張が解けていった。 _愛しさがまたこみ上げて、紳一の指が春子の股をさぐる。 _果物の剥き身に触れているみたいな感触。 _指で押せば汁気があふれる。 _春子は感じて身をよじれさせてはいるが、脚を閉じようとはしなかった。 _私の女々(めめ)を、どうにでもして欲しい。 _春子が目で訴えた。 _綺麗に割れた春子の女々を舐めるよ。 _紳一も目でささやいた。 _しとやかな春子からは想像できないほど卑猥な形をしたものが口を開けている。 _紳一はそこにかぶりついた。 _唇を押しつけて汁気をぜんぶ喉に通し、舌はとぐろを巻いて膣口の垢を舐めた。 _水遊びをしているような湿った音をたてて紳一の愛撫を受けるたびに、春子の恥部は蒸し暑くなっていく。 _しだいに尿意に似たものが下りてきて、春子は官能の声を漏らした。 「あ……あ……うん……」 _女心に、なんて不潔な声なのだろうと飲み込もうとしてみても、それを止めることはできない。 「あん……ふん……んう……」 _正直な声がまた漏れる。 _紳一の頭が春子の股間から離れると、ふたたび乳房を揉みこみながら乳首に吸いついて、同時に陰唇の形にそって指を擦り込ませた。 _盲目な愛撫でいじくられたなら、清純な乙女の芯も大人しくしていられない。 _春子の体が狂いだしたのだ。 _敏感に腰が浮いて沈む。 「はふん……あふん……」 _感じているのは明らかだ。 _紳一は左手の指をそっと添えて紅いヒダを両側にめくり上げ、潮を満たしたその部分に右手の中指を通していった。 _痛いのがくるの? _女々が切れてしまうの? _お父さんにされるなら我慢するけど……痛いのは怖い。 _そんな思いをめぐらせながら、はじめて感じる異物感におびえていた。 _膣はとても窮屈で、粘膜が溶け出しそうなほど熱い。 _痛みがくるのをじっと待っていた春子だったが、いつの間にか紳一の中指は根元のあたりまで濡れたつぼみに埋まっていた。 _そしてその指で輪を描くように幼い穴をほじくり返されると、少しだけヒリヒリとした後で鈍い快感が寄せてきた。 _抜き指、挿し指で血がにじみ、愛しい液が垂れた。 _水を打てばはじくほど張りのある肌も粘り気を引きずって、なかなか汁をはじくことができないでいる。 _春子の乳も女々も、いつでも僕の目が届くところに置いておきたい。 _いっそのこと夫婦(めおと)になって、皆が寝静まるのを待たなくても体を交わせる関係になりたい。 _そう紳一は思った。 _そして春子の膣から指を引き抜くと、青すじを浮き立たせた一物を収まるところに収めていった。 _亀頭を飲みこんで股が裂けていく。 _ただの「負んぶ」や「抱っこ」じゃないことぐらい春子にもわかっていた。 _背も腹もわからなくなるほど体を絡め、入れて欲しいところに入れて欲しいものが出入りしている。 _めまぐるしい裸の情事の末に、春子の腹の上で紳一は射精した。 _桃の色の体は、あっという間に白い絵の具の受け皿となる。 _まだ未成熟な春子は果てることはできなかった。 _でもそれが春子を焦らすことになってしまって、一寸先の絶頂を欲しがってもがきながらも、肉体のつなぎ目に女の悦びを感じることができたのでした。 _なんの色気もないこんな体を抱いてくれるなんて、お父さんを好きになって良かった、と思った途端、春子の目からは嬉し涙が湧いていた。 「春子」 「うん」 「僕は春子が好きだ。こんな不潔な父さんを許してくれ」 「うん、私もお父さんが──」 _涙が止まらない。 _止める理由もない。 _紳一の指が春子の涙を拭ったそばからまた涙が湧いてくる。 _きっと紫乃も許してくれるだろう、と春子をもう一度引き寄せて優しく抱いた。 ※女々(めめ)とは、このあたりの方言で、女性器のことを指す
11/09/05 13:59
(zV/hlnjD)
投稿者:
いちむら沙織
八話
