小生が童貞を卒業したのはその時代の平均的男性としては
かなり遅く、そろそろ三十路を迎えんとしていたころだ。
今と違って会社、特に地方から多くの若者を採用してお
った中堅クラスの企業は独身寮が完備されていて給料が安
くてもとりあえず食事と住居は確保できていて助かった。
そういう寮は男女が明確に区分されていて管理も厳しく
そうそう簡単に行き来ができなかった。男子寮の隣は女
子寮だと聞いて工場に配属腐ってた小生も、これで女と縁
が生じセックスさせてくれる女性がいれば童貞卒業も時間
の問題だと高をくくるというか変な希望に燃えて着任した。
工場は三交代制だったので、実際現場に入ってしまうと
普通に日勤帯の仕事をする女性たちと顔を合わせるという
機会はほとんどないままに、時が過ぎた。性欲処理はもっ
ぱらオナニー射精で、学生時代と変化がないまま過ぎたの
だ。5年ほど三交代現場に置かれ、工場の設備などに精通
して問題発生時に的確な対処、指示などができるようにな
ってしまい、上司に目を付けられ管理部門へ移動させられ
てしまった。もう、二十代後半に入り突然、職場環境が変
わってそれまで男所帯で気楽にやっていただけに戸惑った。
管理部門の半分以上は女性だったからだ。その時代にはめ
ずらしく女性管理職が結構いて、小生の直属の上司も女性
だった。ナナオをちょっとチンチクリンにした感じのお局
という感じで厳しかった。そんな女性上司が私の指導役と
して任じてくれた女子が、女子寮のお局一歩手前という感
じの通称ツーちゃんと呼ばれていたツヤ子だった。若く見
えたがほぼ小生と同年代で、ナナオ崩れの上司にやりこめ
られている時など、小生をかばったり間に入って助けてく
れた。ある時、会議で小生がプレゼン張ったとき、結構大
きなチョンボをした。会議が終わりみんな三々五々退出す
る中、小生はお局上司に呼び止められ、かなり厳しく叱責
されていた。今なら、完全パワハラアウトって感じの怒ら
れ様だった。で、小生はちょっと反発して言い訳を並べて
たところ、なんとそのお局上司「そんな、童貞のボンボン
みたいな言い訳してんじゃないわよ!!」と声を荒らげた
のだ。そこへ、ツヤ子が居合わせたのだ。こっぴどくやら
れしょげてる小生を励まそうとしてくれて、その日、ツヤ
子の方から飲みにいこうと誘われた。焼き肉をほうばりな
がらビールや酎ハイを飲みながら、慰めてくれた。かなり
酔いが回ってきたころ、ツヤ子が突然話題を変えて言った。
「ところでさ、詳しいこと知らないけど、お局、ひどいよ
ね。」と、小生は、まあ、仕方ないっす。俺のミスだから
と大人の返答したのだったが、「ひどいのは、そこじゃな
くって、童貞のボンボン呼ばわりよ。わたし、そこだけ聞
いちゃったから・・・」そこで、そうなんだ、ひでーんだ。
とやってたら、何の進展もなかったのだが、小生は弱弱し
く、しょうがねぇーよ。ホントだもん、と言ってしまった。
ツヤ子の目が輝いてドキッとした。「えっ! M君、童貞
なの? 彼女とかいないの?」と矢継ぎ早に聞かれよせば
いいのに正直に答えてしまった。まあ、結果としてはそれ
でよかったわけだが、ツヤ子の猛攻が始まった。
「ねねね、それで、ムラムラ来ちゃったりしたときなんか
どうするわけぇ?」
「ピンサロとか、ソープランドとか行きたくなんなかったのぉ」
「一人で、空しく果てるのぉ?」
「なんか、カワイソすぎる! セックスとかまだ空想のせかいなんだあ。」
と。小生は精一杯切り返し、そういうツーちゃんはどうなの
彼氏とかいない感じだし、欲求わいたときどうしてるのさ。と
踏ん張ったら、「そりゃあ、女の子だって一人でできるし、
わたし、遊び相手はいるから・・・」小生はそのとき結構興奮して
いてムラムラきていた。冗談半分で、その遊び相手に俺も加えてよ
と言いたかったのをグッと飲み込んだ。それが、わかったのかツヤ子
の方から、「なんなら、わたしが遊び相手になってあげよっか?」
と畳み込まれ、完全にツヤ子ペースにはまってしまい、繁華街まで
でて、如何わしいホテルにはいることになってしまった。