汚物マニア
1:優美夫人
投稿者:
圭一
◆QhdLAF3pu.
2010/11/08 12:06:56(Dh6sS4aD)
続き楽しみにしています。
10/11/10 15:06
(WASMAOpp)
続き、楽しみにしています。
10/11/12 21:27
(nsVyLR7u)
列車に揺られながら‥
本当に運命とはわからないものだと思わずにいられなかった。
淡々と雪原の中を走る列車の車内には自分の他に数組の乗客がいるだけだった。
牧方氏から教えられた駅に着いたのは札幌を出て優に2時間近くも経っていた。
駅前の店はどこもシャッターが下がりしんしんと降る雪の中に自分一人となり不安になっていた。
携帯で先ほどの牧方氏の自宅に掛けるも留守電になってしまい,益々不安になってくる。
本当に来てくれるのだろうか‥
もしこんな雪の中に置き去りにされたら‥凍死して‥
悪い方へ悪い方へと考えているうちに一台の四輪駆動車が街中を走ってきた。
立っている自分の横に止まると助手席のガラスが開き
「ごめんね。寒かったでしょ。」
夫人が声を掛けてくれたのでした。
「いや~悪かった。寒かっただろ‥荷物はコレだけで良いのかな?」
牧方氏が降りてきて後ろのトランクルームに荷物を入れてくれてから手を差し出した。
「遠いところを良く来てくれたね。」
握手をした時に小柄な体格と柔和な人当たりからは想像がつかないほどの大きな手のひらに驚いたのでした。
聞くと一時間以上も走った集落の外れに家がある様で辺りには何もないとの事だった。
「今日は遅いから,明日案内してあげよう。」
沢を渡り,見渡す限り何もない雪原を走り抜けて木立の中をしばらく走ると何軒かの家の明かりが木々の間から見えた。
「もうすぐだからな。」
ヘッドライトに照らされる道は雪が覆い,しっかりとした運転に感心するばかりだった。
そして木立が途切れた様に拓かれた中に大きな家があった。
まるで絵はがきに見る風景の様だった。
「さぁ,入ってくれ。」
北海道の家はどこでもそうだが室内に入るとムッと汗が出てくるほど暖房されている。
氏の家も例外なく2時間以上も無人だったはずだが断念性能が良いのか暑いほどに暖房された熱気が冷めていなかった。
「ゆっくりとしてね。」
夫人に案内されて2階の空き部屋へと荷物と呼べるボストンバッグを抱えて上がったのだった。
客間として造られた10帖ほどの部屋にベッドが二組置かれていた。
東京で住んでいたアパートよりもずっと贅沢な造りの部屋だった。
「疲れてるでしょうから,お風呂入ったらすぐ寝ると良いわ。お腹は空いてない?」
10/11/12 21:59
(vRVEpe7A)
荷物を解き,暖炉の灯されたリビングへ降りて行くと牧方氏が隣に座る様に言ってくれた。
「おしゃべりに付き合わせたら可哀想よ。疲れてるでしょう‥お風呂入ったら。」
「そうだ。昨夜も遅かっただろうし‥今夜は早く寝ると良い。」
「はい。ありがとうございます。」
「少し飲むかね。」
テーブルに置かれたワインを注いでくれると,夫人が
「チーズも美味しいから食べてみてね。」
と皿に盛り付けたチーズを勧めてくれた。
「お隣の牧場で作ったのを分けてもらったのよ。」
ゆっくりと‥時間が流れていく‥
東京での生活では考えられない事でした。
父親ほども年の離れた牧方氏と夫人の子供となった様に‥
とても落ち着けて,安心できるのでした。
「長い人生の中で振り返り見つめ直したり,先の事をゆっくり考えるのはとても大切な事だ。ゆっくりすると良い。」
ありがたい提案ではありましたがお二人にそこまでしてもらう理由もないところです。
そのままを話すと