_長い夜が明けた。 _先に起きたのは春子だ。 _紳一を起こさないようにそっと風呂場に入って朝湯を浴びる。 _夕べのこと、お父さんは忘れないでいてくれているかしら。 _寝床で自分の娘を抱いたことを。 _全身に水滴をしたたらせながら春子はそんなことを思っていた。 _そこにしゃがんで恥ずかしく股間を洗い流すと、ぬめりを落としたお湯が排水口に流れていく。 「はぁ……」 _閉じた穴の奥がくすぐったくて、ため息が出た。 _ようやく紳一も起き出してきた頃には、春子はセーラー服に着替えて朝食の支度をしていた。 「お父さん、おはよう」 「おはよう、夕べは眠れたか?」 「……知らない」 _そう言って怒った顔をつくってみても、内心は幸せでいっぱいだった。 「ふわあ……」と、あくびをしながら新聞をひろげている紳一につられて春子もあくびをした。 「おはようさん、紳一くん居なさるかね?」 _まだ朝も早いというのに元気な声が玄関側から飛んできた。 _その声を聞きつけた近所の犬が吠える。 _穏やかな朝があっというまに賑やかに。 _紳一が玄関の戸を開けると、バケツを提げた農作業服姿の男が立っていた。 「おや、佐々木さん。おはようございます」 「やあ、紳一くん。今朝、産まれたばっかの卵さ、ほれ」と自慢気にバケツの中身をこちらに向けると、初々しい朝採れの卵がぎっしりと入っている。 「いつもすいません」 「いいんさ。そんなことより、春ちゃんどうしてる?」 _その男は佐々木繁(しげる)。 _佐々木夫妻が営む小さな養鶏場の主人だ。 _紳一に呼ばれた春子が足音をひそめて玄関に出てきた。 「おじさん、おはようございます」 _セーラー服姿の春子を見るなり繁は目尻を下げてにやけた。 「春ちゃんはほんとにべっぴんさんになったな。いくつになったね?」 「十六です」 「そうかね。こんなに器量よしじゃ、紳一くんも嫁に行かせたくないだろ」 「いやぁ、そんなことは──」 _紳一が照れ隠しで笑う。 「高校を卒業したら、うちの鶏舎を手伝ってくれんか?給料だって春ちゃんしだいで色つけることもできるよ。まだ先の話だから返事はいつでもいいんだがね」 「考えておきます。おじさんのところの卵でここまで育ったようなものだから」 _まったくその通りだ。 _うちの卵のおかげで乳も膨らんだし、月に一回、春ちゃんも卵を産める体になったんだからな。 _繁は股間をそわそわさせながらそんなことを思っていた。 _何から何まで母親の紫乃にそっくりだとも思った。 _そして……犯してしまいたいと思った。 _繁の腹の底にたまった性欲は、五十過ぎのものとは思えないほどギラギラと煮えたぎっていた。 「朝早くから邪魔したね。それじゃあまた来るよ」 _じゃあと手を振る紳一と春子に振り返りつつ、繁は畑に挟まれた道を行く。 _季節の変わり目の風が二人のあいだを吹き抜けていった。 _学校の休み時間、春子と美智代は教室の後ろの方でひそひそ話をしていた。 「昨日のこと、お父さんには内緒にしてあるから、美智代も絶対に誰にも言っちゃだめだよ」 「わかってる。夕べ私もお父さんに説教されて、昼間どこに行っていたのか訊かれたけど、あのことは言ってないから安心して」 「でも、まさかうちの学校の生徒があんな襲われ方してたなんて……なんか怖いよね」 「うん。危ないのは都会だけだと思ってたけど、私たちも気をつけないといけないね」 _そう言って美智代が顔をこわばらせた後、春子はトイレに行くと言って教室を出た。 _閉まりの悪いトイレのドアを閉めてスカートを捲り上げると、下着を膝下まで下ろしていく。 _月経は終わっていたが夕べの紳一とのこともあって、布ナプキンをあてておいたのだった。 _春子の思ったとおり、うっすらとした汗染みのような汚れがそこに着いていた。 _不潔だと思いながらも、春子は便器にしゃがんで自分の陰部を指でなぞってみた。 「……」 _微かに湿った左右のヒダが少しめくれて指に吸いつく。 「ん……」 _入り口に指を潜りこませてみる。 「うん……」 _びくんと股間を縮ませながら気持ちいいところをさぐっていった。 「ううん……」 _その時、授業開始のチャイムが鳴って、仕方なく春子は名残惜しい思いのまま教室に戻った。 _四時限目の授業が始まる。 「ちょっと出てきます」 _工場での午前の作業を終えた紳一は、昼休みの時間を利用して紫乃の墓参りに行くことにした。 _今日は紫乃の命日だ。 _汚れた作業着のまま切り花を抱えて、工場からほど近い墓地へ向かう。 _紫陽花はまだ道端の雑草に混じって葉をひろげているだけだった。 _墓地に着くと水道場のバケツに水をはって、線香の煙を浴びながら紫乃の墓前に向かった。 _どうやらそこには先客がいるようだ。 _なんとなく見覚えのあるその顔に紳一が声をかけようか迷っていると、礼服姿のその男がこちらに気づいて声をかけてきた。 