私は結婚前は事情があって風俗嬢をしていました。
私が働いていたお店に来て、必ず私を指名してくれた今の主人と仲良くなり、結婚しました。
主人は容姿は人並みの人ですが、とても優しい人で、熱烈にプロポーズをしてくれたんです。
主人は一人っ子で家は資産家で大きな家に住んでいました。
私達の結婚に主人のお父さんとお母さんは反対しました。
主人が初めて私を主人の家に連れて行ってくれ、
お父さんとお母さんに私を紹介してくれた時から嫌な顔をされました。
お父さんとお母さんは、私とろくに話もせずに席を立ち、
主人に「おまえ、ちょっとこっちへ来い。」と主人を呼んで、
お父さんは主人に「おまえなあ、風俗嬢なんてろくなもんじゃないぞ。
金で誰とでも寝る女だ。うちの財産を狙っているんじゃないのか。」と言い、
お母さんは主人に「そうよ、おまえは騙されているのよ。」と言っている声が聞こえました。
あれは私に結婚をあきらめさせようとして、わざと私に聞こえるような声で言ったのかも知れません。
私は主人との結婚をあきらめようかと思いました。
でも主人はお父さんとお母さんに「彼女はそんな人じゃあないよ。風俗嬢はしていたけれど、心は
優しい人なんだよ。いろんな事情があって風俗嬢をしていただけなんだよ。」と言って、私をかばってくれました。
その後もお父さんとお母さんの賛成は得られませんでしたので、私は主人に「結婚はあきらめるわ。」と
言いましたら、主人は「頼むから、結婚してくれ。俺が、一生、君を守るから、俺の家に嫁いでくれ。
必ず父と母の承諾は得る。君を逃したら、こんなブ男の俺には君みたいな綺麗な女には二度とめぐり合えない
だろう。」とまで言ってくれました。
そして主人は両親に「父さん、母さん、俺とルミ子さんの結婚に反対するんだったら、俺はこの家を出る。
駆け落ちをする。この家の跡なんか継がない。父さんと母さんが歳をとっても、老後の面倒なんか見ないからね。」
と言ったのです。一人息子の主人にどうしても家にいてもらわなくてはならなかったお父さんとお母さんは、
そんなことになってしまっては困る、駆け落ちなんかされたら我が家の恥、と思ったらしく、
やむなく、結婚を承諾してくれました。
そして私は主人の家に嫁いだのですが、義父と義母からは嫌味を言われ続けました。
義父と義母は結婚は認めたものの、私がこの結婚に嫌気がさし、離婚して家から出て行ってくれたらいいと
考えていたようでした。義母は私に、今まで義母が自分でしていた家の掃除などの家事を押し付け、なにかにつけ
私に「ルミ子さん、お勝手がこんなに散らかっている。本当にあなたはだらしがないんだから。」とか、
「便器の淵がこんなに汚れている。ちゃんと綺麗にしてちょうだいね。あなたはお客様じゃないんだから。」
と言って私を家政婦のように扱いました。義父は私が作った料理を「うっ、まずい!こんなもの食べられたもんじゃ
ないよ。ルミ子さん、あんた、料理したことあるの?あんたのお母さん、教えてくれなかったの?
まあ、ちゃんとした教育なんて出来ない親だったんだろうね。」と言って私の親までバカにしました。
それでも私は耐え続けました。なぜなら、私はやはり風俗嬢をしていたことで肩身が狭かったことと、
いつまでも風俗嬢をして生きて行けるわけではないですから、主人と結婚してやっとつかんだ安定的な生活を
手放したくはなかったからです。ところが我慢し続けた私の堪忍袋の緒がついに切れることが起こったのです。
その日の昼間、家には私しかいませんでした。玄関のチャイムが鳴りましたので、出てみますと、
○○新聞店の人でした。「奥さん、購読期限が切れるんですけど、継続して頂けますか。
今、継続契約をしてくれれば、いろいろサービスいたしますよ。」と言ってくれたのです。
家の近くには○○新聞店と××新聞店があって競い合っていました。私は『それはお得な話だわ。
継続契約をしてもこの家にとって何の損もない。』と思って、継続の契約をしました。
そして、義父が返って来ましたので、義父に「○○新聞店の人が来てお得な話をしてくれたので、
継続契約をしました。」と話すと義父は「えっ、○○新聞と継続契約をしただって。ルミ子さん、勝手なこと
されたら困るよ。俺はなあ、××新聞に変えようと思っていたのに。
最近の○○新聞の論調が気に入らなくてな。」と言って不機嫌な顔をしたのです。
帰って来た義母からも「えっ、ルミ子さんが継続の契約をしたですって。ルミ子さん、どうしてそういう
勝手なまねをするの?。」と言われてしまい、私は「で、でも、この家にとって、何にも損する話ではないと
思いまして。」と言いますと、義母は「ルミ子さん。損か得かは私達が判断するの。あなたにはこの家のことを
決める権限なんてないんですからね。」と言われてしまいました。
私が「そ、それじゃあ、お義父さん、××新聞に変えるのでしたら、私が今から○○新聞店へ行って、
謝って、継続契約を取り消して来ましょうか?」と言うと「いいよ、そんなことしなくても。もう仕方がないだろ。
もう契約しちゃったんだから。いったん契約したものを取り消すなんて、長い間の我が家の信用が失われるだろ。」
と言ったのです。私は心の中で『たしか、訪問販売の契約はクーリングオフだったかで取り消せるのでは
ないかしら。××新聞に変えたいのだったらすぐに取り消して変えればいいのに。』と思い、
二人の言葉が腑に落ちず、主人が帰って来てから、主人に聞いてみました。
「ねえ、あなた、お義父さんは○○新聞を××新聞に変えたいなんて言っていた?
お義父さんもお義母さんも、毎日、○○新聞を読んでいて、なんか新聞に不満なんて言っていなかったわよね。」
と言うと、主人は「父さんは、そんなこと一度も言ったことはないよ。我が家はずっと、○○新聞だよ。
文字が読みやすいし、記事も妥当だって言ってね。××新聞は読みづらいし、どうも偏見的なところがあるって言って、
一度も××新聞にしたことはないよ。」と言ったのです。それを聞いて私は「やっぱりね。義父も、義母も
○○新聞と継続契約をするつもりだったのに、私が継続契約をしたことにかこつけて、ただ私に嫌味が言いたくて、
あんなことを言ったのね。この家のためを思って契約したというのに。」と思い、
ついに私の堪忍袋の緒が切れたのです。
そして私は復讐として色仕掛けで義父をたぶらかせてやろうと決心しました。