俺は大学二年の二十歳の時、配送のバイトをしてました。
夜学だったので日中はバイト、トラックに乗って軽い荷物だけを運んでいる楽なバイトだった。
トラックは荷物の配送、そして軽の1BOXは修理品の回収という具合に別れていた。
聡子さんは軽担当だ。
しかしこの人の印象は正直良くなかった。
同じくトラックに乗る奈々さんと言う女性が居たのだが、たまたまこの人を知っていた。
聞けば医者の娘らしいが我が儘でおバカ、中高とヤンキー街道の人で近所では有名。
奈々さんは二歳下だから直接は知らないが、見掛けたら怖くて避けていたらしい。
現在四歳の子持ち、しかも離婚してシングル。
さすがに落ち着いたのだろうが、ヤンキー臭さが残っていた。
当時の俺は真面目君だった。
だからね、チャラチャラしてる母親って目で見てて積極的な会話はしなかったんですよ。
ある日センター長から聡子さんと一緒に修理品の回収を頼まれた。
洗濯機を回収するらしい。
「だったら俺一人で行きますよ」
と言ったが聡子さんが残っても仕事は無いし何もせず遊ばせておけないから…と半ば強制的に一緒に。
普段より荷物も少なかったので、トラックではなく軽に荷物を積み、先に配達してから回収してくれとの事。
嫌々だったがしょうがない。
奈々さんや他のバイトに小さく愚痴を言って出発した。
配達も終わり、回収に向かう。
何とか洗濯機を取り外し、聡子さんと積み込む。
なんつ~か…聡子さんは手際が悪い。
やる気無いのか?って感じで不愉快だった。
よしよし、早く終わったと普段なら喜んで何処かで時間を潰すのだが、この日は早く帰ろうと倉庫に向かった。
「もう帰るの?」
聡子さんが何処かで休もうと提案する。
確かに皆時間を潰して戻るのが定番だった。
「あ~…そうですね」
と気の無い返事をして自販機でコーヒーを買って空き地に車を停めた。
いつもの様に社員に見られない為に陰に停める。
車内の会話は正直楽しく無い。
下ネタを言うし、28歳の聡子さんは当時の俺からしたらおばさんだった。
お腹が見える上着を着てるのも理解しがたい。
適当に会話をしてると突然言われた。
「なんかさ~あたしの事苦手?」
同じ職場だしハイとも言えず、そんな事は無いですよ、と否定した。
下ネタが苦手なんです、と伝えた。
「へ~?男の子は好きかな~って、童貞?」
確かにそうなのだが適当にハハハと笑ってごまかした。