2021/07/15 10:40:12
(Qrc4qdqN)
ケイ
結婚して今年で15年になる。
大学を卒業し、入社2ヶ月で妊娠発覚。
そして結婚。
一夜の過ちが彼女の人生を大きく変えることになる。
ケイは高校時代の同級生。
部活も吹奏楽部で同じ。
クラスでは挨拶程度、部活で話し込むことはあったが友達には及ばない知人関係だった。
彼女との接近、接近といっても飲み友達レベルなのだが大学に進学してから。
別の大学であったがそれぞれ上京。
キャンパスが近く、同じ最寄り駅になり同級生、同郷のよしみもあり、たまに飲んだりする関係になっていた。
それ以上もそれ以外もなく。
ケイには彼氏がいた。
大学の二つ上の先輩。
話は飲みの席で知った。
ケイがその彼氏と頻繁にケンカをするようになったのはその彼氏が社会人になってから。
生活リズムが一変し、公私の公が優先になる日常。
ケイから飲みの招集が格段に増えた。
その日は大学卒業を控えた3月上旬。
池袋で飲み始め、二件目を出たときには終電が出たあとだった。
カラオケでの三次会を試みるが、この日は金曜日。
どこも空きがなかった。
消去法で残ったのはラブホテル。
提案したのは酔ったケイだ。
「ラブホならカラオケある!」
自分はお酒にそんなに強くなく、カラオケ店探しでだいぶ酔いは覚めていた。
ほろ酔い状態で饒舌のケイを介抱しながら歩いていたが、ケイが目指した先は本当にラブホだった。
「タクシーで帰れよ。お金足りないならオレ出すから。彼氏と明日出掛けるんだろ?」
「いいの、今日は!歌うぞっ!」
後ろめたさを感じながら入るラブホ。
理由は二つ。
初ラブホ
童貞
未知なる領域だった。
時間的に休憩は不可、宿泊となった。
チェックアウトは朝9時。
部屋の時計は午前2時前を指していた。
ケイは2曲歌っただけで満足したのか、サワーを飲みながらクダを巻いてきた。
「ここって普通はエッチするところ。何か○○(オレのこと)といるのが怖いよ(笑)」
「行こうって言ったのケイちゃんだろ?」
「ムラムラしないでね(笑)」
睡魔がさしているのか、ケイは虚ろな目になっていた。
「寝てから変なことしないでよね(笑)」
「しないよ!シャワー浴びたいんだけど、もし先に入るならどうぞ」
「朝にする。今は無理。起きられないよ」
ケイは仰向けになりベッドに横たわっていた。
シャワーを浴び、備え付けのバスローブを着た。
ケイはリモコンを弄りながらテレビを見ていた。
画面がアダルトビデオに変わったときだった。
「やっぱりあるんだね。この番組」
「ラブホだもん。初めてなの?」
「相手いないし」
「そうだった(笑)」
ケイから最大限の距離を取りベッドの端に横になった。
ケイはAVに夢中になっている。
それにつられないよう気を逸らすが音量が耳に入る。
寝れない、気が散るもモヤモヤしているときだった。
ガサッ!
