まだ、夏になる少し前だっただろうか…。
ずっと空家になっていた一軒家の借家に、灯りが点くようになった。
でも、人の声がするでもなく、荷物の移動があるでもなく、ただ、ひっそりと…。
先日の台風、暴風で、ようやくその家人を見る事が出来た。
その人は、実に小柄で、髪には少し白いものが混じっていた。
しかし、肩の所まで伸びた髪はカールされており、昔の石川ひとみ風。
美人だった…。
でも、怖い程に静かだった理由…それは、彼女が聾唖者だった為。
さらに、体が弱い為か、あまり動けない様子。
私が、風で飛ばされた来た物を彼女の所へ届けた事が、知り合うきっかけに…。
「あの…名前は?」
彼女は、自分の手のひらに右手の人指し指でなぞり始める…。
名前は、久美子さん。
「良い名前ですね…。」
僕は、彼女に微笑みかけた。
彼女は、自分の顔の前で右手を横に振る…。
「そんな事ないわよ…。」と言いたかったのだろう。
僕の身長は、男としてはそう大きい方ではない。
でも、彼女の身長と比べると、僕が大きく見えてしまう…。
本当に、彼女は小柄だった。
でも、本当に可愛い女性。
胸もお尻も小さかった。
僕は、巨乳、デカ尻好きだったのに…、彼女の事が…。
年齢を尋ねれば、37歳との事。
「僕は…34歳なんですよ。」
彼女の目を見つめると、少し照れるような素振り。
僕が言いたい事、彼女には分かったようだった。
そう、あなたが好きになりました…と伝えようとする僕の気持ちを。
夏服の彼女は、小学校によく居そうな女の子に見える。
顔に刻まれた少々のシワ、シミを除けば…。
ある休日、彼女が僕の部屋を訪れた。
小さな手には、揚げ物を乗せたお皿が…。
「これを、僕に…ですか?」
彼女が微笑んで頷く。
微笑むと、彼女の目は更に細くなって一本の線のようになる。
「どうも…ありがとう。」
彼女の手から皿を受け取る。
彼女が顔の前で手を横に振る…。
いつもの仕草…「どうしたしまして…。」という意味だ。
彼女は、今、一人暮らしである事を知った。
一度結婚したが、離婚されたとの事だ。
その理由は…言わなくても分かる。
でも、その事実を知った時、腹が立った。
彼女は、そんな僕に…少し涙を滲ませていた。
きっと、その時に、僕の心が動いている事を彼女は知ったのだろう。
皿を僕に渡して、彼女がドアを閉めた。
その時に…。
「久美子さん…。」
彼女が、再びドアを開けた。
「お時間…ありますか?」
彼女は、微笑んだままだった。
「あっ、ごめんなさい…。今の…なんでもないです…。」
僕がそう言うと、彼女は小さな手を僕の手に添えた。
「なあに?」
彼女の唇は、そう動いた。
僕は、純粋に彼女を好きになった。
それ故か…言葉が思うように出ない。
「いえっ…、久美子さんとね…お話しでも…と、思って…。」
それだけ言うのが、やっとだった。
微笑む彼女の唇がゆっくり動く。
「はい。」
たった二文字。
でも、嬉しい二文字。
三つ年上の彼女を、部屋に招き入れた。
全く所帯じみていない僕の部屋に、彼女は…僕の恋人のように見えた。
「どうぞ…。」
薄汚れた座布団に彼女を招く。
お辞儀を欠かさない彼女。
「久美子さん、どうぞ、楽にして下さい…。」
そう言いながらも、僕も彼女にお辞儀をしている。
彼女の微笑みは変わらない。
「何だか…久美子さんと居ると、嬉しいです…、僕。」
丁寧語を使いながらも、徐々に打ち溶け合っているような二人。
彼女の唇を見ると、「私も、嬉しいです…。」と言ってるのが分かる。
彼女は、声を失っただけだ。
素敵な日本語、言葉をきちんと持っている。
俗語、勝手な省略言葉を使う女の子よりも、ずっと素敵だ…。
声がなくても、気持ちは伝わる。
「久美子さん、トンカツありがとう…。とてもおいしそうですね。」
彼女の唇、「いいえ、いいえ…。」と言っている。
僕は、思わず言ってしまった。
「どうせなら…僕の部屋で、毎日作って欲しいですね…。」
彼女の顔を見ると、さっきまで微笑んでいた目元が少し揺れていた。
彼女の手が伸びて来る…。
僕の手を取り、僕の手のひらに人指し指をゆっくり走らせる。
「わ、た、し、も、そ、う、し、た、い…」
彼女の九つの文字を確認するまで、約30秒。
彼女の目を見ようとすると、もう彼女の顔がすぐ横にある…。
「久美子さん…。」
小さな顔、小さな唇。
彼女の顔は、僕の顔で隠れた…。
彼女の小さな手を握りしめた。
彼女は、僕の口付けを受け止めた。
まるで、ずっと前から知っている女性のような…そんな雰囲気。
唇を合わせているだけで、最高に幸せだった。
彼女の服を脱がそうとか、ベッドに誘おうとか…全く思わなかった。
きっと、僕がそうしたら、彼女は応えてくれただろう…。
口付けの途中で、そっと目を開けた。
間近に見えた彼女、目に涙を溜めていた…。
感慨無量とは、この事か…。
彼女とは、すぐに結婚…というわけではないが、たった一人のレイディさ。
年齢を考えれば、結婚という文字は何の不思議もないが…。
今回、述べたい事がある。
僕は、今までこのサイトで「熟女」とやりまくりたい…という願望を投稿してき
た。
実際、巨乳、尻のデカい熟女ばかりを追っかけた事も…。
しかし、本当に好きになると、そういう気は起きないものだ。
きっと、女を「物」もしくは「肉人形」と思っていた故の事だろうよ。
それに、あれだけ、巨乳、尻のデカい熟女にこだわっていたのに…。
今では、胸が小さくて、尻の小さい彼女の事が…セクシーに思えてきた。
よしっ、ようやく、「やっぱり熟女」サイトを卒業だな!
でも、しばらくして、やっぱり巨乳がいいやぁ…なんて思う事も…。
格好悪いなぁ…、そんな事じゃ。