「お久しぶりですね、深海さん」 「紫乃の告別式以来ですよ、九門(くもん)さんとこうして会うのも」 _お互いの腹の内を探り合うような低い声ですり寄っていく。 「娘は……、いや、春子は元気でやってますか?」 「春子はもう九門さんの娘じゃない。僕の娘だ」 「僕の娘だろうが深海さんの娘だろうが、そんなことでやり合う気はありません。ただ、少しだけ忠告しておきたいんです」 「忠告だなんて、おどかさないでくださいよ──」 「養鶏場の佐々木さん、あの人には気をつけておいた方がいい」 「何が言いたいんです?──」 「あと、血のつながらない男と女がひとつ屋根の下で暮らしていれば、間違いが起こらないとも限らない」 「僕と春子のことか?──」 「ようするに、春子と血がつながっているのは誰なのか、ということなんです」 「九門さんの言いたいことはよくわからないが、僕は春子の父親です。そして紫乃は僕の妻だ。あなたとはもう何の関係もない」 _紳一は感情的になることもなく、胸を張って九門の目を見据えて言った。 _なるほど、といった感じで不適な笑みを浮かべた九門は、もう一度、紫乃の墓前に手をあわせてその場を去った。 _その後ろ姿に、なにか後ろ暗いものを背負いこんでいる気配を感じたのは気のせいなのだろうか。 _九門が紫乃と離婚した理由は紳一にも知らされていない。 _だが、なんとも食えない男だ、と生理的にそう思うのだった。 _あらためて紫乃と向かい合った紳一は静かに目を閉じて、夕べの春子とのことを許して欲しいと願った。 _君がいなくなった今、僕には春子しかいないんだ。 _それだけはわかってくれ、と。
11/09/09 23:26
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投稿者:
いちむら沙織
九話
_その日の授業は五時限で終わった。 _春子は家に帰る途中で墓地に寄り、母が好きだった花を供えてお参りした。 _美智代も一緒だ。 _私、お父さんが好きよ。 _お母さんと同じ人を好きになるなんて、やっぱり親子だよね。 _だから昨日、お父さんにあげた。 _……いいよね? _心の中で、そうつぶやいた。 _まだあどけない少女の思いは天に通じただろうか。 _田んぼで発情する蛙の鳴き声だけが聞こえていた。 _紳一より先に帰宅した春子は、さっそく机に向かって宿題に手をつけた。 _カリカリと鉛筆を書き走らせる音だけの静まった部屋。 _ときどき頭に浮かんでくるのは夕べの紳一とのこと。 _お父さんは、私の体の何処をどう触っていただろう。 _何処からどんな匂いがしていただろう。 _そんなことを思っているうちに乳首が突っ張りだして、サイズの合わないブラジャーの中でふくらんでいく。 _気持ちを抑えようとすれば余計にふくらんで擦れる。 _太ももの内側がそわそわして勉強にも集中できない。 _ふと時計に目をやると、紳一の仕事が終わるにはまだ早い時間だった。 _春子が庭に出ると、火照った頬に風があたって心地良く感じた。 _生け垣は家の裏側までつづいていて、その向こう側には田畑がひろがっている。 「あった」 _春子が見つけたのは、生け垣に絡みついてツルを伸ばし放題にしている糸瓜(へちま)だった。 _さほど大きな実をつけているわけではなく、虫食いの葉っぱを揺らしながら細長い実をぶら下げている。 _膣の具合がじわじわと熱くなった。 _制服のポケットからハンカチを取り出すと、糸瓜をそっとくるんでそのままもぎ取った。 _人目がないのをいいことに、春子は色気のない下着を下ろしてしゃがみ込んだ。 _誰も見ていないはずであった。 _しかし、春子を覗き見するいやらしい視線が、これからはじまる秘め事に注がれていたのだ。 _どこからともなく女の匂いを嗅ぎつけてくるのも才能なのだろうか。 _老いても男。 _それを証明するものが男の股間で狂い起っていた。 _そんなこととは知らない春子は自分の股を覗きこんで、青々とした童貞の糸瓜で割れすじを撫でてみた。 「ひや……」 _皮の中におさまったクリトリスにあてると、目の覚めるような快感が春子を襲う。 _もう一度、糸瓜を振り抜く。 「むん……」 _またしても背すじに微弱電流がながれて身震いした。 _すでにくすぐったいのを通り越して快感になっている。 _そんな快感に押し倒されそうな体をどこにあずければ良いのか、春子は空いた方の手で足もとの芝生を引っ掻いてみたり、手をついたりを繰り返している。 _自分なりの「やり方」というものがまだ定まっていない初々しさが見えた。 _やはりあの時と同じように、男は春子の様子をうかがいながら念仏のような独り言をつぶやいていた。 「まだ高校生の春ちゃんがそんなことしちゃいけないな。自分の女々こをいじくりまわすなら、おじさんの指が余ってるから貸してあげようか」 _そう言いながらボキボキと指の関節を気味悪く鳴らして、じっと春子を見つめたまま瞬きをしないでいる。 _すでに男の精子は煮えたぎって逆流しそうになっていた。 「ほら、もっと奥までほじくり返してごらん。そしたら女汁が噴いてくるんだ。おじさんもそろそろ噴きそうだよ。春ちゃんの中に噴かせておくれ」 _男の声がだんだんと上ずっていく。 _春子の息も乱れはじめる。 _生魚の鰓(えら)のようにも見えるふやけた陰唇を指で剥いて、外側よりもひと回り小さな溝に糸瓜をしのばせていく。 _なんて醜い形をしているのだろう、と春子は自分の体の一部がだらしなく濡れているのを認めたくなかった。 _それでも春子の体内には青い実の半分ほどが埋まって、真新しい雫をしたたらせていた。 _お腹が息苦しい。 _なのに気持ちいい。 _夕べ、お父さんは私のもっと中まで入ってきていた。 _これをもっと中まで入れてしまっていいのかしら。 _わからない。 _春子は一度、膣に刺さったものを引き抜いて、すっかりみずみずしくなったそれを悩ましく見つめた。 _そして、なにかを思い出したように後ろを振り返って、あたりを見渡した。 _まずい──。 _男は一歩、後ずさりした。 _存在に気づかれたのかと思ったが、春子は男が立っている方には見向きもしないで、花壇のアロエに手を伸ばしている。 _棘(とげ)のあるアロエの葉を用心深く折ってみると、そこから水分がはじけ飛んで指を濡らした。 _ぬめりがある。 _葉の断面を指ですくって股に塗り込む仕草をする春子。 _膣から湧き出る動物性のぬめりと、アロエの植物性のぬめりとが混じって垂れる。 _ふたたび糸瓜を握りなおして、そのまま膣にゆっくりと通していった。 _うそ、さっきは半分までしか入れたくなかったのに、今はいちばん奥まで入ってしまいそう。 「気持ちいい──」 _素直な感情が唇から漏れた。 _そして青い実のほとんどが春子の中におさまってしまった。 _いきめば糸瓜は飛び出して、それをまた指で押しもどす。 _そのとき春子は自慰を知って自慰に溺れた。 「うん……うん……」 _何度も下唇を噛みながら、しゃくりあげるような声を押し殺しているその背中に、不吉な人影がせまっていた。 「ここでなにをしている?」 _ざらざらとした粗いその声を背中で聞いて、春子は思わず心臓のあたりを手で押さえて「はっ」と息を飲んだ。 _言い逃れできないこの状況で、声の主を確かめるために後ろを振り返ると、春子の顔見知りの男がそこにいた。 「ませたことしてるじゃないか」 「いや……」 _春子は声にならない声をあげて、見られたくない部分を隠してかばった。 「ああ……」 _恐ろしくて思うように声が出ない。 _どうしよう。 _誰かたすけて。 「大人しくしてれば紳一くんには黙っておいてあげるよ。大事な娘が女々ほじりしてると知ったら何て言うだろうな、春ちゃん?」 「やめ……」 _消え入る春子の声。 _こんなことがお父さんに知れたら、私は嫌われてしまう。 _せっかく気持ちを伝えたのに。 _どうしたらいいの。 _焦れば焦るほど着衣がはだけていく。 _乱れたセーラー服の下からのぞいているのは、さっきまで春子の遊び道具だった糸瓜とアロエだ。 _それを見た男の口もとがニヤリと歪んだ。 「二人だけの秘密だ。さあ、さっきの続きをやってごらん。それとも、春ちゃんが助平なことやってたって皆に言い触らしてもいいんだよ」 「……」 「おじさんに触られるのと自分で触るのと、どっちがいい?」 _何があっても紳一にだけは知られたくないのだと、女心に思うのだった。 _そうして春子の体は男に釣られて、遊びの支度をはじめてしまう。
11/09/12 21:54
(Jw4USBZi)
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