ケイが下半身を纏うバスローブを剥いだ。
「やっぱり(笑)やっぱり大きくなっている。しよ、エッチ!」
ケイが起き上がり服を脱ぎ出した。
「止めろよ、そういう冗談!」
「冗談じゃ裸見せられないよ(笑)でも絶対秘密にして。今日だけ特別。二人だけの思い出にとっておこうか」
酔いのせいか、羞恥心がないのかケイは何の躊躇いもなく下着も外した。
「シャワー浴びてくるね」
ケイがシャワーに向かおうとしたとき、彼女ね左腕を掴んでベッドに引き込んだ。
「ちょっと、シャワー!」
理性が吹っ飛んだ瞬間だった。
キスで始まり体を舐めた。
舐めて舐めて舐めまくった。
抵抗していた体も次第に反応し始めて、たまに吐息を出す。
バタバタと激しい抵抗をしだしたのは両足をM字開脚にして凝視、そして舐めようとしたときだった。
「そこは洗ってから!洗わせて!」
激しく抵抗されたが舌先を入れられてしばらくして彼女は無力化した。
「ゴムするからね」
ケイが部屋に置いてあるゴムを手にしていた。
「どうやるんだったか・・・」
「したことないの?」
「ない」
「初めてなんだね(笑)何かゴメン、私でいいのかな?嫌ならしなくてもいいよ。まだ戻るの間に合う(笑)」
「いや、収まりがもうつかないよ」
ゴムを開封し、中身を取り出す。
そして、いざ装着。
とはいかなかった。
格闘すること約3分。
先を覆うことすら出来ず仕舞い。
粘性を失いつつあるゴムを見たケイが
「それ、もえ無理だよ。パサパサしてしるから痛くなるし破れるかもしれない」
と言い、二つ目のゴムを開封。
「私がやるね」
慣れた手つきで装着させてくれた。
「まさか○○とエッチするなんて」
「気まずくならない?」
「気持ちの持ちようだよ」
「今までみたく会えなくならないか怖い」
「意外に小心なんだね(笑)私は平気だから」
そしてしばらくしてケイと合体。
セックスが成立した。
罪悪感と背徳感。
ケイは高校1年から知っている同級生
彼氏もいる
適度な距離の友人関係を築いている
オレは過ちを・・・
そう思うと萎えた。
腰を動かすが硬さを維持することで精一杯。
射精なんて無理だ。
「ケイちゃん、あのっ」
「(寝息)」
ケイは寝落ちしていた。
止めよう、やっぱり無理だ・・・
体を離し、ゴムを外した。
「おやすみなさい」
と言い、彼女に掛け布団を掛けた。
寝よう。
そして早めに帰ろう。
そう思い目を瞑るが眠気が全くこない。
徒なりのケイはスヤスヤと寝ている。
可愛い寝顔だ。
勝ち気のケイだが上京し、垢抜けたのか大学生なのか大人びた色気もある。
気がついたらケイにキスをしていた。
そして下半身の軸に全血流が集中しているのか、異様な熱さを感じた。
掛け布団をめくり、再度ケイの裸体と対峙。
2個のゴムは使い果たし残りはない。
生でしかやりようがなかった。
「ケイちゃん!」
ケイは寝たままで返事も反応もない。
それからは野獣だった。
生で挿入し本能の赴くまま中に射精。
童貞に外出しなんていう器用なことはできなかった。
それを2回。
午前4時と5時。
精根使い果たしようやく睡魔が訪れた。
先に目を覚ましたのはケイだった。
部屋の電話内線が鳴る音で起きたようだ。
「ねえ、起きて!」
内線に出るように急かされ、目を擦りながら受話器を取った。
チェックアウト時間を大幅に過ぎていた。
ボイラーの点検作業を行うから速やかに退出してほしいとのことだった。
「ケイちゃん、時間が、時間ヤバイって!」
振り向き様にそう言うとケイが体育座りの姿でボロポロと涙を溢していた。
「何で中に出したの?」
起きて体の異変に気づいたようだ。
「これ、精子だよね?」
陰部から引いた指には白濁液の粘液がベッタリと着いていた。
そして動かぬ証拠は放置された使用済みコンドーム。
精液溜まりが空っぽだ。
とっさに嘘を並べた。
「ケイちゃん、着けなくていいって。そして中に出していいって言ったから」