「では,こうしたらどうかな。私も家内も正直なところ,毎日顔を突き合わせて二人だけでいるとささいな事でぶつかる事もある。見た通り,二人共に意地っ張りなものだから一度ぶつかると3日も4日も尾を引いてしまうのが常だ。そこで君に二人の緩衝材になって欲しい。老い先短い人生で3日と言えどもつまらない時間を過ごすのが勿体無いから。どうだろうか?」
「はぁ‥何をすれば‥」
「いてくれれば良いんだよ。もちろん君は時間を好きに使ってくれて構わない。」
こうして,何の血縁も利害関係者もない牧方夫婦の家に居候をする事になったのでした。
最寄りの駅までは一時間以上も掛かる雪深い山の中で‥
就職の世話をしてくれるはずでしたが,一向にその気配もなくたまに近くの酪農家の手伝いをしたりする位しか仕事らしい仕事もなく,牧方氏は自分の子供の様に接してくれるのにいつしか甘えていたのでした。
週に一度ないし二度ほど牧方氏は会社の顧問として出掛ける事がありました。
送り迎えに車を運転する度に
「すまないな。たまには札幌にでも出て遊んできても良いのだよ。」
と優しい言葉を掛けてくれるのです。
「それよりも,仕事を見つけないと‥」
「慌てる事はない。山に囲まれて年寄りの相手じゃ可哀想かな。」
「そんな事は。」
いつも同じ話しの結末になるのでした。
10/11/13 18:01
(h4PsvDwi)
みなさま励ましのレスありがとうございます。
息も凍る雪の積もった道を晴れた日に牧方氏と散歩をし,集落の農家に手伝いに行くのと,風呂を沸かすのが仕事と言えないですが日課となりつつありました。
集落の人々は牧方氏の事を
「社長さん」
と呼ぶのを以前から不思議に思っていたので,牧方氏に聞いてみた事がありました。
「呼びやすいからだろう。」
笑っていたので手伝いに行った農家で聞いてみると
「そのままさ。俺たちにとってはあの人がいなかったら生活できない位,恩を感じているからさ。」
他のどこの農家よりも集落の人達の乳製品や産物を優先的に買い付けできる様に便宜を計ってあげた事を知りました。
「あの人には足を向けて眠れねぇよ。」
笑いながら話していたのでした。
牧方氏の家に居着き一月ほどした暮れの事でした。
集落の人達が集まり屋根に積もった雪を下ろし,家中の大掃除に朝から集まってくれました。
各家の都会に出ていた子供達や孫達まで午後には集まり,餅つきをしてはしゃぐ姿に東京では味わえない幸せを感じたのです。
「良いお年を。」
大きな鍋を囲み飲み明かし,最後の人が帰って行ったのは夜も遅い時間になっていました。
「楽しかったですね。」
「そうだね。」
「みんな良い人達で。」
「私には家族みたいなものだよ。」
話す氏の顔を見ていて,本当の息子さん達とまだ会った事がなかったのに気付きました。
「圭一は帰らないで良いのかね?」
私もずっと考えていた事でしたが,言い出せないままでした。
北海道に来た頃,一度電話をしたきりで,毎年正月には帰っていたのですが。
「大丈夫ですよ。」
「故郷はどこかね。」
「はい。遠いです。四国です。」
「四国のどこら辺?」
「松山です。」
「帰ってくるの,待ってるんじゃないのかね。帰ってあげた方が良い。」
あと三日で新年を迎えると言う時期に‥
予約もなくチケットも無理だろうと思いました。
「今年は電話にしておきます。飛行機ももう無理でしょうから。お盆にでも帰ってきますよ。」
「いや。帰った方が良い。松山だね。なんとかしてみるから。」
そう言いどこかへ電話を掛けてくれたのでした。
翌朝,目覚めて下へ降りて行くと
「明日の早い便で取れたから午前中のうちに支度をしなさい。」
氏が言ってくれたのでした。
10/11/15 12:20
(laIY8oke)
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