「私が?そんなこと言ったの?」
「言ったよ。じゃなきゃ、やらないよ」
「・・・」
「ケイちゃん、それより時間!10時50分過ぎてるよ!内線で11時まで出てほしいって。点検とかで」
「シャワー浴びたいよ」
「ボイラー関係ないでもうお湯が出ないって。水じゃ・・・」
「じゃ、帰ったらする・・・」
延長料金を払い、出たときには既に11時を過ぎていた。
「今日、彼氏と出掛けるんじゃなかったの?」
「うん・・・。また喧嘩になる・・・」
「連絡したら?」
「携帯充電ないんだ。多分家に来て待っていると思う。何て言えば・・・」
ケイとは最寄り駅で別れ、牛丼チェーン店に入った。
朝食兼昼食。
精根果てた体にエネルギーを加える。
そして店を出た帰宅途中、携帯が鳴った。
ケイからだ。
「もしもし」
携帯を取ると聞き覚えのない男性の声だった。
「お前か!ケイと寝たのは!このクソ女、お前にくれてやるよ!」
一方的に怒鳴られ、携帯が切れた。
不安を感じ、ケイの家に向かった。
彼氏は帰ったようで泣いて顔を腫らしたケイが玄関に立っていた。
「振られちゃった。もうダメ。終わりだよ、私・・・」
「どうしたの、顔?」
ケイの左右の頬が赤く腫れていた。
「叩かれたの?」
「私が悪いの。お前みたいな汚い女とは付き合えないって・・・」
「言ったの?」
「言っていないけど・・・。バレたよ」
ケイが帰宅すると彼氏が待っていたらしい。
そこで朝帰りの理由の詰問。
彼女なりに考えたストーリーを語ったが、彼氏からその場でセックスを強要されたと。
断ったが強引に服を脱がされ、そこで万事休す。
ケイはシャワーを浴びていない。
全身から漂う唾液臭、そして陰部からは男性独自のあの臭い。
一発レッドカード。
4月に社会人になり社宅の関係でケイは三鷹に、自分は赤羽に引っ越した。
ゴールデンウィーク前に新宿で一度飲んだが、あの日のこと、ケイが暴力を振るわれた挙げ句に振られた話はしなかった。
お互い意図的に避けたというのが正解なのだろう。
ケイとはこのまま、この関係で継続するのが自然な形なのかもしれない。
ちょうどその1ヶ月後、ケイから電話があった。
今からすぐに会いたいと。
口調から重大さを予感し、ケイと待ち合わせた。
会って開口一番
「○○の赤ちゃんお腹にいる・・・。12週だって。これ見て」
エコー画像を差し出してきた。
「いつわかったの?」
「今日。体調悪くて。生理もこないから検査薬使った。そしたら陽性で。会社休んで病院行ったら言われた・・・」
「まさか・・・」
「あの日だよ。3月の。避妊しなかったでしょ?」
「あれは・・・。本当にオレの子どもなの?」
「疑うの?だったら遺伝子検査する?絶対○○だよ」
「あの彼氏とか・・・」
「日の計算が合わない。ずっとなかったから。去年のクリスマスイヴが最後。他にありえないし、そもそも今年になってエッチしたのあの日だけだから」
「本当かよ・・・。どうしたい?産みたいの!そうでないの?」
「最初諦めようと思ったけどエコーの写真見てたら何だかバイバイしたくないって気持ちになって。一人で産んで育てていく自信が正直なくて。でも結婚すれば何とかなるかなって。今すごく混乱している。今日答え出さなくていい。考えて答え聞かせて」
「付き合っていないのにいきなり結婚?」
「付き合っていないけど高1から知っているもんね」
「じゃ、オレが結婚するから産んでと言ったら?」
「いいよ。結婚できるよ、私」
「結婚しよう・・・」
その日、ケイを家に連れて帰った。
そして改めて言った。
「彼女になってください!結婚してください!元気な赤ちゃんを産んでください!」
ケイは涙を流し右手で口を押さえながら頷いた。
その週は怒涛の一週間になった。
報告をしたケイの両親に罵倒されたが最終的に渋々結婚を承諾。
ケイは6月末をもって退職。
オレの扶養になり12月に長女を出産した。